中国・恒大、迫る巨額利払い 負債総額33兆円

中国・恒大、迫る巨額利払い 負債総額33兆円
資金繰り難一段と、中国経済打撃の恐れ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB16A2Y0W1A910C2000000/

『【上海=土居倫之】中国恒大集団の資金繰りが一段と厳しくなっている。9月下旬以降、過去に発行した社債の利払い日が集中するためだ。年内の利払い額は社債だけで700億円を超える。取引先への未払い分などを含めた恒大の負債総額は1兆9665億元(約33兆4000億円)と中国の名目国内総生産(GDP)の約2%に相当する。その処理に失敗すれば中国経済や金融システムに大きな打撃を与えかねない。

リフィニティブによると、まず23日に米ドル債と人民元債の利払い日が到来する。利払い額は米ドル債が8353万ドル(約92億円)、人民元債が2億3200万元(約39億円)だ。デフォルト(債務不履行)まで30日の猶予がある債券もあるという。その後も利払いを控えており、年内の社債の利払い額は、米ドル債が計6億3110万ドル(約694億円)、人民元債が計3億5380万元(約60億円)となっている。元本は22年1月30日に米ドル債3億ドルの満期が到来する。

銀行融資に関しては開示情報が限られるが、米ブルームバーグは「中国住宅都市農村建設省が主要債権銀行に『20日が期限の利払いを行わない』と伝えた」と報じている。恒大はすでに一部の建設会社や資材会社への代金支払いが滞っている。広東省深圳の同社本社では、恒大が資金調達手段として社員や個人投資家に販売した資産運用商品「理財商品」の返済を巡って、抗議活動が起きた。

恒大が返済資金に窮しているのは巨額の負債が要因だ。6月末時点の負債総額は1兆9665億元。1社で中国の名目GDP(101兆5986億元)の2%を占める。

負債の内訳は、取引先へ支払うべき金額などを示す買掛金が9629億元と最も大きく、負債総額の約半分を占める。恒大が破綻すると、下請け各社がすでに請け負った工事の代金などを回収できず、破綻が連鎖する恐れがある。例えば、江蘇省の建設会社、江蘇南通三建集団は「恒大依存度が高い」として14日、中国の格付け会社から格下げされている。

次に多いのが借入金で5717億元だ。銀行からの借入金のほか、主に外国人向けに販売された米ドル債(195億ドル)など債券が含まれる。流通市場でのドル建て債の利回りは56~800%超まで上昇しており、新規発行による借り換えは極めて難しいとみられる。

17日の香港株式市場では、「恒大向けの与信が大きい」として中国の民営銀行、中国民生銀行の株価が約5%下落した。インターネットで出回る資料に、民生銀行の貸付金が金融機関のなかで最大となっているためだ。恒大が3割超の株式を握り、恒大に一定の貸し出しがあるとみられる盛京銀行への影響も不安材料だ。かりに銀行の経営不安が強まれば、銀行間市場にも動揺が広がりかねない。

恒大問題が中国経済に及ぼす悪影響はこれにとどまらない。恒大は前受け金に近い「契約債務」を2157億元抱える。販売したものの引き渡しを終えていない住宅などを指す。中国でも日本と同様、未完成のうちに販売する「青田売り」が一般的だ。売り主が破綻すると、代金を支払ったにもかかわらず契約者が住宅を受け取れないリスクがある。

土地使用権の売却収入が税収と並ぶ主要な財源となっている地方政府にも打撃だ。恒大などの不動産各社が高値で土地を購入しなくなると、地方財政に痛みを与える。

政府が救済するかどうかはなお不透明だ。中国共産党系メディア・環球時報の胡錫進編集長は16日、微博(ウェイボ)に「国が産業の構造を変えようとしている時は、いくら企業の問題が深刻だからといって、国がその企業を保護することはない」などと投稿した。

華創証券によると、過去に中国国内で債務不履行(デフォルト)を起こした196社のうち処理方法として最も多いのは企業破産法に基づく「破産重整」の74社で約38%を占めた。これは債権者の同意の下で債務をカットし、営業を継続しながら再建を目指す法的整理の枠組みだ。華創によると、複合企業の海航集団や半導体の紫光集団もこの枠組みにあてはまる。経済への打撃を抑える手段として今後も出てくる可能性がある。

債権者の同意が得られず、資産売却によって会社を清算する「破産清算」も14社(7%)にのぼった。

中国では、恒大と同業で経営難に陥っている華夏幸福基業など1000億元超の負債を抱える企業は少なくない。中国の経済成長が鈍化し、農村から都市への人口移動のペースが鈍化する中では、第2、第3の恒大問題が起きかねない。

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