[FT]西アフリカにロシアから傭兵か 仏軍撤収の穴埋める

[FT]西アフリカにロシアから傭兵か 仏軍撤収の穴埋める
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『西アフリカ、コートジボワールのワタラ大統領は、隣国マリがイスラム過激派との戦闘でロシアの民間軍事会社ワグネルと契約すれば、この地域の国々にとっての「自殺行為」となり、それは「越えてはならない一線だ」と述べた。

コートジボワールのワタラ大統領(左)と話すフランスのマクロン大統領(5月、パリの国際会議)=ロイター

5月のクーデターで全権を掌握したマリの軍事政権は、フランスが反体制勢力の制圧で協力を放棄したと批判し、「ほかのパートナーを探す」権利があると主張する。

マクロン仏大統領は7月、サハラ砂漠南部のサヘル地域でイスラム過激派を掃討する「バルハン作戦」で派遣する兵士を2500人に半減させ、司令部をマリから同国の隣のニジェールに移す計画を発表した。

ロシアのラブロフ外相は9月25日、マリ政府が「外部からの支援なしで(イスラム過激派に)十分には対応できない」と考え、ロシアの複数の民間軍事会社に協力を求めたと明かした。マリは近く、ロシアから1000人の傭兵を迎え入れる見通しだと報じられているが、ロシア政府はこの契約への関与を否定している。

ワタラ氏はコートジボワールの憲法の規定に反し、2020年11月から大統領として3期目に入った。同氏は取材に対し、マリ政府がワグネルと契約する場合、強まるテロの脅威に対抗するため力を合わせることはできないと明言した。

ワタラ氏は「まずフランスが部隊を撤収させる。ドイツも同じ意向を示している。国連もミヌスマ(1万5000人規模の平和維持軍)を解散させるに違いない」と説明した。「その場合、マリはどうするのか。単独で戦うことはできない」

マリの軍事政権、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」と契約へ
ワグネルについては「民兵組織だ。連中がシリアや(ウクライナ東部の)ドンバス、中央アフリカで何をしたのか明らかだ」と言い切った。

国連調査団は、ワグネルが派遣した傭兵が中央アフリカで残虐行為に関わったと指摘する。18年にはシリアで、ワグネルの要員が米軍への攻撃に加わったとみられている。 

マリのマイガ首相はニューヨークの国連総会で演説した際、フランスによる駐留部隊の縮小決定を批判した。

「バルハン作戦が終われば事情が変わり、マリは既成事実の受け入れを迫られる」とマイガ氏は演説で語った。「そのため自国だけで、あるいはほかのパートナーとともに、安全保障を強める方法を探る必要がある」と指摘した。 

パルリ仏国防相は、フランスがマリを見捨てたという見方を否定する。「サヘル地域には数千人の兵士や真新しい戦車を派遣している。それは撤収を模索する国の態度ではない」というわけだ。

コートジボワール大統領「西アフリカの安全保障は自力で」

コートジボワールのワタラ氏は、フランスの駐留部隊縮小の決断に理解を示す。フランスは13年、マリ北部からイスラム過激派を排除するため軍事介入を始め、その後も同国に部隊を駐留させてきた。

フランスは軍事作戦の軸をニジェールに移す考えだ。ニジェールでは隣国のブルキナファソとともに、大きなテロが起きるリスクが高まっている。 

フランス軍はイスラム過激派対策でマリに部隊を駐留させてきた(2017年、マリの基地)=ロイター

ワタラ氏は「(フランスが)私たちのお願いした通りに行動した」と語った。「自国の安全保障をいつまでも外国の軍隊に頼るべきではない」という考えを表明した。

マリだけでなく、テロリストの標的である西アフリカ諸国が兵士を募り、訓練し、軍備を整え始めるべきだとワタラ氏は主張する。「私は1年前に『フランスが遅かれ早かれ撤収するのは明らかだ』とこうした国々に伝えていた」と語った。西アフリカ諸国は国境管理がほとんどできていないのが実情で、テロ組織の脅威に対抗するには国家間の協力を一段と緊密にしなければならないと述べた。

ワタラ氏は、コートジボワール北部の国境地帯が度重なる攻撃にさらされたため、防衛体制を強化したことも明らかにした。20年6月には、ブルキナファソとの国境に近い(北部の)カフォロでコートジボワールの兵士が14人、殺害された。

「部隊の増員、装備の拡充、兵士の待遇改善、(マリやブルキナファソと接する北部の)国境への人員配置などあらゆる面で、できることを全て試している」

ワタラ氏は20年の前回のコートジボワール大統領選でいったん、後継候補を擁立したが、投票日の前にその候補が死亡した。そこため3選出馬に踏み切ったが、批判を浴びた。(同様に)西アフリカ諸国では指導者たちが地位にしがみつき、クーデターが起きやすくなっている。こうした状況で、地域が不安定になっている現状をワタラ氏は懸念する。9月にはギニアで、20年の大統領選を前に連続3選を可能にする憲法改正に踏み切ったコンデ大統領(当時)が、軍部によって追放された。

ワタラ氏は、コンデ氏に問題があったと認める一方、あらゆるクーデターを非難すると述べ、民主主義が速やかに、この地域に再び広がる必要があると強調した。西アフリカ諸国の首脳陣はマリの軍高官に対し、22年2月までに選挙を実施し、軍事政権を終わらせるよう求めているとも明かした。ワタラ氏は「その点で譲歩する用意はない」と言明した。「(マリの軍事政権が)応じなければ、私たちが(マリへの)制裁を強めるまでだ」

By David Pilling

(2021年9月30日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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