幹事長や政調会長…自民党の要職、その役割は何か

幹事長や政調会長…自民党の要職、その役割は何か

広報本部長は「大物」河野氏起用
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA30DZB0Q1A930C2000000/

『自民党は1日午後、臨時総務会を開き、新たな党執行部を決めた。幹事長に甘利明、総務会長に福田達夫、政調会長に高市早苗の3氏が就任した。党執行部人事を3つのポイントから読み解く。

・幹事長はそんなに力があるのか
・そもそも政調会長とはどんな仕事をするのか
・河野太郎氏が就く広報本部長とは何か

(1)幹事長はそんなに力があるのか

幹事長に就く甘利氏

幹事長という名称自体、一般の会社のポストとしてはなじみがあるとはいえない。自民党では総裁に次ぐポストなので、会社に置き換えれば、ナンバー2の副社長などに相当する。総裁(首相)が首相官邸に常駐して公務にあたるため、党務を総裁に代行して取り仕切る役割だ。

力の源泉は、選挙(人事)、おカネ、政策の3つになる。選挙は公認するかどうかの人事権からどの選挙区を重点選挙区にして資金を手厚く配分するかの判断もする。その際の資金は政党交付金などが原資となる。

総務省が4月に決定した2021年分の自民党に配分する政党交付金は170億2163万円だ。これが党運営全体に使われ、その差配をする。

人事とおカネを握るため、政策にも影響を与えることができる。20年7月、自民党の外交部会が中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の国賓来日を中止するよう求める決議をした際の顚末(てんまつ)は典型だ。原案の「中止を要請する」から「中止を要請せざるを得ない」に弱まったのは、二階俊博氏が「外交部会長か何部会長か知らんが、そう軽々に判断すべきものじゃない」とすごんだのが一因だった。

(2)そもそも政調会長とはどんな仕事をするのか

政調会長になる高市氏

この政調会長も永田町独特の呼び名だ。正式名は政務調査会長。会社に当てはめると経営計画づくりなど社長を補佐する経営企画の部署の役割に近い。政調会長はその担当役員と重ね合わせることができる。外交・安全保障から経済財政、通商、エネルギー、教育など政策のすべてにわたる党の最高責任者であり、党の命運をかける選挙の公約づくりを担う。

政調会長のもとには政策テーマごとに分かれた部会がある。部会ごとにまとめた要望は毎年度の予算案に反映される。いわゆる族議員と称される議員は、自らの専門とする政策を部会や各府省庁のポストを歩みながら深め、その分野の専門家と目されるようになる。

古くは田中角栄氏が池田勇人政権で政調会長に抜てきされ、出世街道にのったのは有名だ。岸田文雄氏は政調会長時代、お世辞にも政策づくりで目立っていたとは言えない。半面、総裁選の公約で掲げた党役員の任期を「1期1年、3期まで」という政策は、政調会長として党全体を見渡す経験も生かされた。下村博文氏は総裁選に出馬するか否かで話題になったものの、政策づくりでの印象は乏しかった。

(3)河野太郎氏が就く広報本部長とは何か

広報本部長に起用する河野氏

SNS(交流サイト)での発信など自民党がここ数年、打ち出してきたのが広報体制の強化だ。会社の広報部門と同じく組織の宣伝と理念・政策の浸透が目的だ。機関紙「自由民主」は毎週火曜日に発行し、「自由民主」の電子版は毎週木曜日に更新している。女性ならではのしなやかな発想を取り入れたとうたう月刊誌「りぶる」なども出している。

副総裁を含めて党八役と言う場合、この広報本部長も入る。河野氏の前任は有村治子参院議員。広報体制の強化という文脈で言うと河野氏という大物の配置は、その線に沿っているが、党内では要職起用の見送りに主眼があるとみられている。

党四役は幹事長、総務会長、政調会長に選挙対策委員長が加わる。時代は変わっても重みがあるのは、党三役だ。幹事長に次ぐポストである総務会長は、自民党の最高意思決定機関の総務会を取り仕切る。党として重要な政策方針などを決定する際、ここで了承を得なければならない。

かつては総務会が政局の起点となる場合があり、総務会長にはその後、首相になった鈴木善幸氏など重鎮が就任するケースが多かった。一方で第2次安倍政権以降「安倍1強」と評されたように、党側のプレゼンスは下がった。今回、当選3回の福田達夫氏が抜てきされたのは、そんな官邸と党の力関係の変遷とも無縁ではないかもしれない。

(政治部長 吉野直也)

【関連記事】
・自民新執行部が発足 財務相に鈴木俊一氏起用へ
・自民新執行部が始動、財務相は鈴木氏 岸田人事を追う
・岸田氏、派閥との調整優先 正式決定総裁選の2日後に 』