次期駐日米大使、日本の防衛費増迫る 「同盟に不可欠」

次期駐日米大使、日本の防衛費増迫る 「同盟に不可欠」
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『【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領が次期駐日大使に指名したラーム・エマニュエル氏(61)は20日、上院外交委員会の公聴会に臨んだ。日本の防衛費増額は「同盟に不可欠だ」と表明した。軍事力の増強に動く中国への抑止力を高めるため、日本政府に防衛力強化の具体策を迫る狙いがある。

公聴会での主要テーマは中国への対処だった。日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」に触れ「(4カ国は)中国による戦略的、軍事的な脅威に直面している。地域における米国の経済、安全保障の利益の土台だ」と唱えた。

自民党が衆院選公約で、これまで国内総生産(GDP)比1%以内を目安としてきた防衛費を「2%以上も念頭に増額を目指す」と明記したことにも触れた。

エマニュエル氏は「1%から2%にしようとしているのは考え方が変わったからだ」との認識を示した。「日本がより大きな役割を果たすとともに大きな脅威にさらされていることを映している」と指摘し「日本の安全保障や我々の同盟に不可欠だ」と説いた。

岸田文雄首相は総裁選の期間中に「1%などの数字には縛られてはならない」と明言した。エマニュエル氏は「これは初めてのことだ。日米の友情とパートナーシップが転換点にある」とも語った。

一連の発言から読み取れるのは中国抑止につなげる自衛隊の役割拡大への米政府の期待だ。4月の日米首脳会談でまとめた共同声明には「日本は自らの防衛力を強化することを決意した」と記した。中国は急ピッチで軍備を増強しており、ミサイル対処や離島防衛など米軍との協力に欠かせない装備拡充が課題になる。

次期駐中国大使に指名されたニコラス・バーンズ元国務次官(65)も20日の公聴会に出席した。中国による台湾への軍事威圧などに触れ「脅しは不当であり止めなければならない。特に最近の台湾に対する行動は好ましくない」と話した。

エマニュエル氏は同盟国が結束する必要性を繰り返し、戦後最悪とされる日韓関係に苦言を呈した。慰安婦問題などを念頭に「20世紀の課題に21世紀のチャンスを奪われてはならない」と語り、現実の脅威に集中すべきだと促した。バイデン氏はかねて中国や北朝鮮に日米韓が協調して対処すべきだとの立場を取ってきた。

バイデン政権が「唯一の競争相手」と位置づける中国に地理的に近い同盟国の日本の戦略的価値は高まっている。元大統領首席補佐官などを歴任し、ホワイトハウスや議会にパイプを持つ「大物」を送り込もうとするのはその証左でもある。

「最優先事項は共通の課題に立ち向かい、この関係を深めていくことだ」。こう述べたエマニュエル氏。大使人事が上院で承認されれば、日本は難しい対応を迫られる場面が出てくる可能性もある。』