〔ノルド・ストリーム〕

ノルド・ストリーム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0

『背景

2005年の時点で3300億立方メートルの天然ガスを輸入していたヨーロッパは、2015年までにさらに2000億立方メートルの上積みが必要となると予想されていた[5]。

豊富な天然ガスを産出するロシアは、ヨーロッパへの天然ガス供給の経由国でありながらたびたび問題を起こしていたウクライナ(「ロシア・ウクライナガス紛争」を参照)とベラルーシを迂回するルートを求めていた[6]。それは安定した天然ガスの供給を求めるヨーロッパにとっても同じだった。一方でポーランドのラダスラフ・シコルスキー外相のように、公然と環境問題やエネルギーの対露依存を危惧する声もあった[7]。

しかし脱原発をはかっていたドイツにとってロシアの天然ガスは重要なものであった。2005年の協定では、独大手のBASFと露ガスプロムとの提携強化や、ユジノルスコエの天然ガス田開発への参加が盛り込まれるなど、エネルギー問題において密接な独露関係が目指されている。

エネルギーの対露依存度を下げたいEUが主導しているラインである「ナブッコ・パイプライン」のガスの供給元探しが難航しているのに対して、ロシアの国営企業であるガスプロムが推進した「ノルド・ストリーム」は2011年11月8日に稼働を開始し、EUへの天然ガスの供給が始まった。

進捗状況

Nord Stream ceremony.jpeg
沿岸5カ国のうち最後まで着工許可を出していなかったフィンランドが2010年2月12日に計画へ合意、2010年4月実際にスタートし、2011年11月8日に天然ガスの供給を開始し稼働した[8]。

着工記念式典に臨むメドヴェージェフ大統領

このパイプラインの2系列目に使用する鋼管は日本の住友金属が受注した[9]。

2021年9月10日、ガスプロムは工事が終わり、パイプラインが完成したと発表[10]。

批判

米国は同パイプラインがドイツを含む北大西洋条約機構加盟国に対するロシア政府の影響力を強めかねないと懸念しているため[11]、2018年7月11日、ドナルド・トランプ大統領は、北大西洋条約機構事務総長との朝食会の場でノルド・ストリーム2計画について触れ、アメリカがドイツを守るために数十億ドルも払っているというのに、ドイツはロシアに(ガス代として)数十億ドルをロシアに支払っていると批判。その場に居なかったドイツのアンゲラ・メルケル首相は、別途、ドイツは独立して決断を下しているとしてトランプ大統領の批判に反論した[12]。

2019年以降、アメリカ国会および国防省はノルド・ストリーム2パイプラインに関与する事業体が米国の制裁の対象になると警告し、直ちにパイプライン作業をやめるべきだと表明した[11]。しかし、2021年5月19日、アメリカ国務省は関連会社への制裁がアメリカの国益に反するため、解除すると宣言した。ドイツとロシア両政府は声明に歓迎する一方、ウクライナと一部のアメリカ国会議員はロシアに利するだけと批判した[13]。

また、このプロジェクトはヨーロッパのロシアへのエネルギー依存を招きかねないため、2021年4月28日に欧州議会はこのプロジェクトの工事の停止を求める内容を含む決議案を可決した[14]。』

(ロシア関連のパイプライン)

[FT]パイプライン稼働狙いか ロシア、対欧ガス供給制限

[FT]パイプライン稼働狙いか ロシア、対欧ガス供給制限
IEAは供給拡大を要請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB225M20S1A920C2000000/

『国際エネルギー機関(IEA)はロシアに対し、欧州向けの天然ガス供給量を増やすよう要請した。エネルギー危機の解消に向けた協力を求めた。ロシア政府の意向で供給が制限されているというトレーダーや外国当局者の指摘に、主要国際機関の一つとして初めて対応した。

ノルドストリーム2に使うパイプを用意する作業員(2019年9月)=ロイター

パリに本部を置くIEAは、ロシアは欧州のユーザーとの長期契約を履行しているが、供給量は新型コロナウイルスの感染が拡大する前を下回る水準に低迷していると指摘した。

冬場を前に欧州の在庫は低水準

IEAは「欧州で利用できるガスの量を増やし、暖房需要が高まる冬場に備えて十分な量を貯蔵するうえで、ロシアにできることはもっとあると信じる」と主張した。IEAは主に経済協力開発機構(OECD)加盟国の資金拠出を受け、エネルギーを巡る政策や安全保障について助言する(石油やガスの消費国の利益を代表する組織だ)。

「ロシアは、欧州の頼れる供給元として行動する好機を迎えた」

欧州議会の一部議員は、ロシアの国営天然ガス会社で輸出を独占するガスプロムの調査を要求している。外国当局者やトレーダーは、ガスプロムが欧州向けのスポット市場で出荷増を渋っている理由を把握していない。これが価格の急騰を招き、家計の負担を高め、欧州全域の産業を揺るがしていると主張する。

ガスプロムはまた、欧州で管理する地下貯蔵施設におけるガスの在庫を過去数年よりも少ない水準に抑えている。これにもトレーダーらは懸念を募らせる。

ガスプロムのアレクセイ・ミレル最高経営責任者(CEO)は先週、同社が供給義務を果たしており、必要に応じて増産する用意があると明かした。だが、地下貯蔵施設での在庫が少なく、価格は冬場、一段と上昇する可能性があると付け加えた。

ガス価格は20日の取引でさらに上昇した。ガスプロムがウクライナ経由での10月分の輸出量について追加予約を見送ったうえ、ポーランドを通るガスパイプライン「ヤマル」については輸送容量の3分の1しか予約しなかったことが買い材料になった。

ウクライナを迂回するノルドストリーム2

ロシアは、ドイツに天然ガスを運ぶ新たなパイプライン「ノルドストリーム2」の操業開始を急いでいる。最近完工したこのパイプラインは(ウクライナを通過しないため)、ウクライナを経由するガスの流れを変えるため、議論の的になっている。ロシアは2014年から、ウクライナ東部の国境地帯で(親ロシア派武装組織を使った)代理戦争を(ウクライナ政府軍と)展開している。

ガスプロムとロシア当局は、ドイツと欧州連合(EU)がノルドストリーム2の稼働開始を承認すれば、ロシアはすぐに(このパイプラインを使った)ガス供給を始められると主張してきた。ロシアが、この承認を早めようと、いまのルートでのガス供給を制限しているという疑惑が強まっている。

アラブ諸国が1970年代に発動した石油禁輸措置を機に設立されたIEAは、足元のガス価格上昇の責任をロシアだけに負わせてはいない。アジアで液化天然ガス(LNG)需要が高まり、供給先として欧州よりもアジアの存在感が強まるにつれ、世界で需給が逼迫したとIEAは説明する。

IEAは、再生可能エネルギーの台頭がガス価格高騰につながったとの見方は間違いだと指摘した。欧州ではこの夏、風が弱くて(風力発電が十分に機能せず)、かわりにガス需要を高める一因となった。

「天然ガスの国際価格が上昇している背景には複合要因がある。クリーンエネルギーへの移行に責任があるというのは不正確で、誤解を招く」というのがIEAの見解だ。

フランス経済省で石油・ガス部門の顧問を経験したパリ政治学院のティエリー・ブロス教授は、IEAが「業界でかねて議論されてきたが欧州の多くの政治家がなかなか手をつけなかった問題に焦点を当てている。それは、足元のエネルギー危機でロシアが担った役割だ」と語った。

「いろいろな意味で、IEAは安全な供給を確保するという設立当初の目的に立ち返っている」

ガス価格は今年、3倍以上に値上がりしたが、欧州の政治家はロシアの責任追及に、時として消極的だった。だが、欧州議会の一部議員は、今回の危機でガスプロムがどう動いたか調べるよう求めている。

事情に詳しい関係者によると、ロシアのプーチン大統領は、国営石油会社ロスネフチがノルドストリーム2を通じ、欧州にガスを供給することを認める方向で検討している。IEAによるロシアへの供給拡大の要請は、このタイミングと重なった。

ウクライナ情勢について質問に答えるロシアのプーチン大統領(7月、同国北西部サンクトペテルブルク)=ロイター

関係者によれば、ノバク・エネルギー相はプーチン氏への最近の報告で、ロスネフチがガスプロムの輸出輸送施設を使い、年100億立方メートルのガスを輸出することを認めるよう提言した。

この量は、ガスプロムが21年、旧ソ連の域外へ輸出した1390億立方メートルのガスに比べればわずかだ。だが、ロシアの国内市場より大きなもうけが見込める輸出先をガスプロムが独占する現状を大きく変えることを意味する。

プーチン氏と関係の深い国営2社が争う

ロシアは欧州側と、ノルドストリーム2を経由するガス供給の長期契約を結びたいと考えている。このパイプラインを使えばガス価格を引き下げられるという。

ロスネフチとガスプロムはいずれも、プーチン氏の古い友人が経営権を握っている。

何年も前からガス輸出への参画を目指してロビー活動を続けてきたロスネフチのイーゴリ・セチンCEOは、同社がノルドストリーム2経由の輸出を始めれば、ガスが記録的な高値となっている現状では、ロシアが収益を増やすことができると主張する。そうすれば、ガスプロムにノルドストリーム2の輸送容量の5割を第三者に開放するよう義務付けるEUのエネルギー規制に従うことにもなる。

ガスプロムは、プーチン氏への報告のなかで、ガス価格の高騰が22年までは続かないかもしれないとの理由で、ガス輸出へのロスネフチの参入に反対した。この報告の内容はまず、ロシア紙コメルサントが報じた。

ロスネフチとガスプロムはコメントを拒否した。ロシアのエネルギー省もこの件に言及していない。

米国務省でエネルギー安全保障担当シニアアドバイザーを務めるアモス・ホッホシュタイン氏は9月、取材に対し、ロシアが「過去に比べ、供給量を絞り込んでいる」と分析した。このため、この冬の欧州が厳しい寒さに見舞われた場合は「人命が危険にさらされる」との厳しい見方を示した。

By David Sheppard, Max Seddon & Nastassia Astrasheuskaya

(2021年9月22日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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仏、EUに安保理ポスト移譲か 英紙報道

仏、EUに安保理ポスト移譲か 英紙報道、大統領府否定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB22AT00S1A920C2000000/

『英紙テレグラフは22日、欧州連合(EU)の加盟国が「欧州軍」の創設を支持した場合、支持と引き換えにフランスが国連安全保障理事会の常任理事国のポストをEUに引き渡すことをマクロン仏大統領が検討していると大統領府に近い筋の話として伝えた。仏大統領府は同日、報道を否定した。

マクロン氏は「強い欧州」を目指し、欧州軍の創設をかねて唱えてきた。オーストラリアがフランスとの潜水艦建造計画を中止して米英との計画に乗り換えた問題で、フランスは反発を強めている。欧州独自の安全保障の確保にむけて、欧州軍の創設を巡る議論が盛り上がる可能性がある。』

中国、金融危機回避に一歩 恒大の前途なお多難

中国、金融危機回避に一歩 恒大の前途なお多難
恒大、23日の元建て債は利払い実施へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2249Y0S1A920C2000000/

『【上海=土居倫之】中国の不動産大手、中国恒大集団は22日、期日を23日に控える人民元建て債の利払いを実施すると発表した。同じく23日に予定するドル建て債には30日の猶予期間があり、この日に債務不履行に陥る可能性は低くなった。中国政府は金融危機を阻止する姿勢を鮮明にしており、混乱回避をいったん優先する。だが恒大の年内の利払いは社債だけで700億円を超え、2022年からは多額の満期償還を控える。前途はなお多難だ。

【関連記事】中国恒大、23日の元建て債利払い実施へ 39億円

23日の元建て債の利払い額は2億3200万元(約39億円)の見込み。中秋節の21日、恒大の創業者でトップの許家印氏は「恒大は必ず暗闇から抜け出すことができる」とのメッセージを社員に送り、経営再建を断念しない姿勢を示していた。

23日には人民元債と並んでドル債の利払い8353万ドル(約91億円)がある。恒大は22日時点で利払い実施の有無を明らかにしていないが、猶予期間があるため23日にはデフォルトは確定しない。

22日は恒大株が上場する香港市場は休場だった。独フランクフルト市場に上場する恒大株は22日、人民元債の利払い実施発表を受けて、2割超上昇する場面があった。

恒大の資金繰りは来年以降が正念場だ。恒大は22年に計6本、残高計76億ドル相当の社債償還期限を迎える。22年満期の社債の流通市場での利回りは320~630%となっており、新規発行による借り換えは難しい。

ドル債の投資家は分散しており、リスクは限定的だ。リフィニティブによると、23日利払いのドル債は最も保有が多い米TCWアセットマネジメントでも1.48%にとどまる。ただ恒大債は、特定の社債がデフォルトすると、ほかの社債も一斉にデフォルトしたと見なされる「クロスデフォルト」の可能性がある。

習近平(シー・ジンピン)指導部は企業の信用問題が金融機関に飛び火するリスクを回避したい考え。金融システムに波及すると、不動産業界にとどまらず広い範囲でマネーの流れが凍り付く恐れがあるためだ。中国共産党の経済政策の重要会議、中央財経委員会では8月、「共同富裕(ともに豊かになる)」と並んで金融リスクの解消を議題とした。一定の債務不履行を認める一方、銀行の連鎖破綻や預金の取り付け騒ぎは防ぐ方針だ。

中国国内の金融市場の反応は今のところ限られる。短期金融市場では、上海銀行間取引金利(SHIBOR)翌日物が2%台で低位安定している。

中国政府による金融システム安定化の代表的な取り組みが経営不振銀行への公的資金の注入だ。中国政府は昨年、地方政府がインフラ債券の発行で調達した資金を中小銀行の公的資金向けに転用することを認めた。金額は2000億元にのぼり、すでに多数の中小銀行が公的資金の注入の対象となっている。

リスクはくすぶる。恒大は中国東北部の地方銀行、盛京銀行の筆頭株主だ。同行の総資産は1兆元に対し、資本は約800億元にとどまる。同行と恒大がどのような取引をしているかは公表されていないが、7月末に中国の格付け会社が同行を「顧客と業種の集中リスクに直面している」として格下げした。同格付け会社によると「単一顧客向け与信が同行の資本に占める割合が高水準で、規制上限を超えている」という。

習指導部が掲げる共同富裕は、富裕層からの所得再分配を強化し、貧困層を引き上げるとともに中間層を分厚くする構想だ。投機対象となる不動産は融資や販売価格など強い規制にさらされている。

中国では海航集団や紫光集団など大型企業が社債のデフォルトを起こした末、「破産重整」と呼ぶ法的整理の枠組みで再建を進めることになった。金融システムの動揺は抑えられてきたが、恒大はドル債だけで195億ドル(2兆1000億円)の残高を抱える。恒大問題が万一金融危機に発展すれば、損失は世界に広がる。

米格付け会社S&Pグローバルは20日、「中国政府は恒大を直接支援することはない。政府が介入するのは、多数の不動産会社が破綻し、中国経済にシステミックリスクが生じた場合に限られる」との見解を公表した。中国政府は恒大の全面救済は避けつつも、金融システムの破綻を防ぎ切れるかの難路に差し掛かる。

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台湾、TPPに加盟申請 中国の反発必至

台湾、TPPに加盟申請 中国の反発必至
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM22D0C0S1A920C2000000/

『【台北=中村裕】台湾当局が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を22日に正式に申請したことが分かった。23日に当局者が詳細を発表する。すでに事務局の役割を担うニュージーランド政府に申請書類を提出し、すべての加盟国に参加への支持を要請した。

台湾の行政院(内閣)が22日夜、明らかにした。TPPを巡っては台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権と対立を深める中国が16日に加盟申請したと発表したばかり。台湾の加盟には中国が反発するのは必至で、加盟交渉は難航が予想される。

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TPPには現在、日本など11カ国が加盟しており、英国も2月に加盟を申請している。参加にはすべての加盟国の同意が必要となる。台湾は中国の参加のもとで2022年1月の発効をめざす東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)には加わらず、TPP加盟と米国との自由貿易協定(FTA)締結を目指してきた。

台湾はTPP加盟国のうち、ニュージーランドとシンガポールの2カ国とすでにFTAを結んでいる。蔡政権はこれまで非公式にTPPへの加盟希望を関係国に伝えてきたが、中国の加盟申請の発表を受けて、作業を急いだ可能性が高い。

台湾のTPP加盟に向けたハードルは高い。中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を唱える中国の習近平(シー・ジンピン)政権は、台湾の加盟阻止に向けた関係国への外交的な働きかけを強めるとみられる。

中国共産党系メディアの環球時報(電子版)は22日、台湾のTPP加盟申請について「かく乱だ」と批判した。国務院台湾事務弁公室の報道官が「中国と国交を結んだ国が台湾と協定を締結することに断固反対する」とコメントしたとも伝えた。

一方、台湾当局は民主主義の価値観を共有する日本などに加入を支持するよう強く働きかける方針。今後、中台のTPP加盟を巡る外交的な駆け引きが激しくなりそうだ。

中国からの圧力が強まるなか、蔡政権は米国とのFTA交渉にも動いている。6月には米国と1994年に署名した「貿易投資枠組み協定」に基づく協議の再開にこぎ着け、FTA交渉への準備作業を開始した。

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この記事の英文をNikkei Asiaで読む 』

台湾のTPP加盟、根回し不足の申請に

台湾のTPP加盟、根回し不足の申請に 実現に難題多く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM22EF30S1A920C2000000/

『【台北=中村裕】台湾当局が22日、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したことを明らかにした。23日に詳細を公表する。ただ、中国は台湾の加盟に強く反対する方針。米国がTPPから離脱した現在、中国の圧力を受けながら台湾の加盟を強力に後押しできる国は乏しいのが実情だ。

TPPには現在、日本やオーストラリアなど11カ国が加盟している。参加するためには、加盟国すべての同意が必要となる。台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権はかねてより中国に依存した経済からの脱却を図るため、TPP加盟に意欲を見せていた。加盟国と水面下で協議も持ち、賛成票を得るための根回しを続けている段階にあった。

TPP加盟国には、中国と強い貿易関係で結ばれる南米のチリやペルーや東南アジアの国々が多く含まれる。台湾が拙速にTPP加盟申請を行えば、中国が加盟各国に圧力をかけることも予想された。そのため、台湾は慎重に各国と話を進め、大方の同意が得られてから、正式にTPPの加盟申請を行う段取りを描いていた。

しかし中国が突如、16日に台湾に先んじてTPPへの加盟を正式申請したと発表した。中国がTPPへの加盟手続きを進め、参加国との関係を強めれば、さらに台湾のTPP加盟へのハードルが高くなる。国際的な孤立が深まる恐れもあることから、台湾当局は加盟申請を急いだとみられる。

台湾のTPP加盟の実現には難題が多い。最大の問題は中国だ。22日夜、台湾のTPP加盟の正式申請の報道が伝わると、即座に中国共産党系メディアの環球時報(電子版)が「かく乱だ」などと批判した。

中国がTPPに加盟できなくても、台湾の加盟には大きな困難が伴う。加盟各国との根回しが十分に終わらないまま、TPPへの加盟申請を行うことになったためだ。今後、中国が台湾の加盟を阻止するために、経済力をテコに東南アジアなどの加盟国に対する働きかけを強める可能性が高い。

こうした中国の行動をけん制し、台湾の加盟を後押しすることも予想された米国がTPPに参加する意欲を失ってしまったことも台湾にはマイナスになっている。

TPPを主導する日本とも大きな問題を抱える。台湾は東日本大震災からの10年余り、福島県や茨城県など5県の農産品の輸入を全面禁止にしてきた。台湾では今でも5県産の農産品の輸入に対する市民の反対が根強い。TPPへの加盟のために輸入解禁を強行すれば、反対運動が起こって政権運営を揺るがしかねない事情がある。

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対中姿勢、迫られる踏み絵 台湾もTPP加盟を申請

対中姿勢、迫られる踏み絵 台湾もTPP加盟を申請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22DEE0S1A920C2000000/

『中国に続き、台湾が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。加盟が認められれば、その後の新規加盟に拒否権を持つため、日本などの加盟国は事実上、中国と台湾のどちらかを選ぶ踏み絵を迫られる。安全保障の観点も交えた難しい判断が求められる。

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「民主主義や法の支配を守る台湾の加入申請を政府として前向きに受け止める」。外務省幹部は22日夜、日本経済新聞の取材に対しこうコメントした。

台湾は日本とは自由貿易協定(FTA)を結んでいない。「協定の内容に特化した非公式協議をしたことがないため加盟のハードルは未知数」(日本政府の通商政策担当者)という。

それでも中国が申請した際に「高いレベルを満たす用意が本当にできているのかどうか見極めていく必要がある」などと閣僚が慎重姿勢を示したのとは対照的だ。

TPPは日本やカナダ、オーストラリアなど11カ国が参加する大型連携協定だ。新たに加盟する際には既存の参加国が全会一致で認める必要がある。対立する中台のどちらかが加盟すればもう片方の加盟は難しくなる。

既に加盟国の間で温度差が出ている。中国の加盟申請に対し、シンガポールとマレーシアは歓迎する立場を表明した。一方、メキシコは慎重な姿勢だ。中国が入れば、TPPを離脱した米国を引き戻すのが難しくなる。メキシコの最大の貿易相手は米国で、米中の摩擦が深まる中で、中国の加盟に支持は打ち出しにくい。

オーストラリアも難色を示す。同国が新型コロナウイルスの発生源に関して独立調査を求めたことに反発した中国は、豪産大麦やワインへの高関税や、石炭などの輸入制限の措置をとった。テハン貿易・観光・投資相は中国が高関税などの問題を解決しない限りは、中国の交渉入りを支持しない姿勢を示唆する。

TPPを巡っては、先に加盟申請した英国との調整が本格化している。英国との交渉入りの際には、加盟国の閣僚らで現行ルールを守ってもらう方針を確認した。中国や台湾も同様に、まずは高水準の貿易自由化や透明性あるルールを受け入れるのが前提となる。

6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の共同宣言に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と盛り込むなど、台湾を巡る動きは米中対立の最前線といえる。

相次ぐ加盟申請でTPPがその重要な舞台の一つとなり、経済だけでなく安保面も考慮した外交面の駆け引きが激しさを増すことになる。

(江渕智弘、金子沙月)

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米中首脳、衝突回避へ駆け引き 国連総会舞台に

米中首脳、衝突回避へ駆け引き 国連総会舞台に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2234Q0S1A920C2000000/

『【ニューヨーク=中村亮、北京=羽田野主】バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が21日(米東部時間)、対立を深める両国の関係のあり方を巡って国連総会の演説で駆け引きを繰り広げた。習氏は気候変動対策をめぐる米欧との協調の可能性をちらつかせた。バイデン氏も中国との「新冷戦を志向しない」と発言。衝突回避に向けた対話のシグナルを送った。

習氏は国連総会の一般討論でビデオ演説し、海外で石炭火力発電所を新設しない考えを表明した。これは米国のケリー大統領特使(気候変動問題担当)が8~9月に訪中し、中国共産党の序列7位の韓正(ハン・ジョン)副首相らとオンラインで協議した際に中国側に求めた内容とされる。

国連総会の一般討論で習氏が演説するのは2年連続だ。今年はもともと副首相クラスが出る予定だったが、急きょ習氏の登板が決まり、演説の日程も繰り上がった。米欧の関心の高い気候変動問題でトップ自らが協調姿勢を示すことで、さらなる米国との関係悪化を回避する思惑が透ける。

バイデン氏は演説で中国を念頭に「大国は競争が衝突に発展しないように、関係を慎重に管理する責任がある」と呼びかけた。バイデン氏は9月に習氏と電話協議し、緊張緩和に向けて努力することで一致した。台湾海峡や南シナ海では米軍の艦船が往来し、中国も軍事演習をくり返しており、偶発的衝突のリスクが高まっている。それだけに米中双方とも対立のエスカレートへの危機感は強い。

ただ、政策面では米中の立場の隔たりは大きい。バイデン氏は気候変動対策では「今後10年間が世界共同体としての我々の将来を決定づける」と語り、中国に協力を訴えた。

習氏は二酸化炭素(CO2)の削減目標について「2030年までに排出量がピークを迎え、60年までに実質ゼロを達成するには厳しい努力が必要だが、全力を尽くす」と述べるにとどめた。昨年表明した削減目標をなぞった形で、目標の深掘りを求めてきた米国に譲らない姿勢をみせた。

【関連記事】
・バイデン氏「米中新冷戦を志向せず」 初の国連演説
・習氏、海外の石炭火力建設中止を表明 国連演説で

民主主義など基本的な価値観を巡る対立も改めて浮き彫りになった。バイデン氏は「権威主義者は民主主義の時代の終わりを主張しようとするが間違っている」と断言した。バイデン氏は民主主義陣営と、中ロを軸とする強権主義陣営が競争状態にあるとみており、同盟国に結束を改めて促した。

一方で習氏は米軍のアフガニスタン撤収後の混乱を念頭に「外部からの軍事干渉と民主改造が際限のない害を及ぼすことを改めて証明している」と批判した。米国によるアフガン民主化の失敗例を挙げて、民主主義が最善の政治体制ではないと訴える狙いがあったとみられる。

米主導の対中包囲網づくりを揺さぶる構えもみせた。米国と英国、オーストラリアの新たな安全保障の枠組みを念頭に「小さなサークル作りを切り捨てなければならない」と発言した。豪州が潜水艦配備を巡る協力国をフランスから米英に乗り換えたことについて、仏や欧州連合(EU)が強く反発している。

バイデン氏は欧州との関係の立て直しに追われた。21日にモリソン豪首相やジョンソン英首相とそれぞれ会談し、対中政策で協力を深化させることで一致した。ブリンケン米国務長官は22日、ニューヨークでEUのボレル外交安全保障上級代表と会談し、米英による豪州の原潜配備への支援に理解を求める見通しだ。

マクロン仏大統領は国連総会での演説を取りやめた。米国との関係悪化が理由との見方が出ている。米仏首脳の電話協議は22日に開かれる見通しだが、関係修復には時間がかかる可能性がある。

【関連記事】
・米豪首脳、対中国へ欧州と協力 潜水艦問題の火消し急ぐ 
・マクロン氏、国連総会演説取りやめ 米に反発か 』

[FT]米失業給付の上乗せ終了 人手不足解消は期待できず

米国で数百万人が受給していた連邦政府による失業保険給付の上乗せは9月6日に終了したが、就業者の大幅な増加につながる可能性は薄いことがフィナンシャル・タイムズ(FT)の分析やエコノミスト、業界アナリストによる調査から浮かび上がった。

米クリーブランド連邦準備銀行のメスター総裁は9月、子どもの世話が復職の妨げになっている可能性が高いとの認識を示した=AP

9月までの特別加算措置により失業者は2021年、州による失業給付に加えて連邦政府から週300ドル(約3万3000円)を受給していた。その終了で750万人超が新型コロナウイルス禍対策の特例措置を受けられなくなった。

給付打ち切ったほうが雇用増の結論導き出せず

連邦政府による追加給付は政治的対立を招き、多くの共和党幹部は失業者の復職を妨げ、経済回復を阻む全国的な人手不足を悪化させていると主張していた。

6月に22州が上乗せを前倒しで打ち切り、夏の半ばまでにさらに4州が追随した。図らずも、継続している州との対照実験のような状況に至った。

FTが米労働省の月次統計をまとめたところ、追加給付を打ち切った州は継続した州よりも早く雇用が増加したという結論は導き出せなかった。多くの州が上乗せの早期終了を打ち出した5月から8月までの非農業部門の就業者数の増加率は、両グループとも約1.3%だった。

「失業給付が労働力の供給と雇用の増加を妨げていたとの捉え方は完全に間違っている」と英調査会社オックスフォード・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、グレゴリー・デイコ氏は指摘する。「確かに要因の一つではあったが、唯一の要因ではなかった」

20年の大部分を通じて、連邦政府は失業給付に週600ドルを上乗せした。インターネット経由で単発の仕事を請け負うギグワーカーやその他の自営業者、パートタイムで働く人も、コロナ禍の影響で雇用に制約を受けた人々とともに補償を受けていた。

米投資調査会社エバーコアISIのピーター・ウィリアムズ氏によると、それらすべてを合わせた20年3月~21年8月の給付額は8500億ドルに上る。

連邦政府による特例措置の終了は労働市場の回復の重大な局面と重なった。旺盛だった雇用の拡大が8月に失速し、わずか23万5000人の増加にとどまったのだ。

それぞれ約100万人の雇用増となった6、7月からの大幅な減速で、何が人々の復職を妨げているかが大きな焦点となっている。

10代の就職増加、実態を隠す要因にも

追加給付の早期終了はわずかながら失業者の復職を促したとする調査結果も出ている。だがエコノミストらは、そうした効果があったとしても大きくはなく、一時的なものであるはずだと警鐘を鳴らす。雇用の回復を妨げている深刻な人手不足は解消しにくいものであることをうかがわせる。

求人情報サイトを運営する米インディードのチーフエコノミスト、ジェド・コルコ氏は連邦政府の雇用統計の分析から、5~8月の失業者の減少ペースは追加給付を打ち切った州のほうがわずかに速くなっていたことを突き止めた。

だがその差は、追加給付を継続した州での雇用増によって縮まっていた。そうした州での就業者の増加は、失業者よりも労働市場の外にいた人々(積極的に求職活動をしていない非就業者)によるものだった。

そうした州では欠員を埋めるのに10代の若者が大きな役割を果たした。米マサチューセッツ大学のアリンドラジット・デュベ教授(経済学)は、追加給付を継続した州では7月に10代の就職者数がほぼ2倍の水準に及んでいたことを明らかにした。

同教授によると、一部の州では新たに労働市場に加わる人たちが満たしていたかもしれない求人を失業者が満たす「混雑効果」が生じる恐れが懸念材料だという。

「雇用の創出ではなく職を得る人を代えるというようなもの」で、雇用状況が実際よりよくみえることになっているかもしれないという。

米コロンビア大学の研究者カイル・クームス氏とデュベ教授らの研究チームは4月時点で失業給付を受けていた低所得労働者1万8000人余りの、匿名を条件にした銀行口座記録を対象に調査した。調査に基づいた同チームの最近の研究論文によると、連邦政府の追加給付を早期終了した州の雇用状況にはわずかな差しか表れていないという

8月までに、追加給付を継続した州では調査対象者の22%が復職した一方、打ち切った州では26%が復職していた。

子どもの世話も復職の妨げに

復職を難しくしているのは、むしろ他の諸要因だ。追加給付を早期終了した諸州は、インド型(デルタ型)の変異ウイルスによる打撃が特に大きい地域と重なっている。8月にこれらの州でレジャー・ホスピタリティー分野の雇用が減少する一方、それ以外の州では増加した。

「多くの人の復職を妨げているのは、恐らく実生活とコロナ禍に伴う日常生活の変化だろう」とみるのはスイス金融大手クレディ・スイス・グループのチーフ米国エコノミスト、ジェームズ・スウィーニー氏だ。「労働供給が実態を伴うように変わるには、感染が減ってコロナ禍に対する人々の恐怖感が薄れる必要がある」

米クリーブランド連邦準備銀行のメスター総裁は9月、子どもの世話が復職の妨げになっている可能性が高いとの認識を示した。学校再開でそうした制約が和らぎ、さらなる労働市場の拡大につながるはずだという。

追加失業給付の終了が労働市場にもたらす影響は限定的にとどまることを踏まえて、エバーコアのウィリアムズ氏は当面の雇用増を多くても月間20万~25万人にとどまると予測している。

エコノミストたちは今、コロナ禍前よりも失業者が530万人多い状況の中で、支援の縮小がもたらすかもしれない影響を検討するようになっている。

「追加給付の終了は、各世帯の雇用状況を改善するより、家計に打撃をもたらす恐れがある」とオックスフォード・エコノミクスのデイコ氏は警鐘を鳴らす。

By Colby Smith & Christine Zhang

(2021年9月22日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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米、ハイチ出身者に滞在許可か AP報道

米、ハイチ出身者に滞在許可か AP報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22EJF0S1A920C2000000/

『【メキシコシティ=宮本英威】米政府は、米南部テキサス州に押し寄せたハイチ出身者の一部に滞在を認めたもようだ。米政府の担当者が21日、AP通信の取材に匿名で明らかにした。「非常に、非常に大きな規模」だといい、数千人に達した可能性がある。60日以内に移民局への出頭を求められているという。

メキシコとの国境地帯にあるテキサス州デルリオには先週から1万4000人規模が押し寄せた。仮設キャンプが設けられて、政情が不安なハイチを中心に、キューバやベネズエラ、ニカラグアからの人々もいる。

米政府は19日以降、500人以上をハイチの首都ポルトープランスに強制的に送還した。マヨルカス米国土安全保障長官は20日に送還を加速する考えを示していた。

ただ国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は21日、米政府による強制送還を念頭に「難民申請の機会を否定している」と懸念を表明した。こうした国際社会の反応を受けて、米政府が対応を緩和した可能性もありそうだ。

【関連記事】
・米、ハイチからの移民を強制送還
・米テキサス州に難民1万人 政情不安のハイチから避難 』

FOMC声明要旨 「改善進めば、購入ペース早急に緩和」

FOMC声明要旨 「改善進めば、購入ペース早急に緩和」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22EON0S1A920C2000000/

『【ワシントン=長沼亜紀】22日発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明要旨は以下の通り。

米連邦準備理事会(FRB)はこの試練のときに米経済を支え、雇用の最大化と物価の安定という目標を推進するために、あらゆる手段を使うことを約束する。

(新型コロナウイルス)ワクチン接種の進捗と力強い政策支援を受け、経済活動と雇用の指標は引き続き強さを増している。パンデミックによる打撃がもっとも大きかった産業はこの数カ月改善しているが、コロナウイルスの感染増で回復ペースが落ちている。物価上昇率は、主に一時的な要因を反映して高まっている。経済および米国の家計と企業の信用の流れを支える政策措置もあり、金融情勢は全般に依然として緩和的だ。

景気の動向は、依然としてウイルスの拡大状況に左右されている。ワクチン接種の普及により、公衆衛生の危機が景気に及ぼす影響は引き続き小さくなる可能性が高いものの、経済の先行きへのリスクは残っている。

FOMCは雇用の最大化と長期的な2%のインフレ達成を目指している。物価上昇率がこの長期目標を下回る状態が続いていることから、当面は2%よりやや上のインフレ達成を目指す。そうすることで、インフレ率が長期的に平均で2%になり、長期インフレ予測が2%で安定するようにする。

これらの成果が出るまで金融政策の緩和的スタンスを維持すると予測している。

FOMCは(政策金利である)フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0~0.25%に据え置くことを決定した。労働市場の情勢がFOMCの雇用最大化の判断と一致する水準に達し、インフレ率が2%に上昇して当面は2%をやや上回るところで軌道に乗るまで、この目標レンジを維持することが適切と予測する。

FOMCは昨年12月、雇用最大化と物価安定の目標に向けてさらなる大きな前進を遂げるまで、国債保有を少なくとも月800億ドル、ローン担保証券の保有を少なくとも月400億ドル増やし続けると表明した。その後、経済はこれらの目標に向けて前進している。経済の改善がおおむね予想通りに進めば、資産購入のペースを早急に緩和する必要があると判断する。こうした資産購入は円滑な市場機能と緩和的な金融情勢の促進を助け、家計と企業の信用の流れを支える。

金融政策の適切なスタンスを判断するにあたって、FOMCは引き続き、景気見通しについて経済指標が示す意味を注視する。目標達成を妨げるリスクが現れた場合は、金融政策のスタンスを適切なものに調整する準備がある。公衆衛生、労働市場の状況、インフレ圧力・インフレ予想の指標、金融動向や国際情勢を含めた幅広い情報を考慮して判断していく。
決定はパウエル議長及びウィリアムズ副議長を含む11人のメンバー全員の賛成による。』

FRB議長「22年末には利上げに適した状況に」

FRB議長「22年末には利上げに適した状況に」 会見要旨
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22ET40S1A920C2000000/

『米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は22日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を開いた。中期的な経済・政策見通しについて、「FOMC参加者の半数が(ゼロ金利政策の解除に)望ましい経済状況が2022年末には実現すると考えている」と述べた。主な発言と質疑応答は以下の通り。

きょう、我々は政策金利をゼロ近傍に据え置き、一定量の国債購入を維持すると決めた。金利とバランスシートに関する我々の力強いガイダンス(指針)と合わせて、金融政策が、経済が回復をなし遂げるまで強く支えることを保証するだろう。ワクチン接種の進捗と前例のない財政出動も強く回復を支えている。

経済活動の指標や雇用指標は引き続き改善している。21年前半の実質国内総生産(GDP)は(年率)6.4%増と力強いペースで、後半も力強いペースを維持すると広く期待されている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の打撃を最も受けた分野も改善しているが、感染拡大が回復を遅らせている。

家計による消費は経済再開を受けて年前半はとりわけ急速に増えたが、7~8月は感染拡大で特に旅行や飲食店で減速した。産業によっては、短期の供給制約が活動の足かせとなっている。特に世界的な半導体不足で生産量が減っている自動車業界で深刻だ。こうした状況を踏まえ、FOMC参加者は21年の経済成長率予測を6月時点と比べいくらか下方修正した。それでも依然として強い成長率を予測している。

雇用情勢は改善し続けてきた。8月は特に娯楽やホテル産業などパンデミックの影響を受けやすい分野で雇用の回復が鈍った。子供のケアの必要性やウイルスへの恐れが重荷となっているようだ。今後数カ月でこうした要因は薄れ、より急速な雇用増につながるだろう。FOMC参加者は雇用情勢が改善し続けるとみている。

物価上昇は進んでおり、落ち着くまで数カ月は高い物価上昇率が続くだろう。経済再開で消費が持ち直すのに伴い、特に短期的な供給制約が物価の上昇圧力となっている。供給制約は予想より大きく長引いているため、FOMC参加者は21年の物価上昇率予測を上方修正した。供給制約の影響は今こそ目立つが、次第に薄れ、物価上昇率は我々の長期的な目標(2%)に向けて下がっていくだろう。予測の中央値は21年は4.2%だが、翌年には2.2%に下がる。

金融政策の枠組みでは物価の安定と最大雇用の実現に向けた我々の能力を高めるために、期待物価上昇率が固定されることが重要だ。もし物価上昇の道筋や、長期的な期待物価上昇率が実際に、長期にわたって我々の目標を超えるような兆候があれば、金融政策の構えを調整する用意がある。

FRBの施策は米国人のための最大雇用と物価安定の促進という我々の使命によって導かれる。金融システムを安定させることにも責任がある。資産購入は重要な施策であり続けた。パンデミック初期に金融安定性と市場機能を保つよう支えた。経済を支えるための緩和的な金融緩和環境を醸成するのに役立った。我々は本日の会合で、我々の目標に向けての進捗を議論した。20年12月に資産購入に関するガイダンスを導入してから、経済は目標に向かって前進した。

このまま予想通りの幅広い進展が続けば、FOMCは、購入の減額が早急に正当化されるとの判断を下すだろう。我々は経済状況が我々の基準を満たした際の適切なテーパリング(量的緩和の縮小)のペースについても議論した。まだ何の決定も下していないが、参加者は概して回復が軌道に乗る限り、来年の中ごろに終える緩やかなテーパリングが適切であろうとの見方を示した。我々がバランスシートの拡大を終えても、長期債の保有を増やしたことは緩和的な金融環境を支え続けるだろう。

今後の資産購入の減額の時期やペースは、政策金利の引き上げの時期に直接的な示唆を与えるものではない。金利に関しては、異なる、より厳重な一連の評価を経る。我々は労働市場が最大雇用と評価できる水準に達するまでは、政策金利の誘導目標を引き続き現状の0~0.25%で維持するのが適切だと考えている。物価上昇率は2%に達し、しばらくの間2%を適度に超えるような軌道だ。

FOMC参加者の半数はこれらの望ましい経済環境が22年末までに実現すると考えている。その結果、適切な政策金利の水準の予測の中央値は、22年の下限値をわずかに上回る。参加者は24年にかけて政策金利が長期的な見通しを少し下回る水準まで上がる、緩やかな金融引き締め策を予測している。

これらの予測は委員会の決定や計画を示すものではなく、今後数年の経済がどこに向かうのか誰も確信を持ってはいない。あらゆる予測より重要なのは、最大雇用と物価安定目標を達成するまで金融政策は極めて緩和的であり続けるという事実だ。

一問一答
――テーパリングに向けた経済状況をどう見ているか。9月に、想定していた雇用回復が見られない場合は。

「物価と雇用で『さらなる著しい進展』が見られるかについてだが、物価上昇率は我々の目標を上回る水準に上昇しており、基準が満たされたと判断している。問題は完全雇用だ。雇用は目標の50~60%程度まで到達したといえる。多くのFOMC参加者が雇用はかなり進展したとみているが、もう少し進展がみたいという者もいる。私自身は目標達成間近だと見ている」

「物価と雇用の両方の目標を達成したと我々が判断したら、テーパリングを始める。決定する時期は早ければ次の会合になるかもしれない。経済が想定通りに回復して適切と判断すれば、次回の会合で容易に前進できるだろう。多くの参加者は既に『さらなる著しい進展』が満たされていると感じており、私自身もほとんど満たされていると考えている。個人的には非常に力強い雇用統計を確認する必要はないと思うが、良い(9月の)雇用統計を期待している」

――テーパリングの開始時期についてこれまでどんな議論がなされたか。利上げの時期に関してはどうか。

「もっと早くテーパリングを始めたいという意見もあった一方で、早めると金融システムの安定性が懸念されるとの意見もあった。ただ22年半ばまでにはテーパリングを終えるのが適当という点では参加者の幅広い支持を得た。利上げの判断は労働市場の状況次第だ。労働市場は多くで逼迫を示している一方で、ひずみもある」

「こうした不均衡は物価上昇率を2%を緩やかに上回る状況に導くだろう。22年を通じて物価上昇率が(2%よりも)大きい状況を保てば利上げの条件はそろう。22年以降の物価上昇率は2.1~2.2%程度と小幅の上振れにとどまるとみている。22年末の経済予測をみると、何人かは非常に低い失業率を予測しており、強い労働市場を意味する。参加者の中で23年まで利上げをしないとみるのは1人だけだ。利上げ時期の見通しは比較的統一されているといえる」

――物価上昇が想定外に加速した場合、テーパリングを終える前に利上げを迫られる可能性はあるか。

「それは予測していない。必要な場合は、テーパリングの速度を調整することが可能だ」
――テーパリングの後、バランスシートの縮小などは検討するのか。

「テーパリングにはいくつか考慮しなければならない関連する問題がある。バランスシートの規模もその1つだが、まずは緩和縮小の決定をしてから、これらの問題に取り組みたい」

――企業債務についてどの程度懸念しているか。(中国の不動産大手)中国恒大集団の債務問題は、警戒を促すものとみなすか。

「米国企業による債務不履行は現状極めて少ない。中国恒大集団の状況は、新興国市場で非常に大きな債務を抱えている中国固有の状況に思える。米国による直接の投融資は多くなく、米国の企業部門とあまり関連付けられるとは考えていない」

――米議会が連邦政府の債務上限を引き上げない場合、経済への影響は。

「米国が期日通りに債務を返済できるよう、債務上限を適切に引き上げることは非常に重要だ。(引き上げに)失敗すれば、経済や金融市場に深刻な打撃を与える可能性がある。米国は債務不履行に陥るべきではない。失敗した場合、FRBなどが市場や経済を守ることができると考えるべきではない」

――自身のFRB議長の再任可能性について、ホワイトハウスと話し合ったか。

「米国民のための日々の職務に集中しており、その件にはコメントすることはない」

――金融監督統括の副議長にはどのような役割があるのか。現クオールズ副議長が10月に任期を終えた後の方針は。

「ドッド・フランク法(米金融規制改革法)によって作られた役職で、規制の枠組みを設定する責任がある。新たに就く人が現在の規制や監督状況を踏まえて、適切な変更を提案することは正しく、私はそれを歓迎する。任期に関しては新しい情報を持ち合わせていない」

――ダラス地区連銀のカプラン総裁などFRB高官が株式の売買をしていた事実を把握していたか。適切だと思うか。

「把握はしていなかった。米国民の信頼を維持することは我々の任務を遂行する上で欠かせない。よってFRB高官による金融商品の保有などが倫理規定に反するかの調査を指示した。規定では銀行株の保有禁止や、FOMC直前と開催中の取引禁止、FRB高官による金融商品の売買や保有についての開示などが定められている。この枠組みは長らく適用されてきたが、国民の信頼を維持するのに不十分との意見もある。今後、状況を徹底的に精査し、規定を厳しくするか検討する」

(米州総局=大島有美子、伴百江、長沼亜紀、野村優子)

【関連記事】
・FRB、量的緩和縮小11月にも決定 利上げも前倒し示唆
・FOMC声明要旨 「改善進めば、購入ペース早急に緩和」』

「恒大問題は中国特有」パウエル氏発言好感(NY特急便)

「恒大問題は中国特有」パウエル氏発言好感(NY特急便)
米州総局 宮本岳則
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22EZD0S1A920C2000000/

『22日の米株式市場は買い戻し優勢の展開となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は11月にも量的緩和縮小(テーパリング)の開始を決めると表明したが、市場のほぼ想定内の内容だった。中国恒大集団の債務不安について「中国特有の問題」と発言したことも、投資家に安心感をもたらした。
「米国株は『FOMCでサプライズなし』を見越して上昇していた」。米サスケハナ・インターナショナル・グループのデリバティブ戦略共同責任者、クリストファー・マーフィー氏はこう指摘する。ダウ工業株30種平均は反発して始まり、声明公表前に上げ幅は一時、400ドルを超えていた。特にエネルギーや素材関係など景気動向に左右されやすい銘柄の上昇が目立った。

マーフィー氏が注目したのはデリバティブ(金融派生商品)市場の動きだ。22日の朝方、10月以降の米株相場上昇を見越したオプション取引に5000万ドル(約55億円)が投じられていた。午後も同様の取引が見られたという。中国恒大問題を受けて、ダウ平均は20日に7月以来の下げ幅を記録したが、「大口投資家が上昇再開を見込んで動いた」と分析する。

2013年5月に当時のバーナンキFRB議⻑が意図せず引き起こした市場の動揺を教訓に、パウエル議長は時間をかけて「地ならし」を進めてきた。8月のジャクソンホール会議の演説では、利上げとテーパリングを切り離して考えていることを強調し、テーパリング決定の自由度を高めた。こうした戦略が功を奏し、市場の「サプライズなし」予想につながっていたとみられる。

パウエル議長はこの日の記者会見でテーパリングについて「来年半ば」までに終えるのが適当との見解を示したうえで、11月にも開始を決定すると表明した。終了時期は市場の予想よりもやや早かったが、「(パウエル氏の発言は)想定内で、驚きはない」(インバーネス・カウンセルのティム・グリスキー氏)といった受け止めが支配的で、ダウ平均は高値圏で終えた。

市場の関心はテーパリングよりも、中国恒大問題に向かっていた。パウエル議長は記者会見で恒大のデフォルト(債務不履行)不安は「中国特有の問題」と指摘したうえで、米企業債務への懸念にはつながらないとの見解を示した。さらに米国の投資家が直接保有する恒大債は「それほど多くない」とも述べた。パウエル氏の楽観的な発言を受けて、ダウ平均は上昇した。

「中国当局は近く中国恒大の債務再編で介入し、10月に緩和へ踏み切る」――。ウォール街ではこんな見方も浮上し、同問題への警戒感は朝方から後退していた。パウエル議長の発言も心理的な後押しになったようだ。米雇用の伸び鈍化、債務上限を巡る米政治の混迷――。株高持続のハードルは確実に高まっているが、22日の値動きを見る限り、投資家の買い意欲は根強いといえる。

(ニューヨーク=宮本岳則)』

NYダウ反発、338ドル高 FOMC想定内で安心感

NYダウ反発、338ドル高 FOMC想定内で安心感
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN00001_T20C21A9000000/

『【NQNニューヨーク=古江敦子】22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前日比338ドル48セント(1.0%)高の3万4258ドル32セントで終えた。中国の不動産大手、中国恒大集団の経営不安が和らぎ、買いが入った。午後に結果が発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)は、テーパリング(量的緩和の縮小)の年内開始が示唆されるなどほぼ想定通りの結果となり、買い安心感が広がった。

中国恒大は23日が期日の人民元建て社債の利払いを実施すると発表した。金融システムや中国経済への悪影響がひとまず回避できるとの見方から、投資家心理が持ち直した。中国での売上高が大きい航空機のボーイングや化学のダウなど資本財や素材銘柄が買われた。米原油先物相場の上昇で石油のシェブロンも高い。

午後にFOMCの結果が発表されると、ダウ平均は上げ幅を一時520ドルに広げた。声明では景気回復が予想通りに進めば「資産購入ペースを緩めることが近く正当化される」と明示し、次回11月のFOMCでのテーパリング開始決定が示唆された。パウエル議長は記者会見で「資産購入縮小の時期とペースは、より厳格なテストに従って判断する利上げの時期についての直接的なシグナルではない」と述べ、利上げには慎重に臨む姿勢を改めて強調した。

市場では「ほぼ想定通りの内容となり、金融政策の先行き不透明感が払拭された」(大和キャピタル・マーケッツアメリカのシュナイダー恵子氏)と指摘された。FOMCに向けて積み増していた売り持ち高を解消する動きにつながった。

FOMC参加者による政策金利見通し(ドットチャート)では利上げ開始時期が来年に前倒しされた。利上げは株式にとって逆風だが「政策が後手に回り、インフレ加速が経済を冷やす懸念が払拭され、むしろ買い安心感につながった」(CFRAのサム・ストーバル氏)との声も聞かれた。

ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、前日比150.449ポイント(1.0%)高の1万4896.847で終えた。スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトが買われ、半導体のエヌビディアなども上げた。長期金利の低下も高PER(株価収益率)銘柄が多いハイテク株の買いを後押しした。』

FRB、量的緩和縮小11月にも決定 利上げも前倒し示唆

FRB、量的緩和縮小11月にも決定 利上げも前倒し示唆
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2046G0Q1A920C2000000/

『【ワシントン=大越匡洋】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は22日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、量的緩和縮小(テーパリング)の開始を次回会合がある11月にも決定する見通しを表明した。FOMCは景気減速と高インフレが同時に進むなか、ゼロ金利の解除時期を2022年に前倒しする可能性を示した。

【関連記事】
・FOMC声明要旨 「改善進めば、購入ペース早急に緩和」
・テーパリング「次回会合で決定も」 FRB議長
・FRB議長「22年末には利上げに適した状況に」 会見要旨

FOMCの声明はテーパリングに関し、経済回復が予想通り進めば「資産購入ペースを緩めることが早急に十分な根拠を得るだろう」との判断を示した。FRBは現在、米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を同400億ドル購入している。パウエル議長はテーパリングを「来年半ば」までに終えるのが適当との見解を示した。

新型コロナウイルスの感染が再拡大しているのに加え、中国不動産大手、中国恒大集団の経営不安から世界の金融市場に不安が広がっている。異例の金融緩和政策の正常化への道のりは平たんではない。

今回のFOMCは正副議長や理事、地区連銀総裁ら参加者18人がそれぞれ中期の経済・政策見通し(SEP)を提示した。22年に利上げを見込むのは9人となり、利上げによってゼロ金利を解除する見通しが中央値となった。前回6月の予測では23年にゼロ金利の解除を見込んでいた。23年、24年は中央値で年3回ずつの利上げを見込む。

パウエル議長はテーパリングの開始がそのまま利上げの検討を意味するわけではないとし、急速な金融引き締め観測が市場に広がるのをけん制した。恒大集団の問題は「高水準の債務を抱える中国に特有のようだ」とし、米国への影響は現時点で大きくないとの見方を示した。来年2月に任期が切れる自身の再任に関しては「言えることは何もない」と述べた。

デルタ型の感染拡大や財政出動の息切れを受け、景気の減速リスクが高まる一方、供給制約が長引き、インフレの加速が続く恐れが拭えない。

今回、FOMCは21年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比5.9%増えると予測し、前回6月予測(7%)から下方修正した。22年は3.8%、23年、24年はそれぞれ2.5%、2.0%の成長を見込む。FOMCの声明は新型コロナの感染拡大が「回復ペースを鈍らせている」と指摘した。

一方、物価上昇率は21年10~12月期に4.2%を見込み、6月予測から0.8ポイント上方修正した。22年以降に目標の2%をやや上回る水準に落ち着いていく筋書きを描く。雇用の見通しは失業率が22年以降に3%台に低下すると予測した。

インフレが高進し、テーパリングを終える前に利上げを迫られる可能性については「私の見通しではない」と答えた。

21~22日に開いたFOMCはゼロ金利政策の維持を決め、短期金利の指標であるフェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標を0~0.25%に据え置いた。量的緩和政策も継続する。投票権を持つパウエル議長ら11人の全会一致で決めた。』

これから「みずほ銀行」に起こる、ヤバすぎる現実

これから「みずほ銀行」に起こる、ヤバすぎる現実…システムの「爆弾」を誰も処理できない(2021.09.17)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87384

※ みずほの「システム障害」問題が、こういう「構造」から生じているのだとしたら、いくら「業務改善命令」や「行政命令」を連発したところで、解決に向かうとは到底思えない…。

※ 金融庁の「強制介入」も、同じことだ…。

※ 「構造」を変更するためには、そもそもの「旧三行」の主導権争い(マウント合戦)にメスを入れて、真の「システム統合」を図る必要がある…。

※ しかし、それは「みずほの株主」がやるべきことで、たかが「監督官庁」の「金融庁」がやるべき仕事じゃ無いだろう…。

※ そして、その入り組んで複雑な「株主間」の利害調整が、つかなかったことが、現在に至る混乱・問題を引き起こしている「真の原因」なんだろう…。

※ 「株式会社」とは、つまるところ、「利益獲得目的組織」にすぎない…。

※ 各「株主」は、自己の「利益獲得」を目的として、出資している…。

※ しかし、あまりに「我を張って」、自分だけの「利益」を追求しだすと、その目的遂行のための「器(うつわ)」自体を壊してしまう…。

※ 普通は、そうならないうちに、ギリギリのところで「妥協」して、矛を収め、「器(うつわ)」自体が壊れるのを、回避するものなんだがな…。

※ おそらく、みずほの場合は、旧幕藩体制における各藩のように、ある程度「独立独歩」で、「他行の領域」から上がる「利益」を当てにしなくても、「自分のところの領域」を回して行ける体制が、ずっと「順送り」されてきたんだろう…。

※ しかし、そういう「三行体制」が行き詰ってしまっていることは、もはや誰の目にも明らかになっているように見えるな…。

『今年8月に発生したみずほ銀行のシステムトラブル。実は19年前にもこれに似たケースが起こっていたことを【前編】『「みずほ銀行」のシステム障害はなぜ防げなかったのか…エンジニアを見下す「悪しき体質」』で報じた。多発する「システム障害」の爆弾を抱えた同行は今後どうなっていくのか…?

隠れていた「古の言語」

全体像の見えない「バベルの塔」と化したみずほのシステム。その成り立ちとは、どのようなものなのか。

過去に2度、みずほは大きなシステム障害を起こしている。1度目は前編でも触れた、’02年の3行統合に伴う混乱だ。

統合時、みずほは旧3行が使っていた複数の異なるシステムを生き残らせたまま、「ゲートウェイ・システム」と呼ばれる中継プログラムでそれらを繋ぎ合わせるという方針を打ち出した。

みずほ銀行のATMコーナー(Photo by gettyimages)Photo by gettyimage

だが、この建て付けそのものに難があった。当時の事情を知るみずほ行員が言う。

「勧銀は富士通製のメインフレーム(大型コンピュータ)の『STEPS』を’88年に導入していました。また興銀は日立製のシステム『C-base』を、富士銀行は日本IBM製の『TOP』をそれぞれ持っていた。

普通、銀行が合併してシステムを統合する時は、顧客や預金などの情報をどれか一つのシステムに全て移行する『片寄せ』という方法を取ります。

しかし、みずほは合併後も『同じ担当の役員が3人いる』と揶揄されるくらい、よく言えば旧3行が対等、悪く言えばバラバラだった。そのため、各行のシステム、ひいてはベンダーとの取引を温存しようとしたのです」

統合直前、旧勧銀のSTEPSと、富士銀のTOPを並立させ、別のコンピュータでつなぐことが決まったが、あえなく失敗。それが統合時に発生した障害の原因だった。

このとき、事後処理にあたった情報系子会社の元社員は驚いたという。』

『「勧銀のシステムの一部に、’71年に第一銀行と日本勧業銀行が合併した時に作られたとみられる部分が残っていたのです」

この部分は、’80年代まで盛んに使われていたプログラム言語「COBOL」で書かれていた。’00年代には使いこなすエンジニアが激減し、「化石」と呼ばれた言語である。

「当時ですら、わかるエンジニアが現場にいなかった。もちろん設計図や手引の類いも見当たりませんでした」

たとえるなら、古い時計を部品交換のため開けてみたら、交換したい部品が古すぎて替えが利かず、やむなく油を差して閉めた、というような話だ。だがこの時は、気に留める者もいなかった。

複雑怪奇な「キメラ」
2度目の大規模障害が起きたのは’11年3月15日、東日本大震災の直後だ。災害義捐金の振り込みがひとつの口座に殺到し、システムが一度に対応できるデータ量の上限を超えてしまった。

エラーに対応しているうちに、他の取引のデータも渋滞を起こし始め、遅れてゆく。際限なく積み上がる未送信データを処理するため、ATMの全面停止を繰り返し、行員たちは夜を徹して手作業で数字を入力した。未処理の金額は一時、8300億円分にも達した。

「当時のみずほのシステムは『バッチ処理』といって、夜間に取引データをまとめて自動処理し、朝に各支店へ送信する仕組みをとっていましたが、これが機能しなくなった。

バッチ処理自体、とっくの昔に時代遅れになった手法ですが、みずほは何らかの理由でこだわっていたのです」(ITジャーナリストの佃均氏)

データの手入力が終わったあとでシステムが予期せず再起動し、振り込みや引き落としが二重に発生するミスも多発。結局、沈静化するまでに1週間もかかった。』

『これら2度の致命的な障害に懲りて、みずほは前述した新システム「MINORI」の開発に着手したというわけだ。いや、金融庁の叱責と業務改善命令に押される形で、着手せざるを得なかったというほうが正しいだろう。’11年6月のことだ。

MINORIは約4000億円の費用をかけて8年後の’19年7月に完成した。業界では、「史上初めて、銀行が自社の勘定系システムを全面再構築した」と話題になった。

だが、どうやら実態は異なる。一から作り直した「新築」ではなく、既存の「塔」をさらに建て増しした「改築」だったと考えなければ、説明がつかない謎があるのだ。

先に触れたCOBOLがいまだに使われているのである。

「ITベンダーの間では、かねて『なぜみずほは、わざわざ高齢のエンジニアを雇ってまでCOBOLを使い続けるのか』が疑問視されていました。MINORI導入時にCOBOLを使った部分をなくして、別のプログラム言語で書き換えてもよかったはずなのに、それもしなかった。

それはつまり、なくさなかったのではなく『なくせなかった』のではないか。勧銀時代から抱える古い重要プログラムやデータが、いまだにMINORIの内部で生きているからではないか—そうとしか考えられないのです」(前出・佃氏)

事実、全面改修を経たはずのMINORIのシステム構成は、不自然なほど複雑怪奇だ。普通預金を司る機器は日本IBMが作るが、その上で走るソフトは富士通が作る。他行との接続を司るシステムは、機器を日立と富士通が作ってソフトをNTTデータが作る。各業務のシステムをベンダーが分割して作り、さながら怪物「キメラ」のようになっている。

これが意味するのは、おそらく’11年に金融庁から業務改善命令を受けた時点で、みずほのシステムは根本的な再構築がもはやできない状態だった可能性だ。

古い部分と新しい部分が幾重にも折り重なり、さらに開発元も複数のベンダーにまたがっていた。しかも、この時すでにみずほは延べ3000億円近くをシステム改修に投入していた。20年以上も二人三脚を続けてきたベンダーを切り捨て、一から作り直すわけにはいかなかったのだ。

いまや、システムの全容を知る者はみずほにも、ベンダーにもいない。』

『もう、誰にもわからない

前出と別のみずほ行員が言う。

「最初に勧銀にSTEPSを売り込んだのは、ソフトウェアエンジニア出身で’90年代に社長を務め、辣腕で鳴らした秋草直之氏でした。

彼は勘定系システムの開発とメンテナンスを請け負うことで、勧銀・みずほから安定的に巨額のカネを引き出す仕組みを作った。一方のみずほは、時が経つにつれて膨らむコストを損切りできず、両者は共依存関係になっていった。富士通に経産省の後押しがあったことも、みずほの意思決定を鈍らせました」

秋草氏をはじめ、’80年代に銀行のシステム開発に携わった技術者たちは、いわば日本のシステムエンジニアの「第一世代」の人々だ。だが、この5年ほどで、彼らは次々と鬼籍に入っている。

今回、勧銀・みずほのシステム開発に携わったと思しき複数の元エンジニアにコンタクトを試みたが、いずれも故人となっていた。判明した中で唯一健在の人物は、6月に脳梗塞を発症し、取材が難しい状態だった。

「2025年の崖」という言葉をご存知だろうか。この年までに、’80年代に開発された企業の古いシステムの根幹を知る人が業界を離れ、あるいは亡くなり、ブラックボックス化する。みずほのシステムは、その最大にして最悪の事例と言える。

【前編】『「みずほ銀行」のシステム障害はなぜ防げなかったのか…エンジニアを見下す「悪しき体質」』の冒頭で罵られていた富士通のエンジニアも、5年ほど前に業界を去った。彼はこう話す。

「みずほは障害が起こるたびに、人為的なミスが原因の『人災』だと言いますが、的外れもいいところです。もう何十年も前から、爆弾は作動していた。人災などではなくて構造的な問題だと気づいていないのは、みずほの人たちだけですよ」

バベルの塔の基礎がどうなっているのか、そしてどこがグラつきの原因なのかを知る人は、もはや語る術を持たない。みずほは手探りで、いつ終わるとも知れぬ修繕を繰り返すほかない。崩壊の日に怯えながら。

『週刊現代』2021年9月11・18日号より 』

みずほシステム、金融庁が「強行介入」 基幹系改修も

みずほシステム、金融庁が「強行介入」 基幹系改修も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB222KV0S1A920C2000000/

『金融庁は22日、システム障害が相次ぐみずほ銀行と持ち株会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)に業務改善命令を出した。みずほは障害の原因を解明できず、金融当局がシステムを実質管理する異例の処分となる。金融庁が関与を強めても、障害発生の防止につなげられるか不透明な面は残る。

金融庁はみずほのシステム運営を細かく監督し実質的に管理する。幹部は「みずほに原因究明を一任するのはもはや困難」と強調する。

具体的には、みずほがすでに金融庁に提出しているシステム改修計画を書き込んだ工程表の再検証と見直しを求めた。システムが安定して稼働するために不要不急だと判断すれば、改修や更新を延期してもらう。

みずほの基幹システム「MINORI」は日本IBM、富士通、NTTデータ、日立製作所の大手4社が参画して作った。金融庁内のシステム検査部隊は複雑に入り組んだシステムを点検することになる。数十人規模のチームで、普段は民間銀行のシステムを検査しているほか、サイバーセキュリティー対策に携わっている。他の金融機関への検査といった通常業務を抱える中で、みずほ関連の業務に回せる人手は限られている。

一方、過去に起きた不祥事の要因や責任を明確にするため立ち入り検査は継続する。22日の処分はあくまでシステム改修時の障害発生を防ぐことが目的で、現時点で経営責任を問うものではないとの位置づけだ。今後の検査で法令違反やガバナンス(企業統治)の欠陥などが見つかれば、金融庁はさらなる行政処分を検討する。

継続する検査の焦点は、システム障害が相次いだ根本的な原因だ。8月に発生した5回目の障害では、機器故障時に備えたバックアップシステムが作動せず複数のエラーが発生した。みずほが4500億円を投じて完成したMINORIの構造上の欠陥があるとの見方も金融庁内でくすぶる。場合によっては大規模な改修が必要となり、みずほにコスト負担が発生する可能性がある。

経営体制見直しも焦点だ。3月半ばまでに起きた4件の障害を踏まえ、みずほは6月15日に坂井辰史社長が役員報酬の50%を6カ月、銀行の藤原弘治頭取は50%を4カ月減らすなどの処分を公表した。相次ぐ障害発生でトップを含めた組織刷新を求める声も出ている。次の作業時にシステムが停止する懸念のある更新作業がいくつか迫っており、金融庁関係者は「次の障害が起きたら経営責任は避けられない」と話す。

システム障害を繰り返すみずほに向けられる視線は厳しさを増している。日銀の黒田東彦総裁は22日の記者会見で「大変遺憾で、金融庁と連携して実態把握につとめていく」と語った。

今回の処分は「銀行の箸の上げ下げまで口を出す」と言われた旧大蔵省時代の護送船団方式に先祖返りしたと受け取られかねない。「過剰介入ではないか」と話す他のメガバンク関係者もいる。

金融庁担当者は22日、「(システム障害の)真因の分析、その結果に基づく対応が重要だ」と話した。みずほだけでなく、金融育成庁への脱皮を目指している金融庁も試されている。

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