米豪首脳、対中国へ欧州と協力 潜水艦問題の火消し急ぐ

米豪首脳、対中国へ欧州と協力 潜水艦問題の火消し急ぐ
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『【ニューヨーク=中村亮】バイデン米大統領は21日、オーストラリアのモリソン首相、ジョンソン英首相とそれぞれ会談した。米ホワイトハウスによると、両首脳と中国との競争を念頭に欧州と協力を深める考えで一致した。豪州の原子力潜水艦配備をめぐり悪化したフランスなどとの関係の立て直しを急ぐ。

モリソン氏はニューヨークでバイデン氏と会談し「我々の協力は東南アジア諸国連合(ASEAN)や欧州の多くの友好国に関わる」と述べた。豪州が米英の支援を受けて原潜を配備し、中国に対する抑止力が高まれば欧州やアジアにも恩恵が及ぶとの見方を示すものだ。バイデン氏は「我々の協力は世界中のあらゆる民主国家(の利益)と合致する」と応じ、モリソン氏に同意した。

バイデン氏はホワイトハウスでジョンソン氏とも会談し、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)との関係深化について協議した。バイデン氏は国連総会の一般討論演説でもEUについて「世界が直面する幅広い問題に対処するうえで重要なパートナーだ」と強調し、関係修復へ秋波を送った。

豪州は潜水艦配備に向けた協力国をフランスから米英に突然切り替え、仏が猛反発している。サキ米大統領報道官は21日、ワシントンに向かう大統領専用機内で記者団に対し、バイデン氏がマクロン仏大統領と近く電話協議を行うと改めて説明した。

ASEANにも豪州の原潜配備がインド太平洋地域での軍拡競争につながると懸念する声があがっている。

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授

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分析・考察 フランスや欧州諸国から見れば、米豪両国は自らを裏切った悪役同士。

この両者がいくら欧州との関係を改善するといっても説得力が乏しい。

バイデン大統領がこうした欧州の反発を計算せずに原潜輸出を決めたとは考えにくいが、そのわりには対応が後手に回っており、稚拙な行動だったように映る。

果たしてここからどう同盟関係を修復していくのか、それとももう取り返しのつかない溝を生み出してしまったのか。バイデン大統領の就任に対して、欧州の期待が高かっただけに、その失望感を埋め合わせるのは難しい。

2021年9月22日 7:28いいね
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赤川省吾
日本経済新聞社 欧州総局編集委員

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今後の展望 「アングロサクソン諸国vs欧州大陸」という対立構図に発展。米欧関係の修復には長い時間がかかりそうです。

欧州で憤っているのはフランスだけではありません。ドイツを含めほかのEU諸国も「米国は欧州を軽んじている」と受け止めました。

「トランプ政権のもとでの米欧冷戦」が「バイデン政権のもとでの米欧雪解け」に転じるはずでしたが、実際にはアフガン撤兵や今回の潜水艦事件ですれ違いが露呈しました。

関係修復のため、米国がEUに安保•軍事面で具体的な協力案件を近く持ちかけるーー。そんな観測が欧州外交筋にあります。動きがなければ米国に頼らない「欧州軍」の創設を目指す動きがますますEU内で活発になるでしょう。

2021年9月22日 7:37 (2021年9月22日 7:38更新)
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