トルコ、アフリカ進出加速 経済回復へ中国追う

トルコ、アフリカ進出加速 経済回復へ中国追う
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『【イスタンブール=シナン・タウシャン、井上航介】トルコの官民がアフリカ市場への進出を加速させている。旧オスマン帝国の版図だった北部を中心にインフラ事業を受注し、中国を追う。政情不安でリスクの高い国は多いが、米欧企業の影は薄く、相対的に競争は激しくない。新型コロナウイルスの打撃からの経済回復を急ぐなか、アフリカ重視の姿勢を強める。

西アフリカのギニアで起きたクーデターの2日後の7日、ルワンダ外相との共同記者会見に臨んだトルコのチャブシオール外相は「アフリカから手を引け」と指摘した。同氏は軍の一部がコンデ大統領(当時)を追放したクーデターの背後に、かつての植民地勢力がいた可能性を示唆し、非難した。

トルコのエルドアン大統領は8月、コンデ氏をイスタンブールに招き、両国関係の将来を協議していた。ギニアはアルミニウム原料のボーキサイトをはじめ鉱物資源に恵まれている。チャブシオール氏の発言はアフリカを重視するトルコの姿勢を象徴する。

アフリカでトルコが大使館を置くのは43カ国で、2002年の12カ国の4倍近くに増えた。エルドアン氏は首相として政権を握った03年以降、アフリカの28カ国に計38回訪れた。トルコと同様にイスラム教徒の多い国ではモスク(イスラム礼拝所)の建設を支援してきた。旧オスマン帝国の後継として、トルコを「アフリカとユーラシアをつなぐ国」と呼ぶ。

トルコの輸出企業の多くは対アフリカ貿易の競争が緩いと考える。米欧企業はビジネスリスクからアフリカと距離を置きがちだ。トルコ統計局によると、同国からアフリカへの輸出は20年が約152億ドル(約1兆7000億円)で、最近の底だった16年より約3割増えた。アフリカからの輸入額は20年が約73億ドルで、トルコの大幅な輸出超過が続く。

ギニアのコンデ大統領(当時、右)をイスタンブールに招いたトルコのエルドアン大統領(8月)=ゲッティ共同

トルコ商務省によると、同国企業が20年にアフリカで受注した鉄道、道路などのインフラ整備は約20億ドルで、前年を5割近く上回った。アフリカに食い込む中国にはなお及ばないとみられる。

旧オスマン領だった北部での事業がなお多いが、トルコの官民は人口の多いサハラ以南の開拓を目指す。

一方、トルコの資金力には陰りがみえる。新型コロナで経済が停滞し、通貨リラの対ドル相場も低水準だ。チャブシオール氏は日本経済新聞の取材に「アフリカの人口は世界で最も若く、活力がある。(進出では)中国を含め、あらゆる国と協力する用意がある」と答えた。

エルドアン政権は人権を重視するバイデン米政権との緊張も指摘される。だが、米国務省の政策立案スタッフ経験者の一人は、トルコが「アフリカやアジアとは良好な関係を維持している」と指摘する。

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