中国スマホに監視機能か

中国スマホに監視機能か
リトアニア、不買呼び掛け
https://nordot.app/814019161127108608?c=39546741839462401

『【ベルリン共同】バルト3国のリトアニアの国防省は24日までに、国内で流通する中国スマートフォン大手、小米科技(シャオミ)の製品に「自由チベット」や「台湾独立万歳」など中国政府が警戒する用語を検出、監視する機能が内蔵されていたと発表した。中国製携帯の不買と購入済み製品の廃棄を市民に呼び掛けている。英BBC放送などが伝えた。

 発表は21日付。スマホはシャオミの「Mi 10T 5G」で、リトアニアのサイバーセキュリティー当局による調査で分かったという。』

アフリカ、「グリーン水素」事業相次ぐ

アフリカ、「グリーン水素」事業相次ぐ 欧州市場目指す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1230C0S1A910C2000000/

『【カイロ=久門武史】アフリカで再生可能エネルギーを使って製造する「グリーン水素」の事業化を目指す動きが相次いでいる。風力や太陽光が豊富で、再生エネのコストが比較的安く、脱炭素に熱心な欧州に近い利点がある。グリーン水素は次世代エネの一つとして国連も普及を後押しするが、輸送網の整備を含め課題が山積している。

燃焼後に水が発生するだけの水素は、将来のクリーンエネルギーとして世界で研究が進む。水を電気分解してできる水素は、化石燃料から得られる水素と区別し、グリーン水素と呼ばれている。

「再生エネのコスト低下はグリーン水素の新たな可能性を示した」。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の事務局長は16日、国連関連のイベントで主張した。脱炭素に熱心なドイツ政府は22日の閣議後、水素の活用拡大に向けた声明を出した。念頭にあるのはグリーン水素だ。

欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は2020年の「水素戦略」で、アフリカ北部を「コスト競争力のある潜在的供給元」と位置づけた。

北部ではモロッコがいち早く動き出した。7月、グリーン水素とアンモニアを製造する総投資額75億ディルハム(約1000億円)の事業計画を明らかにした。アイルランド企業などが手がけ、22年の着工を目指す。モロッコは省庁横断の「水素委員会」を19年に立ち上げ、ドイツやポルトガルの協力を得ることで合意済みだ。

エジプトも8月、電力公社が独シーメンス・エナジーとグリーン水素の開発に向けた覚書に署名した。100~200メガワットの水電解装置を使った試験事業に着手する。同公社は7月、イタリア炭化水素公社とも事業化調査の実施で合意した。

エジプトの新・再生エネルギー庁のムハンマド・ハヤト長官は取材に「(同国が)地中海と紅海に面し、地域と世界の水素を供給する要衝にある」と述べ、グリーン水素開発に40億ドル(約4400億円)を投資する方針を示した。

地中海に臨むチュニジアも市場開拓に向けドイツと覚書を交わした。

国際エネルギー機関(IEA)は地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」を順守した場合、世界の水素全体の需要は70年に約5億2000万トンと、運輸部門をはじめ最終エネルギー消費の13%を占めると予測する。19年の7100万トンから急増する。

IEAは太陽光と陸上風力発電を使ったグリーン水素の製造コストが将来、アフリカの北部と南部、中東や中国の一部で1キログラムあたり2ドル以下に低下すると予測する。ほかの地域に比べ競争力が高い。英米系法律事務所DLAパイパーは、モロッコで同1ユーロ(約130円)まで下がる可能性があると指摘する。

南部の砂漠地帯にあるナミビアは8月、グリーン水素製造の事業化調査の開始でドイツと合意した。同国から4000万ユーロの支援を受ける。太陽光、風力に恵まれ、国土面積は日本の2倍以上でも人口は250万人強にすぎない。再エネ投資の余地が大きい。

ドイツのカーリチェク教育・研究相は、ナミビアのグリーン水素製造コストが1キログラムあたり1.5~2ユーロになるとの見方を示した。「世界一、競争力の高い低価格になりうる」という。

南アフリカの産業開発公社は同国のエネルギー大手、サソールと共同研究を始める。

アフリカ諸国は、グリーン水素が欧州からの投資の呼び水になると期待する。フォンデアライエン欧州委員長は15日の演説で「私たちはグリーン水素の市場をつくるためアフリカとともに投資する」と強調した。

課題は多い。アフリカがグリーン水素の供給国として飛躍するには、欧州のほかの消費国ともパイプを築き、供給先の多様化を目指す必要がある。欧州へ輸出するには地中海を通るパイプラインや液化水素の運搬船も欠かせない。イスラム過激派の活動を抑え、治安を安定させなければならない。』

アラブに広がるナショナリズム サウジ「建国」祝賀

アラブに広がるナショナリズム サウジ「建国」祝賀
イスラム主義に対抗 アラブ民族主義は退潮
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB233AI0T20C21A9000000/

『【ドバイ=岐部秀光】アラブ各国の指導者がナショナリズム(国家主義)を強調し、国民の結束を目指し始めた。サウジアラビアは建国を記念する23日の「ナショナルデー」を国家イベントとして盛大に祝った。アラブ首長国連邦(UAE)は12月の建国50周年を、ドバイで10月1日に始まる国際博覧会(万博)の場で祝う見通しだ。

中東では、イスラエルに圧迫されるパレスチナを念頭に、国家の枠を超えてアラブ民族の連帯を目指す「アラブの大義」という概念があった。だが、パレスチナ問題の長期化とともに、こうした民族主義が薄れている。

各国指導者は「国家」を前面に出すことで、その枠組みを揺るがしかねない過激思想を封じ込める狙いだ。アフガニスタンを制圧したイスラム主義組織タリバンの影響を警戒する。

23日夜、ライトアップされたサウジの首都リヤドの建物はナショナルカラーの緑に染まった。この日は1930年代、初代国王がアラビア語を公用語、イスラム聖典コーランを憲法と定め、建国を宣言した記念日だ。

国の祝日となったのは2005年。当時の国王は、人々の部族優先の考え方を弱め、サウジ国民としての意識を強めようとしたといわれる。盛大な祝賀行事を開くようになったのは、ムハンマド皇太子が大きな権限を握ってからだ。

サウジアラビアのムハンマド皇太子は国威発揚を目指す(8月、サウジ北西部)=ロイター
サウジはこれまで「(メッカ、メディナの)2つの聖モスクの守護者」を強調するイスラム盟主や、アラブの大義を掲げる民族主義のリーダーとしての立場を前面に出してきた。だが、皇太子は「ハイパーナショナリズム(強い国家主義)」(民間シンクタンクの欧州外交評議会の一員だったエマン・フセイン氏)を「脱石油」による国家改造の推進力にする考えだとみられる。

UAEも建国50年を前に火星探査機を打ち上げ、国威発揚に努める。7つの首長国で構成する連邦国家で、住民の大半がアジアなどからの出稼ぎ労働者だ。国民に連帯を強く意識させるようになったのは最近になってからだ。

サウジやUAEとの外交関係の正常化を1月に決めたカタールは、首都ドーハの主要な建物にタミム首長の肖像を掲げ、連帯を呼びかけた。エジプトなど湾岸以外のアラブ諸国でも指導者が国威発揚に傾斜しがちだ。

戦後の中東政治の原動力だったアラブ民族主義は退潮が鮮明だ。UAEはアラブ諸国が足並みをそろえる伝統をやぶり、20年にイスラエルとの関係正常化に踏み切った。

民主主義の先進国と異なり、市民社会が未成熟なアラブ諸国で、指導者が国家主義を強調する動きには危険がともなう。結束を促すため、近隣諸国との対立を演じるリスクもその一つだ。多くのアラブ諸国はイスラム教スンニ派が支配層を占めており、国内で不満を持つ同シーア派など少数派の反発を招く可能性もある。』

中国当局、海航集団トップを捜査か

中国当局、海航集団トップを捜査か 再建計画に影響も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM24BLT0U1A920C2000000/

『【広州=比奈田悠佑】中国の複合企業、海航集団は24日、陳峰・董事長らが犯罪の疑いで公安当局の強制措置を受けたと発表した。陳氏らは当局に身柄を拘束されるなどした可能性がある。巨額の債務を抱える海航は会社更生計画の途上にあるが、公安の措置については「生産や経営に影響を与えることはない」としている。

創業メンバーで董事長である陳氏のほか、譚向東・最高経営責任者(CEO)が、海航が本拠地を置く海南省の公安当局の強制措置を受けたという。中国の一部のネットメディアは直近、海航の従業員が陳氏に関して「グループが経営難に陥っている際にも、会社の資金を家族や友人へあてがっていた」などと告発したと報じていた。

陳氏は1980年代、習近平(シー・ジンピン)国家主席の盟友、王岐山(ワン・チーシャン)国家副主席に仕えたことがあり、親しいとされる。

経営が行き詰まり、地方政府の管理下で会社更生計画を策定している海航は傘下の航空会社、海南航空などが今月下旬に2回目の債権者集会を開く。新たな資金の出し手を探している最中で、再建スポンサーの選定についても債権者らと話し合うとみられる。

幹部内で生じた混乱は、再建スポンサー探しを後退させる可能性もある。』

対中経済政策、米政権内で硬軟両論 「301条」も浮上

対中経済政策、米政権内で硬軟両論 「301条」も浮上
産業界は「制裁関税撤廃を」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21C3J0R20C21A9000000/

『【ワシントン=鳳山太成】中国に科す経済制裁の扱いを巡り、米政権内が揺れている。「通商法301条」に基づく新たな制裁関税の発動を視野に中国の産業補助金を調べる案が浮上。一方、気候変動対策で協力を得るため、強硬策を控えるべきだとの意見もある。産業界は制裁解除を求めており、バイデン大統領は慎重に判断する構えだ。

「強硬派と穏健派がそれぞれの提案を出している」。米政府関係者は政権内の現状をこう説明する。政権が発足した1月以降、対中政策を点検してきたが、まだ結論を出していない。

強硬派は圧力強化を主張する。新たな制裁発動に道を開く通商法301条に基づき、中国の補助金を調べる案が取り沙汰されている。トランプ前米政権は301条の調査で中国の知的財産権の侵害が不当だと認定し、2018年7月以降に制裁関税を課した。

米中ではトランプ前政権の20年2月、制裁緩和に向けた「第1段階の合意」が発効したが、補助金など構造問題は「第2段階」に先送りされていた。新たな制裁をちらつかせながら、中国を交渉の場に引き出し、不公正な貿易慣行の是正を迫る戦略だ。

一方、穏健派は圧力を強めれば、中国と温暖化対策で協調できなくなると主張する。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席はバイデン氏との9月上旬の電話協議で、米国の対中政策が関係悪化を招いていると述べ、修正を求めた。

ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)は22日、米テレビを通じ、数週間内に中国を訪れると明らかにした。10月末からの第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を前に、脱炭素で中国の協力を引き出す狙いだ。

制裁緩和を求める米産業界は態度を明らかにしないバイデン政権に不満を募らせる。主な米経済団体は8月、中国との貿易交渉再開と制裁関税の撤廃を求める書簡を政権側に送った。

中国で事業を展開する米企業で構成する米中ビジネス評議会のクレイグ・アレン会長は「(制裁)関税は米国の損害だ。中国の補助金問題は世界貿易機関(WTO)で対処すべきだ」と強調する。

仮にバイデン政権が制裁緩和に動けば、22年秋の中間選挙を前に野党・共和党から「弱腰」と批判されるのは必至だ。301条調査を進めれば「(実際には)制裁を科さなくても、表面上、強硬姿勢を示せる」と、米政府関係者は解説する。

米企業は、中国以外からは調達が難しい特定品目に限り制裁関税の適用を免除する制度の復活を求める。バイデン政権がこれを受け入れれば、産業界の負担を減らしながら弱腰批判を避けられるとの見方はある。

バイデン政権は、日本や欧州連合(EU)と協調して対中政策を判断すると繰り返してきた。トランプ前政権はWTOで日欧と、中国の補助金問題に取り組んだ。米国が単独行動をとれば、日米欧の足並みが乱れる可能性もある。

中国と台湾は9月、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を相次ぎ申請した。TPP復帰に慎重なバイデン政権はインド太平洋における通商の主導権争いで後れを取っている印象がある。対中で判断が遅れれば、同盟国が不信感を強めかねない。』

米、ネオジム磁石の輸入制限検討 中国依存のEV素材

米、ネオジム磁石の輸入制限検討 中国依存のEV素材
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN250A20V20C21A9000000/

『【ワシントン=鳳山太成】米商務省は24日、電気自動車(EV)のモーターなどに使われるネオジム磁石の輸入制限を検討すると発表した。輸入の増加で国内産業が弱り、安全保障上の脅威になっていないか調べる。中国への依存を減らしてサプライチェーン(供給網)を強化する狙いだ。

「通商拡大法232条」に基づき、ネオジム磁石の輸入が安保上の脅威となっていないか2022年6月までに調べる。同法では、輸入制限が必要と判断した場合に追加関税を課せる権限を大統領に与えている。

ネオジム磁石はミサイル設備や戦闘機など軍事用品のほか、EVや風力発電のタービン、磁気共鳴画像装置(MRI)、パソコンの記憶装置などに幅広く使われる。世界で生産地が中国に偏っており、バイデン政権は供給網の安定性の観点から問題視してきた。

バイデン政権が232条に基づく調査を実施するのは初めて。トランプ前政権はこの法律を活用して、日本など世界各国から輸入する鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課したほか、自動車への関税発動を検討した。欧州連合(EU)などとの貿易摩擦に発展した。

レモンド商務長官は声明で「商務省は米国の安保、技術のリーダーシップを守るため、サプライチェーンの強化に取り組む」と述べた。』

圧力か対話か ドイツの対中政策の行方

圧力か対話か ドイツの対中政策の行方
欧州総局編集委員 赤川省吾
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR240HL0U1A920C2000000/

『ドイツ連邦議会選(総選挙)が26日に行われ、4期16年の任期を終えてメルケル首相は退任する。次期政権の対中政策はどうなるのか。ドイツ政界における外交政策の論客への取材から考察してみる。

足元の各種世論調査では中道左派の社会民主党(SPD)が25%強の支持率で首位。僅差でメルケル首相の保守系のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が追う。メルケル政権では連立を組むSPDと保守系による接戦だ。続く主要政党では緑の党が15%強、中道・自由民主党(FDP)と極右・ドイツのための選択肢(AfD)が10%強、共産系の左派党が約6%という展開だ。

ドイツの総選挙は政党の得票率に応じて議席配分が決まる比例代表制がベース。過半数の議席を得るには5割近い得票率が必要となる。足元の情勢では左派・中道連立の「SPD+緑+FDP」もしくは保守・中道連立の「CDU・CSU+緑+FDP」という組み合わせが有力だとされる。

連立交渉のカギを握る緑の党とFDPはいずれも人権重視を党の看板に掲げ、中国に批判的な議員が多い。

例えば緑の党の外交担当、ノウリポーア連邦議会議員は対中強硬派の国際ネットワーク「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」のメンバーだ。欧州連合(EU)の対中制裁を強力に後押しし、2022年開催の北京冬季五輪の外交ボイコットを訴える。取材に「中国と対話は続ける」と語ったものの、人権侵害には沈黙しないと何度も繰り返した。

FDPも中国に手厳しい。「近代的な独裁国家である中国への依存度を下げるべきだ」。同党の外交政策通、ラムスドルフ連邦議会議員(元欧州議会副議長)は取材に語ったことがある。

連立の組み替えで、これまで野党だった緑の党とFDPが与党入りすれば、強権国家により毅然とした姿勢で臨みそうだ。外交対話を探りつつ、非常にゆっくりとしたスピードで中国離れを進めていくことになると見られる。

ところが、そのシナリオが崩れかねない連立構想がある。SPDの党内左派が提唱する共産系の左派党との共闘だ。中道のFDPを外し、「SPD・緑の党・左派党」の左派連合で政権樹立を目指すべきだと党執行部に圧力をかけている。左派党は北大西洋条約機構(NATO)に懐疑的で、ロシアや中国など旧共産圏に郷愁を感じる党員も多い。

社会民主党の首相候補ショルツ氏(写真=ロイター)が党内左派を抑え込み、中道路線を歩めるかが焦点となる

SPDの首相候補ショルツ氏は党内右派の現実主義者。大きな政策変更は望んでいないが、党内左派に押し切られて左派党と組めば外交政策にも影響しかねない。NATO離脱などの激変はありえないが、強権国家には「制裁より対話」を意識したアプローチになるかもしれない。

そもそもSPDは冷戦時代、共産圏との融和を狙った「東方外交」を繰り広げたことがあり、その伝統が勢いを盛り返す可能性がある。

対中政策における論客のひとりが同党のシャーピング元党首だ。EUが対中制裁を発動すると同じSPDのガブリエル元副首相と連名で「破壊的な対立よりも協調の道を選ぶべきだ」と独紙に寄稿した。中国を孤立させるのではなく、対話で自由貿易の世界につなぎとめることが大切だと訴えたのだ。

シャーピング氏に取材すると「難しい関係であればあるほど、対話を続けなければならない」と強調した。制裁で脅すのではなく、むしろ「気候変動やテロ、大量破壊兵器(の削減)などのグローバルな課題」で中国と協力すべきだとも語った。

欧州議会が審議を凍結した中国との投資協定は「批准すべき」だという。中国寄りというよりドイツ企業の利益を代弁した発言のようにも聞こえる。ドイツ国内には中国との投資協定を求める声がそれなりにある。

結局のところ「SPD・緑の党・左派党」のなかでは緑の党の対中強硬色は薄まり、対中政策を巡る米国との温度差が際立つようになるのは間違いない。ドイツからすれば「全方位外交」のつもりでも、中国との対決姿勢を強める英米豪などからみれば「ドイツは弱腰」と映るかもしれない。

危ういのは民主主義陣営の亀裂が強権国家のチャンスになりかねないことだ。欧州の未来を左右するドイツの連立交渉から目が離せない。

【関連記事】「中国との投資協定批准を」ドイツ社民党元党首に聞く 』

「中国との投資協定批准を」ドイツ社民党元党首に聞く

「中国との投資協定批准を」ドイツ社民党元党首に聞く
欧州総局編集委員 赤川省吾
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2409I0U1A920C2000000/

『ドイツ国防相や、全欧州の社民勢力のとりまとめ役などを歴任したドイツ社会民主党(SPD)のシャーピング元党首はドイツで対中関係の論客として知られる。欧州連合(EU)が中国の新疆ウイグル自治区における人権侵害を問題視し、対中制裁に踏み切ると、同じSPD出身のガブリエル元副首相と連名で「破壊的な対立よりも協調の道を選ぶべきだ」と独紙に寄稿した。人権を重んじる欧州で、なぜ中国配慮ともとれる発言をするのか。真意を聞いてみた。

――EUは中国を体制上のライバルと見なしていますが、あなたは対話にこだわります。SPDの伝統的な東方政策(共産圏融和策)の立場ですか。

「SPD出身のブラント首相(在任1969~74年)のデタント政策はドイツだけでなく、北大西洋条約機構(NATO)内でも激しい論争を巻き起こした。だが(共産圏との)平和的共存への扉を開き、欧州に平和をもたらし、最終的には欧州統合を可能にした。これは(ブラント氏の)東方政策と、(東西ドイツ統一を決断した)コール首相の断固とした判断のおかげだといえる」

「私と中国の接点は1980年代初頭にさかのぼる。飢餓の恐ろしさ、文化大革命の恐怖を知る人たちに会った。それから中産階級は着実に増えた。重要なのは鄧小平氏の改革開放路線で平均余命がほぼ倍に伸び、教育と医療制度が大きく改善されたことだ。これを尊重しなければ、法の支配、公正な競争、あるいは知的財産の保護など我々が解決したい問題について話し合うことができない」

――ドイツ政府はインド太平洋にフリゲート艦を派遣しました。明らかに中国への政治的警告です。

「そう思わない。平和構築を願う意志のシンボルだ。(欧州という)価値観共同体は対極をつくることで存在意義を示すものではない」

――オーストラリアがフランスとの契約を破棄し、英米と協力して原子力潜水艦を配備します。

「どのように安全保障上の利益を追求するか、誰をパートナーに選ぶのかはオーストラリアに決める権利がある。ただ契約済みのものが尊重されなかったことは憂慮すべきだ。これを教訓に欧州は外交・安全保障政策で統合を深めるのが望ましい」

――今後の対中政策のあるべき姿は。

「東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)で世界最大級の自由貿易圏が生まれる。ドイツおよび欧州はうまい戦略を描かないといけない。環境などを含めた共通ルールが世界経済には必要で、そのためにはパートナーがいる。だからこそ欧州議会は(審議を棚上げした)中国との投資協定を批准すべきだ」

「対中政策では自らの利益を明確に順序づけるべきだ。気候変動やテロ、大量破壊兵器(の削減)などのグローバルな課題で共通の答えを見つける必要がある。これは中国と一緒でしかできない」

――EUは中国を含めた強権国家に人権や法の支配を尊重するよう求めています。この路線に反対ということですか。

「優先順位を間違えてはならない。グローバルな課題、例えば気候変動ではアフリカや南米、そしてアジアと協力して効果的な改善策を見つける必要がある。(中国などと対立に動く)ドイツ、そして欧州は優先順位が曖昧で不完全だ。変わることを期待したい。あらゆる場所で人権と法の支配は守られるべきだ。だが対等な対話とは相手の視点を知り、尊重することでもある。そうでなければ会話が成り立たない」

――EUは人権侵害を理由に中国に制裁を科しました。

「誤った対応だ。難しい関係であればあるほど、対話を続けなければならない。時には明確で厳しい対応が必要だが、外交は(有権者におもねる)内向きの動機でなされてはいけない」

――主要7カ国(G7)で対中制裁に加わっていないのは日本だけです。しかしジャーナリストとして中国における報道の自由には問題があると言わざるを得ません。

「(欧米諸国と日本の)人権や法の支配などを巡る見解の違いはよく知られている。だが日本の方が、相手のメンツを傷つけない外交センスを持ち合わせているかもしれない。1990年代初頭に天皇が訪中した際、第2次世界大戦中の出来事について(直接的な表現を避け)極めて丁寧な言葉遣いをしたが、これは欧州にとって理解しがたいものだった。歴史的、政治的な問題は多面的だ」

――習近平(シー・ジンピン)体制で中国は強権化しました。もはや以前の中国とは違います。私は対話だけで歯止めになるとは思えません。

「少なくとも試してみることはできる。対話と競争、そしてリアリズムに基づいてだ。中国について語るとき、(欧米列強の侵略による)19世紀の屈辱や20世紀の日本の役割、つまり第2次世界大戦中の残虐行為を忘れてはならない」

――欧州はアフガニスタンで民主主義を定着させようとして失敗しました。軍事介入は誤りだったのでしょうか。あなたは介入開始時、国防相でした。

「駐留は間違いではなかった。(米国とイスラム主義組織タリバンが2020年に結んだ)ドーハ合意が決定的な誤りだった。当時のトランプ米大統領が見返りなしに具体的に(撤兵を)約束した。過去最悪の国際合意だ。アフガンでは長年にわたり戦乱が続き、氏族などが入り乱れ、汚職がはびこり、武器があふれ、麻薬(の原料)が栽培されている。法の支配と人権で進展があるには、現地の人たちが望むように長期の包括的な対策が必要だった」

――軍事作戦がこれほど長く続くと予想していましたか。

「20年以上かかると想定していた。民間復興と法の支配の確立が早く進むと思っていたが、残念ながら予想が外れた」

――バイデン米大統領が撤兵を撤回しなかったのが間違いでは。

「評価を避けたい。バイデン氏はトランプ氏のせいで深く分裂した国の大統領になった。彼は政策に優先順位をつけないといけない。それを考慮すれば(撤兵は)理解できる。これは欧州への警鐘だ。欧州はより強く、より包括的なグローバルプレーヤーになるべきだ」

――世界は分断され、強権的な国が増えています。民主主義陣営は、人権や報道の自由、民主主義、男女同権といった価値観をどう守るべきですか。

「(強権国家とは)協力、対話、競争が必要で、どうしても必要な場合には紛争に備える必要がある。対立や見解の相違も指摘できるようにしないといけない。ただ、これは軍事的な衝突を意味しない。非常に丁寧に、できれば外交的に、共通の利益を求めるべきだ。民主主義には絶え間ない闘いがあり、天から与えられるものではない。つねに民主主義の強化を図り、時には防衛することが必要になる」

(聞き手は欧州総局編集委員 赤川省吾)

Rudolf Scharping 社会民主党(SPD)の元党首で、独西部の州首相やシュレーダー前政権の国防相などを歴任した。現在はコンサルティング会社を立ち上げ、ドイツ企業の中国ビジネスを支援する。 』

「メルケル後」 ドイツの空白

「メルケル後」 ドイツの空白 ライオネル・バーバー氏
英フィナンシャル・タイムズ前編集長
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2252N0S1A920C2000000/

『ドイツのメルケル首相は16年間にわたって国際舞台で定位置を占め、危機時に安定感をもたらす存在だった。26日投票のドイツ連邦議会選(総選挙)後に退任すれば、ドイツ及び欧州で容易に埋めがたい空白が生まれる。

メルケル氏の持ち味は冷静な分析やマキャベリズム(権謀術数主義)的な冷徹さに加え、「安全第一」という国民感情を鋭く捉える能力にある。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)やユーロ圏債務危機、ロシアのウクライナ侵攻といった幾度の危機に際し、(問題の先送りともいえる)戦略的な忍耐を常とう手段としてきた。

英フィナンシャル・タイムズ前編集長のライオネル・バーバー氏

ところが今回の選挙戦では、メルケル氏の素質が、所属する中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の支持率上昇に寄与する場面に乏しかった。メルケル氏は(盤石な)後継者選びに失敗しただけにとどまらず、(現在は大連立政権の与党である)中道左派のドイツ社会民主党(SPD、社民党)のリードを許したといえる。

メルケル政権は、シュレーダー前首相が実施した労働市場と社会保障制度の改革で恩恵を受けた。欧州連合(EU)の拡大に伴い、ドイツ企業がポーランドやハンガリー、チェコ、スロバキアに工場を移転して生産コストを下げる機会にも恵まれた。

ユーロ相場も強力な追い風となり、スイスフランに比べて低く抑えられた為替レートを享受できた。一方、メルケル氏は国内世論をくみ取ってユーロ圏の財政統合を拒んだ末、ギリシャなど南欧を苦境に立たせた。2020年にコロナ禍が始まってようやく、ユーロ圏共同での債券発行による財源の調達に同意した。

メルケル氏は中道路線を心掛けてきた。しかし結果として長期的な問題が積み上がり、7月に大規模な洪水災害を引き起こした気候変動問題に直面した。デジタル化に向けたインフラ整備などへの投資の遅れにも悩まされる。

人口の縮小という課題については、メルケル氏は以前から認識していた。15年に100万人超となる難民を受け入れる決断を下した背景には、人口問題という要因もあったのかもしれない。寛容な難民政策は当初こそ倫理的な対応として歓迎されたものの、やがて無責任だとの声が上がり、支持率の悪化を招いた。

11年の東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、脱原発へとかじを切ったことも、賛否を呼んだ。ドイツは、火力発電やロシア産などのエネルギーへの依存を強めるかたちになった。メルケル氏が、独ロのパイプライン計画の撤回を求めた米国に屈しなかったことは、ドイツの弱い立場を浮き彫りにもした。

選挙戦では、こうした問題が主要な争点になるのが本筋だろうが、メディアは(首相候補の)人物像に焦点を当てたようにみえた。(環境政党の)緑の党のベーアボック共同党首は経歴の訂正などの問題が浮上し、CDU・CSUのラシェット党首は、洪水被害視察時の不用意な笑い顔が報じられた。

次期首相の最有力候補に躍り出たのは、飾り気のないショルツ財務相だ。社民党の首相候補であるショルツ氏は、冷静沈着な雰囲気を醸す。メディアから感情の乏しさを指摘されると「首相の座を目指しているのであって、サーカスの団長になりたいわけではない」と応じた。

仮に社民党が第1党になっても、ショルツ氏が政権を発足させるには連立を組まなければならない。簡単ではないかもしれないが、社民党と緑の党、(リベラルの)自由民主党の連立が考えられる。

自由民主党が連立入りしなければ、旧共産党系の左派党が加わる確率が高まる。(CDU・CSU主導の連立の可能性は高まっているとはいえないため)ラシェット氏を後継者に指名したメルケル氏は、世論にそっぽを向かれた格好となっている。

メルケル氏への歴史的な評価は厳しいものになるかもしれない。メルケル氏がドイツの安定を維持しつつ、低成長にあえぎ米国と中国の板挟みになる欧州の結束を保ってきたのは事実だろう。しかしドイツはなお過去を引きずり、国際的なプレーヤーとしての立場と責任を受け止めようとしないままでいる。

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中国、仮想通貨締め付け強化 資金流出の穴塞ぐ

中国、仮想通貨締め付け強化 資金流出の穴塞ぐ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB24B690U1A920C2000000/

『中国が暗号資産(仮想通貨)への締め付けを一段と強めている。マネーロンダリング(資金洗浄)や詐欺への対応などに加え、中国の中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元の準備を進めていることも一因にある。

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中国人民銀行(中央銀行)は24日、海外の取引所からインターネットを経由したサービスも含め、仮想通貨の決済や関連サービスを全面的に禁止すると発表した。刑事責任を追及するなど踏み込んだ内容だ。

かつてはビットコインの取引もマイニング(採掘)も8割以上が中国で行われているとされていた。仮想通貨の投資家の間では「中国コイン」と呼ばれることもあった。

変わり始めたのは2017年。国内の取引所の閉鎖などが始まり、18年には中国人民元建てのビットコイン売買は全体の1%にも満たなくなった。マイニング量は21年4月時点でまだ5割近くを中国が占めていたが、締め付けにより6月にはほぼなくなったとみられている。

中国の仮想通貨市場への影響力は小さくなっている。それでも規制を強化するのは資金流出への対応がある。新型コロナウイルスの感染拡大前、中国では資金流出が続き、金融当局が海外とやり取りする資本の規制を強めていた。仮想通貨は規制をかいくぐる抜け穴となっており、当局が監視を厳しくしてきた。

もうひとつの背景が中国で22年にも発行が正式に始まる予定のデジタル人民元。仮想通貨は当局の監視が届きにくい。仮想通貨との取引を通じて貨幣供給が不安定になるのを防ぐ。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「中国内は中央銀行が発行するデジタル通貨以外の仮想通貨は禁じる措置を進めており、その延長線上の動き」とみる。

CBDCの発行は各国が準備を進めており、米国では取引所への監視強化が強まる。国際的な規制強化の網がどの程度広がるかが焦点になる。

(金融工学エディター小河愛実)』

米、ファーウェイ副会長の中国帰国を容認

米、ファーウェイ副会長の中国帰国を容認 司法取引で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN24CVW0U1A920C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成】カナダで拘束された中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を巡り、米司法省は24日、中国帰国を容認することで同氏と合意した。司法取引が成立し、即日釈放された。米中対立の懸案が1つ解消する。

孟氏は24日、米東部ニューヨーク州の裁判所にオンラインで出廷した。米司法省によると、同氏は米国の制裁対象であるイランとファーウェイの取引を続けるため、金融機関に誤った説明をしたことを認めた。同省は代わりに起訴を猶予し、米国への身柄引き渡し要請を取り下げる。同氏はカナダ西部バンクーバーで即日釈放された。

孟氏は2018年12月、米政府の要請に基づき、バンクーバーの空港で逮捕された。米司法省は19年1月、同氏とファーウェイを銀行詐欺罪などで起訴した。後に保釈され、米国に身柄を送還すべきか判断する審理がカナダの裁判所で続いていた。同氏は一貫して無罪を主張してきた。

ファーウェイは日本経済新聞の取材に「コメントできない」とした。

ファーウェイの創業者の娘である孟氏の身柄を巡って米中は対立してきた。トランプ前政権は米国法で同氏を裁くため、米国に身柄を送還するようカナダに求めた。

中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は、孟氏を中国に帰国させるよう繰り返し要請してきた。中国は元外交官らカナダ人2人を拘束し、中国とカナダの外交問題にも発展した。

バイデン政権はファーウェイを安全保障上の脅威と断じ、トランプ前政権が課した禁輸措置を続ける構えをみせている。孟氏が中国へ帰国しても、ファーウェイを中心とした米中のハイテク摩擦は終わらない。

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