中国が放ったくせ球 TPP加盟申請、日米分断の思惑も

中国が放ったくせ球 TPP加盟申請、日米分断の思惑も
Angle 高橋哲史
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1765G0X10C21A9000000/?n_cid=NMAIL006_20210917_Y

『中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。実現のメドは立っていないのにこのタイミングで突然、一歩踏み出したのはなぜか。

「(中国がTPPに加盟申請すれば)日本にとっては試練になるだろう。断れば中国と敵対することになるからだ。かといって、簡単に受け入れるわけにもいかない。米国が絶対に同意しないからだ」

2020年11月、北京大学国際関係学院の賈慶国・前院長にインタビューしたときの発言だ。賈氏は国政の助言機関である全国政治協商会議の常務委員も務め、中国の外交政策に深く関わる。

インタビューの3日後、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がTPPへの参加を「積極的に考える」と表明した。賈氏はそれを事前に知ったうえで、「TPP参加」の思惑を語ったとみられる。

中国がTPPへの加盟を真剣に考え、準備を進めてきたのは事実だ。特に2017年に発足したトランプ米政権がTPPから離脱し、中国に貿易戦争を仕掛けてからその動きを加速させた。米国に対抗するため、アジア太平洋地域の貿易ルールづくりで主導権を握りたい。中国の真意はそこにあった。

中国の李克強(リー・クォーチャン)首相が初めてTPP参加に意欲を示したのは、20年5月だ。新型コロナウイルスの猛威が世界を襲い、4月に予定していた習氏の国賓訪日が延期になった直後だった。

米国をけん制するために習氏の訪日を何としても実現したかった中国は、それまで「TPP参加」を口にしてこなかった。日中首脳会談で話題にすれば日本が米国との板挟みになり、習氏の訪日に難色を示しかねないと判断していたからだ。

習氏訪日のメドが立たなくなり、日本に配慮する必要はなくなった。20年11月に習氏が検討を表明してからは、いつでも正式に参加申請できる状態だった。

中国自身、TPPの高いハードルをクリアし、すぐに加盟できるとは思っていない。それでも今のタイミングで申請したのは、米国が主導するかたちで中国包囲網の構築が進んでいる状況と無縁ではないだろう。

米国、英国、オーストラリアは15日、対中国を念頭に新たな安全保障協力の枠組みを創設した。米英は中国から圧力を受ける豪州に原子力潜水艦の技術を提供する。欧州連合(EU)は16日、「インド太平洋協力戦略」を公表し、台湾との関係強を打ち出した。

日本が主導する現在のTPPには11カ国が参加し、英国も加盟を申請している。経済面に限れば、巨大市場の中国を取り込むメリットは大きい。中国の参加に前向きな加盟国が現れるかもしれない。中国はTPP陣営の足並みを乱すつもりだろう。

日本の立ち位置は難しい。中国を門前払いすれば、習指導部が対日批判を強めるのは必至だ。かといって中国に甘い顔をみせれば、米国が反発する。中国のTPP加盟申請には日米分断の思惑も透ける。その真意を冷静に見極める必要がある。

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吉野直也政治部長と高橋哲史経済部長が自民党総裁選、衆院選とその後の経済・外交の行方を展望するライブ配信イベントを27日午後6時から開きます。お申し込みはこちらです。
https://www.nikkei.com/live/event/EVT210820001

経済・社会保障グループ長(経済部長) 高橋哲史
大蔵省(現・財務省)を振り出しに霞が関の経済官庁や首相官邸、自民党、日銀などを取材。中国に返還される前の香港での2年間を含め、計10年以上に及ぶ中華圏での駐在経験をもつ。2017年4月からは中国総局長として北京を拠点に中国の変化を報じ、21年4月に帰国した。』

〔クリスタリナゲオルギエバ – Kristalina Georgieva 〕

https://japan2.wiki/wiki/Kristalina_Georgieva

『Kristalina Ivanova Georgieva-Kinova (ブルガリア:КристалинаИвановаГеоргиева-Кинова; 1953年8月13日生まれ)は、2019年から国際通貨基金の会長兼マネージングディレクターを務めるブルガリアのエコノミストです。彼女は2017年から2019年まで世界銀行グループの最高経営責任者を務めました。 Jim Yong Kim の辞任後、2019年2月1日から2019年4月8日まで世界銀行グループの会長代理を務めました。彼女は以前、2014年から2016年までジャン=クロードユンカーの下で欧州委員会副委員長を務めました。

1993年から2010年まで、彼女は多くの彼女はまた、理事会のメンバーおよび<145の経済部門の関連教授を務めました。世界銀行グループの役職に就き、最終的には2008年3月に副社長兼企業秘書になりました。>ブルガリアの国立および世界経済大学。 2016年9月27日、ブルガリア政府はクリスタリナゲオルギエバを国連事務総長のポストに指名しました。国連事務総長の彼女の短期滞在は、10月5日の国連安全保障理事会での投票に続いて終了しました。そこでは、ゲオルギエバは10人の候補者のうち8位にランクされました。同じ投票で、アントニオ・グテーレスは国連事務総長のポストのために安全保障理事会の支持を得ました。 10月28日、世界銀行は、ゲオルギエバが2017年1月2日から銀行の最初のCEOになることを発表しました。2019年9月29日、ゲオルギエバは国際通貨基金<の次期常務取締役に任命されました。 3>。彼女はこの仕事の唯一の候補者であり、新興国からこの役職に就いた最初の人物です。

ジョージエバは2010年に「ヨーロッパ・オブ・ザ・イヤー」、「EUコミッショナー」に選ばれました。彼女の仕事、特にハイチとパキスタンでの人道的災害への彼女の対応に対する謝辞としての「年」。

GeorgievaはTime誌の100 2020年の最も影響力のある人々に含まれています。Wikipedia site:japan2.wiki』

『初期の生活と教育

ジョージエバは生まれましたソフィアで官僚の家族に。彼女の父は州の道路建設プロジェクトを監督した土木技師であり、彼女の祖父はブルガリアの著名な革命家、イワン・カルショフスキーでした。

ジョージエバは経済学の博士号とMA を<202で保持しています。>ソフィアのカールマルクス高等経済学研究所(現在は国立世界経済大学と呼ばれています)の政治経済学および社会学。彼女の論文は「米国の環境保護政策と経済成長」でした。彼女はまた、1980年代後半とロンドンスクールオブエコノミクスで大学院天然資源経済学と環境政策の研究と研究を行いました。 マサチューセッツ工科大学。彼女は100を超える学術論文を執筆し、マイクロエコノミクス教科書も執筆しています。

彼女はブルガリアと米国でさまざまな学術およびコンサルティングの役職を歴任し、大学で開発トピックについて講義しました。 、オーストラリア国立大学、マサチューセッツ工科大学、清華大学、イェール大学、ハーバード大学、ロンドン経済学部、 南太平洋大学など。

ジョージエバはブルガリア、英語、ロシアに堪能です。また、いくつかのフランス語.Wikipedia site:japan2.wiki』

『初期の仕事(1993–2010)

ジョージエバは、1993年にヨーロッパと中央の環境エコノミストとしてワールドバンクグループでキャリアをスタートしました。アジア。その後、彼女は銀行のさまざまな役職に就き、最終的には世界銀行の環境戦略、政策、融資を担当する環境部門の責任者になりました。この役職で、彼女は世界銀行グループの貸付業務の約60%を監督しました。 2004年から2007年まで、彼女はモスクワを拠点とするロシア連邦の機関の所長および常駐代表でした。

彼女はワシントンD.C.に戻り、持続可能な開発の戦略と運用のディレクターになりました。彼女の世界銀行での最終的な役職は、副総裁兼事務局長であり、銀行の株主(加盟国政府)を代表する機関の理事会のメンバーとの連絡の主導的責任を伝えました。その間、彼女は銀行のガバナンス改革とそれに伴う増資に取り組みました。

2010年1月、Georgievaは、欧州連合委員会への指名を考慮して、このポストを辞任する意向を発表しました。Wikipedia site:japan2.wiki』

 ※ 以下、省略。

世銀ランキングで不正操作 中国引き上げ、IMFトップ関与か

世銀ランキングで不正操作 中国引き上げ、IMFトップ関与か
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091700250&g=int

『【ワシントン時事】世界銀行は16日、毎年公表していた「ビジネス環境ランキング」で中国の順位が不正に引き上げられるなどの操作があったと発表した。当時、世銀の最高経営責任者だったゲオルギエワ国際通貨基金(IMF)専務理事=ブルガリア出身=も関与したとされており、主要国際機関の信頼を揺るがす事態となりそうだ。

WHO調査に「懸念と疑問」 中国に情報開示要求―米

 世銀が公表した第三者調査の報告書によると、2018年版のビジネス環境ランキングをめぐり、中国政府高官がキム世銀総裁(当時)らに同国の順位について再三不満を表明した。こうした圧力を受け、世銀当局者らは起業などに関する3項目を操作し、中国の順位を本来の85位から前年並みの78位に引き上げた。20年版についてもサウジアラビアの順位などで操作があった。

 報告書は、ゲオルギエワ氏が中国の順位改ざんに「直接関与した」と明言した。世銀は当時、増資を目指しており、有力な資金拠出国である中国の意向を忖度(そんたく)したとみられる。 』

世銀、事業環境報告廃止 IMF専務理事らの不正関与指摘

世銀、事業環境報告廃止 IMF専務理事らの不正関与指摘
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1709Y0X10C21A9000000/

『【ワシントン=大越匡洋】世界銀行は16日、各国の事業環境を毎年順位づける報告書「ビジネス環境の現状」を廃止すると発表した。過去の報告書をめぐり、首脳陣が中国などの順位を引き上げるよう内部で圧力をかけたとする調査結果を公表。当時の首脳だった国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事らの関与を指摘した。

ゲオルギエワ氏は「調査結果と解釈に全く同意できない」との声明を発表した。

報告書は各国の事業環境を規制や税制などから評価し、新興国への投資につながる報告書とみられてきた。世銀によると、2018年版などのデータの不規則な動きが内部で報告され、法律事務所に委託して調査してきた。』

習近平には好都合?破綻危機「恒大集団」を見殺しか

習近平には好都合?破綻危機「恒大集団」を見殺しか
改革開放と決別し、「共同富裕」社会を実現する「革命」の序章に
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66967

『中国では不動産バブルが崩壊するとき、こういう状況がおきるのだなあ、と改めて震撼した。

 中国最大の民営デベロッパー「中国恒大集団」の一部理財商品(資産運用商品)の償還が9月8日に期日通りに行われず、さらに9月13日に、広東省当局が、恒大地産が行っている不動産プロジェクトに対して完成予定の不動産を抵当とする融資申請を認めない旨を通達した、との噂が流れた。これらのことが引き金となって、恒大集団総本部がある深圳、支社のある上海や重慶、四川省成都などの十数の都市で、数十人から数百人の理財商品購入者や個人投資家、住宅購入予定者がつめかけたのだ。

 ネットに流れる動画や写真をみると、群衆は、元金返金や建設再開を求めて、怒り、泣き叫び、企業関係者に詰め寄ったり、ガードマンともみ合ったり、興奮して失神したりしていた。ビルから飛び降りようとする社員もいた。恒大社員の中には、企業ノルマのために自分で自社の理財商品を購入していた者も多くいたのだ。年利7%をうたい文句にしていた理財商品は、もはや元本すら返ってくる可能性も薄い。まさに絶望と阿鼻叫喚の「取り付け騒ぎ」だ。こうした騒ぎが、これから全国に波及するかもしれない、と国内外のチャイナウォッチャーたちが固唾をのんで見守っている。

理財商品の償還を求めて恒大集団本社に押し掛けた人々の前で座り込む社員と、失神して救護される女性(2021年9月13日、写真:ロイター/アフロ)
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3つのレッドラインを越えて「兵糧攻め」に

 中国はこの数年、ずっと「不動産バブル」圧縮政策を、手を変え品を変えて行い続けてきた。それでもなかなか思うように不動産価格が下がらず、ついに昨年(2020年)に不動産融資制限政策「三道紅線」(3本のレッドライン)という「兵糧攻め」策を打ち出した。3本のレッドラインとは、「(1)資産負債比率70%超、(2)純負債資本倍率100%超、(3)手元資金の短期債務倍率が100%を割り込む不動産企業」に対しては銀行からの融資を制限するという政策である。』

『この政策により、世界で最も資金調達能力の高い不動産企業といわれた中国恒大集団に、実は3000億ドル(1.95兆元)以上の債務があることが明らかになった。昨年の段階で1.95兆元の債務のうち有利子負債は8700億元あまりを占めていた。

 恒大は3つのレッドラインを越えていたため、銀行からの融資が制限される「兵糧攻め」に遭った。そこで恒大は、昨年から今年にかけて手持ち不動産を3~5割の値引きで投げ売りして、償還金や返済の穴埋めに充てようとしたが、それでは間に合わなかった。さらに一部地方政府は不動産バブルが急激に弾けることをおそれ、販売代理店に対して不動産の過剰な値引きを禁止する行政指導を行った。一部都市では、15%以上値引きして不動産を売ることができなくなった。

 9月初めには地方当局から銀行に「返済」延期を受け入れるよう、指示が出て、格付け会社は「流動性と資金調達能力が悪化している」として恒大の格付けを一斉に引き下げた。株価はさらに暴落し、デフォルト不可避、早晩破産再編の手続きに入るであろう、との予測が広まっていた。

 一部理財商品の償還期日が延期されたことを受けて、9月10日には創業者で大富豪の許家印が「私が一文なしになっても、投資家たちが無一文になることはない」と訴えていたが、許家印の悲壮な訴えがなおさら不安をあおった。

 13日には広東省仏山市南海区住建局から、同区の恒大住宅リスクコントロール強化策として「不動産を抵当にした銀行への融資申請を認めない」「住宅を購入するための銀行への住宅ローン申請を受け付けない」という「紅頭文件」(公式文書)の写真がネットに流れた。このことが、前述の「取り付け騒ぎ」ににわかに広がったようだが、翌日、この文書がフェイクであり、拡散しないように、と当局からの呼びかけがあり、いっそう混乱した。』

『政府は救済しない?

 恒大集団のデフォルト危機に最終的にどう決着をくのかは、いくつかのシナリオが巷で流れている。

 当初は、やはり最終的には国家が救済してデフォルトを回避する可能性を予測する声もあった。

 中国の国有4大資産管理会社の1社である「華融資産管理」は、恒大集団と並ぶ巨大負債金融企業としてデフォルト寸前までいった。だが結局今年8月に、国有金融大手「中国中信集団」を通じた増資で破綻を回避した。国有銀行の不良債権の受け皿として作られた華融を破綻させてしまうと金融システミックリスクを引き起こすと心配されたからだった。
 だが恒大集団は民営企業であり、この8~9月の中国の動きをみると、華融式の救済はないであろう、とみられている。一部では、破産再編に向けた委員会設立が模索されているという情報も流れており、広東省当局が編制した再編チームが恒大集団に派遣され、財務状況の調査を進めている、という。

 ブルームバーグが報じたアナリストの見立てでは、ドル建て債券保有者は投資額の25%ほどが回収されるという。主要住宅プロジェクトは国有デベロッパーが引き継ぐ形で完成させ、住宅引き渡しとサプライヤーへの支払いをまず守ろうとするだろう。

 最悪のケースとして言われているのが、他の不動産大手企業のドミノ連鎖的な倒産と金融システミックリスクが引き起こされる可能性だ。恒大集団の債務には外国人向けドル建て債券195億ドルも含まれているので、当然、国際市場に対しても影響が小さくなかろう。リーマンショック級と言う人もいれば、それほどでもないのでは、と言う人もいる。

 中国当局者筋からは、金融システミックリスクを起こさず、企業の淘汰、破産再編するノウハウはすでに詰み上がっている、という意見も聞かれる。これがはったりかどうなのかは、私にはわからない。

 またドミノ倒産については、中小不動産企業はすでに昨年だけで500企業以上も倒産しており、すでに不動産業界の構造改革は始まっているという見方もある。』

『だがいわゆる「3つのレッドライン」のいずれかを越えている大手・中堅の不動産デベロッパーは60近くある。たとえ金融システミックリスクが回避できたとしても、深刻な失業問題や経済停滞現象を引き起こすことは避けられまい。不動産業は資源・資材、サービス業など非常に幅広い産業とリンクしている。
「改革開放」と決別か

 だがそういったことも含めて、習近平政権の期待するところなのかもしれない。

 不動産バブル退治の荒療治は、習近平が掲げる社会主義初心への回帰、社会主義的「共同富裕」の理想という目標に通じる経済構造改革の一環であり、学習産業規制、芸能・エンタメ産業粛清などを含む昨今のあらゆる規制強化、指導強化、寡占禁止と連動した動きと考えていいだろう。この動きを左派ブロガーの李光満は「変革」「革命」と呼んだ。革命ならば流血も混乱も犠牲も当然伴うだろう。

 仮に恒大が破綻したとすれば、資産を失う投資家や富裕層は、その革命成就のために必要な犠牲、ということになる。しかも、阿鼻叫喚の取り付け騒ぎで悲鳴を上げる人々の混乱は、月給1000元レベルの6億人に上る共産党の基層階級(労働者、農民)からすれば無関係、むしろ仇富心(金持ちを妬み恨む気持ち)が刺激され、「ざまあみろ」と溜飲を下げるかもしれない。習近平にすれば、中国経済の減速や、規制強化による息苦しさの不満の矛先を自分に向かわせないために、ちょうどよい「混乱」になるというわけだ。

 こういう状況の中で、私は、許家印は「三角帽」を被せられ市中を引きずり回され、群衆の怒りの矢面に立たされる役割を担わされるのではないか、とみている。

 恒大集団創業者の許家印は今年8月半ばに、その責任を負う形で恒大集団の会長職を辞任した。1958年に河南省の貧困農村に生まれ、幼くして母を失い祖母に育てられ、苦学して武漢鉄鋼学院に進学、卒業後は国有鉄鋼企業でエンジニアとして10年働いた後、1996年、従業員20人から恒大を創業。改革開放の波に乗って世界500強企業に育て上げた。

『恒大は、中国280都市で1300以上の住宅不動産プロジェクトを進め、社員20万人、プロジェクトに伴う雇用創出は3800万人、プロサッカーチームやサッカースクールを運営し、映画やアニメなど文化産業にも投資し、最近は電気自動車業界にも進出。実際、中国経済の大きな駆動力であったのだ。

 許家印は2017年、フーゲワーフ長者番付1位になり、総資産2900億元の中国一の大富豪になった。アリババ創業者・馬雲と並んで貧困から身を起こした成功者の象徴であり、まさに中国の改革開放の申し子なのだ。

 しかも父親が抗日戦争に参加した英雄であり、本人も忠実な党員であり、2018年に全国政治協商委員にとなって政治にも参加。「恒大のすべてを党にささげる、国家にささげる、社会にささげる」と公言していた。

 だが、だからこそ、習近平は許家印をターゲットにしたのだろう。貧農の出身とはいえ立身出世を遂げ、エルメスのベルトを締めて政治協商会議に出席する資本家の共産党員は、習近平の掲げる社会主義の初心の姿ではないのだ。むしろ、習近平の政敵、江沢民の「3つの代表」論(共産党が先進的生産力、先進的な文化、最も広範な人民の利益を代表するという理論)を反映したものである。実際、許家印は習近平の天敵ともいわれる太子党の重鎮、曽慶紅ファミリーと親交が深い。

 とすれば、恒大集団が破綻したとして、それは、単に中国バブル崩壊の序章にとどまらない。ポジティブな意味の不動産産業構造改革という話でもなかろう。鄧小平以降の改革開放時代に区切りをつける象徴的な事象であり、改革開放時代を通じて資本家クラブに変貌していた共産党を、再び農民と労働者の党に戻し、富裕層からの富を奪い基層に分け与える社会主義的「共同富裕」社会を実現しよう、という「革命」の始まりと言えるかもしれない。

 だが、それはすなわち、貧しく暴力的な階級闘争が吹き荒れた過去の混乱した時代、みなが等しく貧しい時代に中国が後退するということにはならないだろうか。』

中国不動産大手が経営危機 巨額債務の返済滞る

中国不動産大手が経営危機 巨額債務の返済滞る
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091601023&g=int

『【北京時事】中国不動産開発大手の中国恒大集団が経営危機に直面している。巨額の債務返済が滞り、経営不安から株価は低迷、投資家が本社に押し掛ける事態となった。危機が深刻化すれば業界全体に影響が広がり、中国の金融システムが動揺する恐れもある。

習主席「共同富裕」が波紋 大企業に警戒感―中国

 恒大は多額の借り入れと積極的な開発用地の取得を通じて急成長。2020年の売上高は5070億元(約8兆6000億円)で、20万人の従業員を抱える。不動産以外の事業も展開しており、中国プロサッカークラブの広州FC(旧広州恒大)も傘下に持つ。
 ただ、高騰する住宅価格の抑制に向け、政府が不動産業界への融資を引き締めたことで、借り入れに依存した戦略は立ち行かなくなった。恒大の資金繰りは急速に悪化し、工事中断などの影響が表面化している。

 恒大の負債総額は今年6月末時点で1兆9670億元(約33兆4000億円)。うち2400億元の借入金が1年以内に返済期限を迎える。同社は8月末、不動産管理や電気自動車(EV)事業の売却などで資金繰り難は乗り切れると強調する一方、不調に終われば「デフォルト(債務不履行)につながる可能性がある」と警告した。

 香港証券取引所に上場する恒大株は16日、前日終値比6.4%安と急落。株価は1年間で6分の1以下になった。ロイター通信によれば、13日には広東省深セン市の本社に投資家が集結し、金融商品の返金を求める騒ぎが発生。16日も二十数人が集まり、一部は警備員に連行された。

 恒大は返済期限の延長などをめぐり、銀行側と協議を続けているとされる。政府は現時点で静観する構えだが、事態が一段と悪化すれば対応を迫られる可能性もある。 』

包囲網にらみ先手か 中国TPP参加申請

包囲網にらみ先手か 中国TPP参加申請
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091700206&g=int

『【北京、ワシントン時事】中国が環太平洋連携協定(TPP)の参加申請に踏み切った背景には、米国のバイデン政権主導で構築が進む対中包囲網をにらみ、先手を打つ思惑があるとみられる。

中国の姿勢、見極めへ TPP加入申請、閣僚発言相次ぐ

 昨年11月に習近平国家主席が参加を「積極的に検討する」と表明して以降、中国はTPP参加国の一部と非公式に接触するなどして準備を進めてきた。

世界2位の経済大国として、来年1月の発効を目指す日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)による地域的な包括的経済連携(RCEP)協定では突出した存在感を示す。米国不在のTPPでも大きな影響力を確保できるとの目算も申請を後押ししたとみて間違いない。

 TPP参加に関心を示す台湾をけん制する意図もうかがえる。米国の元TPP交渉官は「中国はTPP参加で台湾に圧力をかけている」と分析。台湾よりも先に参加を果たせば、中国の反対で台湾の参加は事実上、不可能となる。

 ただ、参加交渉の先行きは予断を許さない。参加国のオーストラリアとの間では豪州産ワインへの制裁関税導入など通商摩擦が激化。既に交渉入りしている英国との間でも香港問題などをめぐって緊張関係が続く。

 米英豪の3カ国首脳は15日、中国への対抗を視野に新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を立ち上げると表明。こうした動きと中国のTPP申請は「偶然の一致ではない」(元米交渉官)との見方もあり、中国の参加交渉は経済だけでなく、安保問題も絡んで難航する可能性が高い。 』

中国の姿勢、見極めへ TPP加入申請、閣僚発言相次ぐ

中国の姿勢、見極めへ TPP加入申請、閣僚発言相次ぐ
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091700468&g=pol

『中国が環太平洋連携協定(TPP)に加入申請したことを受け、17日には閣僚から発言が相次いだ。TPP担当の西村康稔経済再生担当相は閣議後記者会見で、「中国が高いレべルのTPPルールを満たす用意ができているか、見極める必要がある」と指摘した。
中国、TPP参加を正式申請 通商交渉で主導権狙う

 正式な交渉に入るには、最高意思決定機関「TPP委員会」の決定が必要で、日本は今年議長国を務める。西村氏は「TPPは知的財産保護、政府調達などで極めてレベルの高いルールがある」と強調。「他の参加国と相談し、対応していきたい」と語った。

 梶山弘志経産相は「データ流通の公平性、強制労働の問題などで懸念を抱かれないようにしないといけない。国有企業への補助金や政府調達の在り方でも透明性を維持する必要がある」と指摘した。

 米国はトランプ政権時代の2017年にTPP離脱を表明。中国の申請には米国をけん制する狙いもあるとみられるが、加藤勝信官房長官は「アメリカ政府自体がTPPに対しどう考えるかだ」と述べるにとどめた。』

米、インド太平洋への関与強化 TPPには慎重―バイデン政権

米、インド太平洋への関与強化 TPPには慎重―バイデン政権
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091700296&g=int

『【ワシントン時事】バイデン米政権は16日、中国政府が環太平洋連携協定(TPP)への参加を正式に申請したことに対抗し、インド太平洋地域で経済や安全保障分野の関与を強化していく方針を示した。日米豪印4カ国の連携枠組み「クアッド」をはじめとした対中包囲網の構築を本格化させる構えで、経済圏の拡大をめぐる米中のせめぎ合いが激しくなりそうだ。

中国、TPP参加を正式申請 通商交渉で主導権狙う

 バイデン政権は中国を「最大の競争相手」と位置付け、クアッドや先進7カ国(G7)、20カ国・地域(G20)など多国間の枠組みを通じて対中圧力を強めている。米国務省の報道官は16日、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を念頭に「中国の非市場的な貿易慣行と他国への経済的な圧力」を強く批判。中国がTPP参加11カ国から加入の承認を得ることは難しいとの見方を示した。』

中国のTPP「正式加盟、可能性十分」 ペルー元貿易相

中国のTPP「正式加盟、可能性十分」 ペルー元貿易相
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB170PR0X10C21A9000000/

『【サンパウロ=共同】環太平洋経済連携協定(TPP)加盟国ペルーのバスケス元貿易・観光相は16日、共同通信に、中国が複数のTPP加盟国の主要貿易相手国であることから正式加入は「難しいかもしれないが、可能性は十分ある」と話した。

加入申請は中国にとって「大胆な動き」と指摘。米バイデン政権が「国際貿易の最前線への注意をおろそかにしている隙に、中国がうまく利用した」と述べた。

一方、ペルー国立サンマルコス大のカルロスアルベルト・アキノ教授は、中国がTPPに加入するには「多くの内部改革をしなくてはいけないだろう」と指摘し、国による経済統制を軽減することなどが必要だとの考えを示した。自身のフェイスブックで述べた。

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・中国のTPP加盟、データのルールなど実現に3つの壁
・中国のTPP加盟申請、米専門家「米国の関与強化必要」
・中国のTPP加盟申請 米「経済的な威圧、判断要素に」』

中国のTPP加盟申請、米専門家「米国の関与強化必要」

中国のTPP加盟申請、米専門家「米国の関与強化必要」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16EYP0W1A910C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成】中国政府は16日、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したと発表した。アジアで米中の主導権争いが激しくなるなか、米国のオバマ政権でTPP交渉を率いた米通商代表部(USTR)のウェンディ・カトラー元次席代表代行は、米国がアジアで経済関与を強化すべきだと指摘した。

カトラー氏は中国の加盟申請について「自動的に加盟国になることを意味しない。むしろTPPの高水準のルールを守る覚悟があることを示す義務が生じる」と語った。「包括的な市場開放を約束する」のも同時に必要だと説明する。

加盟の可能性を巡っては「中国経済で国家の役割がより大きくなるなか、中国は市場に基づく高水準のTPPルールからむしろ遠ざかっているように見える」と指摘し、難しいとの見方を示した。

バイデン政権はTPPへの復帰に慎重だ。カトラー氏は「中国の正式申請は、なぜ米国が貿易などの経済的な関与をインド太平洋で強めなければいけないのかを表している」と強調し、中国に対抗して米政権にも行動を促した。

カトラー氏は米国がTPPに復帰したり、デジタル貿易や環境対策でアジア各国との連携を深めたりするよう訴えてきた。

【関連記事】米新政権の対アジア政策、環境・デジタルで再関与 』

中国のTPP加盟申請 米「経済的な威圧、判断要素に」

中国のTPP加盟申請 米「経済的な威圧、判断要素に」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16ES60W1A910C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成】米国務省の報道官は16日、中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したことについて「中国の非市場的な貿易慣行と他国に対する経済的な威圧が(加盟を認めるかどうかの)加盟国の判断要素となるだろう」と述べ、厳しい交渉になるとの見方を示した。

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サキ大統領報道官は「インド太平洋で経済連携を強化するためにあらゆる選択肢を検討している。貿易は唯一の選択肢ではない」と語った。アジアで米中の主導権争いが激しくなるなか、貿易以外で関与を強める方策を探る考えだ。

サキ氏は米国のTPP復帰を巡り「バイデン大統領は現状のままでは再加盟しないと明言してきた」と指摘し、再加盟するのであれば環境や労働の条項で再交渉が必要になるとの立場を改めて説明した。現時点では「明らかに(再交渉の時機に)達していない」と早期復帰に慎重な姿勢を重ねて示した。

トランプ前政権はTPPから離脱した。国務省報道官は「米国はTPPの加盟国ではないので、中国が加盟する可能性については加盟国の意見を受け入れる」と説明した。

米政府は中国のTPP加盟が難しいとみている。国有企業を補助金で優遇するなど市場をゆがめる慣行がハードルになる。加盟国のオーストラリアに輸入規制で圧力をかけるなど威圧的な行為も反発を招いている。』

中国のTPP加盟、データのルールなど実現に3つの壁

中国のTPP加盟、データのルールなど実現に3つの壁
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA16E7K0W1A910C2000000/

『中国が16日夜、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。同国はこれまでもTPP参加を検討する構えをみせてきたが、実際に申請したことに日本の通商関係者には驚きが広がる。協定にはデータを巡るルールなどで中国にとって高いハードルがあり、日本を含めた加盟国との交渉が難航するのは必至だ。

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「TPPの水準守らないなら加盟させない」と交渉関係者

TPPは多国間の大型連携協定の1つ。モノの関税だけでなく、サービスや投資の自由化を進めるもので、データを扱う電子商取引や知的財産などの分野でもルールを定めて貿易の活性化をめざしている。

米国はトランプ前政権により離脱したものの、残る日本やカナダ、オーストラリア、シンガポールなど11カ国が2018年3月に署名。21年に入ってからは新たに加入を希望する英国との調整が本格化していた。

複数の日本の通商関係者は、中国がTPPに加盟するのはかなり難しいとの見方を示す。既存の参加国全会一致で認める必要があるからだ。英国の加盟交渉でも、既存の参加国は今のルールを受け入れるよう迫る。「中国に対しても同じで、TPP水準を守らないなら加盟させない」と日本の交渉関係者はけん制する。
労働巡るルールでウイグル問題に飛び火も

特に障害となりそうなのがデータを巡るルールだ。TPPはデータ流通の透明性や公平性を確保する原則を定めている。これは既存の多くの自由貿易協定(FTA)が盛り込めなかったもので、専門家の間では「TPPスタンダード」と呼ばれている。例えば、ある国が外資企業に対しサーバーを自国内に設置するのを義務付けることや、ソフトウエアの設計図にあたる「ソースコード」の開示要求を禁止している。

実際、日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国が参加し、20年11月に署名した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定では、TPP水準のデータのルールはつくれなかった。妥結を急ぎ、厳しい規制に慎重姿勢を示す中国に配慮した面もあるからだ。

中国は、企業や個人による国境を越えた自由なデータの流通には否定的だ。データ安全法(データセキュリティー法)などで統制を強化する同国は「RCEPレベルが限界だ」と上智大の川瀬剛志教授は指摘する。

2つ目は強制労働の撤廃や、団体交渉権の承認など、労働に関するルールだ。ウイグル族への人権侵害が国際世論の反発を招く中で、中国はTPPの加盟交渉で難しい立場に置かれかねない。

3つ目として、国有企業への補助金や政府調達の手法など、中国国内の制度改革が必要なテーマも難しい分野だ。TPPは競争をゆがめるとして国有企業を補助金などで優遇することを禁じる。習近平(シー・ジンピン)指導部が進めてきた国有企業の増強を続けるなら、交渉はつまずく。TPPは政府調達でも国内外企業の差別を原則的になくすよう求めるが、中国は安全保障を理由に外資系の排除を進めてきた経緯がある。

11カ国でスタートしたTPPに中国が加盟を申請した(2018年3月にチリのサンティアゴで開かれたTPPの署名式)

地域貿易の主導権拡大狙う中国、日本は本気度探る展開に

中国の加盟申請について、上智大の川瀬教授は「国際的なルール形成の場で、より存在感や発言力を強めていこうとしている」と分析する。国際的な通商などのルールづくりに積極的に参画して影響力を発揮し、自国の政治や経済、産業に有利な仕組みを広げる狙いとみられる。

貿易を巡る米中対立が背景にあるとの見方も根強い。日本は米国のTPP復帰を望むが、バイデン政権も消極的な姿勢を崩していない。そんな隙に中国が加盟申請し交渉に臨めば、米国の復帰はより困難になる可能性が高い。仮に中国が加盟し、その後に米国が加入交渉をする展開になれば、全会一致の原則から米国の加入への拒否権を中国が持つことにもなる。

中国はRCEPを足がかりにASEANとの結びつきを強めようともしている。日中韓とASEANの経済担当相は13日の会合後の共同声明に、RCEP発効時期を巡り「22年1月」を目標にすると明記した。この目標は3月に中国が訴えていたものだ。RCEPやTPPにこれまで以上に関与し、地域貿易の主導権を強めていこうという姿勢がにじむ。

TPPは域内の人口が約5.1億人 、 国内総生産(GDP)が約11.2兆ドル(約1200兆円)と、RCEPや日本と欧州の経済連携協定(EPA)などと並んで世界有数の大型協定だ。中国の加入でその規模はさらに大きくなり、加盟すればメリットも大きい。

日本は現在、TPPの議長国を務める。高度な外交・通商戦略にも映る中国の相次ぐ動きの本気度をどうはかるか。半導体などで米国と共同歩調をとる日本にとっては、難しい判断を迫られる展開といえる。

(辻隆史、金子沙月)

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中国、TPP加盟を正式申請 アジア貿易主導権狙う

中国、TPP加盟を正式申請 アジア貿易主導権狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM16DYS0W1A910C2000000/

『【北京=川手伊織】中国商務省は16日夜、中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したと発表した。王文濤商務相が寄託国ニュージーランドのオコナー貿易・輸出振興相と電話協議し、申請書類を提出した。アジア・太平洋地域の貿易で主導権を握りたい考えだが、加盟に向けたハードルは高い。

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習近平(シー・ジンピン)国家主席は2020年11月、TPPへの参加を「積極的に考える」と表明した。米国が新たな自由貿易協定(FTA)などに消極的な中、22年1月の発効をめざす東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)に続き、経済的な影響力の拡大を狙う。

加盟交渉が円滑に進むかは不透明だ。現在のTPP加盟国は11カ国で、英国も加盟を申請している。中国の参加には加盟国すべての同意が必要だ。だが、TPPには中国と通商摩擦を抱えるオーストラリアや南シナ海の領有権問題で対立するベトナムが加盟している。

中国国内の制度改革も避けては通れない。TPPは、政府が国有企業を補助金などで優遇して競争をゆがめることを禁じる。習指導部が国有企業の増強を前提としたままなら、交渉は最初からつまずきかねない。

中国は9月に施行したデータ安全法(データセキュリティー法)などでデータの統制を強化している。データの国外持ち出しの禁止などは加盟国の反発を招く可能性もある。

TPPは、データ流通の透明性や公平性を確保する3原則も盛り込む。その一つが「『ソースコード』の開示要求の禁止」だ。中国では外資系企業が許認可の取得などで、ハイテク技術の開示を地方政府などから迫られる例が後を絶たない。

TPPは政府調達でも国内外企業の差別を原則的になくすよう求める。中国は安全保障を理由に「安可目録」などと呼ぶリストを作り、外資系の排除を進めてきた。自国の都合を優先する姿勢では、加盟に向けた道は険しい。

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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ひとこと解説

これは大変興味深い話。中国はTPPに参加することに大きなメリットを見いだしているが、そのためにはTPPが求める高い水準の自由貿易ルールを受け入れる覚悟が必要。

つまり、中国がTPPに入りたいという願望を持つ限り、中国は国際交渉において劣位にある。

TPPは中国の加入を優先して妥協することなく、中国なしのTPPを想定しながら、中国があらゆる点で高い水準のルールを受け入れることを条件に交渉しなければならない。その中国を入れるかどうかを決めるのは現在TPPに参加している国。日本が中国に持ちうる最大のレバレッジなので、これを活かして中国を変えていくという意識で交渉してもらいたい。
2021年9月17日 4:24
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菅野幹雄
日本経済新聞社 ワシントン支局長・本社コメンテーター
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今後の展望

偶然の産物なのでしょうが、米国と英国、オーストラリアによる「AUKUS」の安全保障協力が発表された直後に投げられた中国のくせ玉と言えます。

習近平体制の本気度を計りかねます。台湾がTPPに入りたいというなら分かりますが。本当にTPPに入りたければ、国有企業や補助金をはじめ米国などから散々指摘される問題に自ら進んで手をつけねばなりません。それほどの覚悟が中国にあるのか、はなはだ疑問です。

やはりトランプ政権でTPPを抜け、バイデン政権も不人気を恐れて及び腰の米国を揺さぶる意図が第一ではないでしょうか。
中国参加の可能性は低いですが、バイデン政権がどんな動きに出るかに興味があります。
2021年9月17日 7:24 』