米、インド太平洋で欧州に軍事支援強化 米仏首脳が声明

米、インド太平洋で欧州に軍事支援強化 米仏首脳が声明
軍拡の中国抑止狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN3000D0Q1A031C2000000/

『【ローマ=坂口幸裕、パリ=白石透冴】バイデン米大統領とフランスのマクロン大統領は29日、ローマ市内で会談した。会談後に公表した共同声明には、インド太平洋地域に軍の配備を拡大するフランスを含む欧州諸国の海空軍に、米国が支援を強化する方針を明記した。軍拡を続ける中国への抑止力を高めるため、米欧の関与を強める。

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共同声明では「米仏両国や世界の他の同盟国・パートナーと緊密に連携し、いまある脅威や新たな脅威に対抗していく」と掲げた。「インド太平洋地域での強固な協力関係の重要性を認識している。地域のパートナーとのさらなる対話や実践的な協力を支持する」とも記した。

そのうえで「フランスや他の欧州諸国がこの地域で空軍・海軍の配備を拡大するのに伴い、米国はこれらの配備への支援と物的貢献を拡大する」と強調した。

米仏がインド太平洋での協力関係を深める方針を確認したのは東シナ海や南シナ海で威圧的な行動を取る中国を抑止するためだ。「経済的、戦略的な問題」が地域で深刻化していると指摘し「ルールと法に基づく秩序を維持するために、力を合わせることが重要だ」と訴えた。

覇権主義的な中国の動きを受け、最近は日米だけでなく欧州の主要国もインド太平洋の安全保障に積極的に関わり始めた。仏軍は5月に初めて日本国内での日米合同防衛訓練に参加した。フランスは太平洋地域にニューカレドニアなどの領土を持ち、常駐基地もある。中国の動向は仏領の諸国にも影響が及びかねない。

ドイツ海軍も8月、日本やオーストラリアに向けてフリゲート艦を出航させた。10月初めには日米と英国、オランダ、カナダ、ニュージーランドの6カ国が台湾に近い沖縄県南西の海域で訓練した。米海軍の「ロナルド・レーガン」と「カール・ビンソン」、英海軍の「クイーン・エリザベス」の3隻の空母がそろって参加した。

米軍が欧州への軍事支援の強化に乗り出せば、日本の自衛隊が台湾防衛を含む地域への一段の貢献を求められる可能性がある。

米仏は戦略対話を立ち上げて防衛装備品の輸出や市場アクセスを巡る協議を始める方針でも一致した。両国の防衛産業の協調につながる可能性がある。豪州は潜水艦配備の協力国を仏から米英に切り替えて仏政府が猛反発した経緯があり、米国が配慮を示す狙いもあるとみられる。

米仏首脳はテロの懸念が強まるアフリカ・サハラ砂漠南部一帯「サヘル地域」についても連携を深めることで合意した。フランスは同地域での軍事作戦の縮小を発表し、米国もトランプ前政権時代に駐アフリカ軍の一部撤退を検討していた。

過激派組織の掃討作戦が人的、資金的に大きな負担を両国に強いるためで、どこまで実行性のある具体策を示せるかが課題になる。』