[FT・Lex]ギニア政変、アルミ各社のリスク差を見極めよ

[FT・Lex]ギニア政変、アルミ各社のリスク差を見極めよ
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『エコツーリズムの流れで西アフリカのギニアを訪れる旅行者が探すのは高い木の上の猿やその仲間だ。鉱山関係者のようなビジネス目的でこの国に来れば、お目当ては地下資源だ。その代表が、アルミニウムの原料であるボーキサイトである。

ギニアでクーデターを実行した軍の指導者ら (6日、地元テレビの映像)=AP
軍事クーデターで高齢のコンデ大統領の政権が崩壊したと報じられ、アルミ価格の上昇に拍車がかかった。ギニアはボーキサイトの埋蔵量が最大で、世界の需要の25%をまかなっている。

ボーキサイトはアルミナを含み、それがアルミに加工される。ギニア産のボーキサイトはシリカなどの不純物が少ないことで知られる。中国とロシアのアルミメーカーがこれに飛びついた。中国宏橋集団、ルサール(ロシア)というそれぞれの国のアルミ最大手はいずれもボーキサイトの調達をギニアに依存する。中国には国産のボーキサイトもあるが、品質に問題があり、同国のアルミ産業は必要なボーキサイトの半分以上をギニアから輸入している。

中国はギニアのボーキサイト開発に多額の投資をしてきた。世界のアルミニウム生産の6割を占め、ロシアやインドを大きく引き離している。米BMOキャピタル・マーケッツによると、中国は鉱物資源に恵まれたほかのアフリカ諸国と同じく、ギニアでもインフラ整備を進めてきた。その努力は報われた。2016年以降の中国のボーキサイト輸入量は4倍を超える。

アルミ地金の国際価格は高騰している。一時は1トンあたり2776ドルという11年ぶりの高値をつけた。6日にはさらに値上がりしたが、株式市場は勝者と敗者の見極めに苦心している。

ギニアから船で運んできたボーキサイトの荷降ろし(2017年5月、中国東部・山東省)=ロイター

6日にはアルミメーカーがいずれも株価を大きく上げた。ギニアでボーキサイトを開発していないノルウェーのアルミ大手ノルスク・ハイドロは4%以上、上昇した。これは理屈に合っている。だが、ギニアで3つのボーキサイト鉱山を所有し、それらが調達量のほぼ半分を占める香港上場のルサールの株価が15%上昇した理由ははっきりしない。これは奇妙な現象だ。クーデターが起きると、サプライチェーン(供給網)が揺らぐリスクは間違いなく高まるからだ。

中国やロシアのアルミ生産者は、この西アフリカの小国に深く関わる利害関係者だ。政治的な混乱は、サプライチェーンの寸断と輸出停止につながりかねない。アルミ生産者は原料の供給元を急に変更することができない。しがらみの少ない投資家は、ノルスクのようにギニアへの依存度が低いアルミ企業を素早く見つけ出すとよい。

(2021年9月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

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