〔ハンガリー、関連〕

ハンガリー(Hungary)
基礎データ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hungary/data.html

『一般事情

1 面積
約9.3万平方キロメートル(日本の約4分の1)

2 人口
約970万人(2020年、中央統計局)

3 首都
ブダペスト

4 民族
ハンガリー人(86%)、ロマ人(3.2%)、ドイツ人(1.9%)等(2011年国勢調査)

5 言語
ハンガリー語

6 宗教
カトリック約39%、カルヴァン派約12%』

『8 略史

年月 略史

紀元前1世紀より ローマ領パンノニア州

紀元4世紀 フン族が侵入し、ローマ人を駆逐

896年 ハンガリー民族定住

1000年 ハンガリー王国建国

1241~1242年 蒙古軍の襲来

1526~1699年 オスマン・トルコによる占領

1699~1918年 ハプスブルグ家統治

1867年 オーストリア・ハンガリー二重帝国の成立

1920~1944年 ホルティ摂政によるハンガリー王国

1920年 トリアノン条約(領土の3分の2を割譲)

1941~1945年 第2次世界大戦(枢軸国)

1946年2月 ハンガリー共和国の成立

1949年8月 ハンガリー人民共和国の成立

1956年10月 ハンガリー革命(ソ連軍の侵攻)

1989年10月 民主制の共和国へと体制転換

1999年3月 NATO加盟

2004年5月 EU加盟

2007年12月 シェンゲン協定加盟

2012年1月 基本法(新憲法)施行(国名を「ハンガリー共和国」から「ハンガリー」に変更)』

ワインソムリエ・エキスパート
独学応援ブログ
https://winedokugaku.com/easteuropa/hungary-wine/

※ 地形図…。平地が多い…。

※ 水系も豊富だ…。むしろ、これだと湿地という感じなのか…。

※ 気候区分は、確か「大陸性気候」だったハズ…。

※ 東京と比較した、雨温図を貼っておく…。やや、冷涼だが、暑さ寒さは、そう厳しいというほどじゃないな…。

※ ワインの産地的には、上記のように分かれるらしい…。

※ ビザンツ帝国とフランク王国(西ヨーロッパの代表)の境界上に位置し、ビザンツ帝国が滅んだ後は、オスマン帝国(イスラム勢力)に対する防波堤の役割を果たした…、と言った感じか…。

ローマ教皇、ハンガリーの反移民政策をけん制

ローマ教皇、ハンガリーの反移民政策をけん制
15日までスロバキアも訪問
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR10DUU0Q1A910C2000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】ローマ教皇フランシスコは12日、ハンガリーを訪問した。英BBCによると、キリスト教とユダヤ教の代表者らへの演説で欧州に潜む反ユダヤ主義の脅威を警告し、「積極的に協力し友愛を促進すべきだ」と訴えた。同国のオルバン首相の反移民政策を暗にけん制した形だ。

教皇はオルバン氏とも会談した。キリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ教皇庁)によると、会談は「和やかな雰囲気」で、カトリック教会の国内での役割や環境保全、家庭の保護などで意見交換した。オルバン氏はフェイスブックに「教皇にキリスト教国であるハンガリーを滅亡させないようにお願いした」と投稿した。

オルバン氏は反移民の強硬派として知られる。ユダヤ人家庭に生まれた米著名投資家ジョージ・ソロス氏らが民主化人材育成のためブダペストに設立した大学を、国外移転に追い込んだこともある。一方、教皇は戦争や貧困から逃れてきたあらゆる人々に支援の手を差し伸べるべきだとの立場だ。

仏AFP通信によると、教皇はハンガリーにわずか7時間滞在した後、スロバキアを訪問。同国には15日まで滞在し、貧困に直面する少数民族ロマの人々と会う。』

マカオ、民主派を完全排除 立法会選挙

マカオ、民主派を完全排除 立法会選挙 投票率は最低
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM122XK0S1A910C2000000/

『【香港=木原雄士】マカオで12日、立法会(議会、定数33)選挙が行われた。選挙管理委員会が民主派の立候補を禁止したため、民主化を求める政治勢力が完全に排除された。少数の反対派の存在すら認めない中国当局の姿勢が鮮明になった。

マカオ政府が発表した暫定投票率は42.38%と、ポルトガルから中国に返還された1999年以降で最低だった。

マカオは香港と同じ「一国二制度」が適用されている。立法会は一般市民が選ぶ直接投票枠が14議席、業界の選出枠が12議席あり、行政長官の指名で7議席が決まる。親中派が必ず過半数を確保できる仕組みだ。

カジノを中心とする特殊な経済で、香港ほど民主派の存在感は大きくない。前回2017年選挙でも民主派の獲得議席は4議席にとどまった。親中派の強固な支配体制にもかかわらず、選挙管理委は7月「マカオ基本法を擁護せず、マカオ政府に忠誠を尽くしていない」として政府に批判的な民主派の出馬を認めないと決めた。

出馬が禁止された候補者の中には、長年議員を務めた人物も含まれる。マカオ当局は今年、例年6月4日に開かれていた天安門事件の追悼集会も国家安全を理由に許可せず、民主派への締め付けを強めている。

中国は香港の選挙制度を大幅に見直し、「愛国者」のみが立候補できる仕組みにした。習近平(シー・ジンピン)国家主席が19年に「一国二制度の成功を体現した」と称賛したマカオの民主派排除は、香港でも反対派の存在を認めない中国政府の姿勢をあらためて示唆したと受け止められている。』

中国大手銀、不動産向け融資悪化

中国大手銀、不動産向け融資悪化 当局の締め付け影響
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM315QO0R30C21A8000000/

『【香港=木原雄士】中国大手銀行の不動産関連融資が悪化している。中国当局が過剰債務企業への監視を強めているためで、中国工商銀行の不動産業向け不良債権比率は6月末に4.29%と前年同期の1.41%から急上昇した。不動産大手、中国恒大集団の経営危機が金融市場を揺さぶるなか、当局は格差是正にむけた資産価格の抑制と不良債権問題というジレンマを抱えている。

大手行の2021年1~6月期の業績は新型コロナウイルスからの経済回復を受けて改善した。工商銀、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行の純利益はそれぞれ前年同期比9~12%増えた。

4行合計の不良債権残高は6月末に1兆325億元(約18兆円)と20年末に比べて3.3%増だった。1年で22%増えた20年に比べて増加ペースが鈍った。不良債権比率は平均1.47%と、20年末に比べて0.08ポイント低下した。

工商銀の王景武副行長はオンライン会見で「感染状況が正常化する中、信用リスクの管理を強化した。返済猶予額の伸びも鈍ってきた」と説明した。

もっとも、改善はまだら模様だ。不動産業向けに限ると、中国銀の不良債権比率は4.91%と1年前の0.41%から跳ね上がった。リスク管理を担当する劉堅東氏は「海外資産には一定の劣化圧力がかかる。コロナの影響を大きく受ける航空や不動産、輸出企業に注意が必要だ」と話す。

中国当局は不動産の投機的な取引を取り締まるため、融資制限など開発業者への締め付けを強めている。米ジェフリーズのアナリスト、陳姝瑾氏は「当局の姿勢はかつてなく厳しく、影響が長引きそうだ。景気悪化に不動産の締め付けが重なれば、来年は厳しい状況になる。全体の不良債権比率が上がる可能性がある」と指摘する。

格付け会社フィッチ・レーティングスも「一部の開発業者は流動性や借り換えのリスクに直面する」と警告した。銀行の融資姿勢が厳しくなり、開発業者の経営悪化が不動産価格の下落につながる可能性もある。中国当局は不良債権の受け皿会社、中国華融資産管理の経営悪化を受けて、金融リスク管理に神経をとがらせる。

地域ごとの傾向も一様ではない。遼寧省や吉林省など経済成長が遅れる東北部で資産内容の劣化が目立つ。工商銀の場合、東北部の不良債権比率は3.9%と、広東省など珠江デルタ(0.96%)より突出して高く、20年末の3.38%に比べても悪化した。

地場企業向け貸し出しが多い中小金融機関も厳しい。香港紙・東方日報によると、香港上場の中国本土銀行のうち4割が、6月末の不良債権額、比率の両方が20年末に比べて悪化した。遼寧省錦州市を拠点とする錦州銀行の不良債権額は半年で22%増えた。不良債権比率も不動産(7.7%)や個人ローン(27%)などが高い。

習近平(シー・ジンピン)指導部は「共同富裕(ともに豊かになる)」を旗印に、格差是正を進める。高騰する不動産価格の抑制は優先課題の1つだ。半面、急激に締め付ければバブルが崩壊し、経済全体への悪影響は避けられない。

日本経済の長期停滞の起点となったバブル崩壊も、引き金を引いたのは旧大蔵省が1990年に導入した不動産融資の総量規制だった。金融機関に対し不動産向け融資の伸び率を総貸し出しの伸び率以下に抑えることを求め、金融機関が一斉に抑制に動いたことで貸し渋りや貸しはがしにつながった。

中国の金融監督当局も21年1月から銀行の住宅ローンや不動産会社への融資に総量規制を設けた。過剰債務を抱える開発業者にも厳しい目を向ける。中国当局は過度に経済を冷やさずに、バブルをおさえ込む難しいかじ取りを迫られている。

多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

中空麻奈のアバター
中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長

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ひとこと解説 中国の不動産市場は1998年に流通市場が出来て以降活発に取引されるようになった。

所得が増えるに連れ、不動産価格も上昇、バブルをうまく促進させてきた。

足元では過熱感を抑制しようと、2020年8月に不動産業界に対し、三つのレッドライン(負債比率等財務内容で線引きし改善を迫る)を提示、銀行にも不動産向け貸出の上限を設定。

第14次5か年計画では不動産市場の健全な発展の施策にページを割いており、コントロールを図ろうとしていることがわかる。つまり、バブルを抑えこむというより、構造改革を見据えた動きに見える。

もっとも、目的達成のためには痛みを伴うであろう点が、金融市場にとってのリスクには違いないのだが。

2021年9月13日 8:59いいね
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アジアBiz
中国大手銀、不動産向け融資悪化 当局の締め付け影響(5:00)
SOHO中国、米投資会社への株式売却を断念(10日)』

イラン・イラク首脳が会談 ライシ師就任後初めて

イラン・イラク首脳が会談 ライシ師就任後初めて
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091200451&g=int

『【カイロ時事】イランの反米保守強硬派のライシ大統領は12日、首都テヘランでイラクのカディミ首相と会談し、経済協力や地域情勢などについて協議した。イラクは、2016年から断交しているイラン・サウジアラビア間の協議を仲介しており、関係改善の道筋なども話し合ったとみられる。年末までにイラクで戦闘任務を終える米国との関係も議題となったもようだ。

【解説】イスラム世界におけるシャリア、その解釈と適用

 AFP通信によれば、ライシ師が8月初旬に就任後、外国首脳と直接対談したのは初めて。大統領府などによると、ライシ師は記者会見で「敵の期待に反してイラン・イラク両国の関係は日増しに強まるだろう。関係発展は両国の地域的・国際的な役割を強化させる」と強調。一方のカディミ氏は「イラクは全ての近隣国との良好な関係を求めている」と述べた。』

ペルーのゲリラ創設者死去 左翼センデロ・ルミノソ

ペルーのゲリラ創設者死去 左翼センデロ・ルミノソ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1151Y0R10C21A9000000/

『【サンパウロ=共同】ペルーのメディアによると、同国の左翼ゲリラ「センデロ・ルミノソ(輝く道)」創設者、アビマエル・グスマン最高指導者が11日死去した。86歳だった。2006年に終身刑の判決を受け、服役中で体調を崩していた。センデロ・ルミノソは1991年に日本人農業技術者3人の射殺事件にも関与した。

34年12月、南部アレキパのモジェンド生まれ。元大学教授で、70年にセンデロ・ルミノソを結成した。中国の毛沢東主義に依拠し80~90年に活発にテロ活動を実施。91年には首都リマ北部で国際協力事業団=現・国際協力機構(JICA)=派遣の農業技術者3人の殺害に関与した。

90年に大統領に就任したアルベルト・フジモリ氏がゲリラ壊滅を掲げ、92年に逮捕された。』

反対勢力の家族処刑か 「恩赦」一転

反対勢力の家族処刑か 「恩赦」一転、報復進む―タリバン
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091100417&g=int

『【ニューデリー時事】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンが、反対勢力「アフガン国民抵抗戦線」(NRFA)の中心人物の家族を処刑した。タリバンは国家運営の実権を掌握後、国民全員を「恩赦」する方針を強調してきたが、敵対勢力への容赦ない報復を進めていることが徐々に明るみに出てきた。

女性閣僚就任の可能性否定 政権発足式めぐり混乱―タリバン

 地元メディアなどによると、処刑されたのは、タリバンの進撃で崩壊した民主政権で第1副大統領を務め、NRFAに加わったサレー氏の兄。ロイター通信は10日、サレー氏のおいの話として「タリバンは9日に彼を処刑し、埋葬も許さなかった。遺体は腐敗するべきだと言った」と打ち明けた。タリバンはサレー氏の兄が戦闘で死亡したと主張している。

 サレー氏は民主政権で情報機関のトップも務めており、タリバンの恨みを買っていたとみられている。8月15日に首都カブールが制圧されると、北東部パンジシール州の渓谷地帯に移り、抵抗を続けていた。

 タリバンのムジャヒド報道担当者は8月17日の記者会見で「憎しみはない」と語り、国民全員への「恩赦」を宣言。団結して新国家の運営に当たるよう呼び掛けていた。
 しかし、各地で民主政権の兵士を処刑したり、民主政権高官らの銀行口座を凍結したりといった報道が続いている。外国の駐留軍や公館、メディアなどで働いていた市民も、タリバンの報復におびえる日々を送っている。』

中国外相、2億7000万ドル支援表明 カンボジア訪問で

中国外相、2億7000万ドル支援表明 カンボジア訪問で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM113P60R10C21A9000000/

『【ハノイ=大西智也】中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は12日、カンボジアの首都プノンペンを訪問し、中国の支援で建設された新国立競技場の引き渡し式に出席した。カンボジアは東南アジアで「親中国」と位置づけられている。中国は広域経済圏構想「一帯一路」に関連するインフラ開発などを通じ協力関係を強める。

新国立競技場の引き渡し式に出席する中国の王毅外相㊧とカンボジアのフン・セン首相㊨(12日、プノンペン)

新国立競技場は中国政府が1億6000万ドル(約180億円)を支援し、プノンペン郊外に建設された。競技場は6万人の観客の収容が可能で、2023年に開催される東南アジア競技大会のメイン会場になる予定。

記念式典で王氏は「カンボジア国民の生活を改善するため、より多くの支援をしていく。さらなる成長を期待している」と話した。カンボジアのフン・セン首相は中国の支援に謝意を述べ「新国立競技場の建設は、両国の関係による成果だ」と強調した。式典後の会談で王氏はカンボジア政府に対して2億7000万ドルの無償資金支援を表明した。

中国はカンボジアに対して新型コロナウイルスのワクチンを積極的に供与してきた。ワクチン接種完了率は55%に達している。プノンペンでは感染者が減少傾向になっており、本格的な経済再開を模索している。』

FBI、9.11文書を開示 サウジ共謀確認できず

FBI、9.11文書を開示 サウジ共謀確認できず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1239B0S1A910C2000000/

『【ワシントン=共同】米連邦捜査局(FBI)は11日、2001年9月の米中枢同時テロに関連し、サウジアラビア政府の関与などを調べた捜査資料の一部を開示した。かなりの部分が塗りつぶされており、米メディアによると、サウジ政府の共謀を示す証拠は確認できないという。

遺族らの圧力を受けたバイデン大統領が3日に広範な機密指定解除を指示する大統領令に署名した後、最初の開示文書となった。

今回の文書は16ページで、2人のテロ犯に重要な支援を行ったとされる人々とサウジの在ロサンゼルス総領事館関係者らの動きなどについて調べた情報が含まれている。

遺族らはサウジ政府の関与を示す資料があると主張。開示しなければ発生から20年の節目となる11日の追悼式典へのバイデン氏出席に反対するとし、機密解除を働き掛けていた。』

ブッシュ氏、結束復活訴え 前政権以降の社会分断を批判

ブッシュ氏、結束復活訴え 前政権以降の社会分断を批判
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN114Q40R10C21A9000000/

『【ワシントン=中村亮】米国のブッシュ元大統領(第43代)は11日の演説で、2001年9月の米同時テロ後に国が結束したと強調し「あの日々は遠い昔のことになったようだ」と語った。トランプ前政権から続く米社会の分断を批判し、結束の復活を訴えるものだ。

【関連記事】
・米同時テロ20年、各地で追悼式典 バイデン氏も参列
・米の20年、内向く超大国に 民主主義再建へ試練
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東部ペンシルベニア州シャンクスビルで開いた同時テロから20年の式典で演説した。シャンクスビルはテロリストにハイジャックされ、首都ワシントンに向かっていたとされる民間機が墜落した現場だ。テロは国際テロ組織アルカイダが実行した。

01年9月11日の同時テロが起きた際に大統領を務めていたブッシュ氏は「9月11日の後、すばらしく強固で結束した国民を率いたことを誇りに思う」と語った。

「米国で宗教に関する固定観念がはびこっていたころに米国人は偏見を排除し、イスラム教を信じる人々を受け入れた。それこそが私の知る国の姿だ」と強調した。奉仕の精神や助け合いをあげて「それこそが我々の本来の姿であり、再び取り戻すことができるものだ」と述べ、国の結束を訴えた。

結束を妨げている要因として政治をあげた。「政治の多くは怒りや恐怖、恨みを露骨に主張するものになっている」と語った。「日常生活であらゆる意見の違いを論争に変え、あらゆる論争を文化の衝突に変える悪い力が働いているようだ」と述べた。人種や文化の違いを強調し社会の分断をあおって、支持を集める政治手法を批判したものだ。

「国に対する危険は国境を越えてくるだけでなく、国内で結集した暴力というものもある」とも指摘した。「海外と国内の過激派に文化的な重なりはほどんどない。ただ多様性や人間の生活を軽蔑し、国家のシンボルを汚す決意を持つという点で両者はともに邪悪な魂の子だ」と非難した。

発言は同じ共和党に属するトランプ前大統領を念頭に置いたものとみられる。トランプ氏は大統領在任中に一部のイスラム諸国からの入国制限措置を導入。不法移民対策としてメキシコとの国境沿いで壁の建設を推進し、米国の分断を助長した。21年1月には陰謀論を信じる支持者などを扇動して複数の死者を出した連邦議会占拠事件を起こしたとの批判が根強い。

トランプ氏は11日朝に公開したビデオメッセージで、アフガニスタンからの米軍撤収をめぐる混乱について「バイデン(大統領)と彼の無能な政権は敗北して降伏した」と非難した。党派を超えて同時テロの犠牲者を追悼する20年の節目でも政敵の批判を続けた。

米メディアによるとトランプ氏は同日、同時テロに対処したニューヨークの警察署や消防署を訪れて職員に謝意を伝えた。20年の大統領選でニューヨーク市最大の警察労組から支持を得たことに触れて「大変光栄だ」とも述べた。ニューヨークでは同時テロの追悼式を行っておりバイデン大統領らが参加したが、トランプ氏が合流することはなかった。

ブッシュ氏に続いて演説したハリス副大統領は「(テロ後を)振り返ってみると大半の米国民が家族を癒やし、コミュニティーを復活させ、国を守り、安全のために結束したことを我々は覚えている」と語った。「結束こそがお互いの繁栄や安全保障、世界での我々の立場において不可欠なものだ」と強調した。

バイデン氏はシャンクスビルで記者団に対し、ブッシュ氏の演説を評価。「どのように結束を取り戻すのか」と問われると「素直さが重要だ」と応じた。トランプ氏の帽子をかぶった子どもたちと写真撮影をしたと明らかにして、分断の修復を目指す立場を強調した。
犠牲者の碑に献花するバイデン米大統領(11日、ペンシルベニア州)=AP

バイデン氏は10日に公開したビデオメッセージで「団結は我々の最大の強みだ」と訴えていた。

オースティン国防長官は国防総省で開いた式典で同時テロについて「記憶することが我々の責任であり、民主主義を守ることが我々の任務だ」と強調した。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は言論の自由や法の統治、投票の権利などを米国の理念としてあげて「地球上のいかなるテロリストもその理念を破壊することはできない」と断じた。

クリックするとビジュアルデータへ 』

「米国」への疑念深まる20年 民主主義と軍事力に過信

「米国」への疑念深まる20年 民主主義と軍事力に過信―国際政治学者・藤原帰一氏
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091100361&g=int

『米同時テロから20年の世界の変化について、国際政治学者の藤原帰一東大大学院教授(65)に話を聞いた。一問一答は次の通り。

政府への信頼喪失がテロ生む 社会背景への理解必要―元米軍幹部

 ―2001年9月の米同時テロから20年になった。

 米国の力に対する疑念が深まった20年間だった。同時テロ以前は、1990年代に西側が冷戦に勝ち、民主主義や資本主義が世界共通の制度として普遍性を持つと考えられた。背景には米国の圧倒的な軍事力と経済力があった。こうした「過信」が打ちのめされた。
 ―同時テロが要因か。

 9.11はテロ事件として最大規模だが、グローバルテロリズムは1980年代から拡大していた。飛行機を乗っ取る手法は新しかったが、それよりテロへの反応がもたらした世界の変化の方が大きい。具体的には米国が対テロ戦を開始し、アフガニスタンやイラクに軍事介入した。このリアクションが間違っていた。

 ―米国は失敗したのか。

 アフガンでもイラクでも戦闘は数週間で終わっている。失敗したのは占領統治だ。レジームチェンジ(体制転換)の戦争を試みた場合、次の体制づくりで「民主化」という課題に直面する。外からの民主化は大きなコストや代償を伴う。人々が米国を歓迎して受け入れ、民主主義をつくるだろうという期待があった。現実は治安の維持に失敗し、民主化を旗印に介入した側が、その土地の勢力から抵抗され、結果的に逃げ出した。

 ―民主化はなぜ受け入れられなかったのか。

 民主主義の持つ国際的な力や影響力、さらに米国の軍事力を過大評価したことが大きい。米国はタリバンを倒して、大規模にやれば問題は解決するのだと根拠もなく信じていた。しかしまずは、人の安全を確保するための軍事力と人道支援を組み合わせた活動が必要だった。2019年12月に銃撃を受け死亡したNGO「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表、中村哲医師=当時(73)=は、ごく普通の人がテロに向かうのは生活の安全が奪われているからだ、と繰り返し述べていた。外部から民主主義を「与え」ても体制を維持できない。そこに暮らす人々がつくらなければ民主政治は安定しない。

 ―日本の立ち位置は。

 日本の国際紛争との関わりがこの20年で大きく変化したとは思わない。一方、アフガンなどでの日本のNGOや国際協力機構(JICA)の働きは成果があった。草の根の活動を欠いた「民主化」は、前提条件が間違っている。米国の失敗の要因の一つは、自分たちの自己愛に奉仕するような民主主義の拡大を思い描いていただけだったからではないか。

 ◇藤原帰一氏略歴

 藤原 帰一氏(ふじわら・きいち)東大法卒。同大大学院博士課程単位取得満期退学後、フルブライト奨学生として米エール大大学院に留学。米ウッドロー・ウィルソン・センター研究員などを経て東大大学院法学政治学研究科教授。研究分野は国際政治学。65歳。東京都出身。』

米同盟システム不安定に アフガン敗北、中ロに漁夫の利

米同盟システム不安定に アフガン敗北、中ロに漁夫の利―元米高官
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091100345&g=int

『【ワシントン時事】ブッシュ(子)米政権で国家安全保障会議(NSC)のアフガニスタン・パキスタン担当部長を務めたジョージタウン大のポール・ミラー教授は、アフガン「敗戦」によって米国が世界中に築き上げてきた同盟システムが不安定化し、中国やロシアが影響力を拡大すると厳しい見方を示した。米同時テロから20年に当たり、時事通信の書面インタビューに答えた。

 ミラー氏はアフガンからの駐留米軍撤収について、バイデン米政権が「テロリストに国家を与え、本来なら避けられたはずの損害を米国の安全が被るような選択をした」と批判。バイデン大統領は軍の規模を維持・増強し、イスラム主義組織タリバンと新たな和平交渉に臨むべきだったと振り返った。

 また、アフガン敗戦は「自由主義的価値観に基づく世界秩序の敗北だ」と強調。中ロを含め、専制主義を信奉する国々が指導力を増すと懸念を示した。中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」の下、過剰な融資を返済できなくなる「債務のわな」に陥り、対中国で政治的主導権を失う国々が増えるとも予測した。

 こうして国際環境が厳しさを増す中で、第2次大戦以降、米国の同盟システムによって保たれてきた世界の安定はより脆弱(ぜいじゃく)になると悲観的な認識を示した。ただ、自由主義的な国際秩序の維持は「米国やあらゆる民主国家の繁栄のエンジン」であり、今後も米国の主要な安全保障政策であり続けると語った。

 一方、台湾などで有事の際の米国の軍事的関与を不安視する向きがあることについて、ミラー氏は地域ごとに政治状況は異なると指摘。「アフガンを見捨てたことで、直ちに欧州や東アジアの同盟国が米国への信用を失うとは考えない」と述べた。

 ◇ポール・ミラー氏略歴
 ポール・ミラー氏 ジョージタウン大で博士号取得。2001~02年、情報将校としてアフガニスタンに勤務。中央情報局(CIA)分析官、国家安全保障会議(NSC)アフガン・パキスタン担当部長、ランド研究所員などを経て、18年から同大教授。国際政治や安全保障が専門。』

米「台湾代表処」に名称変更も 中国の反発必至

米「台湾代表処」に名称変更も 中国の反発必至―英紙報道
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091200161&g=int

『【ワシントン時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は11日までに、米政府が台湾の在米大使館に相当する「台北経済文化代表処」の名称を「台湾代表処」に変更することを検討していると報じた。「台湾」の表記が正式名称に入ることになり、実現すれば中国が「一つの中国」の原則に反すると反発するのは必至だ。

なぜチャイニーズ・タイペイ? 呼称の背景に中国との確執―ニュースQ&A

 複数の関係者の話として同紙が報じたところでは、名称変更は台湾側の要請によるもので、国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官ら、NSCと国務省のアジア担当官から幅広い支持を得ている。実現には大統領令が必要で、最終決定は下されていないという。

 在米中国大使館の報道担当官は、同紙に「台湾と公式な関係を持ったり、台湾独立を目指す勢力に誤ったシグナルを送ったりするのはやめなければならない」と主張。「中米関係や中台の平和と安定を深く傷つけることのないよう、台湾関連の事案は適切かつ慎重に取り扱うべきだ」と警告した。

 台湾は7月、バルト3国のリトアニアに「台湾代表処」を開設すると発表。中国は強く反発し、駐リトアニア大使を召還する強硬姿勢を示した。』

対越関係強化を強調 日中閣僚、相次ぎハノイ訪問

対越関係強化を強調 日中閣僚、相次ぎハノイ訪問
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091200232&g=int

『【ハノイ時事】日本の岸信夫防衛相、中国の王毅国務委員兼外相が10日から12日にかけて、相次いでハノイを訪問し、ベトナムとの関係強化を互いにアピールした。「地政学的に東南アジアと東アジアが重なり合い、地域で重要な役割を果たす」(岸氏)と期待されるベトナムをめぐり、日中が積極的に外交戦略を展開した。

日ベトナム、防衛装備協定に署名 東・南シナ海の航行の自由確認

 岸氏は11日、日越防衛相会談を開催。日本からの武器輸出を可能とする日越防衛装備品・技術移転協定の署名にこぎ着け、「両国の防衛協力が『新たな段階』に入った」と表明した。12日には、グエン・スアン・フック国家主席、ファム・ミン・チン首相を表敬訪問した。
 王氏は10日、ファム・ビン・ミン副首相と2国間の定期会合を開催。新型コロナウイルスの流行封じ込めに苦戦するベトナムに、ワクチンを追加供与する考えを伝えた。11日には、グエン・フー・チョン共産党書記長らを表敬し、関係強化を強調した。』

日越、防衛装備の輸出へ協定

日越、防衛装備の輸出へ協定
中国にらみ「関係新たな段階」
https://nordot.app/809386731977981952?c=39546741839462401

『岸信夫防衛相は11日、ベトナムの首都ハノイでファン・バン・ザン国防相と会談し、日本からの防衛装備品や技術の輸出を可能にする協定の締結で合意した。東・南シナ海で軍事的圧力を強める中国をにらんだ安全保障協力の一環。両氏は、両国の協力関係が「新たな段階」に入ったとの認識を共有。艦艇分野の装備品輸出を視野に具体化協議を加速させる方針で一致した。

 防衛省によると、日本が協定を締結する相手国は11カ国目。岸氏は、会談後のオンライン記者会見で「より緊密な防衛装備技術協力や、日本の産業基盤の維持と強化、安全保障に資することが期待され、意義深い」と語った。』

中国海警法に懸念 岸防衛相がベトナムで講演

中国海警法に懸念 岸防衛相がベトナムで講演
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091200279&g=pol

『 岸信夫防衛相は12日、訪問先のベトナム・ハノイで講演し、中国で2月に施行された海警法について、「曖昧な適用海域や武器使用権限など、国際法との整合性から問題がある規定を含む」と懸念を示した。東・南シナ海での中国による海洋進出の動きに言及しつつ、日越両国がともに法の支配を重視していることを強調した。』

印豪、安全保障の連携強化へ 初の2プラス2

印豪、安全保障の連携強化へ 初の2プラス2
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM09AYK0Z00C21A9000000/

『【ニューデリー=馬場燃、シドニー=松本史】インドとオーストラリア両政府は11日、初となる外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)をニューデリーで開いた。インド太平洋地域で影響力を強める中国を念頭に、安全保障上の連携強化で合意した。アフガニスタン情勢についても議論した。

印豪は日本、米国と共に安全保障を議論する枠組み「Quad(クアッド)」を構成する。今月下旬に予定される4カ国首脳による初の対面での会談を前に、改めて両国の関係強化を示した形だ。

協議にはインドからジャイシャンカル外相とシン国防相、豪州からペイン外相とダットン国防相が参加した。

協議後の記者会見でダットン氏は、米豪の共同訓練「タリスマン・セイバー」にインドを招待する意向を表明したほか、日米印による「マラバール」に豪州が継続して参加する方針も示した。

インドは今年行われたタリスマン・セイバーにはオブザーバー国として人員を派遣した。一方豪州は2020年、13年ぶりにマラバールに参加した。07年に参加した際、中国が不快感を示したため長く参加を見送ってきた経緯がある。

豪州はインドに駐在する国防関係者も増員する。ダットン氏は「インド太平洋地域の海洋安保に関する緊密な連携と情報共有を進めるため」と説明した。

インドはイスラム主義組織タリバンが制圧したアフガンからテロが拡大することを懸念しており、両国はアフガン情勢も議論した。ペイン氏は「アフガンが二度とテロリストの訓練場所とならないよう、強い意識を共有した」と述べた。

豪州は近年、インドへの接近を強めている。20年6月にはオンラインで豪印首脳会談を開き、2プラス2の開催などを決めた。』

中国の急速な軍拡に身構え始めた欧州

中国の急速な軍拡に身構え始めた欧州、防備を固める台湾
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00748/

『中国の核兵器に言及したNATO

2021年6月、欧州ではアジアの安全保障にも深く関わる会合が立て続けに行われた。菅首相も出席し、英国コーンウォールで開かれたG7サミット(6月11~13日)。そして、その翌日、ブリュッセルでバイデン米大統領、ジョンソン英首相、マクロン仏大統領など、NATO(北大西洋条約機構)加盟30カ国の首脳会合が開かれた。

今回のNATOサミット・コミュニケで異例だったのは、中国の核兵器に言及したことだ。「中国は核の三本柱を確立するために、より多くの弾頭とより多くの発達した運搬手段を備えた核兵器を急速に拡大。その軍事的近代化と、公知となっている軍民融合戦略の実施に関して不透明となっている。…我々は中国の透明性の欠如と偽情報(を使ったサイバー攻撃)の頻用に懸念を抱いている」と表明した。

「核の三本柱」とは、核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、重爆撃機の三種類の戦略核兵器のことを指す。

中国は米・英・仏・露の四カ国と同様、言わばNPT(核不拡散条約)等によって合法的となっている核兵器保有国。米国防省は20年、中国の核兵器について以下のような見通しを立てていた。

「今後10年間で中国の核弾頭の備蓄(現時点では200個超と推定)は、中国の核戦力の拡大、近代化に伴い、少なくとも2倍になると予測される」(米国防省リポート「中国の軍事力2020(MILITARY AND SECURITY DEVELOPMENTS INVOLVING THE PEOPLE’s REPUBLIC OF CHINA 2020)」)

さらに、同報告書は中国には「約100発のICBMが存在」し、「ICBM用の核弾頭は今後5年で約200個になる」と予測している。

中国の新型弾道ミサイルは欧米も射程内に

中国は近年、新型のDF-41型ICBMを2019年の軍事パレードで披露した他、JL-3型SLBM(核弾頭複数搭載)、それにH-20型ステルス重爆撃機を開発している。核弾頭を最大10個搭載できるとされるDF-41型ICBMは、移動式発射機や地面に縦抗を掘って固定発射装置にする「サイロ」から発射が可能。令和3(2021)年版「防衛白書」(防衛省刊)によれば、最大射程は推定で1万1200km、この射程ならば、中国本土から米国本土北西部のみならず、ロンドンやパリも射程内に収まる。

そして、JL-3型SLBMも最大射程は1万2000~4000km(同「防衛白書」)。潜水艦発射弾道ミサイルを搭載した潜水艦は、敵に探知されにくい充分な深さの海中に潜行している限り、ICBMや重爆撃機よりも敵の核攻撃に対する耐性があり、反撃に使用できる装備とも言える。中国はJL-3型SLBMを開発中の096型弾道ミサイル搭載原子力潜水艦に搭載するとみられている。

中国にとって南シナ海はいかに死活的に重要かということは、拙論「米中激突の危機高まる南シナ海、カギを握る台湾」で詳述した。中国の周辺には、黄海、東シナ海、南シナ海があるが、黄海の平均水深は約50m。東シナ海はほとんどが200m未満。この水深だと、巨大なミサイル原潜の動きは、敵の有人、無人の哨戒機、潜水艦や対潜水艦作戦艦に捕捉されかねない。それに対して南シナ海の中央部には、水深2000~4000mの海域が広がっている。

また、南シナ海の北にある中国領、海南島の玉林には大規模な海軍基地があり、核弾頭を装備するJL-2型SLBMを最大12発搭載可能な094型(晋級)ミサイル原潜4隻も配備されているとみられる(「Jane’s Fighting Ships 2019-20」)。

中国・海南島の軍港に停泊するのは中国海軍の094型戦略ミサイル原潜とみられる Google Earth

JL-2ミサイルの最大射程は8000kmとみられ、米国本土を射程にするには、094型ミサイル原潜は日本、米国の潜水艦ハンターの眼をかいくぐって太平洋に出る必要がある。

JL-3型ミサイルの開発はパンドラの箱か?

ところが、「中国がJL-3など、より長射程のSLBMを配備すれば、中国海軍は自国の沿岸海域から米国を標的とする能力を獲得する」(「中国の軍事力2020」)ことになる。最大射程1万2000~4000kmのJL-3型ミサイルを搭載した096型ミサイル原潜なら、南シナ海に潜行したまま、米国本土北西部のみならず、ロンドン、パリも射程内となりうる。

中国が096型ミサイル原潜/JL-3潜水艦発射弾道ミサイル・プロジェクトを放棄する可能性は2021年8月現在、うかがえない。同プロジェクトがこのまま進行し、現実のものとなるならば、それは中国の軍拡を「対岸の火事」視していたNATO加盟国をも巻き込む「パンドラの箱」になるかもしれない。

前述のNATOサミット・コミュニケには、「NATOはNATOに対する核兵器の使用は、紛争の性質を根本的に変えるであろうことを繰り返し強調する。…NATOのいずれかのメンバーの基本的な安全が脅かされた場合、NATOは敵に耐え難いコストを課す能力と決意がある」と明記している。

この文中にある「敵」の国名は明らかにされていないが、「より多くの弾頭とより多くの発達した運搬手段を備えた核兵器を急速に拡大している」と言えば、それはロシアではなく、中国が想起される。

中国の核兵器に対してNATOは万が一の場合、どのように対応するだろうか。敵が何者であれ、核兵器を使用すれば、「NATOは敵に耐え難いコストを課す」というのであれば、それは核兵器による報復をも視野に入れるという意味だろう。

NATOの保有する核弾頭の総数は6065個

では、NATOは敵に「耐え難いコスト」を与えるだけの反撃用の核弾頭を保有しているのだろうか。下の表は2021年1月現在の保有を許された核保有国の核弾頭保有推定数である。

5大国の核兵器推定保有数(2021年1月:SIPRI YEAR BOOK 2021より)

国名 核弾頭(配備済) 核弾頭(未配備等) 計(2021年1月現在)
米国 1800 3750 5550
ロシア 1625 4630 6255
英国 120 105 225
フランス 280 10 290
中国 不明 350 350+α

これを見ると、NATOの米・英・仏の核弾頭の総数は6065個。単純な比較は難しいが、その内、新START(新戦略兵器削減条約)でロシアとバランスをとりながら削減している米国の核弾頭を除く、英・仏の核弾頭総数は515個。英・仏の合計だけで、中国の総数350個を上回る。もちろん、前述の通り、中国の核兵器・核弾頭の数は今後、急増する可能性がある。
また、英国はすべての核弾頭を最大射程1万2000kmのトライデントⅡD5潜水艦発射弾道ミサイルに装備。フランスは射程10000kmのM51・2潜水艦発射弾道ミサイル等に搭載している。射程10000kmを超えれば、大西洋からでも中国のほとんどが射程内となる。

万が一の核攻撃に反撃するためには、敵の核兵器、特に核ミサイルの発射を探知して、敵は誰かを割り出し、飛翔コースを捕捉して、どこに核攻撃が行われるか、短時間の内に予測しなければならない。米国は弾道ミサイルの発射を探知するために、静止衛星軌道に5~6個の早期警戒衛星を置いており、その赤外線センサーで発射を探知する。

だが、早期警戒衛星の赤外線センサーは、ミサイルの噴射熱と弾頭が大気圏再突入する際の熱を捉えることはできるが、噴射終了後から大気圏に再突入するまでの、いわゆる中間段階は捕捉しにくい。このため噴射終了後のミサイルの航跡を捕捉するためには、別のセンサーが必要になる。

台湾に新たな巨大レーダーを設置か?

そこで注目されるのが台湾北東部・新竹市にそびえる標高2500m級の樂山(ルーサン)の山頂に立っている、民間衛星画像でも分かる巨大な構造物だ。これは台湾空軍の「安邦計画」に基づき、1200億円もの巨費をかけて建設され2012年末に完成した、当時、世界最高水準の早期警戒用のフェイズドアレイ・レーダーのアンテナである(「中央社」(2013/1/3付)。

台湾北東部新竹県の標高2500m級の樂山(ルーサン)にある巨大なレーダー。アンテナの一辺は約30mとも言われる Maxar Technologies/Google Earth

このレーダーについても以前、「米中激突の危機高まる南シナ海、カギを握る台湾」で詳述した。米国にとって台湾・樂山のEWR/SRPは将来、突然、南シナ海の海中から米本土に向かって飛翔する潜水艦発射弾道ミサイルを捕捉・追尾するのに欠かせない監視の「目」となる。

しかし、米本土への戦略ミサイル攻撃に対する抑止に直結するだけに、EWR/SRPは樂山の1基だけで充分なのだろうか。台湾の「中国時報」紙(2021/4/21付け)は、巨大レーダーについて興味深い記事を掲載した。

「(台湾)軍は『新しい早期警戒レーダー・システム』を導入して南部の山岳地帯に配備する計画を立てている。新しい早期警戒レーダーが空軍の(樂山)基地と同じ(筆者注:米戦略レーダーPave Pawsをベースとする)タイプの長距離早期警戒レーダーであるかどうかについて、防衛(当局)はコメントしないと述べた」という。

台湾議会に提出された台湾防衛当局のリポートには、「新しい早期警戒レーダー・システム」と記述しているため、一般的な防空レーダーでないことは間違いなさそうだ。

いずれにせよ、早期警戒レーダーが別々の場所に2基となれば、1基が攻撃を受けても、もう1基は機能し続ける可能性など、レーダーそのものの運用維持、死角を減らすという観点からも意味がある。

そして、台湾の早期警戒レーダーが2基となれば、将来、南シナ海の海中から放たれた弾道ミサイルや極(ごく)超音速ミサイルがどこへ向かうのか。米本土なのか、NATO諸国なのか、それとも別の場所なのかをより短時間、より高精度で識別・予測することが可能になり、日本にとっても大きな意味を持つことになるだろう。

C-17A輸送機が台湾に飛来した意味

台湾内で2基目の早期警戒レーダー導入の可能性について報道されたおよそ1カ月半後の2021年6月6日、米国の3人の上院議員が台湾を訪問し、米国が75万回分の新型コロナウイルスワクチンを提供すると発表、たった3時間の滞在中に蔡英文総統や国防部長とも会談した。

軍事的に注目されたのは、3人の議員を乗せてきたのが米空軍のC-17AグローブマスターⅢ輸送機だったということだ。C-17Aはもともと、重量60トンを超える米陸軍のM1エイブラムス戦車を1両、また、AH-64アパッチ攻撃ヘリコプターを3機、空輸できる。

米軍の輸送機C-17Aで台北の空港に降り立った米国議会上院の軍事委員会や外交委員会に所属する超党派の議員団。2021年6月6日 AFP=時事

米空軍は200機以上のC-17Aを運用しているが、台湾に乗り入れをしたのはこの時が初めてだった。しかも、着陸した時の画像を見ると、対空ミサイルにレーザーを発射して妨害する、強力な防御装置が付いていた。

わずか3時間の滞在が意味するのは、ワクチン供給を約すためだけではなく、台湾の飛行場が物理的にC-17を受け入れ可能で、米軍の戦車や装甲車、攻撃ヘリコプターを台湾にピストン輸送できる能力と可能性があることを誇示したかったのかもしれない。

中国は3隻目の空母、003型を建造するなど、海上戦力の拡大をはかっているが、台湾自身もユニークな防衛策を図ろうとしている。日本の海上保安庁にあたる、台湾の海巡署では2021年、600トン型安平級巡視船が進水した。安平級巡視船は全部で12隻建造される予定だが、いざという場合には、台湾独自の対艦ミサイルを計16発搭載可能とされる。この16発の内、8発は超音速ミサイルの雄風Ⅲ型だ。超音速の対艦ミサイルは現時点では、海上自衛隊も保有していない。

インド・太平洋を巡る情勢は緊迫度を増している。防衛省は8月25日、沖縄の南方で英海軍の最新鋭空母クイーン・エリザベスを中核とする打撃群との共同訓練を24日に行ったと公表した。共同訓練には米国とオランダも参加。米英は日本も導入を決めている短距離離陸・垂直着陸が可能なF35Bステルス戦闘機を訓練に投入している。

21年5月には日本国内では初となる陸上自衛隊とフランス陸軍との共同訓練を九州の演習場で実施した。また、ドイツはフリゲート艦バイエルンをインド太平洋地域に向けて出航させ、8月29日にソマリア沖で海上自衛隊の護衛艦ゆうぎりと共同訓練を実施。11月には日本に寄港する予定だ。米中のエスカレートする対立は確実に欧州をも巻き込み始めている。

バナー写真:NATO本部で開かれたNATO首脳会議で討議するジョンソン英国首相(左端)、バイデン米国大統領(左から2人目)、ストルテンベルグNATO事務総長(中央)、デ・クロー・ベルギー首相(右端) 2021年6月14日 AFP=時事

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台湾 南シナ海 習近平 NATO 核戦力 早期警戒レーダー

能勢 伸之NOSE Nobuyuki経歴・執筆一覧を見る

軍事ジャーナリスト。1958年京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。防衛問題担当が長く、1999年のコソボ紛争をベオグラードとNATO本部の双方で取材。著書に『ミサイル防衛』(新潮新書)、『東アジアの軍事情勢はこれからどうなるのか』(PHP新書)、『検証 日本着弾』(共著)など。』

ロシア機が領空侵犯「厳重に抗議」

ロシア機が領空侵犯「厳重に抗議」 官房長官
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1337F0T10C21A9000000/

『加藤勝信官房長官は13日の記者会見で、ロシア機が12日に日本の領空へ2度侵犯したと明らかにした。外務省からロシア政府に厳重に抗議したと述べた。

「ロシア機の行動意図などについては確認中だ」と語った。「航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させ対応した」と説明した。』

ロシア機による領空侵犯について

ロシア機による領空侵犯について
https://www.mod.go.jp/j/press/news/2021/09/12b.pdf

『日 時:令和3年9月12日(日)

① 午前9時37分頃

② 午前9時58分頃

場 所:北海道知床岬の領海上空

国籍・機種等:ロシアAn-26×1機

通告・警告:通告・警告を実施

緊急発進:航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させる等して対応した。』