台湾問題「日米で中国抑止を」 富士山会合パネル討論

台湾問題「日米で中国抑止を」 富士山会合パネル討論
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『23日に都内で開催した国際問題を話し合う「富士山会合」(日本経済研究センター、日本国際問題研究所共催)で、台湾問題をテーマにしたパネル討論が開かれた。台湾への圧力を強める中国に対し、ダニエル・ラッセル元米国務次官補は日米両国で「(中国への)抑止力を高める必要がある」と強調した。他の参加者からは緊張緩和に向けて関係国を巻き込んだ議論の必要性を訴える声があがった。

ラッセル氏は中国の台湾侵攻が現実になれば日本も即座に巻き込まれると指摘。中国が台湾への軍事行動を起こせば、「高い代償を支払うことになることを認識させなければならない」と述べた。同時に中国政府を過度に刺激しないよう、米国をはじめとする国際社会が台湾を主権国家として承認することには慎重であるべきだとの認識を示した。

ザック・クーパー米アメリカン・エンタープライズ研究所上級研究員も「日米が持つノウハウを共有し、中国の軍事力に対処する能力を備えるべきだ」と訴えた。台湾周辺では複数の中国軍機が防空識別圏に侵入するなど、中国による軍事的な挑発が続いており、「台湾有事に備え、より突っ込んだ議論が必要」と強調した。

中国による台湾への武力行使については、米議会の公聴会でインド太平洋軍の司令官(当時)が「中国は6年以内に台湾を侵攻する可能性がある」と証言したことがある。河野克俊・前自衛隊統合幕僚長は「日本にも中距離ミサイルを配備し、日米で共同運用すべきだ」と語った。シーラ・スミス米外交問題評議会上級研究員は中国が「宇宙やサイバー空間でも作戦能力を備えている」として、日米がこうした分野にどう対処するのか考えるべきだと述べた。

台湾海峡の緊張が高まっているが、松田康博・東大教授は「中国が台湾を統一できるほどの能力は備えていない」と指摘。益尾知佐子・九州大准教授は「中国の指導者にとって好戦的な戦狼(せんろう)外交は国内向けのショーにすぎない」と話した。その上で、緊張緩和に向けた中国を含めた関係国の対話の必要性を強調した。

パネル討論の司会は佐橋亮・東大准教授が務めた。

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