IMF、空前の70兆円配分 コロナ克服にどう活用

IMF、空前の70兆円配分 コロナ克服にどう活用
編集委員 西村博之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK197DZ0Z11C21A0000000/

 ※ どこまで行っても、しょせんは「基金(ファンド)」なんで、「金(カネ)を貸す」という話しになる…。

 ※ 『新規の配分は高所得国が全体の6割、中所得国が4割弱を占めたが、低所得国は3%の210億ドルにとどまった。』出資額に応じて配分されるんで、こういう比率になる…。

 ※ そもそも、その各国の「出資」の原資は、各国の国民の「税金」だ…。

 ※ 「途上国・貧困国に必要なのは、”融資”じゃ無くて、”贈与”だ!」…。

 ※ お説ごもっともだが、その”贈与”にお宅の国民は、賛同しているのか?

 ※ そういうことで、最後はどうしても、「ご融資で…。」ということになってしまう…。

『新型コロナウイルス禍の克服へ国際通貨基金(IMF)がこのほど配分した6500億ドル(約71兆円)相当の特別引き出し権(SDR)が波紋を広げている。焦点はこの空前の額の「国際仮想通貨」を途上国の支援にどう有効に使うかだ。先進国からSDRを融通する新基金などの案が示されたが、課題も多い。感染拡大や経済危機を防ぐ切り札になるか。

Nikkei Views
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SDRはIMF加盟国間の決済に使われる一種の仮想通貨で、IMFの決定を経て加盟国に配分される。ドルなど現実の通貨に交換でき、外貨が不足した国の資金調達の手段になる。

過去最大の「強力なカンフル剤」

IMFはリーマン・ショック後の2009年を含め過去に4度SDRを配分したが、今回の配分額は過去最大。コロナ禍を受けIMFがそれまでに決めた1000億ドル強の支援を大きくしのぎ、受け取る資金が国内総生産(GDP)の6%に達する国もある。

8月下旬に配分が行われた際、ゲオルギエバIMF専務理事は「未曽有の危機下にある世界経済にとって強力なカンフル剤だ」と期待を示した。

問題はSDRがIMFへの出資比率に応じ配分される点。米トランプ政権は出資額で3位の中国が多額の資金を使って途上国への影響力を強めると警戒しSDRの配分に反対した。バイデン政権は途上国支援を優先し方針転換したが、主要国ほどSDR配分で恩恵を受ける構図は変わらない。

新規の配分は高所得国が全体の6割、中所得国が4割弱を占めたが、低所得国は3%の210億ドルにとどまった。

途上国へのSDR融通に3案

先進国が受け取った使い道のないSDRを途上国に融通すれば配分の効果を高められる。そんな声が噴出し、IMFは具体策を探ってきた。

検討されている方法は3つ。第1は最貧困国向けに低利・長期の資金を貸す「貧困削減・成長トラスト(PRGT)」の規模拡大に使う案。第2は、IMFの新設する「強靱(きょうじん)性・持続可能性トラスト(RST)」を使う案。第3が世界銀行や地域の開発銀行などを通じてSDRを活用する案だ。

これらの枠組みに先進国がSDRを融通し、それを使って調達した資金を、困難に直面した国々の感染防止や経済の下支えに充てる構想だ。

途上国の「借金増」に懸念も

だが課題を指摘する声も相次ぐ。第1は資金が融資の形をとれば借り手の債務が膨らみ、先々の経済再生を難しくする、との声だ。米財務省で国際金融問題担当の副次官補だったマーク・ソベル氏は「低所得国に必要なのは贈与であり、借金増ではない」と言う。

もっともSDRは多くの国で外貨準備として扱われ、中央銀行の資産として計上される。国会で決めた援助資金などと違って贈与する場合の法律上の扱いが定かでなく、貸し出すほうが手続きが簡単だという実情もある。ここは途上国の負担を考慮した工夫が必要だ。

第2に資金の受け手に条件を課すべきか、との論点もある。IMFが融資の条件とする財政赤字の削減などは、むしろ借り手の経済の再生を遅らせたとの声もある。

新設するRSTでも融資に財政面などの条件を課す方向で、国際非政府組織(NGO)のオクスファムは「緊縮財政を求めれば貧困や格差の問題を悪化させるだけだ」とけん制している。

米カリフォルニア大学のアイケングリーン教授は寄稿で、融資条件の交渉は意見がぶつかり時間がかかるため多額の融資を迅速に実行できるかは疑問だと述べた。

代わりにコロナ対応に特化した基金を作ってごく有利な条件で融資し、資金がワクチンや医療品に適正に使われるかだけ監視する案を示す。

RSTは中長期の課題である気候変動への対応も掲げる。喫緊の課題であるコロナ禍への対応との食い違いは否めない。稼働も早くて22年末だ。

これを待つ余裕がない国も多い。チャドやボスニア・ヘルツェゴビナは100%、スリランカは85%……。外貨不足で医療品も買えずにいた国々は配分で手にしたSDRをすでに使い切りつつある。より迅速で柔軟な融通の仕組みを求める声が高まりそうだ。』