インド、対中係争地で道路建設2兆円 軍の展開を支援

インド、対中係争地で道路建設2兆円 軍の展開を支援
24年総選挙にらむ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGV1112G0R11C21A1000000/

※ 山岳地帯なんで、道路を通すと言っても、こういう風に「斜面削って、作る」しかない…。

※ 「兵站」行うのが、大苦労なわけだ…。

『インドが中国との係争地がある北部ラダック地方で、インフラ整備を急いでいる。インド軍の展開を助ける道路、橋、トンネルなどの建設で計1兆4000億ルピー(約2兆1400億円)の予算を見込む。中国への強い姿勢を示す。2024年に想定される総選挙をにらみ、与党への支持を高めたいモディ首相の思惑が透ける。

インド政府は「(軍事)作戦上重要な」73カ所の道路、橋、トンネルなどを建設する計画だ。部隊や兵器の配備を容易にするため、戦略的な全天候型の道路を建設している。長さ14.5キロメートルのトンネル(建設費は460億ルピー)を経由する設計だ。

ラダック地方の当局とインド軍の道路工事部門(BRO)は9月、丘陵地帯の通行を改善するための覚書に署名した。2車線道路、トンネルの整備など5つのインフラ計画を進める。
インド北部の中国国境近くに設けられた通信設備(10月)=ビラル・フサイン撮影

ラダック地方のレーとトゥルトゥクの間の移動時間を現行の9時間から3時間半に短縮できる26.6キロメートルの新しい道路の建設も計画している。BROは標高が6000メートル近いラダック東部の高地にも52キロメートルの道路を整備した。

BROは5万人以上の労働者を雇っている。その一人であるマヒンダさんはインド東部のジャルカンド州の出身で、初めてラダックにやってきた。月給は2万2000ルピーだが、10%前後が食費として天引きされている。

ラダック地方の環境は過酷だ。天気は変わりやすく、工事は容易に遅れたり停止したりする。冬の気温はマイナス40度を下回り、(高地なので)空気はかなり薄い。
防寒具を着込んだ建設労働者ら(10月、インド北部)=ビラル・フサイン撮影

インドはラダック東部で複数の空軍基地を建設中だ。配備される戦闘機はフランス製の「ラファール」、ロシア製の「ミグ29」など。インドは36機のラファール戦闘機を約5800億ルピーで購入する契約を締結した。第1弾として5機が7月に納入された。

ラダック地方でにらみ合っていたインドと中国の部隊は20年6月に衝突し、45年ぶりに死者を出した。その後も小競り合いが起きている。
ラダック地方を移動するインド軍兵士ら(2020年)=ロイター

両国はそれぞれ実効支配線に沿って兵士や物資を新たに投入。現地からの報道によると、いずれも最大で6万人規模の部隊を配置している。中国はこの地域と周辺で少なくとも10カ所の空軍基地を新たに建設したとみられている。

インドはパキスタンともカシミール地方の領有権を巡り、対立している。中国がパキスタンを支援しているとみて、インドは中国への態度を硬化させている。パキスタン軍の将校が中国軍の西部司令部と南部司令部に駐在していると報じられた。西部司令部はインドと接するチベット自治区や新疆ウイグル自治区を管轄しているとみられている。

インド陸軍のトップは、中国軍の動きを監視していると認めた。それをみたうえでインドが(ラダック地方で)軍備を増強していると説明した。インド軍の関係者の多くは、有事の場合、インドが中国、パキスタンとそれぞれ同時に対峙する事態もあり得ると指摘する。

(寄稿、インド北部レー=ビラル・フサイン)
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Nikkei Asia

【北京=羽田野主】中国もインドとの係争地でインフラ整備を進める構えだ。10月には陸上の国境地帯の管理を強化する「陸地国境法」を成立させた。中国側で交通や通信、監視、防衛などのためのインフラを建設できると明記。いかなる組織・個人も耐久性のある建築物を中国の許可なく設けてはならないと定めた。

国境警備に人民解放軍(中国軍)だけでなく、治安維持が担当の人民武装警察部隊(武警)や公安(警察)も動員できる。違法な越境者が暴力行為に及べば武器の使用が可能だ。国境付近で許可なくドローン(無人機)などを飛ばすことは禁じた。

インドを想定しているとみられるのが水資源を巡る保護規定だ。チベット自治区に水源があるブラマプトラ川はインドの貴重な水資源。同法に盛り込まれた「保護と合理的な利用」を理由に紛争時などに水量を制限する可能性を示唆している。』