タリバン暫定政権の閣僚を発表。昔の名前ばかりです

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)9月8日(水曜日)弐
通巻第7044号  
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『タリバン暫定政権の閣僚を発表。昔の名前ばかりです
  「アフガニスタン・イスラム首長国」が正式な国名とか
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 タリバンのカブール入城から一ヶ月近く経って、各派の合意がなんとか形成された様子である。軍閥の寄り合い世帯ゆえに、凄まじい内部対立があった証拠で、閣僚名簿がすんなりとはまとまらなかったようだ。

 ともかく外国の承認はないものの、「アフガニスタン・イスラム首長国」が正式な国名となって、発表された暫定政権の閣僚を眺めると、なんと昔の名前ばかりである。

暫定首相に就くのはムハンマド・ハサン・アクハンド。

わすれかけていた名前。宗教指導者である。かれは1996年のタリバン政権で、オマル師側近として、若手のイスラム教育に当たってきた。60代後半とみられる。

この宗教指導者のアクハンドを事実上補佐するのが、国際的に有名人となったバグダールで、かれは2010年に拘束され、2018年まで獄中にあった。以後、ドーハで行われた米国との交渉のチーフとして国際的に貌を売った。

内務大臣は謎の人物ハカニである。

ハカニは外国での自爆テロを組織して、米国が1000万ドルの懸賞金を掛けているお尋ね者。テロリストの元凶である。写真すら公表されておらず、2018年に父親の死のあと、ハカニ集団を率いる。

外務大臣はムタキで、主として教育、文化、情報畑をあるいたが、政治力は未知数。

国防大臣はヤクーブ。オマル師の息子で、まだ30代。一部の観測筋は、かれは象徴的な飾りであるという。

陸軍を率いるのはバダクシャニ、財務大臣はムラー・ヒダヤツラ。いずれも経歴が不明、そして情報副大臣が、タリバンのスポークスマンを長らく務めてきたザビフラ・ムチャヒドで、かれが情報戦のチーフとして、偽情報、陽動作戦、威嚇宣伝など、タリバンの巧妙な情報戦の中軸にあった。

 ▼バグラム空軍基地跡地を中国が狙っているという噂

 米軍が放棄したバグラム空軍基地は最大規模の近代設備を誇る。

この再開発と使用を、タリバンは中国と交渉しているとニッキー・ヘイリー元国連大使が語っている。
もし、バグラム基地跡に中国軍は駐屯すれば、タリバンは脆弱な空軍を補うこととなり、周辺国は安心して眠らなくなるだろう。タリバンには空軍がない。

「大同団結し、国家再建を最優先する」とタリバンは内外に姿勢を鮮明にしている。
とくに外国投資を歓迎し、ビジネスマンの活動はそのままとすると発表しているタリバンは治安の回復と秩序再建を当面急ぐ方針だ。

この外国投資に関してもっとも大きな期待を掛けているのが中国である。中国は一帯一路プロジェクトにアフガニスタンを巻き込む戦略があると言われるのも、アフガニスタンからいち早く中国人をすべて退避させたが、カブールの中国大使館は、そのまま居残って大使館業務を続けている。』