中国、食糧危機への備えか、世界中で食料・肥料を爆買い中

中国、食糧危機への備えか、世界中で食料・肥料を爆買い中
東アジア「深層取材ノート」(第103回)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66842

『習近平主席の肝煎りで、9月2日から7日まで「中国国際サービス貿易交易会」が、北京で開かれた。昨年年初から続くコロナ禍で、製造業に較べて回復が遅れているサービス業をV字回復させる「起爆剤」にしようと、首都で開いた国家プロジェクトだった。

中国の政権幹部が突如連呼しだした「食糧安全保障」
 その中で、普段は目立たない、ある習近平政権幹部のスピーチが、関係者の間で話題になった。5日に会場で行われた「2021年食糧現代サプライチェーン発展及び投資国際フォーラム」で、中国国家食糧・物資備蓄局の張務鋒(ちょう・むほう)局長が行ったスピーチだ。

 張局長は、こう述べた。

「中国は国家の食糧安全保障を、国家の大事、それも一丁目一番地としている。中国は、全世界の9%の耕地、6%の淡水資源での生産食糧でもって、世界の20%近い人口を支えていかねばならないのだ。

 国連は、2030年までの持続的な発展の貧困減少目標を定めているが、中国はそれを10年先駆けて実現した。それは空腹に喘(あえ)ぐ時代が去り、衣食満ち足りた時代を実現したということだ。腹一杯にならない時代から、腹一杯になり、かつおいしいものを食べる時代へという歴史的に重大な変転だ。

 世界のコロナの状況の起伏は定まらず、世界経済の復興はいまだ困難だ。そのような形勢下で、食糧安保が注目されている。(食糧の)サプライチェーンの安定が重要になってきているのだ。

 中国は新発展段階に入っており、発展と安全を統合している。新たな局面の中で、より高いクラスで、より高いレベルで、より効率的で、より持続可能な国家の食糧安全保障システムを急ぎ構築していく。今後は国内に軸足を持つことを堅持しながら、堅牢で強靭な食糧サプライチェーンを基礎に、国家の食糧安全戦略を全力で実施していく。『津々浦々までの食糧備蓄』を全面的に定着させていく。穀物の基本的な自給を確保し、食糧を絶対的に安全にする。食糧安全の主導権を着実に握り、14億中国人の食事をしっかり自己の手中に収めていく。

 中国は今後、強靭な食糧サプライチェーンを確保していくにあたって、重要な時期を迎える。良質な食糧供給を深く推進し、技術の創新・産品の創新・装備の創新・モデルの創新を推進し、インターネット・ビッグデータ・AIなど新世代の情報技術と食糧産業を深くつなげることを急ぎ推進し、食糧安全保障の作用を十分に創新していく。

 食糧安全保障の立法化を急ぎ進め、デジタル化された食糧監督管理システムを作り、食糧流通の法律執行行動をうまく取り行えるようにする。ゼロ容認で、カバー能力を強め、大国の食糧備蓄を固く守り抜いていく。』

『その一方で中国は、食糧サプライチェーンを強靭にする国際協力を深化させ、多種多様な形式の国際協力を展開していく。食糧貿易を利便化させ、サプライチェーンの上下間の協同を強化していく。国連の食糧農業機関(FAO)や世界食糧計画(WFP)などの国際機関が力を発揮していくことを支持する。情報共有・経験交流・技術提携・政策協同を強化し、国際的な食糧サプライチェーンの健全で安定した持続的な発展を推進していく」

 以上である。

 張局長は眉を吊り上げて、「食糧安全保障」や「食糧サプライチェーン」といった、一般人があまり耳慣れない言葉を強調したのである。

コロナ、洪水、旱魃で食糧生産に大ダメージか
 これは一体何を意味するのか? この交易会に参加していた中国人が語る。

「もしかしたら、これから食糧危機の時代に入ると、中国政府が見ているのではないか?
 国家統計局は昨年末、食糧の収穫量が前年比0.9%増で、6年連続1.3兆斤突破の豊作だったと発表した。だが昨年は、コロナ禍と、地球温暖化による洪水や旱魃増加で、とてもそのようには思えない。今年も、穀倉地帯の河南省が、夏の洪水で全滅に近いという噂も出ている」

 中国に食糧危機が近づいているから、食糧安保に躍起になっているという見方だ。』

『あの「食べ残し禁止令」も意識引き締めのためか

 私も、その可能性はあると見ている。私が初めて、近未来の中国の食糧危機について脳裏を掠(かす)めたのは、昨年8月のことだった。8月11日に新華社通信が、唐突に下記のような記事を配信したのだ。

<中共中央総書記・国家主席・中央軍事委主席である習近平が最近、レストランの浪費行為をストップさせるための重要指示を出した。彼はこう指摘した。「レストランの浪費現象には、目を覆い心を痛める! (残飯の)一粒一粒のもったいなさを誰が考えるのか」。

 たとえわが国の食糧生産が年々豊作でも、食糧安全に対しては終始、危機意識を持つべきだ。今年は世界的な新型コロナウイルスがもたらす影響が、さらにわれわれに警鐘を鳴らすだろう・・・>

 この時、習近平主席は、レストランでの食糧浪費の禁止を立法化し、監督監視するよう命じた。それによって、レストランが客数によって注文できる皿数を制限したり、残り物はすべて持ち帰りを義務づけたりするようになった。日本でも「中国の贅沢禁止令」として報道された。

 だが、国民がレストランで自分のカネを払って食事することにまで、これほどトップが目くじら立てて指令を出すというのは、いくら強権国家の中国でも、あまり例を見ない。そこには必ず、「そうしなければならない事情」があるはずなのだ。

 そうやって推理を巡らせていくと、中国政府は近未来に食糧危機が起こることを危惧しているのではないかという思いに至ったのだ。上述の新華社の記事でも、「食糧安全に対する危機意識を持つべきだ」としている。』

『世界中に影響を及ぼす、中国の食糧確保の動き
 9月7日付『日本経済新聞』は、「中国食糧安保、市場揺らす」という5段組の記事を掲載した。その要旨は、以下の通りだ。

・8月12日に米農務省が公表したレポートによれば、中国は2010年からトウモロコシ輸入を始め、2020年~2021年穀物年度(9月~8月)の輸入量は2600万トンと前年度3.4倍に増えた。

・前穀物年度に世界で生産された11億1541万トンのトウモロコシのうち、輸入量は1億8421万トンで、うち6割を中国が買っている。

・同様に中国の大豆の輸入量も約1億トンと、10年前の2倍強に増えた。

・今年夏前にシカゴ先物相場で一時、トウモロコシ価格が7年10カ月ぶりに小麦価格を抜いた。

・食糧輸入の増加とコロナ禍により、ばら積み船の市況を示すバルチック海運指数の上昇が、8月に急加速した。

『ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ』(近藤大介著、講談社現代新書)
ギャラリーページへ

・すでに中国企業は、海外の農地や食品・流通企業の買収にも動いている。

・化学肥料の原料(窒素・リン・カリウム)確保にも躍起になっていて、リンの埋蔵量の7割を占めるモロッコ・西サハラ地域を視野に入れている。肥料価格も上昇している。

 以上である。ひとたび中国に食糧危機が起きれば、それは「世界の食糧危機」に直結することが分かるだろう。もちろん、日本としても他人事ではいられない。「豊作、豊作!」と毛沢東時代のように連呼する中国の食糧事情に、今後とも注視していく必要がある。』

タリバン暫定政権「排他的」

タリバン暫定政権「排他的」 米国務省が懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN080PP0Y1A900C2000000/

『【ワシントン=中村亮】アフガニスタンを掌握したイスラム主義組織タリバンの暫定政権をめぐり、米国務省の報道担当者は7日の声明で「排他的に構成されている」と懸念を示した。女性や旧政府高官を含んでおらず、バイデン米政権が暫定政権を承認することは現時点で難しい。

国務省の報道担当者は暫定政権の主要閣僚などについて「タリバンのメンバーや協力者であり、女性がいない」と指摘した。内相代行に起用されたハッカニ氏らを念頭に「何人かの所属や経歴を懸念している」とも強調した。同氏は米国がテロ組織に指定する武闘派グループ「ハッカニ・ネットワーク」を率いる。

国務省は7日、ブリンケン国務長官が8日にアフガンをめぐるオンライン形式の閣僚会議に参加すると発表した。バイデン政権はタリバンの暫定政権や人権問題などに関する対応で関係国と足並みをそろえたい考えだが、ロシアは会議に参加しないと表明しており、国際協調の行方は不透明だ。

一方、バイデン大統領は7日、ホワイトハウスで記者団から「タリバンが中国から財政支援を受けると懸念しているか」と問われて「中国はタリバンとの関係で真の問題を抱えている。何らかの取り決めを目指すだろう」と応じた。「パキスタンやロシア、イランも同様だ」と語った。

バイデン氏の真意は不明だが、タリバンへの対応について各国と協調の余地があると判断している可能性がある。

各国はアフガンからイスラム過激派が流入することを懸念する。バイデン氏は、各国がタリバンに財政支援を行う代わりに過激派対策などを講じるよう要求するとみているようだ。米国も過激派が米国本土を攻撃するリスクがあると懸念しており、各国と利害が一致していると考えている可能性はある。』

タリバン暫定政権の閣僚を発表。昔の名前ばかりです

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)9月8日(水曜日)弐
通巻第7044号  
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『タリバン暫定政権の閣僚を発表。昔の名前ばかりです
  「アフガニスタン・イスラム首長国」が正式な国名とか
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 タリバンのカブール入城から一ヶ月近く経って、各派の合意がなんとか形成された様子である。軍閥の寄り合い世帯ゆえに、凄まじい内部対立があった証拠で、閣僚名簿がすんなりとはまとまらなかったようだ。

 ともかく外国の承認はないものの、「アフガニスタン・イスラム首長国」が正式な国名となって、発表された暫定政権の閣僚を眺めると、なんと昔の名前ばかりである。

暫定首相に就くのはムハンマド・ハサン・アクハンド。

わすれかけていた名前。宗教指導者である。かれは1996年のタリバン政権で、オマル師側近として、若手のイスラム教育に当たってきた。60代後半とみられる。

この宗教指導者のアクハンドを事実上補佐するのが、国際的に有名人となったバグダールで、かれは2010年に拘束され、2018年まで獄中にあった。以後、ドーハで行われた米国との交渉のチーフとして国際的に貌を売った。

内務大臣は謎の人物ハカニである。

ハカニは外国での自爆テロを組織して、米国が1000万ドルの懸賞金を掛けているお尋ね者。テロリストの元凶である。写真すら公表されておらず、2018年に父親の死のあと、ハカニ集団を率いる。

外務大臣はムタキで、主として教育、文化、情報畑をあるいたが、政治力は未知数。

国防大臣はヤクーブ。オマル師の息子で、まだ30代。一部の観測筋は、かれは象徴的な飾りであるという。

陸軍を率いるのはバダクシャニ、財務大臣はムラー・ヒダヤツラ。いずれも経歴が不明、そして情報副大臣が、タリバンのスポークスマンを長らく務めてきたザビフラ・ムチャヒドで、かれが情報戦のチーフとして、偽情報、陽動作戦、威嚇宣伝など、タリバンの巧妙な情報戦の中軸にあった。

 ▼バグラム空軍基地跡地を中国が狙っているという噂

 米軍が放棄したバグラム空軍基地は最大規模の近代設備を誇る。

この再開発と使用を、タリバンは中国と交渉しているとニッキー・ヘイリー元国連大使が語っている。
もし、バグラム基地跡に中国軍は駐屯すれば、タリバンは脆弱な空軍を補うこととなり、周辺国は安心して眠らなくなるだろう。タリバンには空軍がない。

「大同団結し、国家再建を最優先する」とタリバンは内外に姿勢を鮮明にしている。
とくに外国投資を歓迎し、ビジネスマンの活動はそのままとすると発表しているタリバンは治安の回復と秩序再建を当面急ぐ方針だ。

この外国投資に関してもっとも大きな期待を掛けているのが中国である。中国は一帯一路プロジェクトにアフガニスタンを巻き込む戦略があると言われるのも、アフガニスタンからいち早く中国人をすべて退避させたが、カブールの中国大使館は、そのまま居残って大使館業務を続けている。』

9.11から20年アフガン、泥沼の歴史

9.11から20年
アフガン、泥沼の歴史
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/911-20-years/

『かつて米兵を乗せてアフガニスタンへと向かった米空軍C17輸送機(背景写真左側)は、イスラム主義組織タリバンの支配を恐れる難民を満載して逃げるようにアフガンを去った(背景写真右側)。
2001年9月11日の米同時テロが世界を震撼(しんかん)させてから20年。米国史上で最も長い戦争が、混沌のさなかで急きょ終わりを告げた。
米国が支援してきたアフガン政府は崩壊した。タリバンがどのようにアフガンを統治するのか。国際社会はどのように新体制に向き合うのか。米国の戦争は区切りを迎えたが、アフガンに平和が訪れる日は遠い。』

『2001年9月11日
狙われたアメリカの象徴

直前までいつもと変わらぬ朝を迎えていた、米国経済の中心地ニューヨーク。午前8時45分。マンハッタン島にそびえ立つツインタワー、世界貿易センタービルの北タワー側面に旅客機が突っ込んだ。ビルからもうもうと上がる黒煙が空を曇らせ、緊急車両のサイレンがマンハッタン中にこだました。

20分もたたない9時3分、今度は南タワーに2機目が衝突した。粉じんにまみれるニューヨーカーや、テレビ画面越しに見ていた人々は皆認識した。事故などではない。米国の象徴が、そして米国そのものが攻撃されているのだと。

ツインタワーは周辺の建物を巻き込みながら崩れ落ちた。約300キロメートル南西にある米国防総省(ペンタゴン)にも旅客機1機が衝突し、ハイジャックされた別の1機はペンシルベニア州で墜落した。一連のテロで約3000人が犠牲となった。』

『1, ハイジャックされた旅客機が世界貿易センタービルに突っ込んだ18分後、2機目の旅客機がもう1棟に衝突した(2001年9月11日、ニューヨーク)=ロイター

2, ニューヨーク市民は目の前の光景に言葉を失った(2001年9月11日)=ロイター

3, テロの標的になった世界貿易センタービルに向かう消防士たち(2001年9月11日)=ロイター

4, ニューヨークの世界貿易センタービルに1機目のハイジャック機が衝突して1時間後、首都ワシントンの米国防総省に3機目が突っ込んだ(2001年9月11日、ワシントン)=ロイター

5, 煙を上げる世界貿易センタービル。犠牲者は約3000人にのぼった(2001年9月11日、ニューヨーク)=ロイター

6, 崩れ落ちてくるがれきから必死に逃げる人々(2001年9月11日、ニューヨーク)=AP

7, 周辺には世界貿易センタービルから落ちてきた書類などが散乱していた(2001年9月11日、ニューヨーク)=ロイター

8, テロ攻撃による惨事はニューヨーク市民の心に深い傷を残した(2001年9月11日、ニューヨーク)=ロイター

9, 崩れ落ちたビルで救助作業にあたる消防士たち(2001年9月11日、ニューヨーク)=ロイター

10, 小学校の朗読会に出席していたブッシュ米大統領は世界貿易センタービルがテロ攻撃にあったと報告を受けたあとも7分間、朗読を聞き続けた(2001年9月11日、フロリダ州)=ロイター』

『有志軍、
アフガンへ電光石火
2001年9月12日~同年末

国連安全保障理事会は翌日の2001年9月12日、テロについて「国際平和と安全に対する挑戦」とし、「最も強く非難する」との決議を全会一致で採択した。当時のブッシュ米政権がテロへの徹底抗戦を宣言し、主要国に結束を呼び掛ける外交攻勢に動き始めた。国際社会は一気に「対テロ戦争」へ突き進んだ。

米軍は同年10月、国際テロ組織を壊滅するためアフガニスタンでの軍事行動を開始。首都カブールなどで空爆を断行し、英国軍も参加した。11月にはカブールを制圧、国土の大半を支配してきたタリバンの支配地域は一気に縮小した。12月にはアフガン暫定行政機構が発足した。』

『1, ブッシュ米大統領(右から2人目)はアルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者をテロの首謀者だと判断し、タリバン側に同容疑者の身柄の引き渡しを強く求めた(2001年9月17日)=ロイター

2, 英国のブレア首相(手前)らはテロで犠牲になった英国人のための礼拝に参加。テロに対する厳しい国際世論が醸成されていった(2001年9月20日、ニューヨークの教会)=ロイター

3, 世界貿易センタービルの犠牲者に哀悼の意を表し、署名するアナン国連事務総長(2001年9月24日、国連本部)=ロイター

4, 日本の小泉純一郎首相は訪米し、ブッシュ大統領と会談。対テロの動きで米軍に協力することを伝えた(2001年9月25日、ワシントン)=ロイター

5, テロに対する長期的な戦略に関する国連特別会合で演説するアナン事務総長(2001年10月1日、ニューヨーク)=ロイター

6, ブッシュ米大統領は米国が主導する対テロ戦争への行動を各国に求めた(2001年11月10日、ニューヨークの国連総会)=ロイター

7, 米国と英国は2001年10月7日、アフガニスタンへの空爆の第1弾を開始した。ブッシュ大統領はこの攻撃がテロに対する「持続的かつ包括的で容赦のない戦いの始まりだ」と述べた=ロイター

8, 米軍はカブール北方に位置するタリバンの拠点を攻撃するなど激しい空爆を実行した(2001年11月6日、アフガニスタン)=ロイター

9, アフガニスタンの首都カブール北方にある最大拠点バグラム空軍基地に降り立った英国軍。暫定政府発足に備えて首都で任務を始めた(2001年12月20日)=ロイター

10, 国際社会はタリバン後を見据えた動きも進めており、12月5日には暫定政府について取り決める「ボン合意」が成立した(2001年、ドイツ)=ロイター』

『アルカイダ、各地でテロ攻撃
ビンラディン容疑者を追え
2003~2005年ごろ

米国のブッシュ大統領は2003年5月、国際テロ組織アルカイダについて「ゆっくりとだが確実に衰退している」「連中はもはや問題ではない」と述べた。01年9月11日の米同時テロ以降、アルカイダをアフガニスタンから追い出し、多数の幹部を逮捕してきたことへの自信の表れでもあった。

ただ、ブッシュ氏の発言後、アルカイダによるものと見られる大型テロがサウジアラビア、モロッコで相次いで発生。04年3月にスペイン・マドリードで列車爆破テロ、05年7月には英ロンドン中心部の地下鉄・バスで同時爆破テロが起きた。米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン容疑者の行方を世界中が追う中で、同容疑者の率いるテロ組織アルカイダは国境を越えて活動を広げていった。』

『1, 米国のブッシュ大統領は米海軍の原子力空母の艦上で、対イラク戦争の勝利宣言を行った(2003年5月1日)=ロイター

2, モロッコ最大の都市カサブランカで自爆テロが発生。スペイン文化センターやベルギー領事館、ホテル、ユダヤ人関連施設などが狙われたとみられる(2003年5月17日)=ロイター

3, 国際テロ組織アルカイダのアイマン・ザワヒリ副官とされる人物㊧は「敵に対して武器を持て」と呼びかけた(2003年5月21日)=ロイター

4, サウジアラビアの首都リヤドでは外国人が多数入居する住宅施設や企業を狙った連続爆弾テロが発生した(2003年5月13日)=ロイター

5, トルコ最大の都市イスタンブールにあるユダヤ教の礼拝所2カ所で爆弾が相次ぎ爆発した。アルカイダによる自動車を使った自爆テロだった(2003年11月16日)=ロイター

6, スペインの首都マドリードで2004年3月11日、発生した通勤列車の同時爆破テロ事件を記録した防犯カメラ映像=ロイター

7, スペインの首都マドリードで通勤列車など4カ所を狙って発生した同時爆破テロで、国際テロ組織アルカイダ系のグループを名乗る犯行声明が報道各社に届いた(2004年3月11日)=ロイター

8, ミュラー米連邦捜査局(FBI)長官は国際テロ組織アルカイダの組織員数人の顔写真を公開した(2004年5月26日、ワシントン)=ロイター

9, 英ロンドンの地下鉄駅では「アルカイダ」から訓練を受けたとみられる者らが自爆した。防犯カメラには実行犯とみられる男らが映っていた(2005年7月7日)=ロイター』

『混迷深めるアフガン、
南部でタリバン蜂起
2004年~

米国が後ろ盾である移行政権のもと、憲法を制定し、新たな国造りが進むアフガニスタン。初めての大統領選では移行政権のカルザイ大統領が当選。初の総選挙なども実施された。
ただ、政情不安は続く。タリバンなどの武装勢力がアフガニスタン南部で蜂起し、徐々に勢力を広げる。治安は悪化し、テロは頻発した。』

『1, 採択されたばかりの新憲法を読む、アフガンの伝統的な最高意思決定機関ロヤ・ジルガ(国民大会議)の議員ら(2004年1月4日)=ロイター

2, 移行政権のカルザイ大統領㊨が新憲法に署名(2004年1月26日)=ロイター

3, カルザイ氏が民主的に選ばれたアフガン初の大統領に就任(2004年12月7日)=ロイター

4, 総選挙の投票に並ぶ有権者たち(2005年9月18日)=ロイター

5, ブッシュ米大統領がバグラム空軍基地を訪問(2006年3月1日)=ロイター

6, 自動車を用いた自爆テロの現場を鑑識する捜査員(2006年3月12日)=ロイター

7, カブールで起きた自爆テロ現場を捜査する警察(2006年9月4日)=ロイター

8, ブッシュ米大統領㊥やパキスタンのムシャラフ大統領㊧と会談する、アフガニスタンのカルザイ大統領(2006年9月27日、米ホワイトハウス)=ロイター

9, アフガニスタン・パキスタン国境地帯で炎上する燃料タンク。北大西洋条約機構(NATO)軍向けの燃料を運んでいたが、タリバンとみられる戦闘員の攻撃を受けた(2006年10月1日)=ロイター

10, 茶を飲むタリバンの戦闘員(2006年11月23日、アフガン東部ラグマン州)=ロイタ 』

『ビンラディン容疑者殺害、
ISの台頭
2009年~

2009年に就任したオバマ米大統領は「テロとの戦い」を掲げてアフガンに米軍を増派した。並行して多用したのが無人機(ドローン)による爆撃だ。米外交評議会によると、オバマ政権が承認した無人機攻撃は542件。ブッシュ政権の約10倍で、300人以上の民間人が巻き添えになった。11年5月にはパキスタンの首都イスラマバード郊外に潜伏していたアルカイダ指導者のウサマ・ビンラディン容疑者を米軍が急襲し、殺害した。

力の行使は禍根を残した。11年末に米軍がイラクから撤退しイラク戦争が終わりを迎えると、「力の空白」を突いて過激派組織「イスラム国」(IS)がイラク北部モスルを制圧した。カリフ(預言者ムハンマドの後継者)を頂点とする「国家樹立」を宣言した。

ISは異教徒への「ジハード(聖戦)」を呼びかけ、「グローバル・ジハード」の波が世界へ広がった。』

『1, アフガニスタンを電撃訪問し、カブール北方のバグラム空軍基地で演説するオバマ米大統領(2012年5月2日)=ロイター

2, 過激派組織「イスラム国」(IS)の「国家樹立」宣言を祝うメンバーら(2014年6月29日)=ロイター

3, トルコの首都アンカラで起きた爆弾テロによる犠牲者の葬儀(2015年10月12日)=ロイター

4, エジプトで墜落したロシアの航空機(2015年11月1日)=ロイター

5, パリで同時テロが発生。約130人が死亡(2015年11月13日)=ロイター

6, 防弾盾を装備して警備にあたる警官ら(2015年11月14日未明)=ロイター

7, 爆発現場から避難する人々(2016年3月22日、ベルギー・ブリュッセル近郊の空港)=ロイター

8, 自動車を用いた自爆テロの被害を受けた地域(2016年7月3日、バグダッド)=ロイター

9, テロの襲撃を受けたモスク(2017年11月25日、エジプト・シナイ半島)=ロイター

10, スリランカではカトリック教会などが爆弾テロの標的となった(2019年4月22日)=ロイター 』

『トランプ米政権「米国第一」、
中東への関与薄める
2017年~

「地球上から完全に根絶する」。トランプ米大統領は2017年1月の就任演説でこう強調し、イスラム過激派との対決姿勢を打ち出した。同月末には過激派組織「イスラム国」(IS)掃討に向けた大統領令に署名した。

いったんは米軍のアフガン増派も決めたが、米国第一主義を公約としてきたトランプ氏は次第に中東への米軍の関与を薄める方向へと動いていった。』

『1, 「米国第一」を繰り返したトランプ新大統領の就任演説で、会場を最も沸かせたのは、過激派組織「イスラム国」(IS)の全滅宣言だった(2017年1月、ワシントン)=ロイター

2, 米軍はアフガン東部のIS戦闘員が使用している洞窟やトンネルが複雑に張り巡らされているとされる地区に「全ての爆弾の母」と呼ばれる大規模爆風爆弾(MOAB)を投下し軍事力を誇示した(2017年4月)=ロイター

3, トランプ氏は国民向けのテレビ演説で公表した新しいアフガニスタン戦略でテロの抑止へ米軍駐留は続ける一方、周辺国に一段の関与強化を求めた(2017年8月、米バージニア州)=ロイター

4, 米軍の支援を受けるクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」はISが「首都」と称したシリア北部ラッカを制圧した(2017年10月、シリア北部ラッカ)=ロイター

5, シリアのアサド政権が化学兵器を使用したとして、米英仏は共同攻撃で105発のミサイルを発射、化学兵器の研究開発拠点を破壊した(2018年4月、ダマスカス)=ロイター

6, 米軍はアルカイダ指導者だったウサマ・ビンラディン容疑者の息子、ハムザ容疑者を2019年9月に殺害。米国務省は同容疑者を「国際テロリスト」に指定し、最大100万ドルの懸賞金をかけ行方を追っていた(2019年3月)=ロイター

7, シリア民主軍(SDF)はシリア東部バグズに残っていたISの最後の拠点を制圧したと発表した(2019年3月、シリア東部デリゾール)=ロイター

8, IS指導者アブバクル・バグダディ容疑者は2019年10月、米軍がシリア北西部で実行した軍事作戦で追い詰められ、自爆して死亡した=ロイター

9, 米国防総省は2020年1月、イラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害したと発表、トランプ氏はツイッターで「ソレイマニ司令官が多くの米国人の殺害を計画していた」と攻撃の理由を説明した。イラン国内で英雄視されるソレイマニ氏の殺害でイランでは反米感情が高まった=ロイター

10, 米国務省は世界のテロの動向に関する2019年版の報告書でイランがレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラやイスラム組織ハマスを支援してきたと指摘、「世界最悪のテロ支援国家」と非難した(2020年6月、ワシントン)=ロイター 』

『動き出す和平交渉、
存在感増すタリバン
2018年~

米国はテロ掃討と同時並行でアフガニスタン和平に向けた国際交渉を進めた。タリバン掃討を目指したアフガン戦略は失敗、軍事的勝利を諦めタリバンの存続を前提とする現実路線にかじを切った。米国は当事者のアフガニスタン政府とタリバンに加え、ロシアやパキスタン、中東諸国を巻き込み、新たな秩序の確立に動き出す。

2020年2月、米国とタリバンはアフガンからの米軍完全撤収とタリバン関係者への米制裁解除を検討するとした和平合意に署名した。同年9月にはアフガン政府とタリバンが初の直接交渉にこぎつけた。タリバンは国際的な存在感を高めると同時にアフガン国内で攻勢を強めていく。』

『1, 国連や北大西洋条約機構(NATO)、近隣国、日本などが参加して開かれたアフガン和平を協議する国際会議で、アフガンのガニ大統領(前列中央)はタリバンに対し、合法的な政治組織と認めることや安全の保証、制裁解除への働き掛けなど譲歩策を提示して、和平交渉に応じるよう求めた(2018年2月、カブール)=ロイター

2, タリバンはアフガン政府のガニ大統領が断食期間ラマダンの終わりを祝う日「イド」にあわせ1週間の停戦を呼びかけていたのに呼応し、3日間の停戦を戦闘員らに命じた(2018年6月、アフガニスタン東部で停戦を祝う戦闘員)=ロイター

3, ロシア政府が開いたアフガニスタン和平に関する国際会議にはアフガン政府の和平交渉担当やタリバン代表団のほか、米国、中国、パキスタン、インド、イランなども参加した(2018年11月、モスクワ)=ロイター

4, トランプ氏はアフガン東部のバグラム空軍基地を予告なしに訪問。アフガン情勢に関し「政治的解決が必要だ」と演説した。同国のガニ大統領との会談ではタリバンとの和平交渉再開を言明し、「タリバンは和平合意を非常に望んでいる」とも指摘した(2019年11月)=ロイター

5, 米国はタリバンとの直接協議を重ねた(日付不明、ドーハ)=ロイター

6, 米国とタリバンの和平合意記念式典でそれぞれの代表者が合意文書に署名すると約40カ国の外交官から割れんばかりの拍手が起きた(2020年2月、ドーハ)=ロイター

7, タリバンの代表者(右)と握手する米国務省のハリルザド・アフガニスタン和平担当特別代表(2020年2月、ドーハ)=ロイター

8, 米軍は和平合意に基づきアフガニスタンからの撤収を進めた(2020年9月、カブールでのアフガニスタン政府への軍用機の引き渡し式)=ロイター

9, 2020年11月の米大統領選挙でトランプ米大統領は中東和平の進展も有権者にアピールしたがバイデン氏に敗れた(ワシントン)=ロイター 』

『米、アフガン撤収
「長すぎる戦争」に幕
2021年

2021年1月に就任したバイデン米大統領はトランプ前政権がタリバンと合意した5月の撤収期限を延期する一方、撤収作業を加速させた。その間、タリバンはアフガン全土で攻勢を強め、着々と支配地域を広げていった。

米国民の多くが01年の米同時テロへの報復戦争を始めたことに関し、ある程度は理解を示しつつも戦争が長すぎたと認識している。バイデン氏は米軍撤収後も軍事や経済分野での支援を継続する方針を強調するが、狙いは米本土の脅威となるテロの芽を摘み取ることにある。

米国が20年間にわたってテロとの戦いを続けるなかで、中国やロシアは急速に軍事力を伸ばした。冷戦以来の大国間競争に突入し、バイデン政権はテロとの戦いに区切りをつけざるをえなくなった。アフガンではタリバンのほか、過激派組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織アルカイダが活動し、米軍撤収を機に反転攻勢をうかがう。』

『1, ロシアはアフガン政府とタリバンのほか米国と中国、パキスタンの代表らが参加するアフガニスタンの和平に関する会議を開いた(2021年3月、モスクワ)=ロイター

2, バイデン氏が第46代米大統領に就任した(2021年1月、ワシントン)=ロイター

3, ロシアで開かれたアフガン和平に関する国際会議ではアフガン政府とタリバンに双方が参加する包括的な政権樹立にむけて行程表の策定などに直ちに取り組むように促す声明を発表した(2021年3月、モスクワ)=ロイター

4, バイデン米大統領は約2500人のアフガン駐留部隊を同時テロから20年となる2021年9月11日までに撤収させると表明した(2021年4月、ワシントン)=ロイター

5, 攻勢を強めるタリバンに対抗するため数百の武装した人々が集結しアフガニスタン治安部隊への支援を表明した(2021年6月、カブール郊外)=ロイター

6, アフガン駐留米軍が首都カブール北方の最大拠点バグラム空軍基地をアフガン治安部隊に引き渡し、米軍のアフガン撤収は最終局面を迎えた(2021年7月)=ロイター

7, バイデン米大統領はアフガニスタン駐留米軍の撤収について8月末に完了させる考えを示し、約20年にわたる戦争で米国を支援したアフガン人の通訳らを米国に受け入れる手続きを急ぐと強調した(2021年7月、ワシントン)=ロイター

8, タリバンの代表者はモスクワで記者会見を開き「アフガニスタン国土の85%」を支配下に置いたと主張した(2021年7月)=ロイター

9, 米国はアフガンでの作戦指揮権を米中央軍のマッケンジー司令官に移管。マッケンジー氏はアフガン政府が崩壊してタリバンが支配すれば、女性の権利や人権などがイスラム法で制限された状態に戻る可能性があると指摘した(2021年7月、カブール)

10, アフガニスタン政府とタリバンは激しい戦闘を続けたが、米メディアによると米情報機関は撤収完了から6カ月後にアフガン政府が崩壊する可能性があると分析していた(2021年7月、アフガニスタン南部カンダハル州)=ロイター』

『カブール陥落
タリバンが勝利宣言
2021年8月

イスラム主義組織タリバンはバイデン政権が2021年4月末に駐留米軍の撤退を始めてから攻勢を強めた。8月にはアフガニスタンの首都カブールが陥落、ガニ大統領はアラブ首長国連邦(UAE)に退避した。01年の米同時テロをきっかけに旧タリバン政権が崩壊してから約20年、アフガン政権は瓦解した。

01年のアフガン軍事作戦開始以降の米兵の死者は2461人。戦費は2兆2610億ドル(約250兆円)との試算もある。大きな負の遺産を残し、テロとの戦いは振り出しに戻った。』

『1, アフガニスタンのガニ大統領は2021年8月18日、自身のフェイスブックでアラブ首長国連邦にいることを明らかにした。そのうえで、「出国したのは流血を避けるため」だったと説明した=同氏のフェイスブック・ロイター

2, タリバンと政府軍の戦闘地域からシェルターに逃れた人々。幼い子供の姿が多く見られる(2021年8月10日、カブールの公園内)=ロイター

3, タリバンの幹部はビデオ声明で、政権を掌握し「比類なき偉業」を達成したと勝利宣言した(2021年8月16日)=ロイター

4, アフガニスタンから出国しようと、離陸しつつある米軍機にしがみつく人々(2021年8月16日、カブールの空港)=AP

5, 人がしがみついたまま飛び立った米軍機からは、複数人が落下した(2021年8月16日、カブール)=ASVAKA NEWS・ロイター

6, カブールの空港で人々を見張るタリバンの戦闘員(2021年8月16日)=ロイター

7, タリバンのカブール制圧後、各国の外交官ら関係者は退避を急いだ。イタリアに帰国し、抱き合う人々(2021年8月16日、ローマ)=ロイター

8, カブールの空港からアフガニスタンを離れる軍用機に乗り込む英国籍を持つ人々(2021年8月17日)=英国防省・ロイター

9, 米軍輸送機でアフガニスタンから退避する人たち(2021年8月15日)=米空軍提供・ロイター

10, タリバン戦闘員らは「我々は危害を加えることはない」と訴え、かつての恐怖政治からの変化を強調している(2021年8月18日、カブール)=AP 』