対中姿勢、迫られる踏み絵 台湾もTPP加盟を申請

対中姿勢、迫られる踏み絵 台湾もTPP加盟を申請
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『中国に続き、台湾が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。加盟が認められれば、その後の新規加盟に拒否権を持つため、日本などの加盟国は事実上、中国と台湾のどちらかを選ぶ踏み絵を迫られる。安全保障の観点も交えた難しい判断が求められる。

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「民主主義や法の支配を守る台湾の加入申請を政府として前向きに受け止める」。外務省幹部は22日夜、日本経済新聞の取材に対しこうコメントした。

台湾は日本とは自由貿易協定(FTA)を結んでいない。「協定の内容に特化した非公式協議をしたことがないため加盟のハードルは未知数」(日本政府の通商政策担当者)という。

それでも中国が申請した際に「高いレベルを満たす用意が本当にできているのかどうか見極めていく必要がある」などと閣僚が慎重姿勢を示したのとは対照的だ。

TPPは日本やカナダ、オーストラリアなど11カ国が参加する大型連携協定だ。新たに加盟する際には既存の参加国が全会一致で認める必要がある。対立する中台のどちらかが加盟すればもう片方の加盟は難しくなる。

既に加盟国の間で温度差が出ている。中国の加盟申請に対し、シンガポールとマレーシアは歓迎する立場を表明した。一方、メキシコは慎重な姿勢だ。中国が入れば、TPPを離脱した米国を引き戻すのが難しくなる。メキシコの最大の貿易相手は米国で、米中の摩擦が深まる中で、中国の加盟に支持は打ち出しにくい。

オーストラリアも難色を示す。同国が新型コロナウイルスの発生源に関して独立調査を求めたことに反発した中国は、豪産大麦やワインへの高関税や、石炭などの輸入制限の措置をとった。テハン貿易・観光・投資相は中国が高関税などの問題を解決しない限りは、中国の交渉入りを支持しない姿勢を示唆する。

TPPを巡っては、先に加盟申請した英国との調整が本格化している。英国との交渉入りの際には、加盟国の閣僚らで現行ルールを守ってもらう方針を確認した。中国や台湾も同様に、まずは高水準の貿易自由化や透明性あるルールを受け入れるのが前提となる。

6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の共同宣言に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と盛り込むなど、台湾を巡る動きは米中対立の最前線といえる。

相次ぐ加盟申請でTPPがその重要な舞台の一つとなり、経済だけでなく安保面も考慮した外交面の駆け引きが激しさを増すことになる。

(江渕智弘、金子沙月)

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