「岸田文雄・新総裁」誕生へ、その3つの勝因とは

「岸田文雄・新総裁」誕生へ、その3つの勝因とは
https://diamond.jp/articles/-/283313

『大混戦となった自民党総裁選挙

 自民党総裁選挙が本日、投開票となります。

宮崎謙介
宮崎謙介氏

 きっと業界の界隈で「次期総裁は岸田文雄氏だ」と誰よりも早くから言い切っていたのは私ではないでしょうか。政治ジャーナリストの田崎史郎氏や他のコメンテーターの方々でも明言されていませんでしたが、ようやく終盤になって、「岸田じゃないか?」とつぶやく声が増えてきました。

 この記事を書いているのは総裁選挙の投開票前ですが、新総裁は岸田氏で確定でしょう。未来の田崎史郎氏を目指し、岸田氏の勝因を分析したいと思います。

 今回の総裁選挙は、大混戦でした。近年まれに見る盛り上がりだったのではないでしょうか。そして、政策論争が極めてきちんと行われました。これはコロナの影響です。

 従来の総裁選挙では、候補者が全国行脚をして街宣車の上で順番にマイクを持って10分くらい演説をするという光景が見られました。』

『ですが、コロナ禍でそれができない分、オンラインを通しての意見交換や討論会が多く開かれていたため、従来のような「10分の演説だけ逃げ切れば勝ち!」というようなものではなく、とことん深掘って細かい政策まで言及することになりました。テレビや新聞やネット記事を読んで政治に詳しくなった若者も増えたのではないでしょうか。

 さあ、その混線だった総裁選を勝ち抜くとみられる岸田氏は何が違ったのか。勝因を分析すると、3つのことが挙げられると思います。

岸田陣営を支えた3人のブレーン

 一つ目はなんといっても「反二階勢力の取り込み」に成功したことです。絶大な権力と存在感を持っている二階俊博幹事長に切り込むことで、菅義偉総裁陣営の出ばなをくじいたところから岸田氏の今回の戦いは始まっていました。

 これは先日の記事(「次期自民党総裁は岸田文雄氏」と言い切れる理由、宮崎謙介元議員が解説)でも書きましたが、永田町に激震が走りました。「岸田さん、気合入ってるな」という声をよく耳にしました。そこで菅首相の出馬を断念へと導き、大混戦の土俵を作り出し、最後の最後まで、二階陣営を敵に回しながらも、反二階勢力を取り込むことに成功したのです。

 二つ目はブレーンの若返りです。今回の総裁選での岸田陣営の最側近は、若き優秀な政治家である木原誠二氏、村井英樹氏、小林史明氏の3人です。

 村井氏と小林氏は私の当選同期でもあり、よく知っています。小林氏はイケメンなことはさておき、河野太郎ワクチン担当相の右腕としても大活躍しており、その分、今回の総裁選挙では村井氏が大きく貢献していたとのことです。

 村井氏は東大、財務省、ハーバード大学大学院の経歴で文句なしの天才です。その財務省時代の採用担当だったのが木原誠二氏です。木原氏と村井氏はともに財務省出身のスーパーエリートです。』

『木原氏は私の議員時代の先輩でもありますが、兄貴肌で後輩思いのアツい方です。議員ではなくなった私をご自身の誕生会に呼んでくださったときにはグッときました。

 話がそれましたが、岸田氏は、こうした優秀な若手たちに政策を練らせて、前回の総裁選からずっと地道に準備をしてきました。だからこそ、今回の岸田氏にはどこか新しい風が感じられたのです。

 個人的に特にすごいと思ったのは「中間層の底上げ」を明言した経済政策です。

 たとえば、賃金が公的に決まるにもかかわらず仕事内容に比べて報酬が十分ではない看護師、介護士、保育士などの賃金を引き上げるために「公的価格評価検討委員会(仮称)」を設置して公的価格を見直すなど、経済政策の中身も非常に具体的でした。

 これは「Japan as No.1」と言われた1980年代頃の日本を思い出させます。当時の日本経済の強みはどこにあったのかというと、分厚い中間層です。

 岸田陣営はどこを強くすれば日本が再びよみがえるのかということを分析し、きちんと絵を描けていると、個人的に感じられました。

河野対策より高市対策が奏功

 そして三つ目として挙げられるのは総裁選挙のシナリオです。選挙戦を戦っている中で、岸田陣営はまず、決選投票に持ち込めるかということを入念に調べていました。

 そして、野田聖子氏が出馬することが決まった瞬間から決選投票のシナリオは濃厚だと想定されていたことは間違いなく、熾烈(しれつ)な2位争いが繰り広げられてきました。

 高市早苗氏との戦いが実際の岸田総裁誕生へ向けてのカギとなることを早期から考えていたからこそ、岸田陣営は後半に向けて河野対策よりも高市対策に力を入れていました。』

『そして最終的に河野氏と高市氏が正反対のような政策を打ち出してくれたおかげで、決選投票となれば、高市票が岸田氏へと流れることになるのです。

 派閥力学の及ばなかった今回の総裁選挙は、基本的に「人間関係」と「政策」の2つで決まることになるでしょう。

 総裁選挙の1回目の投票で自分たちの「推し」が落選してしまった陣営の票は、決選投票において、もちろん人間関係の近い候補者を支持することはあり得ますが、政策的により近い候補者に流れていくでしょう。つまり、高市陣営は河野陣営と考え方がかなり対極にありますので、高市陣営が岸田氏へと流れることになるのです。

 これらの3つが岸田氏勝利の要因です。

 いずれにせよここからは衆院選に突入です。

 今回の衆院選はこの総裁選フィーバーの熱が冷めないうちに行われ、結果として自民党が大勝するだろうと予想しています。

 さらには来年夏の参議院選挙もありますが、安全運転の岸田内閣は参議院選挙も乗り切ることでしょう。

 総裁選挙で見せた新しい岸田氏による政権運営の手腕に期待したいと思います。

(元衆議院議員 宮崎謙介)』