7~9月の実質GDP、年率3.0%減 2期ぶりマイナス

7~9月の実質GDP、年率3.0%減 2期ぶりマイナス
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA129QR0S1A111C2000000/

『内閣府が15日発表した2021年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.8%減、年率換算で3.0%減だった。マイナス成長は2四半期ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言などで個人消費が落ち込み、自動車の減産で輸出も伸び悩んだ。

年率換算のマイナス幅はQUICKがまとめた7~9月期の民間エコノミスト予測の中心値(年率0.7%減)を大きく上回った。前期比で0.8%減った要因をみると、内需が0.9ポイント分押し下げ、外需が0.1ポイント分押し上げた。

GDPの半分以上を占める個人消費は前期比1.1%減と、2四半期ぶりに減少した。自動車の販売減が響いたほか、パソコン需要が一服するなど家電も落ち込み、耐久財は13.1%減で2四半期ぶりに減少した。衣服などの半耐久財も5.0%減だった。サービス消費は0.1%増とほぼ横ばいだった。外出自粛や飲食店での時短営業による消費抑制が続いた。

内需のもう一つの柱である設備投資は3.8%減で、2四半期ぶりのマイナスだった。企業の投資意欲は底堅いものの、自動車や生産用機械などが振るわなかった。半導体不足も影響した。住宅投資は2.6%減、公共投資は1.5%減だった。

政府消費(政府支出)は1.1%増で2四半期連続のプラスだった。新型コロナのワクチン接種が進み、ワクチンの購入や接種にかかる費用が増えたのが要因だ。

外需では輸出が2.1%減り、5四半期ぶりにマイナスに転落した。東南アジアでのコロナ感染拡大による部品供給の遅れや半導体不足を受けた自動車の減産が響いた。輸入も2.7%減で4四半期ぶりに減少した。携帯電話や衣服などが減った。

収入の動きを示す雇用者報酬は名目で前年同期比1.8%増となった。

10月以降は緊急事態宣言が解除されて人出が戻っている。飲食店でも時短営業の制限がなくなり酒類提供が再開したため、10~12月期は個人消費を中心に持ち直す想定で、プラス成長に転じる見通しだ。

21年の日本のGDPは1~3月期は東京などへの緊急事態宣言の発令で個人消費が落ち込んだのを背景に3四半期ぶりのマイナスになった。4~6月期は企業による設備投資の再開を受けて1.5%増のプラスに転じた。7~9月期は東京五輪・パラリンピックが開催される一方、緊急事態宣言が東京や大阪などに拡大・延長した時期と重なる。

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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ヘッドラインでは前期比年率▲3.0%ですが、売れ残りを示す民間在庫増で+1.2ポイント押し上げられてますから、より景気実感に近い実質最終需要ベースでは前期比年率▲4.2%となります。

他の主要国でも7-9月期は感染拡大や部品不足などで成長率は減速しましたが、ここまで大幅マイナス成長なのは日本だけです。

これによって、10-12月期は年率+9.5%以上成長しないとコロナショック前の水準に実質GDPが戻りませんから、政府の当初目論みだった2021年中にコロナショック前の水準に実質GDPを戻すことは絶望的になったと言えるでしょう。

2021年11月15日 12:28 (2021年11月15日 13:50更新)

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

実質GDPは4-6月期統計が発表されたときは予想以上に強い結果となったが、今回は逆に予想以上に悪い結果となった。

オリンピックもあったが感染者数が増加し緊急事態宣言による飲食店の営業時間の短縮などの影響が消費の下落に影響した。

半導体不足やアジアでのデルタ株の感染者数の増加で中間財部品の生産が停滞したことも製造業の生産に打撃を与えた。

輸出は自動車が大きく下落しているが、中間財やIT関連製品など幅広く低迷した。中国向けの輸出コロナ危機前の状態を大きく超え製造業を支えていたが足元では低迷しており、中国経済減速が日本の輸出に長期的影響がでるか注視したい。成長率は10-12月は大きくプラスに転じるだろう。

2021年11月15日 12:08 』