[FT]欧州の左派回帰は本物か

[FT]欧州の左派回帰は本物か
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 ※ 未曾有の「パンデミック」が突きつけたものは、日頃は覆い隠されていた、厳然とした「格差」の問題と、「政府は、守ってくれない…。」という陰鬱な事実だ…。

 ※ これに対する返答が、「自分の身は、自分で守れ!」と「しょせんは、自己責任…。」というものだったので、「怒り」は倍増した…。

 ※ それで、世界中で、雪崩を打って、「保守」を見限り、「社会主義的政策」そのソフトな言い換えの「リベラル」へと走る潮流が生じたように見える…。

 ※ そういう潮流の中で、日本国民はどういう「選択」をするのか…。

 ※ もうすぐ、「審判」は下される…。

『9月は欧州の社会民主主義政党にとって喜ばしい月だった。ドイツとノルウェーの国政選挙で、保守系の政権政党を破ったからだ。欧州大陸では長期にわたり社会民主主義政党が低迷し、中道右派の台頭を許してきた。今回の選挙で、近年のスペインやポルトガルに加え北欧すべての国で、そしてドイツでも政権を主導することになりそうだ。フランスなどでは今も不振が続くが、欧州の中道左派政党には久々に明るさが見えてきた。
9月の総選挙で勝利したショルツ氏率いるSPDは得票率が25.7%と前回より約5ポイント上がったが、長期的に見れば低水準だ=ロイター

復権したとはいえ以前の状況に戻ったわけではない。9月26日のドイツ連邦議会選では、ショルツ氏率いる中道左派のドイツ社会民主党(SPD)の得票率は25・7%だった。前回から約5ポイント上がり、SPD系のシンクタンク、フリードリヒ・エーベルト財団のカトリーナ・シュレーガー氏は「驚異的な結果」と評する。だが数字自体はSPDにとって誇れるものではない。多党化が進んだことが背景だ。英オックスフォード大学のタリク・アブシャディ教授は「選挙で1党が40%の得票率を得られる時代は終わった」と話す。

ノルウェーでは9月12~13日投票の議会選を受け、中道左派の労働党を率いるストーレ党首が首相に就いた。労働党は得票数が2017年の前回選挙を下回ったが(政権与党の中道右派連合の)票が過激な左派の環境政党や、地方を基盤とする中央党へ分散したことで、得票率ではトップだった。

同様の構図は他の北欧諸国でも見られる。デンマークでは社会民主党のフレデリクセン党首が19年の総選挙で首相に就任したが、同党の得票率は前回の15年より低かった。同国に先立つフィンランドの議会選では、第1党になった姉妹政党の社会民主党が中道右派の連立政権を倒したものの、得票率は党として過去2番目の低さだ。18年のスウェーデン議会選でも、ロベーン首相率いる社会民主労働党の得票率は過去100年余りで最低だった。
若者は環境政党やリベラル政党を支持

このように右派離れが進んでも、社会民主主義政党の支持基盤は拡大しなかった。多くの票が環境政党や極左、リベラル、地方基盤政党など連立を組む政党に取り込まれてしまったからだ。それでも、これらの国ではすべて社会民主主義政党が連立政権の最大与党となり、首相を輩出している。

そこに課題が生じる。その一つが社会民主主義政党の政権内での影響力だ。例えばノルウェーでは、政策が異なる3党による連立協議で中間に位置する労働党が主導権を握るはずだったが、左派社会党が離脱した。中央党との2党連立政権となり、中道右派と政策の共通点が多い中央党の主張に労働党が引っ張られるリスクが出ている。

ドイツに関しシュレーガー氏は、ショルツ氏が選挙で社会問題を取り上げたため保守系政党と極左の左派党からだけでなく、以前は棄権していた有権者の票も多数集めたと分析する。

長期的にはそれだけでは不十分だ。アブシャディ氏はSPDの支持層の高齢化を指摘する。ノルウェーもドイツも若年有権者は環境政党やリベラル政党を圧倒的に支持した。社会民主主義政党が若者を取り込めなければ、左派陣営で「最強の政党であり続けるのは難しい」と同氏はみる。

By Martin Sandbu

(2021年10月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

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