【寄稿】クジラ同士の戦いでエビはまたとばっちりを受けるのか

【寄稿】クジラ同士の戦いでエビはまたとばっちりを受けるのか
米中の包容時代は終わった

ホワイトハウス・国務省のアジア担当部局に中国専門家
香港・ウイグル・北朝鮮人権・貿易など
重要経済分野で中国に圧力、対立予想
(記事入力 : 2021/02/14 07:14)
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/02/10/2021021080191_3.html

 ※ 非常に良い分析だ…。

 ※ 米中対立の構造を解析しようとする場合の、鋭い視点を提示している…。

 ※ 「潜在的モデル」と言っているが、むしろ、「層構造」と捉える方がいいだろう…。

 ※ 米中は、そういう「層構造」の中で、対立したり協調したりして行く…。

 ※ そうして、「周辺国」は巻き込まれ、「対応」「立ち位置」を決定して行くことを迫られることになる…。

『韓国には「クジラの喧嘩にエビの背中が裂ける」ということわざがある。このことわざは韓国が米国、中国の競争を懸念する際によく使われる。中国と米国が衝突すると、韓国もとばっちりで不利な状況に置かれることを指した表現だ。トランプ政権でもそうだった。南シナ海での航行の自由、香港の民主主義と人権、5Gネットワークからの華為(ファーウェイ)外し、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題などで韓国は選択を強要された。

 バイデン大統領はまだ確定的な政策を発表していないが、それでもいくつか確実な部分がある。まず、米国が中国を「責任ある利害関係者(responsible stakeholder)」として扱った時代は終わった。オバマ政権でアジア担当補佐官だったカート・キャンベル、エリー・ラトナーの両氏は中国を「包容対象」から「戦略的ライバル」へと転換した最初の人物たちだった。彼らは中国が自由貿易秩序を利用するばかりで、政治的に開放することも、国際システムに実質的に寄与することもなかったことから、包容政策は失敗に終わったと宣言した。

 第二に、トランプ前大統領とは異なり、バイデン大統領の外交・安全保障チームは中国を相手にした経験が豊富だ。ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)でインド太平洋調整官に就任したカート・キャンベル氏はオバマ政権で「アジアへの中心軸の移動(Pivot to Asia)」政策を立案した人物だ。NSCのアジア担当部局には中国の専門知識を備えた外交官エドガー・ケーガン氏、国務省とNSCで中国を担当した経歴を持つローラ・ローゼンバーガー氏がいる。国務省のアジア担当部局はベテランの中国専門家であるダニエル・クリテンブリンク駐ベトナム大使が率いるといううわさだ。』

第三に、それでもトランプ政権当時のように鋭く刃を立てることはできないとみられることだ。政策が柔軟化するという意味ではない。政策は依然として競争的でも外交的なレトリックはこれまでより侮辱的、敵対的ではなくなるという意味だ。

 バイデン大統領の中国政策について、4つの潜在的モデルを予測することが可能だ。ある1つのモデルにばかり従うことはないだろう。むしろ当面する問題によって、異なる人物が異なるモデルで引き続き緊張と綱引きの状況をつくり出すだろう。

 このうち、1つのモデルが「戦略的権力競争」だ。すなわち、米国と中国による物理的な力の競争だ。このモデルでは両国政府を率いる人物がバイデン大統領と習近平国家主席であることは特に重要ではない。2つの大国はシステム内で地位のために幅広く競争せざるを得ない。こうした戦略的競争関係は領土、世界的なルールと規範、国際間での政治的権威という国際システムの3つの側面で米ソ冷戦と同様の様相になるだろう。

 2つ目の衝突は貿易のいくつかの分野で展開されている激しい競争だ。例えば、新型コロナウイルスの大流行で医薬品とハイテク分野の脆弱性が浮き彫りとなったが、これら分野のサプライチェーン復元が重要な競争領域になる可能性がある。人工知能(AI)、宇宙開発、次世代の無線通信、モノのインターネット(IoT)など4つの産業革命分野も重要なフィールドだ。中国の技術に対する依存度を軽減している分野でもある。韓国は既に5Gネットワークから中国・華為の設備を排除するよう求める米国の要求でこの問題をある程度経験している。』

『米中の競争関係で3つ目のモデルは価値観と民主主義が焦点だ。トランプ政権は両国関係で民主的価値と人権増進に関心を払わなかったが、バイデン政権は異なるだろう。香港、ウイグル、北朝鮮などどこについても米国が中国を追及し、伝統的な人権議題に回帰するとみられる。

 4つ目のモデルは世界が共に直面した「世界的脅威」に関するものだ。これまで述べた3つのモデルは競争と関係あるが、4つ目は協力志向的だ。最も確かな例は世界のあらゆる指導者がウイルスを抑制し、ワクチン接種を早めるために努力しているコロナ問題だ。このカテゴリーでバイデン政権が最も強調するであろう問題は気候変動だ。バイデン大統領は気候政策があらゆる政策で普遍的な要素になることを明確にした。気候専門家のブライアン・ディーズ氏を国家経済会議(NEC)委員長に任命し、コロナ後の「グリーン経済回復計画」を立案していることからも確認できる。外交面でもジョン・ケリー元国務長官を気候変動対策の大統領特使に任命した。ケリー氏の任命は環境だけでなく、安全保障、経済、政治などNSCが下す決定が気候変動の面で天びんにかけられることを意味する。米中関係の3つのモデルは持続的な競争を起こす可能性が高いが、気候問題が米中関係にどんな影響を与えるかはまだはっきりしない。ケリー氏は中国と協力的な対話を推進し、2060年までにカーボンニュートラルを達成するという中国の約束を激励し、努力するはずだ。気候問題は過去2つの政権よりも重要な変数になるだろうが、他の3つの競争モデルを相殺するほど十分な協力的刺激を与えるかどうかは確かではない。

ビクター・チャ=米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国専門家 』