故人の妻、自宅に住む権利 子への「2次相続」で節税も

故人の妻、自宅に住む権利 子への「2次相続」で節税も
不動産相続の心得(中)妻が住む権利
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB208P60Q1A021C2000000/

 ※ 「配偶者居住権」の話しだ…。

 ※ 「2次相続で節税になる」という話しが、よく分からんかった…。

 ※ しかし、この記事読んで、大体分かった…。

 ※ 利用するためには、「登記」が必要になる点と、下の方に書いてある通り、税制上不利となる場合もあるんで、専門家(司法書士、税理士)によく相談した方が良さそうだな…。

 ※ まあ、そもそもが、「相続財産」の中に「時価数千万円もする不動産(土地)」が含まれているような場合の話しだが…。

『不動産の相続について話し合っている筧家のダイニングルーム。恵が「そういえば友達のおじいさんが最近亡くなったんだけど、おばあさんが自宅の所有権は持たずに住み続けるための仕組みを利用したらしいわ」と切り出した。

筧(かけい)家の家族構成
筧幸子(48)ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。
筧良男(52)機械メーカー勤務。家計や資産運用は基本的に妻任せ。
筧恵(25)娘。旅行会社に勤める社会人3年目。
筧満(15)息子。投資を勉強しながらジュニアNISAで運用中。

良男 わりと最近、法改正があって新しい仕組みができたんだったっけ?

幸子 「配偶者居住権」ね。相続法の改正で、2020年4月から始まった制度よ。故人の自宅をその配偶者と子などが相続するとき、自宅の評価額を配偶者が自宅に住み続ける居住権と、その居住権の価値を差し引いた所有権に分けて、配偶者と子がそれぞれ相続するの。

恵 うーん。わかりにくい。

幸子 具体例で説明した方がいいわね。

夫が亡くなって、妻と子1人が東京都内の評価額1億円の自宅と、預貯金4000万円を相続したとしましょう。

良男 東京だと1億円の自宅も珍しい話ではなさそうだね。

幸子 配偶者居住権は他人に売却できないから、当然ながら所有権と比べて評価額が低くなる。実際にいくらに設定するかは妻の年齢など条件によって変わってくるの。年齢が若い場合は長く住み続けられる可能性が高いから、居住権の評価額も高くなるわ。建物の築年数なども影響する。仮に居住権が4000万円とすると、1億円から4000万円を差し引いた6000万円が所有権の価値になって、これを子が相続する。預貯金は3000万円を妻が、1000万円を子が相続すれば、自宅と合わせて7000万円ずつ、ちょうど法定相続割合の2分の1ずつ相続することになる。

恵 どうしてそういう仕組みを作ったのかしら。

幸子 残された配偶者の生活を安定させることが目的なの。妻が自宅に住み続けるために自宅をまるごと相続し、すでに独立して自宅にいない子が預貯金を相続したら、今回のケースでは自宅だけで法定相続割合を大きく超えてしまう。預貯金をまったく相続できなければ生活に不安が残るわ。自宅の所有権と預貯金をそれぞれ半分ずつ相続する場合と比べても、居住権を設定した方が妻の受け取る預貯金は多くなるわね。

良男 預貯金を妻が全部相続して、自宅は子が相続する方法もあるんじゃない? 母親が自宅に住み続けることぐらい、子のほうだって認めるだろう。

幸子 故人が再婚していて、残された妻と、先妻との間の子が相続人になる場合があるわ。相続人同士が争う「争族」はよくあるし、配偶者が自宅に住み続ける権利を保障しながら生活を安定させるには、居住権の設定という仕組みが役に立つの。

良男 なるほど。離婚して再婚なんて考えたことがなかったからなあ。勉強になるね。

恵 考えてもらっても困るけど。そういうケースをあらかじめ想定して、遺言書に書いておくこともできるのかしら。

幸子 もちろん可能よ。ただし、制度が始まった20年4月以降の遺言書でないと効力がないわ。もしそれ以前に書いた遺言書で配偶者居住権に触れていたら、書き直す必要があるわね。

良男 相続税の扱いはどうなるのかな。

幸子 実は、節税にもつながりやすいのよ。残された配偶者が亡くなって、その遺産を子が相続する「2次相続」のときには、配偶者居住権は消滅するので相続税の対象にならないの。

恵 ちょっと待って。また頭が混乱してきたわ。

幸子 これも具体的な例で考えてみましょう。

自宅1億円を妻と子が相続するケースで、配偶者居住権を設定せずに半分ずつの共有で相続したとすると、妻が亡くなって2次相続するときには、自宅の評価額が変わっていなければ所有権2分の1の評価額5000万円が再び相続税の対象になるわよね。

良男 当然そうなるね。

幸子 ところが夫が亡くなったとき、つまり1次相続で配偶者居住権を4000万円設定した場合だと、妻が亡くなったときに居住権自体が消滅するの。あくまで配偶者が住み続ける権利だからね。すると、自宅の2次相続には相続税がかからないわけ。特に地価が高い都市部に広い自宅を持つ富裕層にとっては節税効果が大きくなりやすいわ。敷地面積330平方メートル以下の住宅などを対象に評価額が最大8割減になる「小規模宅地等の特例」が使えなくても、配偶者居住権は設定できるしね。

恵 それはたしかにお得ね。配偶者居住権は使わないと損ということ?

幸子 必ずしもそうとはいえないの。使うことを検討してみる価値はあるけど「注意すべき点もある」と指摘する専門家も多い。税理士法人レガートの代表社員で税理士の服部誠さんは「自宅を将来売却するつもりなら、居住権を設定するとトータルで税負担が増える場合がある」と話していた。

良男 税理士に相談した方がよさそうだね。

幸子 もともと自宅の評価額が低い場合や、配偶者が高齢のために居住権の評価額が低くなってしまう場合も、節税効果は薄くなるわ。それと、居住権をはっきりさせるためには登記の必要もあるから、司法書士に依頼することになる。もともと制度の趣旨は、あくまで配偶者の生活の安定が目的。専門家とよく相談して、使うかどうかは慎重に判断することが大切ね。

売却想定なら使わず

税理士 服部誠さん

配偶者居住権をうまく使えば相続税の負担を減らすことができますが、居住権を設定しないほうがよい場合もあるので注意が必要です。

第一に、1次相続と2次相続の両方で小規模宅地等の特例が使えるケースです。土地面積や居住実態などの条件を満たして特例が使えれば土地の評価額を8割減らせるので、配偶者居住権を設定するより相続税額が小さくなることもあります。

もう一つは、売却を予定している場合です。夫が亡くなった後、妻が自宅を売却して老人ホームなどの入居資金に充てることはよくありますが、居住権は売却できません。居住権付きの家を相続した子も、居住権付きでの売却は困難です。売却のため妻が生前に居住権を放棄すると、所有権を持つ子への贈与と見なされて贈与税がかかり、全体で負担増になります。

(聞き手は宮田佳幸)』