岸田政権に「開成高」人脈

岸田政権に「開成高」人脈 首相秘書官に嶋田元経産次官
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『自民党総裁になった岸田文雄氏が首相に就任した場合、どのような人が政権運営を支えるのか。政策づくりなどのブレーンになる可能性がある人脈を探った。母校である日本有数の進学校、私立開成高校(東京・荒川)出身者や、自身の派閥の側近議員の名が浮上する。

同校出身者は中央官庁や国会議員に多い。首相経験者はいない。OBからは岸田氏への首相待望論があった。2017年、同校出身の議員と官僚の計600人ほどで同窓会「永霞会」が発足し、岸田氏が会長に就いた。有力な人脈といえる。

最も近くで支えるのも同校OBになる。19年まで経済産業省の次官だった嶋田隆氏を政務の首相秘書官に起用する。次官経験者が秘書官になるのは極めて異例だ。

嶋田氏は安倍晋三前首相の秘書官だった今井尚哉氏と入省同期。安倍政権で官邸主導の中枢を担った同氏と重ね、経済官庁から「嶋田氏がキーパーソン」との声があがる。

岸田氏の義弟の可部哲生氏は7月まで国税庁長官だった。財務省で理財局長、総括審議官も経験した。岸田派幹部は「可部氏が節目節目で助言するだろう」と語る。

議員では自身が率いる岸田派に側近がいる。総裁選で訴えた「新しい日本型の資本主義」などの政策づくりは派閥事務局長で当選4回の木原誠二、同3回の村井英樹両氏が関与した。木原氏は官房副長官になる。

両氏は財務省出身で政策に詳しい。総裁選の討論会やインタビューの際は想定問答をつくり岸田氏と準備した。総裁選を争った河野太郎、高市早苗両氏の著書も2人が読み込み対策を練った。

岸田派の小野寺五典元防衛相は安全保障で進言してきた。岸田氏が今年発信した「敵基地攻撃能力の保有検討」は小野寺氏が理屈づけをした。

幹事長の甘利明氏からは経済安保政策で意見を聞いてきた。政調会長の時は甘利氏を座長に経済安保政策を検討する本部を設置した。総裁選で経済安保の閣僚ポストを新設すると掲げたのも同氏のアドバイスとみられる。

岸田氏は安倍政権で4年7カ月の外相経験がある。国家安全保障局長の秋葉剛男氏は岸田外相時代に外務審議官や総合外交政策局長を歴任し、信頼も厚い。

当時、米国務長官だったケリー氏はいまのバイデン政権で気候変動問題担当の大統領特使だ。16年にオバマ米大統領が岸田氏の地元の広島を訪問した背景にはケリー氏との信頼関係もあった。

ジョンソン英首相も交渉相手だった。岸田氏は9月「ジョンソン氏と気は合った」と明かした。ホテルのバーで外相会談を実施して「大変盛り上がった」と話した。

英国はインド太平洋への関与を打ち出しており、対中国でこれまで以上に日本も連携が必要になる。同氏との人脈が生きる可能性がある。

昨年の総裁選で岸田氏は目指す国家像を問われ「論語と算盤(そろばん)」と答えた。実業家の渋沢栄一氏の著書だ。自身が会長の議員連盟に渋沢氏のやしゃご、渋沢健・コモンズ投信会長を招き交流を重ねた。

成長戦略で重視する科学技術を巡っては、外相時代に初の科学技術顧問を置いた。岸輝雄東大名誉教授を任命した。この実績を踏まえ、総裁選では「全省庁に科学技術顧問を創設する」と表明した。

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