中国外相、ベトナムの対米傾斜警戒

中国外相、ベトナムの対米傾斜警戒 東南ア・韓国歴訪
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM08AHV0Y1A900C2000000/

『【北京=羽田野主、ハノイ=大西智也】中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は10日、ベトナムを訪問した。15日までの日程でシンガポール、カンボジアを含む東南アジア3カ国と韓国を歴訪する。バイデン米政権の高官が8月までに相次ぎ訪れたベトナムを重視し、影響力の維持を狙う。

王氏は2020年10月、21年1月にも東南アジア各国を訪れた。新型コロナワクチンの提供を表明する「ワクチン外交」を展開したが、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟の10カ国のなかでベトナムだけは訪問していなかった。同国は南シナ海で中国と領有権を争い、東南アジアで反中姿勢が最も強いとされる。

王氏がこの時期のベトナム訪問を決めたのは、同国が深刻なワクチン不足に陥っているためだ。ベトナムは6月、中国製ワクチンの調達に踏み切った。ベトナムで接種を完了した人は3%台にとどまる。新興国や発展途上国では中国製を「効果が低い」とみなし、敬遠する動きが広がる。王氏はワクチン提供でベトナムに接近する構えだ。

王氏は次にシンガポールを訪問する。同国とシンガポールには7、8月、オースティン米国防長官とハリス米副大統領が相次ぎ歴訪した。その直後に訪れることになる。

ハリス氏はシンガポールで「南シナ海の航行の自由、インド太平洋でのルールに基づく国際秩序を支持するため、米国は同盟国やパートナーと協働する」と訴え、中国を批判した。シンガポールでは最近、感染が再拡大しており、王氏はシンガポール側に新型コロナ対策を巡る協力を申し出る見通しだ。

カンボジアは東南アジアで随一の親中国だ。中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」に関わるインフラ開発、南シナ海問題での連携を再確認する。

韓国では北朝鮮の非核化を巡り協議する。中韓はここ数年で関係を改善してきた。22年2月に予定する北京冬季五輪への明確な参加表明を、韓国側から取り付ける可能性がある。習近平(シー・ジンピン)指導部は、中国の人権問題を理由に「ボイコット論」が米欧のほかにも広がる事態を警戒しているためだ。

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