コロナ感染者、120カ国で減少 欧米中心に経済再始動

コロナ感染者、120カ国で減少 欧米中心に経済再始動
供給制約解消、なお時間
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『世界の新型コロナウイルスの新規感染者数が減少に転じ、感染力の強いデルタ型の猛威が和らいできた。感染者数が減少傾向にあるのは120カ国・地域に達し、デルタ型流行前の5月中旬以来の水準に戻った。個人消費は腰折れを回避し、欧米では小売りや外食が再び勢いづく兆しが出ている。東南アジアの工場停止に起因する製造業の供給制約解消にはなお時間がかかるとみられるが、デルタ型克服へ経済が再始動しつつある。

米ジョンズ・ホプキンス大によると、世界の新規感染者数(7日移動平均)は43万人と、8月のピークから4割弱減少した。2週間前と比較して感染者が減少傾向にある国の数は9月に増加傾向にある国の数を逆転し、足元では世界の3分の2近くに達した。

コロナワクチンの接種進展を背景に、先進国では春先からサービス業の景況感が大幅に改善した。その直後、デルタ型が急速に流行し、感染者が急増。各国はマスク着用の義務化など緩和した規制の再導入を迫られ、景況感の改善も急減速した。もっとも、重症患者数が抑制されているため、多くの国は厳しい規制には動かず感染症対策に配慮しながら慎重に消費活動の再開を促している。米国や英国は入国制限の緩和に動き始めた。

足元で再び拡大基調を取り戻しつつあるのが、消費関連などのサービス業だ。米グーグルがスマートフォン利用者の位置情報を分析したデータによると、欧米の主要都市では「小売り・娯楽施設」への人出の回復が続いている。フランスのパリでは10月初旬の人出がコロナ前の水準の8割近くまで戻った。レストラン予約サイト「オープンテーブル」によると、英国のレストランの予約数は2019年を2割近く上回っている。

国際民間航空機関(ICAO)によると、国際空港の出発便数はコロナ前の19年10月と比べて、渡航制限緩和の進む欧州と北米では6割まで回復している。厳しい往来制限を続けている国が多いアジアでは依然としてコロナ前の2割にとどまるものの、国際往来の正常化に道が開けつつある。

製造業は世界的なサプライチェーン(供給網)の制約などを受けて回復に頭打ち感が出ており、解消にはなお時間がかかりそうだ。もっとも、供給制約の主因となった東南アジアでは感染の一服で改善の兆しが出ている。東南アジア諸国連合(ASEAN)の製造業購買担当者景気指数(PMI)は半導体工場の生産中止などを受けて、7~8月に44台に落ち込んだ。9月は景気拡大・縮小の節目となる50まで回復し、最悪期を脱しつつある。

ベトナムのホーチミン市では今月から、都市封鎖(ロックダウン)の終了に伴い、工場の規制が緩和された。労働者が自宅から工場に通うことができるようになり、義務付けられているコロナ検査も「回数が大幅に減少した」(工業団地関係者)。物流の混乱は続いているものの、工場の稼働は段階的に正常化に向かうとみられている。

「世界的な需要の増加に対応するため、多くの半導体関連企業は既にフル稼働に戻っている」。マレーシア半導体産業協会のウォン・シューハイ会長は生産活動の回復に胸を張る。政府は従業員の接種率が8割を超える工場にはフル稼働を認めており、経済活動の再開が急ピッチで進んでいる。マレーシアの8月の輸出額は石油、化学製品などがけん引し、955億リンギ(約2兆5300億円)と前年同月比18%増加した。

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