台湾有事「6年以内」に現実味 前米軍司令官

台湾有事「6年以内」に現実味 前米軍司令官 
習政権の長期化念頭に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21DMO0R20C21A9000000/

『米インド太平洋軍の司令官を2021年春まで務めたフィリップ・デービッドソン氏は日本経済新聞の取材に応じ、中国が今後6年以内に台湾を侵攻し、力づくで併合する展開が「一段と現実味を帯びている」と語った。根拠として「2027年に到来しうる習近平(シー・ジンピン)体制の節目」を挙げ、中国の内政事情が動因になるとの認識を示した。

デービッドソン前司令官は退任前の3月、米上院軍事委員会の公聴会で中国による「6年以内」の台湾侵攻の可能性に言及し、米軍内の危機意識を示す発言として注目を集めた。同氏は「ミサイル、サイバーや訓練の能力、兵力の相互利用や後方支援の向上といった中国人民解放軍の変化は、中国がその道を選択すれば6年以内に台湾を侵攻する能力を備えることを示している」と述べた。

デービッドソン氏は6年後の「2027年」を特定した背景として、習近平・中国国家主席の長期指導体制への思惑があると指摘した。習氏は国家主席の任期を2期10年までに制限した規定を憲法改正で撤廃しており、22年の共産党大会で3期目の続投を決める可能性がある。27年は次の節目となりうる。前司令官は「政治的将来を習氏が自分で決め、そこに支持が集まるかどうかは27年までの時間軸次第だろう」と語り、長期の統治に向けたカギを握る台湾問題が火種になりやすいとの見方を示した。

歴代の米政権は台湾問題で当事者による「平和的解決」を支持する姿勢をとる「戦略的あいまいさ」を保ってきた。中国の脅威が増すなか、台湾侵攻の可能性をにらんで米国がさらに踏み込んだ姿勢をとるべきだとの意見が米国内にはある。デービッドソン氏は「常にどんな戦略をとるかの分析が欠かせない」と見直しの必要性に触れる一方で「ここ数年、戦略を変更するかどうかの考慮がなされ、現時点では戦略を維持するという合意がある。私はその合意に従う」と語った。

中国の軍事力の増大については「能力の向上とともに兵器の数も増え、米国と日本との差も縮まっている」と認める一方で「現時点では米日が勝っている」と明言した。

(ワシントン支局長 菅野幹雄)』