マレーシア、中国のTPP加盟支持

マレーシア、中国のTPP加盟支持 貿易拡大を期待
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『【シンガポール=中野貴司】マレーシア政府は中国の環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟申請について「メンバーに迎えることを楽しみにしている」との声明を出し、支持する姿勢を示した。東南アジアの参加国ではシンガポールも歓迎の意向を表明している。慎重な立場の日本やオーストラリアとの温度差が鮮明になっている。

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日本経済新聞の取材にマレーシア貿易産業省が19日、回答した。同省は16日の中国の加盟正式申請の発表に「非常に元気づけられた」とした上で、加盟に向けた参加国との交渉が早ければ2022年にも始まるとの認識を示した。中国が実際に加盟すれば「両国間の貿易と投資はさらなる高みに到達する」とし、貿易拡大への期待が加盟支持の主な理由だと明らかにした。

マレーシアにとって中国は輸出、輸入ともに最大の相手国だ。マレーシアは現在、TPPの批准手続きを進めており、年内に国内手続きを終える可能性がある。

中国と地理的に近く、経済関係も密接な東南アジア諸国連合(ASEAN)のTPP参加国は、もともと中国の加盟に対する抵抗が小さかった。シンガポールのバラクリシュナン外相は13日、同国を訪問した王毅(ワン・イー)国務委員兼外相との会談で、中国がTPPへの加盟を検討していることを歓迎すると伝えていた。ASEANと中国は双方が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の早期発効を目指す方針でも一致する。

一方、中国がアジアの貿易秩序を主導することを警戒する日本は、中国がTPPの高い基準を満たす用意ができているかを見極める姿勢だ。豪州も中国との貿易摩擦が解消しない限り、中国の交渉入りを支持しない姿勢を示唆している。中国が加盟するには全加盟国の支持が必要なため、日本や豪州などが難色を示せば加盟は実現しない。

ただ、マレーシアやシンガポールは日米など西側諸国だけでなく、中国とも多国間の貿易協定を通じて関係を強化したいとの思いが強い。通商問題に詳しいアジア貿易センターのデボラ・エルムス氏は「多くの参加国は中国と別のルールで競争するよりも、中国をTPPという一貫したルールの制約下に置きたいと思うはずだ」と指摘する。中国が今後TPPの基準を満たすための国内改革を約束した場合、中国の加盟に前向きな国が増える可能性がある。仮に日本が加盟を認めない立場を採るなら、説得力のある理由を参加国に示す必要がある。

中国の王毅氏はシンガポールを訪問した際、TPPやRCEP以外の貿易協定にも関心を示した。シンガポールが20年にニュージーランド、チリと合意したデジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)だ。TPPの原型を作った3カ国によるこの協定は、国境を越えたビッグデータの移管や人工知能(AI)など先端分野の標準的なルール形成を目指している。中国が日米が不在のうちに、DEPAへの参加を決めれば、アジアが絡む多国間貿易協定で中国の存在感がさらに際立つことになる。

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