米大統領、台湾・人権で懸念表明へ 習氏と協議で衝突回避へ対話は継続方針

米大統領、台湾・人権で懸念表明へ 習氏と協議で
衝突回避へ対話は継続方針
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN150NI0V11C21A1000000/

『【ワシントン=坂口幸裕、北京=羽田野主】バイデン米大統領は16日(米東部時間15日)、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とオンライン形式で協議し、台湾への威圧的な行動に懸念を表明する。新疆ウイグル自治区などでの人権侵害も取り上げる。両国の対立が偶発的な衝突に発展しないよう対話を維持すべきだとも提起する。協議を前に、米政府高官が明らかにした。

両氏が直接会話を交わすのは9月に電話協議して以来となる。バイデン氏は台湾海峡や東シナ海・南シナ海での中国の挑発行動に加え、ウイグルや香港などでの人権侵害、中国によるサイバー攻撃などについて懸念を表明する見通しだ。

米国は中国本土と台湾は不可分だという中国の立場に異を唱えない一方、台湾の安全保障にも関与する方針を掲げる。米政府は8月に台湾への武器売却を決めたほか、10月には米軍が台湾に駐留していることが判明した。

中国側では、習氏の側近として知られる秦剛駐米大使が13日に「我々は両岸(中台)の融合・発展を推し進める努力をするが、武力使用を放棄することは決して承諾しない。あらゆる必要な措置をとる選択肢を保留する」と発言した。

武力使用の可能性を巡っては習氏が2019年1月に言及したものの、内外の反響が大きく、事実上「封印」していた。習氏の側近があえて持ち出すのは米国の関与に危機感を強めているためだ。長期政権を見据える習氏にとって「中台統一」が最大の焦点になりつつある。

バイデン氏は台湾問題などで厳しい姿勢を取る一方、米中の緊張関係が偶発的な軍事衝突に結びつくのを避けるために首脳間での対話継続も重視する。米中では国防担当トップ間の会談がなく、安全保障分野でのパイプが細っているとの見方がある。

米高官は「両国が紛争に至らない形で競争し、リスクを管理する方法を首脳同士が真剣に話し合う」と語った。ただ今回の首脳協議では具体策の合意や成果文書は想定しておらず「新たな対話を始める予定もない」(同高官)という。

米中両国は気候変動などで歩み寄りを模索するなど、慎重に距離感を測っている。首脳協議でも、温暖化対策で両国が協力する重要性を確認し、バイデン氏から習氏に一段の踏み込んだ対応を促すもようだ。

貿易面では知的財産侵害や過剰な産業補助金の問題も議題になりそうだ。中国側からはトランプ政権時代の制裁関税の解除を訴える可能性がある。

米国や欧州では人権弾圧などを理由に2022年2月の北京冬季五輪をボイコットすべきだとの声もあがる。米CNBCテレビは首脳協議で習氏がバイデン氏を北京五輪に招待する見通しだと報じた。招待した場合、バイデン氏の対応が焦点になる。

米中はサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)と中国外交担当トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員が10月上旬にスイス・チューリヒで会談した際、両首脳のオンライン協議を年内に実施することで合意していた。

バイデン氏は10月末にイタリアで開いた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせた対面形式の首脳会談を求めていたが、新型コロナウイルスの感染を警戒して外国訪問を停止している習氏は見送った。』