中国抑止へ「日米豪印の協力重要に」 富士山会合

中国抑止へ「日米豪印の協力重要に」 富士山会合
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB226CS0S1A021C2000000/

『日米の政府関係者や有識者らが国際問題を話し合う第8回「富士山会合」(日本経済研究センター、日本国際問題研究所共催)が23日、都内で開催された。インド太平洋地域で一方的な現状変更を試みる中国の行動に対応するため、日米豪印といった同盟国・友好国の連携をより深化させる必要があるとの提言が多く出た。

茂木敏充外相がインド太平洋地域について「パワーバランスの変化が激しい地域」と評するなど、日米を取り巻く情勢変化を指摘する声が相次いだ。懸念の背景には威圧的な行為を通じて周辺国・地域との摩擦を高める中国の存在がある。

中国海警局の船は頻繁に沖縄県尖閣諸島周辺の接続水域に侵入する。南シナ海では領有権問題を巡りベトナムやフィリピンと争う。とりわけ緊迫度を増しているのが台湾情勢だ。
習近平(シー・ジンピン)国家主席は7月、中国共産党創立100周年記念式典での演説で「台湾統一は歴史的任務」と述べた。多くの中国軍機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入するなど、中国側の示威行為が続いている。

台湾をテーマにしたパネル討論では、ダニエル・ラッセル元米国務次官補が「中国側の意図はどうあれ、危機がエスカレートする可能性がある」と指摘した。当局者や有識者の間では、偶発的な事象が台湾有事に発展するとのシナリオが現実味を帯びつつある。

中国の膨張を食い止めるための一つの方策として挙がったのが、民主主義など価値観を共有する国々の連携強化だ。

ビデオメッセージを寄せた岸田文雄首相は日米同盟を「(日本の)外交・安全保障政策の基軸」と強調したうえで「バイデン大統領とともに『自由で開かれたインド太平洋』の具体化を戦略的に推進する」と述べた。日米豪印4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」が念頭にある。

クアッドは軍事同盟の位置づけではないが、4カ国は定期的に合同軍事演習も実施する。ランドール・シュライバー元米国防次官補も「インド洋における中国の潜水艦の配備状況をみるに、(クアッドの)4カ国の協力は非常に重要だ」と説明した。

経済面の取り組みも欠かせない。自民党の甘利明幹事長は講演で、経済安全保障の観点から「根幹技術は同盟国・同志国での共有にとどめるべきだ」と主張した。戦略物資の確保においても、中国と一定の「デカップリング(調達網の分断)」を図る必要性を訴えた。
もっとも、中国との協調余地や衝突回避の仕組み作りも同時に探るべきだという指摘も聞かれた。気候変動への対応やアフガニスタン問題など「(米中間の)協力案件は具体的に出てきている」(川島真・東大教授)。対話の積み重ねや協力分野の拡大が緊張緩和につながるかが今後の焦点になるとの見方があった。

バイデン氏と習氏は、オンライン形式ながら年内に初の首脳会議に臨む。中国による国際秩序への挑戦を抑え込みつつ、米中対立が最終的な衝突に至る事態をどう回避するか。新たな戦略や仕組みの構築が求められている。

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