〔ザルメイ・ハリルザド〕

ザルメイ・ハリルザド
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%89

『ザルメイ・ハリルザド(Zalmay Khalilzad、زلمی خلیلزاد、Zalmay Khalīlzād、1951年3月22日 – )は、アメリカ合衆国の官僚、外交官、政治家。アメリカ新世紀プロジェクト会員。スンニ派イスラム教徒[1][2]。』

『来歴

アフガニスタン生まれ。マザーリシャリーフ市出身。父はハリルッラー(パシュトゥーン人)、母はタジク人。1968年、ガジ貴族学校を卒業し、レバノンのベイルート・アメリカン大学でBAとMA取得後、1979年、シカゴ大学で政治学博士号取得。1979年から1989年までコロンビア大学国際公共政策大学院で助教授を務めた。

1982年、戦争と平和研究所、対外政策会議、ニューヨーク市、国防大学、戦略研究所の科学職員となる。1985年、アメリカ合衆国国務省に入省し、政治問題担当国務次官特別顧問となり、イラン・イラク戦争とソ連軍のアフガン侵攻を担当した。1980年代中盤、ソ連軍に対するムジャーヒディーンの行動を調整。石油会社ユノカルのアフガン・プロジェクトの主任顧問となる。

1989年から1991年までランド研究所の上級政治学者、カリフォルニア大学サンディエゴ校の講師を務める。1991年から1992年まで、政治計画担当国防次官補在任。

1993年~1999年、ランド研究所の「戦略、ドクトリン及び戦力機構」(Strategy, Doctrine and Force Structure)空軍プロジェクトのディレクター。中東研究センター(Center for Middle Eastern Studies)を設立。ジョージ・ウォーカー・ブッシュ政権の国防総省移行チームの長となり、後に国防長官顧問となる。アメリカ国家安全保障会議西アジア・近東・北アフリカ担当特別補佐官。南西アジア・近東・北アフリカ担当大統領特別補佐官。

ジョージ・W・ブッシュ政権の下、2003年11月から2005年6月まで駐アフガニスタン特命全権大使を務め、アメリカのアフガニスタン侵攻後のアフガニスタン政府構築を担当した。2003年11月24日、ハーミド・カルザイ大統領に信任状を手交した。

2005年6月21日から2007年3月26日まで駐イラク共和国特命全権大使。イラク戦争後のイラク政府構築を担当した。

2007年4月17日からは2009年1月20日までアメリカ合衆国国際連合大使を務めた。イランを核問題やイラクとアフガニスタンでの反政府活動支援などで非難し[3]、南オセチア紛争でロシアと対立した[4]。

2018年9月5日からはドナルド・トランプ政権でアフガニスタン和平担当特別代表を務め[5]、同年10月にカタールの首都ドーハでターリバーンと協議を行った。翌2019年1月26日にはカタールでのターリバーンとの6日間にわたる前例のない和平協議を行って従来を上回る成果を得られたと述べ[6]、同年4月26日にターリバーンとの和平案で中国やロシアとも合意した[7]。

ターリバーンとの和平合意に署名するハリルザド(中央左)
2020年2月29日、ドーハでターリバーン代表のアブドゥル・ガニ・バラダルとともにアフガニスタン和平プロセスに関する合意文書に署名した[8] 』

[FT]米特使「元大統領逃亡でタリバンとの交渉が頓挫」

[FT]米特使「元大統領逃亡でタリバンとの交渉が頓挫」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1656D0W1A910C2000000/

 ※ これは、絶対読んどいた方がいい…。

『米国のアフガニスタン和平担当特別代表を務めたザルメイ・ハリルザド氏はフィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューに応じ、イスラム主義組織タリバンとのアフガニスタンの政権移行についての交渉が、土壇場で同国のガニ元大統領が国外脱出したことで水の泡になったと語った。

ハリルザド氏は、タリバン側とカブールには侵攻しないと合意していたと話す=ロイター
ハリルザド氏は2018年にトランプ前米大統領から任命され、米政府とタリバンとの交渉を主導してきた。今回、アフガニスタンからの米軍撤退後初めてインタビューに応じ、8月15日の首都カブール陥落直前にタリバンの首都進攻を2週間踏みとどまらせる猶予期間を確保していたことを明らかにした。

計画では、タリバンがカブールを包囲する状況が続くなかでもカタールの首都ドーハで新政権への移行に向けての交渉を進め、交渉が成立するまでガニ氏は大統領職にとどまることになっていた。だがハリルザド氏によると、ガニ氏が国外脱出したことでカブールの治安部隊が崩壊し、タリバンはその日のうちに首都を制圧したという。このことで、多数の市民が国外避難しようと大混乱が生じ、ドーハでの交渉は事実上頓挫した。

逃亡の意図「みじんも」感じず

ハリルザド氏はFTとのインタビューで「我々は最後までタリバンをカブールに入れさせないための合意を取りつけていた」と強調した。ガニ氏に逃亡の意図があったことは「みじんも」感じられなかったという。

ハリルザド氏の話からは、崩壊寸前のアフガニスタン政府の混乱やタリバンによるカブール制圧を知った米政府内部の動揺がうかがわれる。ブリンケン米国務長官は9月13日の下院外交委員会の公聴会で、ガニ氏は国外脱出の前夜に米政府の計画に沿って行動すると確約したと証言したが、この発言とも一致する。

カブールの治安部隊はガニ氏が姿を消したとのニュースで散り散りになったとハリルザド氏は話す。「ガニ氏が逃亡した後、カブールの法と秩序を誰が守るのかという問題が浮上した。タリバンは我々に『カブールの治安に責任をとるか』と迫った。その結果は誰もが知るところで、我々は責任をとるつもりはなかった」。その後ハリルザド氏は同じ日のうちに、米軍で中東地域を統括するマッケンジー中央軍司令官とタリバン幹部との以前から予定されていた会談にドーハで臨んだという。

そこでタリバンの大統領府の掌握を許す暗黙の了解や明確な取り決めがなされたとの臆測があるが、ハリルザド氏はこれを否定した。「我々はタリバンにいかなる形であろうとゴーサインのようなものを出していない。我々は米軍の任務(カブール空港での国外退避作戦)について話しただけだ」

米政府関係者によると、ハリルザド氏が停戦に向けて当時のガニ政権と最初に協議したのは8月12日のことで、その2日後にタリバンと当面カブールを不可侵とする合意に達したという。だが、タリバン側はガニ氏の大統領辞任を前提条件として要求していたため、ガニ氏が新政権にかかわる可能性はほぼなかった。一方でアフガニスタンの国土のほとんどを掌握したタリバンの部隊は8月13日にはカブールを包囲していた。

「流血を防ぐ」ため脱出とガニ氏は主張
ガニ氏にコメントを求めることはできなかった。ガニ氏は8月18日にアラブ首長国連邦(UAE)からフェイスブックに投稿した動画で、タリバンが首都に迫るなか自らの生命が危険にさらされ、カブールでの「流血を防ぐ」ために脱出したと述べた。また、出国の際には着替え一式だけを携えていたとし、不正に得た多額の現金とともに脱出したとの疑惑を「根拠のない戯言(たわごと)」と否定した。また8日にはツイッターに声明を投稿し、「(自分がカブールに)残れば1990年代の内戦時のような市街戦になる危険がある」との大統領府警備の忠告に従って国外退避したと釈明した。

70歳の共和党員のハリルザド氏は、過去3年間のタリバンへの対応とトランプ政権が同氏の主導のもと2020年3月にアフガン和平合意をタリバンと結んだことで批判を受けてきた。アフガン合意は米政府が交渉のカードを自ら捨てたも同然で、選挙で選ばれたアフガニスタン政府をないがしろにし、タリバンを合法と認めることにつながりかねないといった批判だ。

バイデン米大統領も20年のアフガン合意を批判していたが、アフガニスタン出身の外交官であるハリルザド氏をアフガン和平担当特別代表として続投させた。これにはハリルザド氏自身が「ある意味で」驚いたという。同氏が交渉にあたった合意がアフガニスタン政府を貶めたと憤るガニ氏は、バイデン氏の大統領就任に伴って別の人物が特別代表に任命されると期待していたため、しばらくはハリルザド氏に会うことを拒否していた。

「当然ながら私は去るつもりでいた」とハリルザド氏は語った。

駐アフガニスタン米国大使を務め、約40年にわたって中東周辺地域に携わってきたハリルザド氏は、20年のアフガン合意で制約を課されたのは同氏が特別代表に就任する前の米国の対応に責任があると非難する。タリバンが軍事的に勢力を拡大するにつれて歴代の米政権はタリバンへの要求を徐々に下げていったという。同氏が18年に特別代表に任命されたのは「それまでの失敗の結果だった」と主張する。

「与えられた条件下で最善を尽くした」
「(米政府内では)一種のスケープゴートを探していた。彼らは私に『もっとうまくできたはずなのに残念です』と言わせたかったのだろう。だが、振り返れば、私は配られたカード、つまり与えられた条件のなかでできる限りの最善を尽くした」

辞職を考えたかとの問いには、辞表を常に自宅に置いていたと答え、「ここ(米国務省)では誰かが勝手に持っていってしまうかもしれないから」と付け加えた。

ハリルザド氏は長時間にわたるインタビューの中で、同氏がトランプ氏再選のあかつきには国務長官になりたいがためアフガン問題に「手を突っ込っんで」過大な成果を約束したと米中央情報局(CIA)で南・東南アジア担当テロ対策部長を務めた人物が疑惑を呈していることについても「荒唐無稽」と否定した。

ハリルザド氏は「米国史上最長の戦争」が混乱のなかで終結した責任の大半はアフガニスタン側にあると主張する。「彼らが(和平交渉を)しなかったことや一方の当事者が空中分解したことは米国の責任ではない。それは私の責任ではない」

それでもやはり何年も前にタリバンと政治的な決着をつけられなかったことは悔やまれるという。「今後は自らを省みることが多くなるだろう」

By Katrina Manson

(2021年9月15日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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イラン「1カ月で核兵器原料」

イラン「1カ月で核兵器原料」 米紙報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB14CYA0U1A910C2000000/

『【テヘラン=共同】米紙ニューヨーク・タイムズは13日、イランが核兵器1個の製造に必要な原料を獲得するまでにかかる期間が最短1カ月にまで大幅に短縮されたと報じた。国際原子力機関(IAEA)の報告書を分析した専門家の話としている。米当局者は数カ月とみている。

イランは核兵器を製造し保有する意思はないと主張。反米保守強硬派のライシ政権は、イランの核開発を制限した核合意の再建に向けた米国との間接協議を続ける構えで、同紙は交渉を有利に展開するため核開発を拡大して米国に圧力をかけているとの見方を示した。
2015年に成立した核合意は、イランによる濃縮ウランの製造量や濃縮度を制限することで、イランが核兵器1個の製造に必要な高濃縮ウランを得るまでの期間として、少なくとも1年間を確保したとされた。

しかし、トランプ前米政権の合意離脱と制裁強化を受け、イランは合意破りを加速。ウラン濃縮に用いる高性能の遠心分離機を導入し濃縮度を兵器級に近づく60%に引き上げ、この期間は大幅に短縮された。同紙は「イランが核兵器(獲得の)能力にこれほど近づいたことはない」と指摘した。

同紙によると、IAEA報告書を分析した米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)のオルブライト所長は、イランには間接協議を優位に進めようとする意図があると指摘。「脅しに乗ってはならない」と述べた。』

米、対中でリトアニア支援

米、対中でリトアニア支援 ベラルーシ経由移民も非難
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1481D0U1A910C2000000/

『【ワシントン=共同】サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は13日、リトアニアのシモニテ首相と電話会談した。欧州で初めて「台湾」を用いた代表処の設立を認めたことで中国の強圧的な行為に直面するリトアニアに対し、米国の強固な支援を表明した。

またベラルーシが欧州連合(EU)の経済制裁への報復として意図的にEU加盟国リトアニアに中東からの移民・難民を流入させているとして、ベラルーシのルカシェンコ政権を非難した。

電話会談を受け、中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は「米国が中国の脅威をあおっている」と反発する記事を公表。リトアニアの「悪意と敵意のある」対中政策の背後に米国の存在があると主張した。』

英仏海峡の不法移民で両国対立

英仏海峡の不法移民で両国対立 英、仏への強制送還も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13CMF0T10C21A9000000/

『【ロンドン=中島裕介】ドーバー海峡を渡ってフランスから英国に入る難民や不法移民への対応をめぐり、両国の対立が深まっている。足元での移民らの急増を受け、英国は自国海域内から押し戻す方針を表明。フランスはこれに猛反発している。

英BBCによると、年初からこれまでに1万2500人以上の不法移民がゴムボートや小型船などでフランスから英国に渡った。2020年は年間で約8500人、19年は2000人ほどだったため、21年は異例の多さになっている。

移民らは内戦や紛争が続くイエメンやソマリア、イラクなどの出身で、アフガニスタン人も含まれる。密航業者に大金を支払い、数時間かけて英仏海峡を渡る。仏北部沿岸の町グランドサントなどには英国への渡航希望者が集まってテントを張り、不法な出航の機会を待っている状況だ。

これに対応するため、英政府は9日までに、パテル内相の承認がある場合に、英海域に入ってきたボートをフランス側に押し返す方針を決めた。措置発動は安全で限られた場合にのみとしているが、方針そのものは政府内で保守系の議員を中心に不法移民の急増に懸念が強まっていることが背景にある。

不満の矛先はフランスにも向く。パテル氏は7月に合意した移民対策向けの約5400万ポンド(約82億円)のフランスへの資金提供の凍結も示唆した。

フランスの反発は強い。ダルマナン内相は8日、ロンドンでパテル氏と会談したが、この問題での進展は得られなかったもようだ。ダルマナン氏は9日には自身のツイッターに「海洋法に反する(英国の)行動や金銭的な恐喝は容認できない。私はそれをパテル氏に告げた」と投稿した。

事態が混迷する背景には英国の欧州連合(EU)離脱の影響もある。国際法や国連の難民条約に基づけば、各国は海域内や領土内にいる不法移民らの保護を求められる。ただEUの「ダブリン規則」では、EU域内で最初に到着した国で難民審査を行うルールがある。このため英国はEU加盟中は、フランスに合法的に不法移民を送還できた。

だが英国は21年1月にEUを完全離脱したためダブリン規則のルールは使えない。英メディアによれば、まだ代わりの難民申請に関する取り決めをフランスやEUと合意できていない。

今後、イスラム主義組織タリバンが制圧したアフガニスタンから流出する市民がさらに増えることも予想される。英仏海峡での不法移民を巡る対立はさらに深まる恐れもある。』

[FT]スペイン、減税で家計支援

[FT]スペイン、減税で家計支援 欧州覆う電力高騰に対応
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB155740V10C21A9000000/

『スペイン政府は、エネルギー企業の利益から30億ユーロ(約3880億円)を徴収し、消費者向けに減税を行うと発表した。欧州の各国政府を圧迫している電力・ガス価格高騰が引き起こした政治的なダメージの抑制を目指す。

スペインのサンチェス首相は、エネルギー企業の利益水準について「容認できない」と話す=ロイター

一連の対策は14日、サンチェス首相率いる内閣が閣議決定したが、エネルギー企業側からは怒りの声が上がった。スペインの原子力産業は、計画が実行に移されたら、操業が停止する可能性があると述べた。

電力料金は1年で35%上昇

この夏を通して電力卸売価格は史上最高値を更新し続け、サンチェス氏の中道左派の少数与党政府にとってエネルギー価格高騰が喫緊の問題になった。消費者向け電力料金は8月までの1年間で35%上昇した。

スペイン政府は、天然ガスを使わないにもかかわらず、ガス価格上昇が電力価格上昇をもたらす仕組みから恩恵を受けた公益企業の「超過利益」26億ユーロを対象にしていると述べた。この措置に先駆け、7月には、炭素価格が上昇したために収入が増えたエネルギー企業から約6億5000万ユーロを徴収する同様の対策が発表されている。

政府は、徴収した資金を本来なら消費者の負担になるインフラ整備費用の支払いに充て、それによって家計における電力料金を減らすと話している。

また、サンチェス氏は2021年末まで、電力にかかわる消費者の税負担を14億ユーロ分削減すると述べた。「我々は、すべての市民が18年と同水準の電力料金を(21年に)払うようにすることを固く誓う」。サンチェス氏はこう語り、エネルギー企業の利益水準を「容認できない」とした。

エネルギー業界からは反発も

しかし、再生可能エネルギーを手がけるスペインの電力大手イベルドローラは、この計画は消費者にとって、さらに多くの問題を生み出すと述べた。「また、野心的な気候変動目標を支えるプロジェクトを実現するためにスペインが何十億ユーロもの民間投資を必要としている肝心な時期に、国に対する投資家の信頼感も損なうことになる」としている。

スペイン原子力産業協会は、「法案が(現在の)過剰な税負担の圧力と重なると、すべての原子力設備が運転停止に追い込まれる」と話している。

多くの消費者が固定料金ではなく変動料金を払っているため、スペインの電力小売価格は同国の電力卸売市場と密接に連動している。

エネルギー価格高騰は欧州全体に影響を及ぼしている。石炭に代わる燃料として液化天然ガス(LNG)に向かう中国の需要、炭素価格の上昇、ロシアからの供給減少といった要因によって生じた現象だ。

「スペインでは市民が家計で窮状を感じているが、これはスペインだけの問題ではない。世界中で問題になってはいないにしても、欧州では問題となっている」。英調査会社オックスフォード・エコノミクスの欧州経済部門を率いるアンヘル・タラベラ氏は、こう話す。「スペインの仕組みが他国と異なるために、世界の大部分はまだ気づいていないが、遅かれ早かれ似たような状況が他国でも生じるだろう」

実際、ここ数日で、フランス政府が燃料支払いに対する直接補助金の給付延長を検討すると述べたほか、ギリシャは最近の電力料金上昇を補填するために1億5000万ユーロ規模の基金設立を発表した。

ドイツでは先週、ベンチマークとなる22年引き渡しの電力卸売価格が1メガワット時あたり90ユーロ台を突破した。年初の水準のほぼ2倍で、08年夏に記録した史上最高値を更新した。

フランスの電力大手エンジーの分析部門エナジースキャンを率いるジュリアン・オアロ氏は、この冬の欧州向けのロシア産ガスの供給量がはっきりしないと、市場は今後も逼迫し、価格が高止まりすると警鐘を鳴らす。「9月でこの状況なので、暖房用のガス需要が高まる今後数カ月がかなり心配だ」と話す。

イタリアでも電力料金4割上昇の可能性

イタリアのチンゴラーニ環境相は13日、ガス価格と炭素価格が上昇しているため、イタリアの電力料金が次の四半期に最大で40%上昇する可能性があると警告した。

エネルギー価格の上昇は、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会にも圧力をかけた。欧州委は7月、自動車燃料と建物の暖房に対する炭素価格の設定を含む温暖化ガス削減に向けた包括案を提案したばかりだ。

この提案はスペインやフランスなどからの反発を招いた。こうした国は、一連の方策は、環境に優しく炭素排出量が少ない燃料に簡単に切り替えられない貧しい人たちを直撃すると主張している。

「エネルギー分野で今生じている価格高騰のためにまひ状態に陥ったり、物事の進め方を遅らせたりするのではなく、すべての人が手ごろな価格の再生可能エネルギーを利用できるように再生可能エネルギーへの移行を加速させるべきだ」。欧州委のティメルマンス上級副委員長(気候変動担当)は、この問題に関して14日開かれる欧州議会の議論に先駆け、こう語った。

欧州委は批判をかわすために、新たな炭素価格制度によって最も大きな影響を受ける世帯を支援するために、数十億ユーロ規模の社会基金を立ち上げることを提案している。

By Daniel Dombey, Mehreen Khan and Tom Wilson

(2021年9月15日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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[FT]中道左派、ノルウェーの政権も奪取

[FT]中道左派、ノルウェーの政権も奪取 独でも高支持率
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1558H0V10C21A9000000/

『これまで20年ほどの北欧諸国での有権者の行動をみると、社会民主主義の砦(とりで)という評判は有名無実になりつつあった。ところが、13日投開票のノルウェー議会選で最大野党の労働党(中道左派)が勝利したことで、情勢は変わった。

ノルウェー議会選で勝利し、次期首相に就く見通しになった労働党のストーレ党首(13日、オスロ)=AP

北欧のノルウェー、デンマーク、スウェーデンの3カ国がいずれも社会民主主義を標榜する政党の首相を擁するのは2001年以降で初めてだ。この流れを受け、中道左派の指導者たちは次の大きな勝利の可能性を視野に入れている。ドイツの次期首相が決まる連邦議会選(総選挙)だ。26日の投票を前にした世論調査では、ドイツ社会民主党(SPD)の首相候補、オラフ・ショルツ財務相が支持率でトップに立っている。

ノルウェー議会(一院制)のアンニケン・ハイトフェルト議員(労働党)は取材に対し、「スウェーデン、デンマーク、フィンランドの次はノルウェーだった。何かが起きている。2週間後にドイツの政権がどうなるのか見届けないといけない。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、人々はこぞって福祉に期待しているのだと思う。社会の格差がずっと広がってきた。それも欧州全域で」と主張した。ハイトフェルト氏はノルウェーの次期外相の有力候補だとされる。

ドイツの次期首相候補として支持率トップのショルツ財務相(14日)=AP

独SPDの戦略担当は以前から、北欧の状況がいずれドイツでも起こり得ると指摘してきた。だが、北欧で社会民主主義が復活している背景はその認識とはやや異なる。

労働党は第1党でも得票率伸びず

今回のノルウェー議会選では、1924年以降のすべての議会選と同じく、労働党が第1党となった。しかし、得票率は26.4%にすぎず、この97年間で下から2番目の低さだった。次期首相に就くとみられる労働党のストーレ党首が「大きな失望」と評した2017年の前回議会選での得票率さえも、わずかだが、下回った。

同様に、18年のスウェーデン議会選では、社会民主労働党が政権の維持には成功したものの、得票率は1908年以降で最も低くなった。

その理由は難しくない。北欧でも、ほかの欧州諸国と同じく、多数の政党が乱立する状況が進んでいるからだ。ノルウェー議会では10党が議席を持つ。

連立政権の政策調整は難題に

ノルウェーで労働党が勢力を回復した大きな理由は、友党が伸長したからだ。地方を基盤とする中央党、社会主義左翼党を含めた3党の連立政権になる可能性が高い。中道左派が得た100議席のうち、労働党より左寄りの政党が得たのは24議席だった。

スウェーデンの中道右派政権を率いたカール・ビルト元首相は「一般的な傾向として、かつての社会民主主義はいまよりもはるかに強大な政治勢力だった。だが、いまでは総じて多党化が進み、もはや巨大政党はみあたらない。ドイツの選挙はよい例だ。以前はSPDとキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の二大勢力が政界を支配し、ともに得票率は40%台だったが、最近では20%台前半で競り合っている」と指摘した。

多党化は「社会の多様化が進展している表れ」で、「階級を背景にした過去の政治のやり方はまったく機能しなくなった」のが現状だと、ビルト氏は強調した。

北欧の社会民主主義への圧力は、デンマークとスウェーデンで左派から支持者を奪った右派ポピュリスト(大衆迎合主義者)政党の台頭で強まった。だが、ノルウェー議会選では、ポピュリスト政党の進歩党が93年以降で最悪の結果となった。

デンマークでは、19年に就任した中道左派の社会民主党のフレデリクセン首相が、ポピュリスト政党であるデンマーク国民党の主張に歩み寄り、政策を移民抑制へと大きく変更した。

フレデリクセン氏は19年の選挙前の取材でこう話していた。「社会民主主義政党として最も重要なことは、実質的な存在意義を有することだと考えている。人々が直面する様々な問題について解決策を提示できるかどうか、ということだ」

ノルウェーのストーレ氏は同国で広がる格差の是正を目指しており、労働党の支持者に「この国の普通の人たちがようやく、日の目を見られるだろう」と語りかけた。

ストーレ氏が直面するのは、一致団結した政権の樹立という困難な仕事だ。労働党主導が主導する連立政権は議会で過半数を確保するが、西欧最大の産油国ノルウェーの石油産業の将来や、欧州における同国の役回りを含む様々な課題を巡り、3党の間には大きな意見の相違が生じるとみられている。

仮にストーレ氏が共産主義の赤色党、石油開発に反対する緑の党といった、労働党よりも急進的な左派政党の協力を求めれば、連立協議は一段と困難になる。それでも13日の議会選で最も大きく躍進したポピュリストの中央党の協力は仰がなければならないはずだ。

13日のノルウェー議会選で投票するソールバルグ首相=AP

ビルト氏は「多党化で国の統治の難しさはさらに増すことになる。ヨーナス(ストーレ氏)は中央党とうまくやっていかないといけないだろう。幸運を祈る」と語った。

北欧諸国では社会民主主義が巻き返す一方、次の選挙では中道右派が手ごわい挑戦者になりそうだ。

ノルウェーの現首相で中道右派のソールバルグ氏は今年、取材に対し、1980年以降は中道と右派の政権が、左派とちょうど同じ期間、権力を握ってきたと説明した。2015~17年に北欧の5カ国で政権を担当した社会民主主義の政党は、1つだけだった。

中道左派のスウェーデン現政権の高官の一人は「足元で私たちに波が来ている」と認めた。「だが、これがずっと続くと思ったら、それは間違いだ」

By Richard Milne

(2021年9月14日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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アフガニスタンが陥落した日にギリシャのビーチで発見された英国の外務大臣

アフガニスタンが陥落した日にギリシャのビーチで発見された英国の外務大臣は、タリバンがどれほど速く動いているかを知っていれば休暇に行かなかっただろうと言った。
http://www.bemull.com/%e3%82%a2%e3%83%95%e3%82%ac%e3%83%8b%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%b3%e3%81%8c%e9%99%a5%e8%90%bd%e3%81%97%e3%81%9f%e6%97%a5%e3%81%ab%e3%82%ae%e3%83%aa%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%81%ae%e3%83%93%e3%83%bc%e3%83%81/

『アフガニスタンが陥落した日にギリシャのビーチでのんびりしているのが発見された英国の外務大臣は、タリバンが国中をどれだけ速く進んでいるかを知っていたら、彼は行かなかっただろうと言った。

ラーブは日曜日にクレタ島の高級リゾートでリラックスしているのを発見された。同日、タリバンはカブールとアフガニスタンの大統領官邸を取り戻した、とテレグラフは報じた。

目撃者は、ラーブを5つ星ホテルで見た後、ビーチで見た後、その日遅くに近くの空港からロンドンに戻ったと語った。

火曜日に、ラーブは「振り返ってみると」彼は休暇に行かなかっただろうと言ったが、タリバンがカブールに向かってどれだけ速く進んでいるかわからないと言った。

「タリバンの乗っ取りのために、これがこの規模で行われるとは予測していなかった」と彼は「BBCブレックファースト」に語った。 「しかし、振り返ってみると、もちろん、そうなることを知っていたら、私は休暇に出かけなかっただろう。」

「同様に、非常に過酷で厳しいスケジュールの18か月と2年後、これらの立場の人々が休暇を取るのは正しいと思いますが、私たちはいつでも戻ってくる準備ができています。私はいつでも準備ができています。」

「そして、私が不在のときでも、率直に言って、私は会議を常に処理および管理し、外国のカウンターパートと話をしていました。もちろん、テクノロジーのおかげで、すべての人と関わりを持つことができました。コブラ会議の」と述べ、政府の危機に使用される英国政府の内閣府ブリーフィングルームに言及した。

ラーブは、日曜日までに仕事に戻らなかったことについて、自分の党員から批判されていた。

ラーブが日曜日に英国に戻る前に、保守党議員で外務省選考委員会の委員長であるトム・タジェンダット氏は、ラーブが声明を発表していなかったため、英国外務省が危機にどのように対応するかわからないと述べた。

「これはスエズ以来最大の単一の政策災害であるにもかかわらず、約1週間外務大臣から連絡がないので、何が進行中であるかはわかりません」と彼は1956年のスエズ危機に言及してBBCニュースに語った。英国がエジプトに侵攻した後、壊滅的な後退を余儀なくされたとき。』

ジョンソン英政権、内閣改造

ジョンソン英政権、内閣改造 新外相にトラス貿易相
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR15ELL0V10C21A9000000/

『【ロンドン=中島裕介】英国のジョンソン首相は15日、内閣改造に踏み切り、新たな外相にトラス国際貿易相を起用した。外相だったラーブ氏は副首相兼司法相に就いた。スナク財務相やパテル内相、ウォレス国防相、ジャビド保健相といったそのほかの主要閣僚は続投となった。英国で開く第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)議長のシャーマ氏も留任した。

英政権の内閣改造は20年2月以来、およそ1年半ぶりとなる。ジョンソン氏は15日、改造を受けて、「我々は(新型コロナウイルスの)パンデミックからより良く再生し、皆さんの優先事項を実現する」とツイートした。

トラス氏は国際貿易相として、欧州連合(EU)離脱を受けたEU域外との通商交渉を担当してきた。日本との経済連携協定(EPA)をまとめ、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉入りに道筋をつけるなど成果を積み上げたことが保守党支持層に評価されていた。後任には同じ女性でエネルギー担当の閣外相だったトレベリアン氏を充てる。

ラーブ氏は2020年4月にジョンソン氏が新型コロナで入院した際に、首相代理を務めた。だが今年8月、イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンを制圧した際に、海外で休暇を取り執務に支障をきたした疑念を持たれるなど批判が強まっていた。一部の英メディアは「事実上の降格」と報じている。

【関連記事】
・英貿易相「TPP加盟合意、22年中に」 中国参加には難色
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EU、危機対応へ新組織 情報共有で安保強化

EU、危機対応へ新組織 情報共有で安保強化
欧州委員長が施政方針
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR156NI0V10C21A9000000/

『【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は15日、EUの安全保障分野の統合を進める意向を表明した。加盟国間で安保情報を共有する新組織を立ち上げ、EUとしての兵力も展開できるようにする考えだ。新型コロナウイルス禍を受け、感染症分野でも新機関を設ける方針も示した。

フランスのストラスブールの欧州議会で演説した。この日の演説は年に1回実施されるもので、これまでの業績を振り返るとともに、今後の施政方針を示す。2019年12月に欧州委員長に就任したフォンデアライエン氏にとって2回目。

同氏は加盟国間で警察訓練から宇宙まで幅広い情報を共有する新組織を設立すると明らかにした。サイバー分野でも加盟国が共同で対応できる新法をつくり、軍事・安保分野での統合を進める考えを示した。

EUでは5千人規模の即応部隊の設置の検討が進んでいる。22年前半にEU議長国に就くフランスとともに、欧州の防衛に関する首脳会議を開き、統合を前進させる考えだ。

フォンデアライエン氏は「欧州は単独でより多くのことができるし、明らかにそうすべきだ」と述べ、EUが安全保障分野で独自の行動を増やすよう訴えた。「北大西洋条約機構(NATO)や国連が参加しないミッションでもEUが参加することはある」とも語り、「欧州防衛連合」としてEUの自立性を高める方針を示した。

これまでも同分野の統合は議論されてきたものの、EUへの権限移譲に慎重な加盟国もあり、進んでこなかった。フォンデアライエン氏は「能力の不足ではなく、政治的な意思が欠如していた」と述べ、加盟国に対応を促した。

背景には、アフガニスタンを巡る混乱がある。フォンデアライエン氏はアフガンから欧州各国が軍を撤収させたことについて、「なぜ任務が突然終わったのか考えなければならない」と語った。

欧州首脳による米軍の撤収延期の要請にもかかわらず、バイデン米大統領は8月末に予定通り撤収した。米国抜きでアフガンにとどまる力のない欧州勢も撤収を余儀なくされた。米国に過度に依存した安保体制を見直す機運が高まっている。

演説の冒頭では、新型コロナ対策も取り上げた。EUの成人の70%が既に2回目のワクチン接種を終えたことに触れ、域内での取り組みを称賛。その上で新たに感染症などに対応する新機関を立ち上げると表明した。

27年までに加盟国に500億ユーロ(約6兆5000億円)を投じるよう提案し「地域的な流行が世界的な大流行になるのを防ぐ」と説明した。22年半ばまでにワクチン接種が進んでいないアフリカなど途上国に2億回分を追加寄付することも明らかにした。

深刻な半導体不足にも言及した。世界的に自動車やスマートフォンの生産に支障が出ている。フォンデアライエン氏は「デジタルは(将来の)成否を決める問題だ」として、アジア製の半導体に過度に依存している状態を改善する必要があると主張した。実現のために半導体の域内での技術開発や生産を推進する新法をつくると明らかにした。

気候変動対策では10~11月の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が「国際社会にとっての正念場だ」と強調。中国には石炭事業の停止、米国には途上国への資金支援の増額を求める一方、EUとして40億ユーロの追加の資金拠出をすると表明した。』

英送電施設で火災、エネ高騰に拍車

英送電施設で火災、エネ高騰に拍車 仏からの供給制約
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR15EO90V10C21A9000000/

『【ロンドン=篠崎健太】英南東部ケント州の送電施設で15日未明に火災が発生し、フランスと電力を融通するインフラの一部が機能を停止した。同日のロンドン市場では卸電力の取引価格が大きく上昇し、発電用の需要が高まるとの思惑で英国の天然ガス先物は一時前日比18%高と急騰した。世界的なエネルギー価格の高騰に拍車をかけた形で、冬場の電力・ガス需給の逼迫や経済への悪影響に懸念が出ている。

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火災が起きたのは英送電大手ナショナル・グリッドの変電所で、英国とフランスを結ぶ海底送電線「IFA」を扱う施設だ。地元の消防当局によると消防車12台などが出動して消火活動にあたった。被害の規模や原因など詳細は明らかになっていない。

IFAには2ギガ(ギガは10億)ワットの送電能力がある。このうち1ギガワット分の機能が火災の影響で止まった。ナショナル・グリッドは再開について2022年3月27日以降になるとの見方を市場参加者に通知した。火災前から停止が予定されていた残る1ギガワット分の再開は今年9月25日以降になる見込み。「IFA2」という別の系統(1ギガワット)は正常に稼働している。

英国は必要に応じて欧州大陸から電力を買っており、IFAは主要な調達ルートの一つだ。英メディアによると、ナショナル・グリッドは当面の電力供給に問題はないと判断している。ただ今回の火災は、欧州で天然ガスや電力の相場が騰勢を強めている悪いタイミングに重なった。

金融情報会社リフィニティブによると、15日は英国の卸電力取引価格(翌日受け渡し、ベースロード電力)は一時1メガ(メガは100万)ワット時あたり500ポンド(約7万5500円)と、前日と比べて25%上昇した。100ポンド前後で推移していた8月までと比べて4~5倍に跳ね上がっている。発電に使われる天然ガスの世界的な高騰や経済回復、風量の不足に伴う風力発電の稼働低下などが背景にある。

ICEフューチャーズ・ヨーロッパに上場する英国の天然ガス先物は、10月物が前日比18%高い1サームあたり1.94ポンド強まで買われた。期近ベースの上場来高値を連日で更新した。天然ガスは米国やアジアでも高騰が続いており、企業収益や家計、インフレ動向への悪影響が無視できなくなっている。

米金融大手ゴールドマン・サックスは14日付のリポートで、冬場にかけて欧州とアジアの両方で厳しい天候になれば、欧州で天然ガスが在庫不足に陥る恐れを指摘した。最悪の場合は電力・ガス価格が需要を壊すほどに上昇したり、産業界が停電に直面したりするリスクもあると言及した。

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小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員

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ひとこと解説 今年に入って世界各地で電力需給逼迫と電力価格の高騰、関連したガス・LNG価格高騰が発生している。

年初の日本の寒波襲来、2月のテキサス電力危機、そして今回は英国での需給逼迫だ。

それぞれの需給逼迫には固有の原因や背景があるが今日の社会・経済において電力需給の安定は絶対に欠かせない重要な問題である。

そしてデジタル化推進や情報通信技術への依存、さらに脱炭素化のための重要手段として電力化が推進されていく中、電力安定供給の重要性はさらに高まる。

異常気象や不測の事故、サイバー攻撃等の緊急事態型リスクに加え、電力自由化による影響、自然変動型再エネの拡大など構造型の課題に対応した電力安定供給強化が必要になる。

2021年9月16日 8:44いいね
18

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竹内純子
国際環境経済研究所 理事・主席研究員

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ひとこと解説 ここのところ、イギリスは(欧州全体的に)風況が悪く風力発電の発電量がかなり低いこと、天然ガス価格の高騰(高騰というより爆騰)などが重なり、電力価格は(欧州各国で)過去最高レベルとえらいことになっています。

こうした事象が重なっているときに、この国際連系線の火災は痛い。どのくらいの被害かまだ詳細把握できていませんが、記事にあるように来年3月くらいまで復旧不可能という話もあり、この冬が暖冬であることをお祈り申し上げます・・・。

2021年9月16日 8:31 (2021年9月16日 8:40更新)
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22 』

[FT]アフガン難民拒むトルコ「国境の壁」

[FT]アフガン難民拒むトルコ「国境の壁」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM161I50W1A910C2000000/

『アフガニスタンを脱出したハミトさん夫妻と1歳の娘が山を越え、盗賊にあった末に突き当たったのは、コンクリートの壁だった。アフガンなどの難民がトルコへ、そして欧州へと流れ込むのを阻止するために建てられた壁だ。

イランと最長の国境を接するヴァン県にはモジュール式のコンクリートブロックで壁が立てられている(2021年8月21日撮影)=ロイター
アフガニスタンで迫害されている少数民族ハザラ人でイスラム教シーア派の一家は8月、イランから国境を越えてトルコに入ったが、すぐに警察に拘束された。トルコでは、2021年のこれまでに4万人のアフガン人が拘束されている。アフガンのイスラム主義組織タリバンの復権を受けて、さらなる難民の流入が見込まれる。

「たとえトルコで拘束されても、タリバンのアフガニスタンよりはましだ」と、後に残してきた親族を守るために仮名を使った29歳のハミトさんは話した。「ひどい生活だった。もう絶対に戻れない。戻れば死刑宣告だ」

トルコは世界最大の難民人口を抱え、エルドアン大統領もかつては、国内に360万人が暮らすシリア難民などに対する門戸開放政策を推進していた。だが、景気が低迷するなかで外国人に対する国民感情が悪化し、政権与党の支持率低下にもつながるとあって、エルドアン氏は、トルコは欧州の難民の「倉庫」にはならないと宣言した。

332マイル(約534キロメートル)に及ぶイランとの国境線の3分の1をカバーすることになる壁は、アフガン人を入らせまいとする姿勢を最も顕著に示すものだ。欧州連合(EU)は難民の流入を抑えるため、トルコに数十億ユーロ(数千億円)を支払っている。金額の詳細は不明だが、その資金は東部国境の警備強化にも使われている。

不法に国境を越えてトルコに入った後、国境警備兵から逃れてトンネルに隠れるアフガニスタンの難民(2021年8月23日撮影)=ロイター
「壁に効果があるかどうかは関係ない。エルドアンは難民に厳しい姿勢を見せる必要がある」と指摘するのは、欧州外交問題評議会(ECFR)のアスリ・アイディンタスバス上級研究員だ。「経済の悪化に関して、難民がスケープゴートにされている」

国境の壁は欧州へのメッセージでもあるという。「欧州との関係を修復しようとする努力の核心は、トルコが非正規移民に対する防波堤になるという難民問題に関する取り決めだ」
イランと最長の国境を接するヴァン県では、コンクリートブロックを積み上げた高さ3メートルの壁がソグクスの街を見下ろす不毛の丘を縫うように延びている。壁のない部分は塹壕や有刺鉄線、治安部隊に守られる。

「国境に建てている壁により、神の思し召しにより、我々は出入りを完全に遮断できる」とエルドアン氏は8月、17年に着手されたプロジェクトについて述べた。「この国境の壁は我々の保安壁であり、ファイアウォールだ」

ヴァン県にあるトルコ・イラン国境の軍事基地で見張りをするトルコの兵士(2021年8月21日深夜撮影)=ロイター

エルドアン氏は、ヴァン県に6つの国境警備大隊と3つのコマンド大隊も展開させている。200カ所近くに建設中の監視塔は大半がEUの資金によるもので、警備要員はドローン(小型無人機)や赤外線カメラ、暗視カメラを使ってイラン側にいる難民を簡単に追跡する。
隙間をすり抜けたり、トンネルを掘ったりして入り込んできた難民も、すぐに見つかって送り返されるか、ソグクスから出る道路の検問所で捕らえられることがある。近くのヴァン湖でも20年にボートが転覆して61人が溺死した事故があり、沿岸警備隊が侵入ルートを遮断している。

ヴァン県のビルメズ知事は、当局が今夏、100カ所以上の「ショックハウス」を破壊したと明らかにしている。密入国業者が支払いを待ち、トルコ西部を経て欧州へ密入国させる機会をうかがう間、人々を留め置く隠れ家のことだ。「非正規移民にヴァンの街を歩かせない。即座に彼らを捕らえて処理センターに送る」と同知事は述べた。

イランからトルコに不法に渡った後、トルコの治安部隊に捕まったアフガニスタンからの移民の家族。トルコ・ヴァン県にある難民処理センターの一室にて(2021年8月22日撮影)=ロイター

強制送還施設の係官は施設を刑務所になぞらえた。数は多くないがパキスタン人やイラン人も含めて、難民は祖国に送還されるまで最長1年間収容される。トルコ国内に約30万人いるアフガン難民は、本国の政権崩壊を受けて送還が停止されている。

難民の大半は若いアフガン人男性だが、同国の治安が悪化した数カ月前から女性と子どもも増えているとビルメズ氏は述べている。

冒頭のハミトさんは昨年、アフガニスタンの首都カブールにあったハザラ人の子どもの学校が自爆テロで破壊された後、妻ファルザナさんと娘を連れてイランへ逃れた。だが、イランでは仕事も住まいも見つけられず、さらにトルコへと向かった。山道を2日間歩き、道中でわずかな所持品を盗賊に奪われたあげく、厳しい屋外環境で娘が病気になってしまった。

最初の挑戦では国境を越えられずに戻ったが、2度目の試みで越境を果たし、密入国業者から偽造の身分証明書を渡されて空港に連れていかれた。そこで拘束された。

「今、私たちは少なくとも安全で、タリバンの手が届かないところにいる」と25歳のファルザナさんはトルコ政府の通訳を介して話した。他の入国者20人とともに、県都から6マイル離れたところにある強制送還施設に収容されている。「タリバンはハザラ人を殺し、女性を誘拐している」

アフガンにいる親類たちは、トルコで敵視されるのを覚悟の上で、イランを横断する1500マイルのつらい長旅に乗り出そうとしているとファルザナさんは話した。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの調査によれば、一家の故郷のガズニ州では、タリバンの戦闘員が7月、首都に進攻する途上でハザラ人男性9人を殺害したことが判明している。
ビルメズ知事は、難民の流入が続いていることはほとんど驚くにあたらないと語った。「難民たちはトルコに入ることが難しくなったことを承知している。アフガニスタンの治安が回復しない限り、そうした人たちが家を捨てざるをえない問題は解決しないだろう」

ファルザナさんの将来への希望は今、アフガン国外での新たな生活にかかっている。「私は全てを失ってしまった。でも娘にはまだ、まともな生活を送れる可能性が残っているかもしれない」

By Ayla Jean Yackley

(2021年9月15日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2021. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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中国、東南ア・韓国で「上書き」外交

中国、東南ア・韓国で「上書き」外交 米に対抗
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM153M20V10C21A9000000/

『中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は15日、10日からの東南アジア3カ国と韓国の訪問日程を終えた。米政府高官が直前に訪れたベトナムなどに重点的に足を運び、米国と各国との関係強化の動きを上書きするかのような外交活動を展開した。韓国には2022年2月に開幕する北京冬季五輪への協力を要請し、日米韓の結束にくさびを打ち込むことを狙った。

王氏は15日、ソウルで韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談した。韓国大統領府によると、文氏は「冬季五輪の直前開催国として北京五輪の開催を成功させるため協力する」と発言。王氏は「中韓両国は互いに離れられぬ関係で、ウィンウィンを実現するパートナーだ」と応じた。中国外交筋によると、中国は北京五輪の開幕式への文氏の招待を検討している。

王氏が北京冬季五輪への協力を求めたのは、欧米を中心に人権問題を理由とした「ボイコット論」が拡大しているためだ。英下院は7月、北京冬季五輪に政府代表を派遣しないように求める決議を採択した。欧州議会も同月、中国が香港や新疆ウイグル自治区での人権問題を改善しない限り、政府代表や外交官の招待を辞退するよう加盟各国や欧州委員会に求める決議を採択している。米上院も6月、北京冬季五輪への政府当局者の派遣を目的とした連邦予算の支出を禁じる法案を可決した。

中国共産党の習近平(シー・ジンピン)指導部にとって、北京冬季五輪の成功は極めて重要だ。22年秋には党最高指導部の人事を決める5年に1度の党大会があり、習国家主席は異例の3期目の続投を視野に入れている。先進国の一角を担う韓国の協力を取りつけて、ボイコット論の拡大に歯止めをかけようとしているのは間違いない。

日米韓の結束を阻む狙いも透ける。5月には文氏が訪米し、バイデン米大統領とホワイトハウスで会談し、関係強化を確認していた。日米韓3カ国の高官は9月14日にも北朝鮮情勢をめぐり都内で会談したばかりだ。

王氏は韓国訪問に先立ち、ハリス米副大統領とオースティン米国防長官が7~8月に相次ぎ訪問したベトナムとシンガポールを訪ねた。ハリス氏が100万回分の新型コロナウイルスのワクチンの追加供与を表明したベトナムでは、その3倍にあたる300万回分のワクチンを年内に追加で提供すると約束した。

ベトナムは新型コロナの感染拡大が続く一方で、深刻なワクチン不足に陥っており、接種率も低迷する。ワクチン外交をテコに根強い反中姿勢の軟化をもくろんだ。中国外務省の発表によると、ベトナムのブイ・タイン・ソン外相は「人権や香港、新疆ウイグル、台湾などの問題で中国を支持する」と発言したという。

シンガポールでは、中国が環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を検討していることについて、歓迎の意向を取り付けた。日本などには中国の参加への警戒感が強いが、東南アジア諸国連合(ASEAN)では多国間貿易協定を通じた中国との経済関係の強化への期待は大きい。ASEANの支持を得て、アジアの貿易秩序づくりの主導権を握りたい考えだ。

親中国で知られるカンボジアでは、王氏は中国の経済援助で完成した競技場の引き渡し式に出席した。中国側の発表によるとフン・セン首相は「台湾、香港、新疆など中国の核心的利益に関わる問題で中国を断固支持する」と表明した。(北京=羽田野主、ソウル=恩地洋介、シンガポール=中野貴司)』

中国景気に減速感、8月生産伸び鈍く

中国景気に減速感、8月生産伸び鈍く 世界経済変調映す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM155380V10C21A9000000/

『【北京=川手伊織】中国景気の減速感が強まっている。8月の工業生産は前年同月比5.3%増にとどまった。国際物流の停滞や半導体不足に直面するグローバル経済の変調を映す。7月下旬から新型コロナウイルスが再び広がる中、大規模な行動制限を繰り返す対応手法が消費の頭を押さえる。中国景気のもたつきが世界に波及するリスクが高まりつつある。
中国国家統計局が15日発表した8月の工業生産は、新型コロナの打撃から復調し始めた2020年7月(4.8%)以来の低い伸びとなった。季節の変動要因をならした前月比伸び率は0.31%とより鈍い。

背景の1つが海外経済の頭打ちだ。米欧では8月の購買担当者景気指数(PMI、総合、速報値)が悪化した。デルタ型の感染拡大が消費に及ぼす影響に加え、港湾の人手不足など供給網の混乱が長引いている。

浙江省寧波・舟山港の輸出コンテナ価格指数は新型コロナがまん延した昨年から上昇が続く。20年初と比べ4倍超に跳ね上がっている。

港湾手続きも遅れ気味だ。「米ロサンゼルスの港で陸揚げした輸出品が2週間足止めされたままだ」。天津市の貿易会社経営者は気をもむ。顧客が待つメキシコへの鉄道輸送のメドが立たない。

中国では新型コロナの再拡大を背景に港湾の検査が厳しくなっており、生産や輸出入の重荷となっている。「鉄道で欧州などに運び、そこから転送する荷主も出始めた」(物流コンサルタントの趙小敏氏)という。

世界的な半導体不足の影響も深刻だ。8月の自動車生産は前年同月より2割近く落ち込んだ。減少は4カ月連続だ。「半導体の供給拠点であるマレーシアなどで新型コロナの感染が広がり、減産圧力が強まっている」(中国汽車工業協会幹部)。21年の中国国内の販売台数は、前年比7%増の約2700万台とした予測を下回る可能性が大きくなっている。

加えて企業の体力をじわじわと奪うのが原材料高だ。投機資金の流入もあって一部の商品価格が高騰し、中国の中間財や素材に波及している。8月の卸売物価指数は前年同月比9.5%の上昇と、13年ぶりの水準を記録した。中小零細企業の収益を圧迫し、増産投資などを見送る動きもある。

液晶パネルや電池部材などで高い世界シェアを持つ中国の生産減速はグローバル経済の変調を映し出す。PMIの新規海外受注を示す指数は、8月まで4カ月連続で好不調の境目である50を下回る。3~6カ月後の輸出停滞を示唆する。

就業者の8割が働く中小零細企業は資金繰り難に苦しむほどで、雇用や賃金の足かせになっている。1~8月の都市部の新規雇用は938万人と、コロナ前の19年の同時期を5%近く下回る。

振るわない雇用、賃金は内需に波及する。消費動向を反映する社会消費品小売総額(小売売上高)は8月、前年同月比2.5%増にとどまった。全体の1割を占める飲食店が4.5%減と落ち込んだことが響いた。宿泊や運輸を含むサービス業の生産活動指数の上昇率も4.8%に縮まり、7%前後だったコロナ前の水準を下回った。

また、中国は感染者が出た地区の封鎖などでコロナ拡大を徹底して封じ込める「ゼロコロナ」政策を採ってきた。今夏の感染拡大でも省をまたぐ移動の制限や観光地の閉鎖が相次ぎ、接触型消費の重荷になった。

警戒態勢の強化と解除の繰り返しで消費は勢いを取り戻せない。丸紅中国の鈴木貴元・経済調査総監は「瞬間風速でみれば、内需の成長はほぼゼロになった」と語る。

追い打ちをかけるのが政府の規制強化だ。価格高騰に庶民の不満が強い不動産は、住宅ローンの総量規制やマンション取引の制限策を導入してきた。主要70都市の中古住宅価格は8月、前月比で下落した都市が上昇した都市を上回るなど需要は冷え込み始めている。

中国政府は地方政府のインフラ債発行を加速させて、公共事業で21年後半の景気を下支えする構えだ。ただ、グローバル景気の変調を背景にした踊り場から抜け出せなければ、影響はまた世界経済に跳ね返りかねない。

【関連記事】中国生産、8月5.3%増に減速 コロナ再拡大が重荷

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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長

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ひとこと解説 中国の景気回復が冴えないが、背景にはいろいろありそうだ。

「共同富裕」を第二の100年目標として掲げ、不動産バブルを封じ込めるためデベロッパーには財務内容で厳格な縛りをかける。

金融システムの健全性を確保することも進めるなど、構造改革にも着手している。

いくつか大手の企業経営が不安視されているが、中国はこれまでも、CITIC、ITICなどの問題、理財商品の問題、華融資産管理の問題など、さらに大きな問題に発展しそうな局面でも乗り切ってきた。目先のリスクをどこまでコントロールするか、が鍵なのではないか。

2021年9月16日 9:01いいね
24

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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ひとこと解説 中国は8月の総合PMIで見ても拡大縮小の分岐点である50を下回ってましたからね。

記事中にある不動産セクターの調整に加えて、炭素削減を背景とする生産規制も景気減速に大きく加担している模様です。

特に、個人消費については、コロナ感染拡大が収まってこないと厳しい状況が続くかもしれません。

2021年9月16日 8:10いいね
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志田富雄
日本経済新聞社 編集委員

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分析・考察 感染の再拡大に加え、中国政府が不動産市場の過熱を抑制したり、環境問題への対応を強めたりする政策(意図)的な影響も大きいと思います。生産量を抑えるよう求められた鉄鋼の原料、鉄鉱石の国際スポット価格は5月に記録した最高値から4割以上も急落しました。

商品市場全体を見れば米国の生産減の影響で原油相場が1バレル70ドルを再び超え、銅やアルミなどの非鉄金属も将来の需要増への期待や電力不足の影響で高値にあります。記事にある原材料高の影響は当面解消しそうにありません。

2021年9月16日 7:28 (2021年9月16日 7:31更新)
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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授

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ひとこと解説 世界経済は今年4-6月期に比較的強い回復力を示していたが、7月からデルタ株の感染拡大もあって回復にもたつき感が見られる。

世界的にサービス産業の景況感が低下しているが、中でも中国では夏場の水害台風の影響と厳しい感染対策もあり、中小企業の景況感が製造業・サービス業ともに悪化が目立つ。
高騰するコモディティ価格を十分消費者物価に転嫁できず利益が下押しされる企業も多い。今後インフラ投資を増やしたり、銀行による中小企業支援を拡充する予定だが、開発不動産業者の債務不履行問題もありシステミックな債務も問題に発展しないか注目している。

2021年9月16日 7:28いいね
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独フリゲート艦の寄港、中国が拒否

独フリゲート艦の寄港、中国が拒否
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR160560W1A910C2000000/

『【ベルリン=石川潤】ドイツ政府が中国に打診していた独海軍のフリゲート艦「バイエルン」の上海への寄港について、中国側が拒否していたことが分かった。ドイツ外務省の報道官が15日、明らかにした。中国側が「寄港は望まない」との決定を下し、ドイツ側も了解したという。

【関連記事】米英豪が安保協力で新枠組み、中国念頭 インド太平洋で

バイエルンは8月2日にドイツを出港し、オーストラリアや米領グアムなどを経て11月ごろに日本に寄港する予定だ。北朝鮮に対する国連制裁の監視活動などに参加し、中国が軍事拠点化を進める南シナ海を通過する見込み。ドイツとしては約20年ぶりの同地域への軍艦派遣で、日本などの価値観の近いパートナーとの連携強化を打ち出す狙いがある。

ただ、ドイツ政府内には最大の貿易相手国である中国を刺激すべきではないとの意見があり、日本などに訪問した後、上海にもバイエルンを寄港させることを中国に提案していた。日米豪との連携強化というメッセージが弱まりかねないとドイツ国内外で困惑の声が上がっていたが、中国からはねつけられる結果となった。

ドイツは2020年9月にインド太平洋外交の指針(ガイドライン)を閣議決定し、民主主義などの共通の価値観を持つ日本などとの関係強化に動き出した。ドイツは覇権主義的な中国への警戒を強める一方で、中国との対話も重視する路線を維持している。』

台湾、約9500億円のミサイル予算を確保へ

台湾、約9500億円のミサイル予算を確保へ 対中抑止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM164P90W1A910C2000000/

『【台北=中村裕】台湾の行政院(内閣)は16日、最大2400億台湾ドル(約9500億円)にのぼるミサイル調達の特別予算を組むための法案を閣議決定した。中国からの軍事的圧力が強まるなか、対中抑止力の向上へミサイルの大量配備を進めるのが狙い。ミサイルでは異例の規模の予算を計上し、中国に対抗する。

「海空戦力提昇計画採購特別条例」が同日、行政院を通過した。今後、議会承認のため立法院(国会)に送られる。議会では与党・民主進歩党(民進党)の議席が過半を大幅に上回っており、承認は確実だ。対艦や対空ミサイルなどの量産に充てられる。法案は2022年から5年間が対象。

台湾は現在、射程600キロメートルの中距離ミサイル「雄風2E」などを配備しているが数は少なく、大半は同40~200キロメートルの短距離ミサイルだ。中国への抑止力には足りず、特別予算の編成で中距離ミサイルの配備も急ぎたい考えだ。

蘇貞昌・行政院長(首相)は同日開いた閣議で「中国軍機の台湾への威嚇は止まず、しかも悪化している。我々も台湾を守る決意だけでなく(対抗する)準備をしなければならない」と述べた。

台湾は兵器の近代化を進めている。射程が1000キロメートル以上の中長距離ミサイル「雲峰」や潜水艦などの開発を急ぐほか、米国に対しても新型兵器の売却を求めている。

トランプ前米政権下では、米国が長年、二の足を踏んでいた戦闘機「F16」の新型機計66機の売却が承認された。台湾は特別予算を組み、20年から7年間で総額2472億台湾ドル(約1兆円)を計上することを決めた。今回のミサイル関連の特別予算はこのときと並ぶ大型の予算編成となる。

この特別予算とは別に、行政院は8月末に22年の防衛費を過去最大の総額4717億台湾ドル(約1兆8600億円)とする予算案を閣議決定している。』

北朝鮮と交渉再開に意欲 キム米特使「人道支援の用意」

北朝鮮と交渉再開に意欲 キム米特使「人道支援の用意」
ミサイルは「周辺地域に脅威」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB153300V10C21A9000000/

『米国のソン・キム北朝鮮担当特使は15日午前、都内で記者会見し、米朝間交渉の再開に向け「米国は一貫して前向きな姿勢を示している」と改めて意欲を示し「新型コロナウイルス対応を含めた人道的援助活動を支援する用意がある」と述べた。一方、北朝鮮の巡航ミサイル発射実験については「日本や周辺地域に脅威を与えうる」と非難した。

朝鮮半島の非核化という最終目標に向けた進展を図るため、バイデン米政権は「北朝鮮に何度も接触し、交渉再開を提案してきた」(キム特使)が、現時点で北朝鮮側は交渉のテーブルに着く意思を示していない。

キム特使は会見で「北朝鮮が懸念する問題にも取り組む。包括的、創造的かつ現実的で柔軟な対応が必要だ」と述べたうえで、新型コロナ流行など衛生面で「北朝鮮の状況がかなり深刻であることは承知している」と説明。どういう形の支援をするのか明言は避けつつも、新型コロナ対策での支援が選択肢の一つになりうるとの考えを示した。

北朝鮮側は挑発行動を続け、米国などの出方を瀬踏みしている。11、12日に新型の長距離巡航ミサイルの発射実験を断行した。会見終了後の15日午後には、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルの可能性がある飛翔体2発を発射したことも明らかになった。キム特使は「北朝鮮の意図が何であれ、ミサイル技術の獲得を続けようとしていることが問題だ」と話し、日韓両国と緊密に連携して状況を注視していると強調した。

示威的な行動を続ける北朝鮮に対し、韓国も抑止力向上に努めている。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中発射実験を9月初旬に実施して成功。近く実戦配備する方針だ。キム特使は「北朝鮮の動きは国連安保理決議に違反している一方、韓国は正当な防衛抑止力の観点から開発を進めている」と述べるにとどめた。南北双方の軍備拡張が米朝交渉に与える影響についてはコメントしなかった。』

バイデン氏「米軍トップを信頼」

バイデン氏「米軍トップを信頼」 中国軍高官と電話巡り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN160840W1A910C2000000/

『【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は15日、ホワイトハウスで記者団に対し、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長について「絶大な信頼を置いている」と述べた。ミリー氏は中国軍高官に電話で、攻撃を事前通告すると伝えたと報じられ、解任要求が出ている。

米統合参謀本部は15日の声明で「議長は中国やロシアを含む世界中の制服組トップと定期的に対話している」と説明。「対話は意図せぬ結果や紛争の回避などに重要だ」と指摘し、2020年11月の米大統領選前後のミリー氏と中国軍高官の電話についても適切だったとの見方を示した。

米メディアによると、著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏らが来週に出版する著作は、21年1月の連邦議会占拠事件後などにミリー氏が中国軍高官と電話し、米国は安定しており、中国を攻撃する意図はないと伝えたと指摘。米国の政情不安を受け、中国が米国の攻撃に備えて、米中対立が一段と高まる事態をミリー氏が懸念していたとみられる。
ミリー氏が当時のトランプ大統領に電話の内容を伝えていなかったとの見方もあるが、統合参謀本部は「すべての電話は国防総省や省庁間での調整を経ている」と説明した。』

安保理、緊急会合開催 北朝鮮ミサイル発射で

安保理、緊急会合開催 北朝鮮ミサイル発射で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN160GC0W1A910C2000000/

『【ニューヨーク=吉田圭織】国連の安全保障理事会は15日、北朝鮮による2発の弾道ミサイル発射を受けて、非公開の緊急会合を開いた。会合は理事国のフランスとエストニアが要請し、議長国のアイルランドが受け入れた。安保理は全体としての声明は出さなかった。

北朝鮮の弾道ミサイル発射は安保理の決議違反となる。安保理で北朝鮮制裁委員会の議長国を務めるノルウェーの国連代表部はツイッターで「北朝鮮による直近の弾道ミサイル発射を非難する」とし、北朝鮮に「さらなるミサイル発射を控え、有意義な対話に入るよう呼びかける」と投稿した。

アイルランドの国連代表部はツイッターで北朝鮮に対し「恒久的平和の実現や非核化、ミサイル開発の停止に向けた対話に取り組むよう求める」と投稿した。

北朝鮮は同日、日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと推定されている。日本のEEZ内に北朝鮮のミサイルが落ちるのは2019年10月以来2年ぶり。』

中国からみた自民総裁選

中国からみた自民総裁選 日本政治「混迷期に」
Angle 高橋哲史
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA14BL00U1A910C2000000/

『17日告示、29日投開票の自民党総裁選には、中国も強い関心を寄せる。日本の次の首相がだれになるかだけではない。二階俊博幹事長が党内でどこまで影響力を保つか。むしろ、そちらを気にしている。

中国共産党の対外部門に属する幹部から、何度も同じせりふを聞いた。「二階さんは必ず約束を守ってくれる。中国にとって特別な存在だ」

中国が最も信頼する日本の政治家といっていいだろう。1972年に首相として国交正常化を実現した田中角栄氏から続く対中人脈を引き継ぎ、日中間で問題が起こるたびに動いてきた。新型コロナウイルス危機の前はしばしば訪中し、習近平(シー・ジンピン)国家主席ら要人と会談を重ねた。

2020年7月、自民党の外交部会が習氏の国賓来日を中止するよう求める決議をした際の発言は、中国でも語り草だ。

「外交部会長か何部会長か知らんが、そう軽々に判断すべきものじゃない」。二階氏がすごむと、決議の表現は原案の「中止を要請する」から「中止を要請せざるを得ない」に弱まった。

その二階氏に党内で逆風が吹く。

総裁選に出馬する岸田文雄前政調会長は「総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで」と言い切った。5年にわたって幹事長を務める二階氏の再任を否定した発言だ。

菅義偉首相も総裁選への不出馬を表明する前、二階氏の交代を探った。二階氏の党運営に不満を抱く若手議員は多く、だれが新総裁になっても同氏の幹事長続投は考えにくい。

米国と激しく対立する中国は、日本とそこそこ良い関係を保っておきたいのが本音だ。自民党内の対中強硬論を抑えてきた二階氏が総裁選後に権力の中枢から外れるとすれば、中国にとっては痛手となる。

「中国は日本の政治が再び短期間で首相が繰り返し代わる時代に入ったとみている」。こう指摘するのは中国政治が専門の加茂具樹・慶大教授だ。

06年から12年にかけて、日本では6人の首相がほぼ1年ごとに代わった。日中関係はそのたびに仕切り直しを迫られ、12年に民主党の野田佳彦政権が尖閣諸島を国有化すると、かつてない険悪な状態に陥った。

米国をけん制するために日本をひき付けておきたい中国は、そんな時代に逆戻りするのを望んでいない。しかし、現実には日本政治の混迷がしばらく続くと判断し、対日戦略の練り直しに動いている。

折しも、5年に1度の中国共産党大会が1年後の22年秋に迫る。政治の季節に入った中国は、どんどん内向きになる。9月の新学期から小中高で「習近平思想」を必修科目にするなど、民主主義を掲げる側からすると時代錯誤にしかみえない危うげな動きが続く。

内政に連動し、外交でも強硬姿勢を強めるのは必至だ。台湾や新疆ウイグル自治区の問題で圧力をかける米国に、妥協する余地はない。米国との連携を深める日本にも、より厳しい姿勢で臨んでくるだろう。

巨大な中国市場は、日本経済にとって死活的に重要だ。日本の経済界は日中関係の行方に気をもむ。しかし、だからといって政治と経済を分けて考える「政経分離」は、もはや中国に通用しない。

中国とどう向き合うか。総裁選で、もっと突っ込んだ議論があってもいい。

吉野直也政治部長と高橋哲史経済部長が自民党総裁選、衆院選とその後の経済・外交の行方を展望するライブ配信イベントを27日午後6時から開きます。お申し込みはこちらです。
https://www.nikkei.com/live/event/EVT210820001

経済・社会保障グループ長(経済部長) 高橋哲史

大蔵省(現・財務省)を振り出しに霞が関の経済官庁や首相官邸、自民党、日銀などを取材。中国に返還される前の香港での2年間を含め、計10年以上に及ぶ中華圏での駐在経験をもつ。2017年4月からは中国総局長として北京を拠点に中国の変化を報じ、21年4月に帰国した。』