ロシアの非常事態相が死亡

ロシアの非常事態相が死亡
北極圏で訓練の視察中
https://nordot.app/808321006287486976?c=39546741839462401

『【モスクワ共同】ロシア非常事態省は8日、エブゲニー・ジニチェフ非常事態相(55)がロシア北極圏のノリリスクで、緊急事態を想定した訓練の視察中に死亡したと明らかにした。ロシア主要メディアが伝えた。

 訓練の様子を撮影していた男性が足を滑らせて水中に落ち、ジニチェフ氏は助けようとして飛び込んだが、石にぶつかり死亡したという。男性も助からなかった。

 ジニチェフ氏はソ連国家保安委員会(KGB)出身。2018年に非常事態相に就任した。

 ロシア大統領府は8日、ジニチェフ氏の悲報を受け、プーチン大統領が深い哀悼の意を表したとの声明を発表した。』

ブラジル、株・通貨大幅安

ブラジル、株・通貨大幅安 大統領の過激言動を不安視
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN090B50Z00C21A9000000/

『【サンパウロ=外山尚之】ブラジルで8日、株や通貨が大きく売られた。前日にボルソナロ大統領が今後は最高裁に従わないと発言するなど、過激な言動をとったことで政治不安が再燃した。

主要株価ボベスパは8日、3.8%安の11万3412で取引を終えた。通貨レアルも対ドルで2.8%安の1ドル=5.32レアルとなった。

急落の背景にあるのが、ボルソナロ氏の言動だ。同氏は7日、支持者を前に最高裁判事を罵倒し、今後、判決には従わないと主張。三権分立や民主主義を否定する姿勢が懸念された。

現在、議会では税制改革案が審議されている。ボルソナロ氏の発言を受け、上院のパシェコ議長はすべての議論を一時停止すると発表。地元メディアではボルソナロ氏の弾劾も取り沙汰されており、不安定な状況が続いている。』

ウルグアイが中国とFTA交渉 アルゼンチン反発

ウルグアイが中国とFTA交渉 アルゼンチン反発
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08EK90Y1A900C2000000/

『【サンパウロ=外山尚之】南米ウルグアイ政府が中国との自由貿易協定(FTA)交渉に入ったことが明らかになった。ウルグアイはアルゼンチンやブラジルとともに関税同盟を構成しており、単独での域外との貿易交渉は禁じられている。他国の反発は確実だ。

ラカジェポー大統領は7日、「我々は中国政府からFTAを前進させることを受け入れる公式な返事を受け取っている」と明らかにした。ウルグアイにとって中国は最大の輸出先で、FTAを通じて穀物や食肉などの輸出増加につなげる狙いだ。

ウルグアイとブラジル、アルゼンチン、パラグアイは南米南部共同市場(メルコスル)を構成しており、原則として他地域とのFTAはメルコスルとして取り組むルールがある。ウルグアイやブラジルは個別交渉を可能にするよう他のメルコスル加盟国に働きかけていたが、アルゼンチンの左派政権が消極的な姿勢を崩さず、内部対立が続いていた。

今回、ウルグアイが合意を待たずにメルコスルを飛び越えて中国と交渉を始めたことで、亀裂が深まるのは確実だ。アルゼンチンのフェルナンデス大統領は3月の首脳会合で、ラカジェポー氏に対して「我々が重荷ならば、船から下りればよい」と述べ、他国との交渉を始めた場合にメルコスルから脱退するよう警告していた。

ウルグアイ政府はメルコスル加盟国に連絡していると主張する。これに対し、アルゼンチンの地元紙クラリン(電子版)は8日、同国の経済省高官が「でたらめだ」と述べて反発していると伝えた。』

〔メルコスール〕
https://http476386114.com/2021/08/04/%e3%80%94%e3%83%a1%e3%83%ab%e3%82%b3%e3%82%b9%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%80%95/

〔ボーキサイトからのアルミニウムの精錬〕

https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005401570_00000

高等学校化学I/金属の精錬
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%8C%96%E5%AD%A6I/%E9%87%91%E5%B1%9E%E3%81%AE%E7%B2%BE%E9%8C%AC#:~:text=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%81%AE%E7%B2%BE%E9%8C%AC%E3%81%AF%E3%80%81%E9%89%B1%E7%9F%B3%E3%81%AE%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%8AAl%202%20O%203%20%E3%82%92%E6%8A%BD%E5%87%BA%E3%81%99%E3%82%8B%E5%B7%A5%E7%A8%8B%E3%81%A8%E3%80%81%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%8AAl%202%20O%203,%5D%E3%81%8C%E5%BE%97%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82%20%E6%AD%A3%E7%A2%BA%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%83%86%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%92%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%83%89%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%B3%E9%85%B8%E3%83%8A%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%80%82%20%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%B3%E9%85%B8%E3%83%8A%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A02Na%20%5BAl%20%28OH%29_4%5D%E3%81%AE%E6%BA%B6%E6%B6%B2%E3%82%92%E5%86%B7%E5%8D%B4%E3%81%97%E3%80%81%E5%8A%A0%E6%B0%B4%E5%88%86%E8%A7%A3%E3%81%8C%E3%81%8A%E3%81%93%E3%82%8B%E3%81%A8%E6%B0%B4%E9%85%B8%E5%8C%96%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0Al%20%28OH%29%203%20%E3%81%AE%E6%B2%88%E6%AE%BF%E3%81%8C%E6%9E%90%E5%87%BA%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82

[FT・Lex]ギニア政変、アルミ各社のリスク差を見極めよ

[FT・Lex]ギニア政変、アルミ各社のリスク差を見極めよ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB084LZ0Y1A900C2000000/

『エコツーリズムの流れで西アフリカのギニアを訪れる旅行者が探すのは高い木の上の猿やその仲間だ。鉱山関係者のようなビジネス目的でこの国に来れば、お目当ては地下資源だ。その代表が、アルミニウムの原料であるボーキサイトである。

ギニアでクーデターを実行した軍の指導者ら (6日、地元テレビの映像)=AP
軍事クーデターで高齢のコンデ大統領の政権が崩壊したと報じられ、アルミ価格の上昇に拍車がかかった。ギニアはボーキサイトの埋蔵量が最大で、世界の需要の25%をまかなっている。

ボーキサイトはアルミナを含み、それがアルミに加工される。ギニア産のボーキサイトはシリカなどの不純物が少ないことで知られる。中国とロシアのアルミメーカーがこれに飛びついた。中国宏橋集団、ルサール(ロシア)というそれぞれの国のアルミ最大手はいずれもボーキサイトの調達をギニアに依存する。中国には国産のボーキサイトもあるが、品質に問題があり、同国のアルミ産業は必要なボーキサイトの半分以上をギニアから輸入している。

中国はギニアのボーキサイト開発に多額の投資をしてきた。世界のアルミニウム生産の6割を占め、ロシアやインドを大きく引き離している。米BMOキャピタル・マーケッツによると、中国は鉱物資源に恵まれたほかのアフリカ諸国と同じく、ギニアでもインフラ整備を進めてきた。その努力は報われた。2016年以降の中国のボーキサイト輸入量は4倍を超える。

アルミ地金の国際価格は高騰している。一時は1トンあたり2776ドルという11年ぶりの高値をつけた。6日にはさらに値上がりしたが、株式市場は勝者と敗者の見極めに苦心している。

ギニアから船で運んできたボーキサイトの荷降ろし(2017年5月、中国東部・山東省)=ロイター

6日にはアルミメーカーがいずれも株価を大きく上げた。ギニアでボーキサイトを開発していないノルウェーのアルミ大手ノルスク・ハイドロは4%以上、上昇した。これは理屈に合っている。だが、ギニアで3つのボーキサイト鉱山を所有し、それらが調達量のほぼ半分を占める香港上場のルサールの株価が15%上昇した理由ははっきりしない。これは奇妙な現象だ。クーデターが起きると、サプライチェーン(供給網)が揺らぐリスクは間違いなく高まるからだ。

中国やロシアのアルミ生産者は、この西アフリカの小国に深く関わる利害関係者だ。政治的な混乱は、サプライチェーンの寸断と輸出停止につながりかねない。アルミ生産者は原料の供給元を急に変更することができない。しがらみの少ない投資家は、ノルスクのようにギニアへの依存度が低いアルミ企業を素早く見つけ出すとよい。

(2021年9月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2021. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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〔日本大学事業部〕

日本大学事業部
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E9%83%A8

『株式会社日本大学事業部(にほんだいがくじぎょうぶ、Nihon University Enterprise Co.,Ltd.)は、学校法人日本大学が全額出資する同法人の関連会社である。』

『概要

田中英壽が第12代理事長に就任した翌年の2009年7月、事業会社開設準備室設置[1][2]。同年11月、学内外の公募により社名決定[1]。2010年1月、設立[1]。

2014年12月、前年比1.6倍の売上高約13億円を記録[2]。2016年売上高約44億円、2017年売上高約69億6000万円と急成長を遂げている[2]。

関連項目
学校法人日本大学
日本大学
田中英壽 』

学校法人日本大学出資事業会社 株式会社日本大学事業部
https://www.nihon-u.com/

『会社概要

商号
株式会社 日本大学事業部
英語表記名称:Nihon University Enterprise Co.,Ltd.

所在地
本社
〒156-0044 東京都世田谷区赤堤五丁目36番20号
TEL.03-5300-5011 FAX.03-5300-5012

市ヶ谷オフィス
〒102-0076 東京都千代田区五番町2-6桜門会館1階
営業・旅行:TEL.03-5275-8455 FAX.03-5275-8456
保険代理店:TEL.03-5275-8008 FAX.03-5275-8155

ホームページ
https://www.nihon-u.com 

代表取締役
出村 克宣

従業員数
47名

設立日
平成22年1月7日

資本金
5,000万円

出資者
学校法人 日本大学

主要取引先
学校法人 日本大学

取引銀行
三菱UFJ銀行神保町支店
三井住友銀行東京中央支店

主たる事業内容
保険代理店事業
教育・研究支援事業
学生生活支援事業
キャンパス環境管理運営事業
人財サービス事業

沿革

2009年7月
日本大学総務部が所管となり当社の前身となる事業会社開設準備室を日本大学会館内に開設する

2009年9月
事業会社の名称を学内外に公募する

2009年11月
公募名称の中から事業会社の名称を「株式会社日本大学事業部」と定める

2010年1月
株式会社日本大学事業部を資本金5,000万円で設立する

本店所在地を東京千代田区九段南4丁目8番28号に置く

損害保険代理店資格を取得し,損害保険代理店業務を開始する

2011年5月
本店所在地を東京都世田谷区赤堤五丁目23番1号(世田谷オフィス)へ移転する

移転に伴い旧本店を市ヶ谷オフィスとし,営業部門のみを置く

2011年9月
営業部門を世田谷オフィスへ移転させ,市ヶ谷オフィスを一時閉鎖する

2012年3月
市ヶ谷オフィスを再度設置し,保険代理店事業部門を移設する

2012年10月
本社所在地を東京都世田谷区赤堤五丁目36番20号へ移転する 』

幹部背任容疑の日大、私大最大規模

幹部背任容疑の日大、私大最大規模 経営実態見えにくく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE088T80Y1A900C2000000/

『国内最大規模の学生数を誇る日本大学の幹部に8日、付属病院の建て替え工事に絡む背任の疑いが浮上した。東京地検特捜部は大学本部や理事長宅などを関係先として家宅捜索。かねて不透明さが指摘されてきたという日大の関連事業を巡る捜査は、幹部が大学側に与えた損害額や関与した人物の特定などに軸足を置いて進むとみられる。

【関連記事】日大幹部に背任容疑、理事長宅など関係先捜索 東京地検
日大は法学や医学、芸術学など16学部と大学院19研究科を抱える私立総合大学。明治中期の1889年に国内法などを学ぶために創立された日本法律学校が前身で、2016年には危機管理学部を開設した。現在の学部・大学院生数は7万人超、卒業生の総数は119万人に上る。
関係者の話によると、以前から大学の事業や運営を巡って不透明な資金の存在が疑われていた。

特捜部での捜査経験がある検察幹部の一人は「(日大は)歴代特捜部の申し送り事項だった」と明かす。疑惑の舞台として関係者の間で取り沙汰されてきたのが、日大が10年に全額を出資して設立した日本大学事業部(東京・世田谷)だった。

同社のホームページなどには「大学のスケールメリットを生かした事務の効率化」「事業活動で得られた収益を日本大学に還元する」などと経営方針が掲げられている。

日大の理事やOBが取締役や監査役に名を連ねており、「情報開示に消極的だった」(民間信用調査会社)。大学関係者は「事業部の経営方針や事業実態は学内でも一部の関係者しか知らなかった」と話す。

日大が100%出資しているため、外部からの経営体制のチェックも働きにくい。

同社は日大が記念事業として進めていた大規模プロジェクトの日大医学部付属板橋病院(東京・板橋)の建て替え工事にも関わっていた。

特捜部は今後、同社が交わした契約について、意思決定の仕組みや締結に至る詳しい経緯、資金の流れなどを重点的に調べる方針。

私立大など学校法人の運営を巡っては、特定の理事らに権力が集中し、資産が不正に流出する事件が過去にも起きている。

19年12月には大阪観光大(大阪府熊取町)などを運営する学校法人「明浄学院」(同)の資金21億円を着服したとして、元理事長やマンション開発会社の元社長ら計6人が業務上横領罪で大阪地検特捜部に起訴された。

別の検察幹部は「株主総会などで取締役が選任される民間企業に比べ、私立学校の理事や理事長などの選任過程は透明性が低い。不正防止のためにも権限が複数の理事に適切に分散されるルールづくりが必要だ」と強調している。』

文化大革命は禁句

文化大革命は禁句、中国で習近平路線絡む危うい論争
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK06AW20W1A900C2000000/

『中国最大手の検索サイト「百度(バイドゥ)」で話題の議論を紹介するコーナーから「文化大革命(文革)」を引くと「今のところ関係する議論はない」と表示される。おかしい。中国のSNSは今、関係する議論であふれているのに。

そこにはカラクリがある。中国のネット言論監視当局が目を光らせているため、SNSユーザーもその方針を忖度(そんたく)して敏感な言葉を直接に使う議論を避けているのだ。文革論議はいわば「禁句」になりつつある。

北京・天安門広場に翻る紅旗

その厳しい雰囲気の中で大きな話題になった謎の論争がある。発端は共産党機関紙の人民日報、国営通信の新華社や国営中央テレビなどの「統一行動」だった。中国主要メディアのインターネットサイトは8月29日、民族主義色の強い左派系ブロガーである李光満による「誰もが感じられる深い変革が進んでいる」と題した評論を一斉に掲載した。もちろん、ここにも文革という言葉はない。

大論争のポイントは見出しではない。資本への敵意がにじむアジテーション的な文章内で使われた「革命」という表現である。アリババ集団傘下のアント・グループの上場停止、独禁政策とアリババへの罰金、配車大手の滴滴出行への調査、共産党創設100年を経て強調された共同富裕への道、乱れた芸能界の整理……。

こうした経済、金融、文化、政治の大きな変革について「革命といってよい」と強く称賛し、「資本家が一晩で大金持ちになれる天国ではなくなる。一切の文化の乱れを整理すべきだ」と主張した。

共同富裕は「革命」ではない

主要メディアの一斉掲載に驚いたのは、共産党内のかなりの人々、そして在野を含む知識人らだった。「これは改革・開放政策を否定し、文革の再来を予感させる危うい兆候ではないのか」「第2の文革、文革2.0は既に絵空事ではない」

革命と聞けば、1960年代の中国を知る世代は、毛沢東が発動した文革を思い起こす。振り返れば、あの悲惨な文革も65年に上海紙に載った文芸評論が序章だった。文化を論じるようにみせかけた政敵への攻撃は、中国の権力闘争の常とう手段だ。

北京・天安門の楼上で演説する習近平国家主席(7月1日)=新華社・AP

追い打ちをかけたのは2日に一段と明確になったテレビ、芸能界への締め付けである。習近平(シー・ジンピン)指導部は全国のテレビ局などに、低俗で下品な娯楽番組を排除するため、政治的立場が不正確で、共産党・国家から心が離れている芸能人の起用を禁止する通知を出した。

李光満の文章への反撃は予想外のところから出た。人民日報傘下の国際情報紙、環球時報の編集長である胡錫進がネット上で「(李光満の)文には情勢に対して正しくない表現があり、誇張された言葉を使っている。国家の大政治方針に背き、誤った方向に導くものだ」と断じたのである。

外に向けた強硬な言論で知られる胡錫進には、習政権の立場の代弁者という側面もある。李光満の文章を大々的に転載したのも人民日報系のサイトだった。いずれも上層部からの指示による動きと推測でき、普通に考えれば大きな矛盾、混乱である。とはいえ話はそう単純でない。

習指導部にとって重要なのは、社会主義の原点を重視する共同富裕は「革命ではない」という胡錫進が訴えた論理だ。もし激烈な政治運動式の新たな革命になりうると認めてしまえば、文革のように後に首謀者が捕まり、最終的に葬り去られる対象になりかねない。

革命=命(めい)を革(あらた)む、という中国語が意味するのは体制の転覆である。そもそも中国が最大の恩恵を受けてきたグローバル経済の時代に、鄧小平時代の社会主義市場経済路線を完全否定し、資本家を打倒するような革命ができるはずがない。

「水温」を測る動き

胡錫進がわざわざ「仕事柄、体制内で多くの人に接するが、会議上でも個人的な場でも(李光満の描くような)政治動向は聞いたことがない」とクギを刺したのも、上からの明確な指示を示唆する。

ここで前週、このコラムで指摘した事実を思い出してほしい。8月26日、党中央宣伝部が発表した文書は脚注で、文革を「毛沢東が錯誤から発動し、国家と人民に深刻な災難をもたらした政治運動」と断じた。社会を混乱させる政治運動を戒める胡錫進の主張もこれに沿っている。

8月31日、党中央政治局会議は11月に党中央委員会第6回全体会議(6中全会)を開き、「党の100年に及ぶ奮闘の重要成果と歴史的経験の問題」を主として議論すると発表した。先の中央宣伝部の文書は、過去の歴史に関する議論のたたき台になりうる。習は自らを改革開放路線を敷いた鄧小平より上位に置き、毛沢東と並びたい。それでも改革開放自体は否定できない。

「これは『水温』を測る動きだ」。中国の政治関係者の鋭い指摘である。身内に近い言論人同士がネット上で不可解な激突を演じたのは、左派から右派まで党内外両派の反応を観察するためで、6中全会に向けて入念に落としどころを探る動作の一環、という解釈だ。

中国の「芸能人粛清」はどこまで進むのか…(中国を代表する女優、趙薇さん)=共同

共産党体制下では時に一般党員や国民に事前予告なしに重要政策が発表される。もしくは発表さえなく、いきなり命令が下され、実行される。アント・グループの上場ストップだけではない。有名女優の趙薇の名前が動画配信サービスの出演作品のキャスト一覧から削除されたり、作品自体が消されたりしたのは典型だ。

とはいえ意見が割れそうな大きな問題の場合は、別の手順を踏むことがある。さほど責任のない言論人の筆を借りて世論動向を探りながら周知を図る手法もその一つだ。今回の李光満の文章が、後に削除できない紙の新聞媒体には発表されなかったのも、ある種の「水温測定」だったことを物語る。当局の管理下で演じられた大論争は肝心の文革というキーワードを避けながら進んだ。

全ての底流にあるのは国家主席の習近平が主導する共同富裕という政治路線である。格差解消をめざす急激な変革の理念は、説明不足もあってまだ十分に理解されず、不安感も根強い。やり方を間違えるとコントロールがきかなくなり、パンドラの箱を開けてしまう可能性もある。

共同富裕に露骨な異議も

北京大の教授は先に「政府の関与が強まると共同貧困になる」という異議をインターネット上で公表したが、後に削除された。この教授と同じ学術組織に名を連ねる習近平の経済ブレーンで副首相の劉鶴(リュウ・ハァ)は6日、国際博覧会のあいさつで「民営経済を発展させる方針は不変」とし、社会主義初級段階の基本経済制度の堅持を強調した。

全人代の閉幕式に出席した劉鶴副首相(2018年3月、北京の人民大会堂)=三村幸作撮影

劉鶴の言葉は、文革のような資本家を打倒する平等主義には戻らないという意味であり、北京大教授が提起した共同富裕への疑問を払拭する狙いもあった。やはり共同富裕という新たな理想を掲げた浴場の湯は、まだ皆が喜んで入浴できるような適温になっていない。そういう状況だ。

とはいえ当の習近平は意気盛んだ。1日、党幹部の研修機関である中央党校での講演では「闘争の勇気」を強調した。「共産党メンバーはいかなる時も邪(よこしま)なものを信じず、亡霊を恐れず、腰抜けになってもいけない」と叱咤(しった)激励したのだ。殺気さえ感じられる檄文(げきぶん)には、今後も攻め続ける気迫が感じられる。

習の権威を高めるため、脱・鄧小平時代を演出し、しかも改革開放は維持する。政策推進の手法が荒っぽいだけに、共同富裕が文革とは一線を画す動きだと証明し、皆に納得させるのは、思ったよりも難しい。これは習にとって相当、厄介な関門だ。(敬称略)

中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

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習近平帝国の暗号 2035
著者 : 中澤 克二
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 1,980円(税込み)
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多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

渡部恒雄のアバター
渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員

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分析・考察 記事の指摘のとおり、脱・鄧小平時代を演出して、改革開放を維持するのは至難の業だと思いますし、「戦狼外交」といわれる対外強硬策の台頭と併せて、中国の改革開放路線は終わりを迎えいるというのが、外からの一般的な見方だと思います。

これは長期的には中国の経済を停滞させる「自滅行為」だと思いますが、これも記事の指摘のとおり、習近平主席自身がその「罠」に気が付かない以上、劉鶴副首相らが調整を試みても流れを変えられないのではないかと危惧します。

2021年9月9日 8:13いいね
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習政権ウオッチ

経済や安全保障面で米国の一極支配を打破しようとする中国の習近平政権の中枢で何が起きているのか。習国家主席による腐敗撲滅政策の狙いなどを的確に報じ、「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞した中沢克二・日本経済新聞編集委員(前中国総局長)が深掘りする。

文化大革命は禁句、中国で習近平路線絡む危うい論争(8日)
小学生から習近平思想 22年共産党大会へ裏で綱引き(1日)』

衛星攻撃能力「中国は使うと確信」

衛星攻撃能力「中国は使うと確信」 米宇宙軍トップ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN052BE0V00C21A9000000/

『【ワシントン=中村亮】米宇宙軍トップのジョン・レイモンド作戦部長は、中国が人工衛星の攻撃を目的とした兵器開発を推進していると指摘し「(中国は)起きうるいかなる戦闘でも開発中の能力を使うと確信している」と述べた。同盟国とともに宇宙を共同で防衛していくべきだとの認識を示した。

レイモンド氏が日本経済新聞の電話インタビューに応じた。米国は2019年12月、陸海空軍などと同格となる6番目の独立軍として宇宙軍を創設し、レイモンド氏は初代の作戦部長に就いた。同氏は大統領に助言を行う米軍の統合参謀本部で最高幹部の一人としても名を連ねる。

レイモンド氏は「宇宙は一段と(各国が)争う領域になっている」と指摘。「外交や経済、情報、国家安全保障のどの分野においても宇宙が土台だ」と強調し、軍事分野に限らず中国やロシアとの大国間競争で宇宙領域が一段と重要になるとの見方を示した。

軍事分野では「宇宙へのアクセスや作戦の自由は極めて重要だ」と指摘した。米軍では敵の位置把握やミサイルの捕捉、部隊間の通信などで人工衛星が大きな役割を果たしている。一方で中ロが戦闘の初期段階で米国の人工衛星を攻撃して米軍の戦闘能力を大幅に低下させるとの見方もある。

レイモンド氏はとくに中国に強い懸念を示した。中国がロボットアームで他の人工衛星を捕獲する「キラー衛星」に加え、対衛星ミサイルや全地球測位システム(GPS)妨害装置を開発していると指摘した。

中国に対する不信感を和らげるカギの一つは軍事当局間の対話だが、レイモンド氏は宇宙分野をめぐり「中国のリーダー層と対話していない」と説明した。トランプ前政権から続く米中関係の悪化が原因とみられる。対話の欠如が米中の軍拡競争に拍車をかけている面がある。

北大西洋条約機構(NATO)は6月の首脳会議で、加盟国の宇宙能力に攻撃があった場合、集団的自衛権の行使を定めた北大西洋条約第5条の適用対象になりうると共同声明に初めて明記した。レイモンド氏は「宇宙において同盟国と連携した作戦がますます重要になり、(宇宙を)共同防衛すべきだという認識」を反映したものだと説明した。

一方で1基の人工衛星が破壊されれば即座に集団的自衛権の発動に相当するかどうかは判然としない。攻撃に電磁波やサイバーなど目に見えない手法が使われれば攻撃主体がわかりにくい。NATOは共同声明で「適用はケースごとに決定を下す」として、想定される具体的な事例について議論を深めていくとみられる。

米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条は、日本の施政下にある領域での日本と米国いずれか一方への武力攻撃に対処すると規定している。地理的な境界がない宇宙での攻撃に対する適用は現時点ではハードルがあるとみられる。

レイモンド氏は第5条の宇宙分野への適用を検討するかどうかについて直接の回答を避けた。「中国との長期的な競争に直面しており、パートナーシップが将来も有益であり続けることが日米双方にとって極めて重要だ」と指摘し、今後の議論に含みを残した。

レイモンド氏は同盟国との具体的な協力内容に関しては、情報共有のスピードや精度を高め、有事に備えた共同演習を充実させる必要があると指摘した。同盟国と連携し、宇宙領域での国際的な行動規範をつくる考えも示した。

人工衛星などに対する攻撃は実行犯や手法が分かりづらいケースがある。反撃の根拠を示しにくく国民の理解を十分に得られない可能性がある半面、対応が遅れれば戦闘で一気に不利になるリスクもある。宇宙領域は陸海空などと比べ、同盟国間の意思疎通が一段と重みを増すとの見方がある。

バイデン米政権はアフガニスタンからの米軍撤収を強行して同国を見捨てたとの批判が出ている。宇宙分野での協力を拡大するうえでも同盟国やパートナー国の信頼のつなぎ留めが急務になっている。

【関連記事】

・米軍、宇宙優位が急所に 迫りくる中国の衛星攻撃
・米宇宙軍、デブリ3万個監視 衛星防衛へ国際ルール急ぐ


▼米宇宙軍 陸海空軍などと同格となる6番目の独立軍で、人工衛星の運用や宇宙での監視などにあたる。トランプ政権下の2019年、宇宙での軍事活動を強化している中国やロシアに対抗するために発足した。組織としては空軍と同じく、空軍省の管轄となる。
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鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授

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ひとこと解説 米宇宙軍が出来る前からレイモンド大将は日本との協議を続けており、同盟国として日本との宇宙協力を強く推進している。

ただ、中国と対話しないのは米中対立以前に「ウルフ修正」という議会が制定したルールがあるから。

また、宇宙における集団的自衛権の発動は、宇宙における施政権が不明だからではなく(宇宙条約では「打ち上げ国」の概念があり、宇宙機に主権を及ぼすことが出来る)、宇宙機に対する攻撃に対して適切な報復がどの程度になるのかというルールが明確ではないため。

宇宙での戦闘に対する報復の仕組み、戦いのルールを作ることが先決。

2021年9月9日 7:34いいね
10

渡部恒雄のアバター
渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員

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分析・考察 宇宙に限らず、サイバーなどの新領域では、この記事にある「対応が遅れれば戦闘で一気に不利になるリスク」だらけです。

過去の技術と国際情勢および過去の政治体制が作り出した安全保障への法的制約に縛られたままでは、もはや必要最小限の日本の防衛も遂行できないという現実が、宇宙領域の現状に現れていると思います。

集団的自衛権の行使を制約する発想では、もはや自国を効果的に防衛できないという現状を再認識すべきでしょう。

2021年9月9日 8:41いいね
7 』

「China Weighing Occupation of Former U.S. Air Base at Bagram: Sources」

「China Weighing Occupation of Former U.S. Air Base at Bagram: Sources」
https://st2019.site/?p=17423

『Paul D. Shinkman 記者による2021-9-7記事「China Weighing Occupation of Former U.S. Air Base at Bagram: Sources」。

 匿名ソースによれば中共軍はアフガニスタンの旧バグラム空軍基地を拠点として借用し、兵員や経済開発要員を送り込むことを検討している。

 バグラム基地はカブール市から1時間の位置にある。ソ連がアフガン侵攻したときに建設し、2001以降は米軍の中心拠点であった。

 中共軍はすでにカンボジアのレアム海軍基地の三分の二を占拠して勝手に使っている。
 ミャンマーでは、ヤンゴン沖250マイルのココ島を30年間租借。現地軍閥に各種装備品を与え、中共軍が無線施設を運用している。

 バグラムのレンタル話の仲介はパキスタンがしているという。』

総裁選が揺らす派閥政治 問われる政策の求心力

総裁選が揺らす派閥政治 問われる政策の求心力
恩恵薄れて縛りきかず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE07CTU0X00C21A9000000/

『自民党総裁選で派閥の動きがまとまらない。支援する候補を一本化できたのは会長の岸田文雄氏を推す岸田派くらいで、ほかの派閥は所属する国会議員を縛れていない。資金やポストの面倒をみるのが派閥から党執行部に代わり、議員にとって派閥に尽くす恩恵が薄れた。今回の総裁選は本来なら求心力であるべき政策不在の派閥のありさまを浮き彫りにしている。

【関連記事】
・脱炭素が問う自民総裁選 原発と再生エネが主戦場
・自民総裁選、党員票も「勝ち馬」探し 薄れる団体・派閥

かつては総裁選でまとまった行動をとるのが派閥の大原則だった。派閥は国会議員の①資金②ポスト③選挙での公認――という3つを提供する機能があった。

政策面でも各派閥の特徴ははっきりしていた。

例えば池田勇人元首相の「所得倍増計画」や、田中角栄元首相の「日本列島改造論」や中国との国交正常化など、派閥の領袖が主に経済や外交で政策を掲げた。派閥はその実現を旗印に結束し、派閥トップを総裁に押し上げる原動力に変えた。

今の派閥に政策の色は薄い。

保守を掲げた中曽根派の流れをくむ二階派は中国との関係が深い二階俊博幹事長が率いる。自民党入りした野党出身議員らも入れて派閥の数を増やした。麻生派も派閥を大きくする過程で、源流とする宏池会(現岸田派)だけでなく、三木武夫氏が率いた派閥の出身者などを取り込んだ。

政策とトップ個人との結びつきが弱まれば派閥は単なる利益共同体となりかねない。さらにかつてのように資金やポストといった「利益」すら配分できなくなれば、まとまりを失うのは自明だ。

それでもなお派閥に存在意義を見いだそうとするなら、名実ともに「政策集団」という原点に立ち返る必要がある。

「かつて池田内閣は所得倍増計画で消費を喚起した」。岸田氏は8日の記者会見で宏池会を立ち上げた池田氏の看板政策に触れ、自らの経済政策を「令和版所得倍増」と表現した。派閥の特色を打ち出そうとの試みだ。

党内では衆院選を前に政策よりも世論受けを重視する雰囲気がある。河野太郎規制改革相がまだ総裁選の公約を示していないにもかかわらず、人気がある河野氏を支持する動きが各派で目立つのはその証左といえる。

変化のきっかけは1990年代の政治改革だ。それまでは1つの選挙区に同じ党から複数候補が出る中選挙区制。同じ選挙区で派閥の違う候補同士が争うため、派閥間の政策競争も盛んだった。

衆院が1選挙区で1人しか当選しない小選挙区制に移ると、党執行部が公認権を握り、各候補は党の公約の下で野党候補と戦うことになった。

あわせて国民1人あたり250円、総額300億円規模を政党に助成する制度が始まり、政党以外への企業・団体献金を禁じた。資金を持つのも派閥から政党に移った。

派閥全盛期の80年代は、夏に「氷代」、冬に「モチ代」と呼んで配る資金は1回あたり200万~400万円が相場だったとされる。

職を辞して政界をめざす候補者の活動資金から生活費までを派閥が世話した。所属する派閥領袖の方針に背くのは考えられなかった。

その分、当時の派閥幹部に資金力は不可欠で、リクルート事件や東京佐川急便事件など政治とカネの問題が続いた。

いま派閥が議員に渡すモチ代の相場は50万~100万円とされる。派閥の収入源は政治資金パーティーが大半で、逆に所属議員はパーティー券販売のノルマを課される。「資金面でのメリットはほとんどない」との声が漏れる。

派閥に入らない議員は89年には3%しかいなかった。2009年からの野党暮らしで36%まで増えた。12年末に政権復帰して派閥が盛り返したとはいえ、無派閥の割合は今も高止まりする。

19年の参院選前、公職選挙法違反で有罪が確定し当選無効になった河井案里元参院議員の陣営に党本部が送った選挙資金は計1億5000万円。このうち1億2000万円が政党交付金だった。

主要派閥の年間収入の6~7割分を1選挙区に投じた計算になる。一橋大の中北浩爾教授は「党本部の資金力が示されたという意味で、古くて新しい政治とカネの事件だった」と位置づける。

ポスト面からみても派閥に属する利点は減ってきた。以前は派閥均衡人事が徹底されたが今は首相が一本釣りする。派閥の希望を聞くことはあっても、差配は首相の腹一つで決まる。

一般的な不人気を覆して派閥の力で総裁を誕生させたのは98年の小渕恵三氏が事実上最後となる。それから四半世紀近い時が流れ、派閥が主導権を握って総裁を射止めた例は見当たらない。

派閥が支援したようにみえても、実態は世論調査で人気がある候補を推しただけの色が濃い。総裁選びの基準は派閥の意向でなく「選挙の顔」になるか否かになった。

今回のように衆目が一致する「勝ち馬」が見当たらないと、派閥がまとまらなくなるのは当然の帰結といえる。

野党の支持率が低く政権交代の脅威をあまり感じない期間が長引き、自民党が政策立案に真摯に向き合う動機も薄れた。国際情勢が流動的ななか政策重視の総裁選となるかが注目されている。

【関連記事】
・「世代と派閥」自民の岐路 総裁選せめぎ合い
・自民総裁選、自主投票を要求 若手が「衆院選の顔」意識 
・岸田氏「新自由主義を転換」  規制改革などで河野氏意識
・高市氏、憲法や安保で保守政策を前面に 』

『 多様な観点からニュースを考える
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鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授

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分析・考察 中選挙区制時代の遺物である派閥は、元々派閥のボスを総理総裁に押し上げるための仕組みであった。

しかし、小選挙区制になり、総裁は必ずしも派閥のボスから選ばれるわけではなく、選挙の顔として機能することが期待されるようになると、総裁を生み出す(≒人事をコントロールする)仕組みとしての派閥の価値はなくなる。ゆえに派閥としてまとまった行動をとらないのは当然で、むしろ派閥単位で行動しようとする前時代の枠組みで政治家が行動していることの方が異常。

中選挙区制の記憶を持たない政治家が増えれば、いずれ派閥は政策を中心に集まるか、人間関係をつなぐ仕組みとしてしか残らないだろう。

2021年9月9日 7:28いいね
25

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菅野幹雄
日本経済新聞社 ワシントン支局長・本社コメンテーター

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ひとこと解説 派閥ってなんだろう。今週月曜日に別の記事でそんな問題提起をしましたが、この記事は私の疑問にかなり答えてくれました。

派閥というのは戦後日本で圧倒的な長期間にわたり政権与党に座っている自民党に特有の仕組みのように思います。いまのように若手議員が派閥での拘束に抵抗して自主投票をする動きが相次ぐと、そのシステムの綻びが露呈してしまいます。

キングメーカーでもない、カネもポストも結束も保証できない、政策面での特色も出せないとなれば、派閥という存在はどんどん形式的なものになっていくのかもしれません。新聞記者の政治取材もなお「派閥単位」ではあるのですが……。

2021年9月9日 7:51いいね
15 』

米国、9・3兆円もの武器をアフガンに注ぎ込んで。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)9月9日(木曜日)弐
通巻第7046号  
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 米国、9・3兆円もの武器をアフガンに注ぎ込んで。多くがタリバンの手に
  軍用車両、機関銃など武器密輸でタリバンの外貨稼ぎに
***************************************

 ハンビー(高性能多機能用途装備車両)が2万2千両。MRAP(対地雷、伏撃防護装甲車)155両。小型軍用車を4・2万台。そして自動小銃が36万丁。重機関銃6万、ピストル13万丁など。

 対空砲、地雷、バズーカ、ゴーグル、通信設備、測定器財など付属する備品や燃料など、計り知れない軍事関係装備品が、タリバンの手にわたってしまった。

 アフガニスタン政府軍に注ぎ込んだ米国の武器供与は総額で850億ドル(邦貨換算で9兆3000億円)。そして育成したアフガニスタン政府軍30万人は武器とともに「闘わずして」、姿を消してしまった。祖国のために死ぬ兵士はいなかった。そのうえ米軍が援助した武器の悉くが「蒸発した」。

米軍は引き揚げるときに多くの武器、車両、軍用機、通信設備などを破壊して去ったが、それは一部であり、すでにタリバンのカブール制圧前から、アフガニスタン政府軍の腐敗は深刻で、武器の横流しから、ガソリンの売却など、軍服や軍帽、軍靴などは、バザールで売られていた。

 タリバン軍事パレードに米国製武装兵(UH60)が登場し空を舞った。米国軍事専門家は、軽攻撃機など軍用機が38機、ヘリが13機。ドローンが7機、すでにタリバンの手にわたったと分析している。

 嘗てソ連との闘いに明け暮れたムジャヒディンの時代、米国はスティンガーミサイルを250基、供与した。それでソ連の敗退が決定的となった。ソ連の武装ヘリも輸送機もスティンガーミサイルの犠牲となったからだ。

 残留武器に目を付けているのは中国、露西亜、北朝鮮、そしてイランである。


 イランは1972年から76年にかけて、米国の武器輸出国ナンバーワン(現在はサウジアラビア)。イスラム革命後、最新鋭ジェット戦闘機などイランに置き去りにされたものが部品供与もなくさび付いた。

 タリバンは麻薬のほかにドルを稼げる輸出品目がない。のどから手が出るほど欲しいドルのために、これら米国製武器を密輸するだろう。

 イランがすでにタリバンから入手したのはハンビーとMRAPと言われる。

 米議会下院ではジム・カマー(共和党、ケンタッキー)とグレー・グロスマン(共和、ワイオミング)が中心となって三十三名の議員が連署して、「すぐさま調査に乗り出し、残留兵器をいかに回収するべきかを検討せよ」とする書簡をまとめ、オースティン国防長官に送った。

 タリバンと高性能武器の引き渡しを狙うのは中国、露西亜、北朝鮮などで、早速中国はワクチン8100万ドル供与を取引条件に米国製武器入手の交渉にはいったとみられる。日本は、ことここに到ってもなおインフラ支援など人道援助のために、決められている200億円余にプラスして新規71億円を、「無条件」でアフガニスタンに供与する方針である。

 日本外交は馬鹿がつくほどのお人好し?

    ☆▽□☆◎み☆◎□☆や□▽◎☆ざ▽◎□☆き◎☆◎▽

(読者の声2)タリバンだけ、男だけのアフガニスタン暫定政権が発表されましたが、言ってみれば「テロリスト一覧表」ですね。ウズベク、タジク、ハザラの代表はひとりも加わっていないという意味は、内部分裂、軍閥抗争が収まっていないという証拠では?
   (山根生)

(宮崎正弘のコメント)まず軍閥で言えば「ヘラートの獅子」(イスマイリ・ハーン)は拘束され、マザリ・シャリフのウズベク軍閥のドスタム、嘗ての首相ヘクマチアルが入っておらず、「パンジシールの獅子」の息子(旧「北部同盟」)は依然としてタリバンと戦闘中。くわえてIS─K(イスラム国ホラソン)とは仲違いの様相、アルカィーダが何をしているかも伝わってきません。あまつさえ旧政権のカルザイも、アブドラも閣外。まさにタリバン独裁の始まりです。

 気になるのはハザラ人の行方ですね。かれらはシーア派ですので、イランへ逃げ込んだという情報がもっぱらですが、その後の動静は不明です。

      ◎☆◎○☆○◎☆◎○☆○◎☆◎○☆○◎☆ 

バイデンの隠された大戦略

バイデンの隠された大戦略
https://kotobukibune.at.webry.info/202109/article_7.html

『(2021年09月07日)

目次

1、パンジシールの抵抗
2、アメリカのアフガニスタンにおける軍事作戦は終了している
3、アメリカが最長の戦争を失った日
4、一帯一路への参画を希望するタリバン 
5、バイデンの大戦略 』

『1.パンジシールの抵抗

アフガニスタンを掌握したタリバンが、東部パンジシール州で反タリバン勢力の激しい抵抗に遭っています。

自らを「アフガニスタンの反タリバン国家抵抗戦線(NRF)」と名乗る反タリバン勢力は、2日までにパンジシール渓谷付近でタリバンとの戦闘が再開したと発表しました。

パンジシール州は、州内を通る一本道の両側に3000メートル級の山々が並ぶ「自然の要塞」で、タリバンへの投降を拒んだアフガン政府軍の兵士や民兵ら約1万人が山陰などに潜み、約8500人とされるタリバン戦闘員らを退けています。

兵士らは、州内に侵攻したタリバン戦闘員らの後背を土砂で塞ぎ、補給を断った上で一斉攻撃を仕掛けているようです。

4日、「アフガニスタンの反タリバン国家抵抗戦線(NRF)」の現地報道官は「過去3日間で600人超のタリバン戦闘員を殺害した」と主張しています。

タリバンがパンジシール州制圧に拘るのは、崩壊した民主政権ができなかった全土統一をアピールした上で、政権樹立を宣言し、各国からの政権承認を取りつける思惑があるためと見られています。

9月5日、反タリバン勢力を率いるアフマド・マスード氏は、フェイスブックで「現在の問題を解決し、戦闘を即時停止して交渉を続けることに原則合意する……恒久的平和に向け、タリバン側もパンジシールとアンダラブに対する攻撃と軍事的な動きを停止することを条件に、戦闘を停止する用意がある」と投稿し、戦闘終結に向けて交渉による解決を提言したイスラム学者らの案を歓迎すると表明し、イスラム学者を交えた全勢力の大規模会合をその後に開催することができるとの考えを示しました。

現地メディアは、イスラム学者がタリバンに対し、パンジシール州での戦闘終結に向けて交渉による解決を受け入れるよう求めたと報じているのですけれども、タリバンは現時点で反応を示していないとのことです。

2.アメリカのアフガニスタンにおける軍事作戦は終了している

このパンジシールの戦闘について、9月3日、アメリカ国防総省のジョン・カービー報道官は記者会見で、パンジシール州の地元集団とタリバンの間で発生した武力衝突でタリバンに対してパンジシール州の集団を支援するかどうかに関する質問に「アメリカのアフガニスタンにおける軍事作戦は終了している」と答え、現地の武力衝突に介入しないことを示唆しています。

アメリカは反タリバン勢力を支援しないのかという見方について、国際関係論を専門とする東京外国語大学の篠田英朗教授は「バイデン政権は、共和国政府のアフマド・マスード、アムルラ・サレー第1副大統領、ビスミッラー・ハーン・モハンマディ国防相らパンジシール渓谷に集結した反タリバン勢力に対して、全く反応を示していない。武力でカブールを制圧したタリバンに対して、憲法の規定にしたがってアフガニスタン政府の暫定大統領となっているとするサレー第1副大統領の主張には、一定の妥当性がある。それを考えると、アメリカの冷淡な態度は、むしろ不自然なくらいだ」と述べています。

篠田教授によると、アフガニスタンで活動する「イスラム国ホラサン州(IS-KP)」は、新タリバン政権について、新しいアメリカの傀儡政権にすぎない、と断ずる声明を出しているそうですけれども、そうだとすると、タリバンとアメリカは裏で繋がっているが故にパンジシールの反タリバン勢力に冷淡だという見方も出来なくもありません。

3.アメリカが最長の戦争を失った日

8月28日、アメリカのワシントンポスト紙は、「サプライズ、パニック、そして運命の選択。アメリカが最長の戦争に敗れた日」というスクープ記事を掲載しました。

これは、首都カブール陥落の様子を、アメリカとアフガニスタンの政府関係者、タリバンの司令官、カブールの住民への約20回のインタビューに基づいて描いたもので、なんとタリバンが首都カブールの治安維持をアメリカに依頼していたのを拒絶していたというのですね。

該当部分までの大まかな内容は次の通りです。
・アメリカ中央軍のケネス・マッケンジー海兵隊元帥とロス・ウィルソン駐アフガニスタン代理大使は、7月にカブールで行われたガニ大統領との会談で、ガニ大統領に対し、「現実的で、実行可能で、広く支持される国防計画」が必要であり、34の州都すべてを防衛するという考えは捨てなければならないとアドバイスした。ガニ大統領は同意したように見えたが、結局何もしなかった。

・アメリカの情報機関は、8月時点では、タリバンがカブールに深刻な脅威をもたらすのは秋の終わり頃だろうと見ていた。

・しかし8月14日にタリバンがマザリシャリフを陥落させると、アメリカ政府関係者は急いで行動する必要があると確信。ロイド・オースティン国防長官は、バイデン大統領と安全保障担当の側近との電話会議で、米国大使館の全職員を直ちにカブール空港に移動させるよう求めた。

・8月14日夜、ガニ大統領とブリンケン国務長官が電話会談を行った。首都での対決を避けたいブリンケンは、アメリカが仲介したタリバンとの協定へのガニ大統領の支持を求めた。その協定とは、アフガニスタンの指導者が身を引いて暫定政府が主導権を握れば、タリバンはカブールの外に留まるというものだった。その目的は、タリバンを含む包括的な政府の樹立に向けた交渉の時間を稼ぐことであった。ガニ大統領は渋々同意した。

・ガニ大統領逃亡。アメリカ政府は、ドーハでの交渉で合意された通り、暫定的な権限を持つ人物への秩序ある移行のために、ガーニが留まると考えていた。ドーハでの交渉で約束されていたように、ガーニは秩序ある暫定政権への移行のために留まるものと期待していた。

・急遽手配されたドーハのアメリカ軍幹部は、タリバンの政治部門のトップであるアブドゥル・ガニ・バラダーと直接会談を行った。

・バラダーは「我々は問題を抱えている」と語った。「我々には2つの対処法がある。あなた方(アメリカ軍)がカブールの安全を確保する責任を負うか、我々がそれを行うことを許可しなければならない」

・バイデン大統領は、アフガニスタンからの米軍撤退を断固として主張していた。その命令を知っていたマッケンジーはアメリカの任務はアメリカ国民やアフガンの同盟国など、危険にさらされている人々を避難させることだけだと言った。そのためには空港が必要なのだと。

・その場で、「アメリカは8月31日まで空港を確保するが、街はタリバンが支配する」という合意が成立。

・タリバンは、カブール中の戦闘機を移動させた。タリバンはその日のうちにカブールを占領するつもりはなかったが、ガニ大統領の退陣により選択の余地がなくなった。


このように、タリバンはカブールの治安維持をアメリカ軍に依頼したにも関わらず、アメリカ側はそれを拒否したというのですね。

バイデン大統領はカブール陥落について、誰も予想できなかったなどと言い訳でしていますけれども、このワシントンポスト紙の報道が正しければ、バイデン大統領の説明は真っ赤な嘘だったということになります。

4.一帯一路への参画を希望するタリバン 

9月3日、タリバンのザビフラ・ムジャヒド報道官は、中国とパキスタンが進める大規模インフラ整備事業「中パ経済回廊(CPEC)」を、アフガンまで拡大するよう呼びかけました。
「中パ経済回廊(CPEC)」は、中国西部からパキスタン南西部グワダル港までの約2700キロの間に高速道路や発電所、港湾などを整備するプロジェクトで、中国の「一帯一路」の中心事業に位置づけられています。

ムジャヒド氏は、パキスタンの首都イスラマバードで開かれたオンライン国際会議に参加し、「貿易を拡大させるためにもパキスタンの支援を望んでいる」と、西側諸国がアフガン支援の継続に慎重な姿勢を示す中、中パ両国にインフラ整備で協力を仰ぐ考えです。

アフガニスタンは2016年にガニ政権が、中国と「一帯一路」の共同建設に関する覚書を交わし、王毅外相がこれまでに、「中パ経済回廊(CPEC)」のインフラ開発事業をアフガンに接続する構想を表明しているのですけれども、テロの危険性などから実際の事業は進んでいないのが現状です。

また、前日2日には、タリバンのハナフィー幹部が中国の呉江浩外務次官補と電話会談し、中国の「一帯一路」構想をめぐり「引き続き積極的に支持・参画したい」と「一帯一路」への参画を希望しています。

これに対し、中国の汪文斌副報道局長は翌3日の記者会見で「中国とアフガンの一帯一路共同建設は両国民に確かな支えをもたらす」と賛意を示す一方で、「アフガン情勢の平穏な移行、持続的な平和と安定の実現を望む。これはアフガンが次の段階で展開する対外協力の前提であり、各国企業の投資を呼び込む基礎だ」と留保を付けました。

中国にとって、「一帯一路」を進めるにあたり、アフガニスタンを抑えることは願ったり叶ったりなのではないかと思ってしまうのですけれども、これについて経済評論家の上念司氏は「中国がタリバンと仲良くすればするほど、周辺国が逃げていくからだ」と指摘しています。

その周辺国の例として挙げているのがロシアとインドです。

インドは、タリバンに近いパキスタンと対立しています。また、ロシアは、周辺のウズベキスタンやトルクメニスタンといった旧ロシア諸国にテロや麻薬を輸出されるのは困るといった事情からタリバンと対立していたアフガニスタンの北部同盟を支援していた過去があります。

上念氏は、特にロシアはタリバンをテロ組織認定しており、そのタリバンを中国が支援することは何事だということになるが故に、今度はロシアが中国を裏切るのではないかとコメントしています。

また、アナリストらによると、ロシア政府は複数の軍事基地を持つ中央アジアにおける権益を守ることを重視し、自国に隣接する地域で政情不安やテロの可能性が広がることは何としても避けたいと考えているとの分析があり、タリバンを警戒していることは間違いないものと思われます。

もっとも、ロシア政府は、タリバンの指導部をモスクワでの会議に度々招き、タリバンの国際的信用を向上させてやるなど、アフガニスタン国内の戦闘を近隣諸国に波及させないことや中央アジアにおけるテロの増加を防ぐための手も打っています。

5.バイデンの大戦略

アメリカがアフガニスタンを手放すことで、中国が進出できる環境を生み出し、ロシアが警戒を強める展開になりつつあることになった訳ですけれども、見方を変えれば、アメリカがアフガニスタンを中国に押し付けたと見ることも出来るかもしれません。

仮に一帯一路で中国がアフガニスタンに進出したとしても、アフガニスタンが不安定化すれば、そのインフラを守るため、あるいは整備するために軍を派遣したり、資本投入する必要が出てきます。たとえ、直接、中国軍を投入しないにしても、タリバンに金を渡して代わりに守って貰わなくてはなりません。

アフガニスタンの不安定化は隣接する新彊ウイグル自治区へも影響します。

8月18日、トルコのチャブシオール外相と電話会談した王毅外相は、タリバンに対し「明確な態度で全てのテロ勢力との関係を完全に断絶する必要がある」と述べ、新疆ウイグル自治区の独立派組織、東トルキスタン・イスラム運動の取り締まりを特に求めています。それほど、タリバンを恐れているということです。

アフガニスタンは、かつて古代ギリシャ、モンゴル帝国、ムガール帝国、大英帝国、そしてソ連軍がこの地域に侵攻したものの、いずれも撤退の憂き目に遭っています。そのことからアフガニスタンは「帝国の墓場」とさえ呼ばれています。

今回はアメリカはその墓場に足を取られることになった訳ですけれども、アメリカはそこから逃げ出す代わりに中国に押し付け、それによって中国の力を削ごうとしていることを狙っているのではないか。

そんなことが上手くいくのかどうかは別として、ならば、アメリカの屈辱的ともいえるアフガニスタンからの撤退劇はなんだったのか。

先のワシントンポスト紙によれば、バイデン政権は、タリバン側からカブールの治安維持を依頼されたにも拘わらず、それを断った結果、あの失態を晒してしまった訳ですけれども、もしあれが、単なるバイデン大統領の”やらかし”などではなく、計算づくでのことだったとしたら、その狙いは何か。

これは穿ち過ぎではないかと思いますけれども、その答えとして一つ考えられることは「バック・パッシング」です。

バック・パッシングとは、「自国と同じように脅威を受けている他の国をつかって、脅威となっている大国を直接押さえ込むという”面倒な仕事”を肩代わりさせる」という戦略概念です。

今回、アメリカは無様なアフガン撤退で信頼を損ないました。世界各国に「アメリカは同盟国を見捨てることもするのだ」という疑念と恐怖を抱かせたのですね。

例えば韓国などがそうです。

勿論、日本も他人事ではありません。畢竟、それらの国は「アメリカは当てにならないから自分の国は自分で守れるようにするべきだ」という方向に流れるであろうことは容易に予想できます。

けれども、それこそがアメリカの狙いで、例えば対中包囲にしても、直接な軍事的対立あるいはバランスは日本、台湾、東南アジアなどの周辺国に肩代わりさせて、自身は後方で悠々と構え、危なくなったら支援する、という戦略にシフトしようとしたのではないか。
そのために、アメリカが無様な姿を「わざと」世界に見せつけた。自国に引き籠るための大芝居を打ったということです。

けれども、このやり方は非常に危険な面があります。

それは、中国の周辺国がアメリカの言いなりになって、いつまでも「バック・パッシング」してくれる保証がないということです。

中国が周辺国に工作し、金をばら撒いて、周辺国を手懐けて、アメリカを裏切ることだってできる訳です。それこそ極端なことをいえば、米中で世界を二分することなってしまう事態も無いとは言えません。

果たしてこれが本当にバイデンの「大戦略」なのかどうかは分かりませんし、単なるバイデン大統領の「やらかし」であればよいと願いたいところですけれども、一定の警戒を抱きつつも、それでも、この機会を利用して日本の国防力を高める方向に進むべきだと思いますね。』