「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和三年(2021)10月29日(金曜日)

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)10月29日(金曜日)
通巻第7097号  <前日発行>
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 中露の蜜月は演出であり、戦略的パートナーシップは誇張がすぎる
  北極航路、宇宙でロシアの警戒心はむしろ強まっている
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 『ロシアと中国の「戦略的パートナーシップ」なるものは誇張されていると、パヴェル・K・バエフ(オスロ国際平和研究所上級研究員)が分析した(米ジェイムズタウン財団発行『チャイナ・ブリーフ』、2021年10月号)

 両国のパートナーは、その強力なプロパガンダマシンによって生成され誇張されたもので、たとえば習近平主席とウラジーミル・プーチン大統領とが8月25日に行った電話会談は、微妙な点で不一致なのである。

 中ロ関係は、国境紛争が解決した2005年以来、急速に高まった。
ウスリー島の中州には免税特区も作られ、両岸にはリゾートマンションが林立している。
ロシアは孤立を深めたために中国に接近せざるを得ないという状況があった。とくにクリミア併合とウクライナへの進行が西側の制裁を誘い、中露は2014年から「戦略的パートナーシップ」が開始された。

 ロシアは原油とガスを大量に中国に輸出している。中国からは日用品、食品、雑貨など夥しい生活必需品やスマホ、家電などである。
しかし北極航路をめぐっては、ロシアが「核心的利益」を主権し、地政学的見地から軍事的手段を考慮する。中国は欧州との通商航路が第一と主張しているが、ロシアの猜疑心は強い。

ロシアはインドと長年にわたって事実上の軍事同盟だったが、米国のアジア、太平洋シフトによってQUADが形成され、インドとの伝統的関係は弱体化した。
またAUKUSにより、豪が取得する原子力潜水艦は、中国の海軍能力の増強ぶりに比べても、ロシアにとって懸念が少ない。

ロシアにとって西側との関係は、じつは中国より重要なのである。

中露の二国間協力が有益な分野は宇宙探査である。

ロシアは、衛星を軌道に乗せ、宇宙ステーションを米国の衛星ステーションに供給する能力がある。猛追してきた中国は天東宇宙ステーションモジュールを打ち上げ、ロシアからの入力なしに稼働させるシステムを完成したようである。同時に中国のICBMの増強と拡充は、西側ばかりかロシアにとっても脅威という認識になる。

さらに中国は極超音速ミサイルの実験をなして西側の専門家を驚かせたが、ロシアが開発してきた技術との共有がない。中国の戦略能力の向上はNPT体制の破綻を意味している。

したがってNATOの旧東欧諸国を巻き込んだ強化と、ロシアに対する制裁強化がプーチンをして、北京に近づける可能性は低い。こうしたロシア欧州関係の焦点はウクライナとクリミアであり、中国はこの状況に関与する意図を示していない。

すなわち中露同盟は誇張されすぎであると、バエフは結語している。』

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