中国は静観、米の貿易協議再開方針 TPPで揺さぶり

中国は静観、米の貿易協議再開方針 TPPで揺さぶり
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0527V0V01C21A0000000/

『【北京=川手伊織、ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権が中国と貿易交渉を再開する方針を表明したことを巡り、中国は静観している。半導体の対中輸出規制の行方など米国の出方を見極めるためだ。米国不在の環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟を正式申請するなど、米国への揺さぶりも見せる。

米通商代表部(USTR)のタイ代表は4日の演説で、数日以内に中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相と電話で協議する方針を明らかにした。

タイ氏は「中国は国家主導の経済制度を強化している。有意義な改革をやるつもりがないのは一段と明らかだ」と批判した。一方で「直接対話以外に(懸念に)対処できる方法があるとは思えない」と語り、まずは対話で臨む姿勢を示した。

中国は国営新華社が5日午前にタイ氏の演説を伝えたのみで、政府は今のところ反応していない。1日から国慶節(建国記念日)を祝う大型連休に入っていることに加え、米国側の意向を見極めたいとの考えも透ける。

バイデン政権も青写真を描いているわけではない。米政府高官は「中国があっさりと変化するとは考えていない」と述べ、最初から期待値を下げている。「中国がどう反応するかを見て、我々の対応も修正する」と手探りだ。

米中貿易協議の第1段階合意は中国がモノやサービスの輸入を2000億ドル(約22兆円)増やす条項のほかに、知的財産の保護や金融市場の開放、技術移転の強制防止など7分野で構成する。

USTRの分析によると、第1段階合意は「特定の分野は約束が守られ、企業の利益も出ているが、不足している分野もある」(タイ氏)。具体的な分析結果は公表しないが、交渉の場で米中の意見の隔たりが浮き彫りになれば妥結は難しくなる。

中国は対米協議とは別に、TPP加盟に積極姿勢を示す。9月16日に正式に加盟を申請した。国有企業優遇の是正をはじめ、中国がTPPの要求水準を満たすのは容易ではない。それでも申請を急いだのはTPPに背を向ける米国を揺さぶるという意味合いが大きい。

「TPPには安全保障を理由にした例外規定がある」。中国の専門家には、例外規定を多用すれば改革をしなくても加盟できるとの論調も多い。中国商務省の束珏婷報道官も30日の記者会見で例外規定の積極活用について見解を問われると「さらなる情報があれば速やかに公表する」と言及を避け、否定しなかった。ハイレベルの貿易投資協定を骨抜きにしようという思惑も見え隠れする。』