自民は国民政党なのか 保守化が生む民意との微妙なズレ

自民は国民政党なのか 保守化が生む民意との微妙なズレ
編集委員 大石格
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD14B4O0U1A011C2000000/

 ※ ちょっと、何を言っているのか、よく分からない…。

 ※ 日本国憲法の間接民主制下で、投票によって選出された「国会議員の数」こそが、最大の「民意」だろう…。

 ※ それ以外の「民意」が、あろうはずも無い…。

 ※ そもそも、国民の考え・思いと大きく「乖離(かいり)」していたら、「票」は取れないだろう…。

 ※ この人、「世論調査」の結果を、「民意」だとでも言いたいのか…。

 ※ 「世論調査」なんてものは、単なる「アンケート調査」に過ぎない…。調査対象が、「日本国民」かどうかすら、保証されているものじゃ無いんだ…。

 ※ もうすぐ、その「民意」が示される…。

 ※ 結果に不満があろうが、「天の声も、時には、変な声…。」として、一時(いっとき)受け入れて、服する他は無い…。

 ※ しかし、永遠の話しじゃ無い…。また、次の機会がある…。それまで、切磋琢磨し、政策を提案・議論し、現実解を探って行く…。

 ※ そういう営みを繰り返して行くのが、「民主主義」ってもんだろう…。

『自民党はどんな政党か。説明しようとすると、思いのほか簡単ではない。共産党や社民党のような明確なイデオロギーがあるわけではない。目指す国家像を所属議員に聞くと、「国民が安心して暮らせる豊かな国」といった説明が返ってくるが、「不安だらけの貧しい国」にしたい政党などありはしない。

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要するに、戦後の焼け跡から立ち上がり、欧米に追いつけ追い越せと走ってきた国民の生活向上への欲望を体現することで支持を得てきた政党なのだ。民意の実現を最重視する政治姿勢を印象づけるため、自民党は「国民政党」と称してきた。

ときどきの民意を巧みに取り入れることで1955年の結党からの66年のうち4年ほどを除き、政権与党の地位を占めてきた。民意の風向き次第で針路を大胆に右に左に動かす「振り子の論理」が機能した。長らく野党第1党だった社会党の主張を横取り的に取り込むこともよくあり、「日本は世界で最も成功した社会主義国」といわれることもあった。

2009年野党転落で保守化

その風読み政党が2009年の野党転落をきっかけに変化した。リベラル志向の民主党と差別化しないと、次の選挙を戦えない。そう判断し、候補者を大幅に入れ替え、保守色を鮮明にする戦略を採用した。イデオロギー政党化したのだ。

右傾化の代表例が、12年に作成した憲法改正草案である。05年に自民案を発表済みだったのに、わざわざつくり直した。基本的人権の条文のあちこちに「公益及び公の秩序に反しない限り」とただし書きを付けるなど、個人よりも国家に重きを置いた体系に置き換えるためだった。

中国の対外圧力の強まりなどもあり、日本の世論全体が右寄りになり、自民党の戦略は奏功した。12年以降の3回の衆院選、3回の参院選にいずれも勝利を収めた。

外交・安保政策で選ばれる自民

国際政治学者の三浦瑠麗氏は著書「日本の分断」(21年、文春新書)で、自身のシンクタンクが実施した「日本人価値観調査2019」に基づき、与党の支持層と野党の支持層で最も志向が異なるのは外交・安全保障分野であると指摘している。経済政策において、自民党の社会福祉政策に不満を抱いている有権者は少なくないが、立憲民主党の外交・安保政策に不安があるので、自民党に投票しているという分析だ。

各種の世論調査で、重視する政策は何かと問われると、「年金」「介護」「医療」という回答が多いにもかかわらず、実際には「経済に関する価値観よりも外交安保に関する価値観の方が投票に強く影響を与えている」という。つまり、野党が現実的な外交・安保政策を打ち出せば、与野党の差は縮まるということだ。

与野党の支持層で距離がある政策としては、原子力発電所を維持するのかどうかもそうだ。選挙で争点に据えやすい課題といえるが、裏返せば強調しても自党の支持者の支持固めには役立っても、他党の支持者を引きはがす効果はあまりない。

それよりも注目すべきは、日本人価値観調査で自民党支持層で否定的な回答が多かった設問である。例えば「日本は将来、核保有を目指すべきだ」などだ。自民党内にそうした主張がないわけではないが、現状において多数派ではないのは、票につながらないからだろう。

選択的夫婦別姓で民意とズレ

ほかには「夫婦別姓」も賛同は多くなかった。

こうしてみていくと、喫緊の課題は夫婦別姓だ。政府が20年末に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画において、第1次から第4次まであった「選択的夫婦別氏(姓)」について「必要な対応を進める」という表現が、「夫婦の氏(姓)に関する具体的な制度」の「さらなる検討を進める」に後退した。自民党内で激論があり、選択的夫婦別姓に反対する高市早苗氏らが推進派を抑え込んだ。

その高市氏が政調会長に就いて作成した今回の衆院選公約は、性的少数者(LGBT)への理解促進は掲げているが、選択的夫婦別姓には触れていない。

皇位継承も民意とズレが大きい。共同通信社の20年の世論調査によると、女性天皇の実現に85%、女系天皇に79%が賛成した。一方で自民党は旧宮家の男系男子の皇籍復帰を主張している。

岐路に立つ保守志向の維持

いまの自民党は12年以降に当選した国会議員が46%を占める。民主党政権の崩壊で、リベラル寄りの有権者が自民党支持に回帰しているにもかかわらず、自民党はなお保守志向を維持している。

やや古いデータではあるが、東京大学の谷口将紀教授は17年に朝日新聞との共同研究で、有権者と国会議員の政策志向を調査してグラフ化している。これをみても、自民党が多数を占める国会議員の志向は、民意よりもかなり右に位置しているのがよくわかる。
東京大学の谷口将紀教授は、有権者と国会議員の志向にズレがあると指摘する。グラフは右の山が議員の志向、左の山が有権者の志向を示している。横軸はゼロが中立で、プラス方向に行くと右傾化、マイナス方向に行くと左傾化を示す。縦軸は数値が大きくなるほど政策志向に合う人物が多い確率を示す。(東大・谷口教授と朝日新聞の共同研究から抜粋)

「自民党を再び国民政党として国民の皆さんに支えていただける政党に生まれ変わらせなければならない」

「聞く力」を掲げる岸田文雄首相は9月の自民党総裁選に勝利した直後、陣営の報告会でこう訴えた。自民党は国民政党でいくのか、イデオロギー政党でいくのか。岐路に立っている。

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