[FT]潜水艦契約を破棄された仏社、豪に「違約金」請求へ

[FT]潜水艦契約を破棄された仏社、豪に「違約金」請求へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2739D0X20C21A9000000/

 ※ こういう問題に加えて、英米法vs.大陸法の法体系の違いの問題も、あるんだぜ…。

 ※ まず、裁判となった場合には、「どこの裁判所が管轄か」という問題が発生するだろう…(たいがい、契約書で「管轄裁判所」を取り決めている)。

 ※ まあ、双方に、山ほど「渉外法律事務所の渉外弁護士」が付いているんだろうがな…。

 ※ 契約書に、どの程度詰めて「記載してあるのか」も、問題だ…。

 ※「記載が無い場合」、英米法の法体系では、お得意の「コモンロー」の出番となる…。
 ※ たとえ、「記載があっても」、「解釈が曖昧(双方で、見解が分かれる)」場合も、「コモンロー」の出番となる…。

 ※ おそらく、そこいら辺も、「契約書」である程度は、取り決めているハズだ…。

『インド太平洋地域での米英豪による新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」を巡る外交問題の渦中に立たされたフランスの軍事企業が、900億豪ドル(約7兆3000億円)の潜水艦建造契約を破棄したオーストラリアから多額の費用を取り戻すと明言した。
フランス北部にあるナバル・グループの拠点=ロイター

「我々の権利と全ての費用を守る。こちらで発生したあらゆる費用、撤収に伴うあらゆる費用だ」と、仏ナバル・グループのピエールエリック・ポムレ最高経営責任者(CEO)はフィナンシャル・タイムズ(FT)紙に語った。

フランスの当局者や経済界は、オーストラリア政府がディーゼル潜水艦12隻の発注を取り消したのはナバルに落ち度があったのではなく、戦略上の理由から英国も加わった合意で米国から原子力潜水艦を購入することを決めたのだから、これまでにかかった費用と豪南部アデレードで潜水艦を建造するための大掛かりな設計・エンジニアリング業務の中止に伴う費用を払い戻さなければならないと受け止めている。

ポムレ氏によると、仏政府が過半数の株式を保有し、仏電子機器大手タレスが35%を出資するナバルは、既にキャンセル前の段階でプロジェクトへの投資として8億4000万ユーロ(約1100億円)の支払いを受けていた。潜水艦の戦闘システムを手掛けることになっていた米ロッキード・マーチンなど他の納入企業の費用も含めると、豪政府は幻に終わったプロジェクトにその倍近い金額を支出していたはずだ。

豪州は、フランスとの契約の違約条項に基づく支払いもしなければならないかもしれない。ポムレ氏は契約に違約条項が盛り込まれているか明らかにしなかったが、豪公共放送のオーストラリア放送協会(ABC)が以前、2019年2月に署名された戦略パートナー協定の内容の一部分を入手した。それによると、ナバルが基本設計を提出した後にキャンセルした場合、豪州は9000万ユーロの「違約金」を支払うと定められている。細部の設計まで示された後の違約金は2億5000万ユーロだが、その段階には至っていなかった。

年間売上高の10%失う
最終的に全ての費用がカバーされるとしても、ナバルは旗艦プロジェクトの取りやめで大打撃を受けている。今後何年にもわたり、年平均で売上高の10%に当たる約5億ユーロをもたらすはずだったとポムレ氏は話した。「売り上げの10%を失うのは大きい」

一方、タレスはナバルの大株主であると同時に、潜水艦建造で同社としてもロッキード・マーチンにサブシステムを納入する契約を交わしていたが、中止で直ちに打撃を受けるわけではなく、21年の業績予想への影響はないと火消しに動いている。

タレスは潜水艦建造計画で3000万ユーロの受注をしていただけだが、一部のアナリストの推計によると、契約で今後最大10億ユーロを稼げる立場にあった。契約破棄のあおりで、近年は同社の重要な市場となっている豪州の政府との関係に広く影響が生じる恐れがあると指摘するアナリストもいる。

ナバルにとっては、一つのプロジェクトであるだけでなく「企業としての転換」と「フランスにとっての転換」を意味した利幅の大きいハイテク契約が突然「重大な危機」に一変し、会社は他の分野で別の顧客との事業拡大でそこから脱出しなければならなくなったとポムレ氏は語った。

豪州のモリソン首相がAUKUSに関する情報を信頼の置ける少数の側近グループだけで保持していたことから、21年に入っても契約交渉の相手側は事情を知らなかったはずだとポムレ氏は確信している。

実際、ナバルは9月15日に豪政府から、次の段階に向かって全て順調に進んでいるとの書簡を受け取った。ポムレ氏がパリで、実は契約は破棄されたと説明する電話を受けたとき、オフィスで豪政府からの書簡を喜ぶ同僚たちの声が聞こえたという。「そこへ入っていって自分のチームに『伝えることがあるんだが……』と言うのを想像してほしい。つらかった」

従業員への影響大きく

契約破棄により、フランスと豪州にいるナバルのフランス人従業員1000人の今後が疑わしくなったことに加え、同社の国内拠点の一つの近隣へ移っていた80のオーストラリア人家族にも影響が及んだ。「シェルブール市は彼らのためにインターナショナルスクールをつくった。彼らはこの話を私たちと同じ日に知り、毎日何もすることがなくなってしまった」

ナバルとの契約を破棄し、インド太平洋地域への関与を深めようとするフランスを軽くあしらって深い怒りを買った豪州は今、原子力を動力源にすることもあって一段と高価で建造が複雑な別の潜水艦を確保するのに何年にもわたる交渉をしなければならない。

フランスの当局者はAUKUSの仕組みの曖昧さを酷評し、その一人は「プロジェクトに関する研究プロジェクトの枠組みにすぎない」と切り捨てた。ポムレ氏も以前に「スローガン」を超えるものではないと語っていた。

「我々には何なのかわからない」と同氏は述べた。「とても秘密性が高い。しかし、我々にとってのAUKUSは契約の打ち切りであり、1000人の職探しの必要性、80のオーストラリア人家族が置き去りにされたこと、そしてアデレードの真ん中で数百人に働いてもらっていた造船所が停止したことだ」

By Victor Mallet and Anna Gross

(2021年9月26日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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