アフガン強権体制強まる 民主憲法停止や土地収奪

アフガン強権体制強まる 民主憲法停止や土地収奪
米軍撤収から1カ月
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB306RZ0Q1A930C2000000/

『【ニューデリー=馬場燃】米軍がアフガニスタンから撤収して30日で1カ月が過ぎ、イスラム主義組織タリバンによる強権的な政治体制が強まっている。男女平等を定めていた旧アフガン政府下での民主制の憲法を停止したほか、一部の地域で市民が住んでいた土地や家を収奪する動きが出ている。

タリバンの暫定政権は28日、旧アフガン政府の憲法を停止し、1973年まで続いていた王政時代の憲法を復活させる方針を示した。当時の憲法は国王を国家の最高権威と位置づけていた。タリバンの最高指導者アクンザダ師に強い権力を与えるための措置との向きがあり、新しい憲法を定めるまで適用する。女性の就業や教育などを制限する恐れがある。

「タリバンはここは我々の土地だと主張し、約700の家族が強制的な移動を強いられた」。アフガン中部ダイクンディ州ではタリバンが市民の土地や家を突然収奪した。市民によると、約3000の家族に影響が広がる可能性があるという。タリバンはアフガンの農村地域でも小麦など農作物の収量の一部を農家から強奪し始めている。

過激なイスラム原理主義思想に基づき、これまでの市民の自由な生活スタイルを抑え込む措置も講じている。

アフガンメディアによると、男性はイスラム法に反するとの観点から理髪店でのひげそりや西洋風の散髪が禁じられた。女性は一部の地域でスマートフォンの所有を禁じられたほか、男性や家族の同行なしに外出を認めないとしている。外出の際は頭部を覆うスカーフ「ヒジャブ」の厳格な着用も義務づけられた。

タリバンは女性の権利や市民の安全を保証すると当初主張していたが、暫定政権は強圧的な姿勢を強めている。国際社会はタリバンを国家として認めることになお慎重で、政権運営の行方は不透明感が漂う。

インドやパキスタンなど8カ国が参加する南アジア地域協力連合(SAARC)は25日に予定していた会議を中止した。印メディアによるとパキスタンがタリバンをアフガンの代表として参加させるよう主張したが、ほかの参加国が拒否して会議をとりやめた。』