菅新総裁が向き合う三国志(再掲)

菅新総裁が向き合う三国志 令和の自民党の権力構造
https://http476386114.com/2020/09/15/%e8%8f%85%e6%96%b0%e7%b7%8f%e8%a3%81%e3%81%8c%e5%90%91%e3%81%8d%e5%90%88%e3%81%86%e4%b8%89%e5%9b%bd%e5%bf%97%e3%80%80%e4%bb%a4%e5%92%8c%e3%81%ae%e8%87%aa%e6%b0%91%e5%85%9a%e3%81%ae%e6%a8%a9%e5%8a%9b/

 ※ 表示させて読んでいる人がいたんで、オレも読み返してみた…。

 ※ もう、すっかり貼ったの忘れていた…。

 ※ 今、読み返してみると、相当に参考になる…。

 ※ 菅さんの権力基盤、自民党内の権力構造…。

 ※ 今でも、そんなに変化して無いだろう…。

 ※ ただ、「フルスペックの総裁選」やる場合、どうしても「党員票」が問題となる…。


 ※ そして、SNSとネットの発達により、昔のように「メディア操作」を通じた「大衆操作」がやりにくくなっている…、という点がちょっと違って来た点だろう…。

『首相の安倍晋三が退陣を表明した翌日の8月29日。菅は国会内の議員事務所にこもった後、前からの約束を変更せずに私的な食事会で肩の力を抜いた。本番はここからだ。東京・赤坂の衆院議員宿舎の応接室で幹事長の二階俊博、その側近で幹事長代理の林幹雄、国会対策委員長の森山裕(石原派)と向き合った。この4人組は全員が秘書や地方議員からのたたき上げだ。』

『週明けの31日、二階の電光石火の策動を仕上げたのが森山だ。9月14日の両院総会で新総裁を決め、政治空白の回避を理由に16日に臨時国会を召集して首相指名選挙を実施する。こんな短期決戦の政治日程で主要野党と素早く話をつけた。1日の総務会で総裁公選を要求した青年局長の小林史明ら若手議員も「野党に今さら迷惑をかけられない」との森山の論法に屈した。

霞が関の官僚機構を動かし、情報を吸い上げる官房長官。選挙対策や資金配分など党務を差配する幹事長。野党も巻き込んで政治日程を組み立てる国対委員長。安倍が首脳外交やアベノミクスなどでトップダウンの政権運営を展開した「安倍一強」を舞台裏で支えてきた、たたき上げの「裏方同盟」が総裁選で菅本命の流れを一気につくり出したのである。これを「二階派主導」とだけ見るのは皮相だ。』

『官邸と党執行部の要のポストを押さえた「実権派」グループだから、次の党内権力の奪取でも決定的な先手を取れたのだ。新型コロナウイルス対策に苦慮した安倍が、側近の官邸官僚たちの進言で一斉休校、アベノマスクの配布、自宅でくつろぐ動画配信などで迷走。内閣支持率を低下させ、健康不安を再燃させていった陰で「裏方同盟」による権力の静かな簒奪(さんだつ)が進んでいたともいえる。』

『安倍や副総理・財務相の麻生太郎がポスト安倍に擬したのは、同じ世襲議員で気が合う政調会長の岸田文雄だった。2019年に新元号を発表して「令和おじさん」で知名度を上げた菅は岸田後継に反対。安倍側近スタッフたちはポスト安倍への菅の野心を疑い、すきま風が吹いた。官邸がコロナ対策に追われた20年前半、菅の存在感は薄れた。』

『安倍晋三首相と麻生太郎副総理は石破茂氏を担ぎ出すシナリオを警戒した

そこへ派内に総裁候補を持たずに幹事長続投を狙う二階がすかさず菅に接近した。返す刀で、安倍と麻生が次期首相には絶対に容認できない宿敵の石破を持ち上げて見せるなど「岸田後継」をけん制。「菅・二階連合」が石破を担ぎ出すまさかの悪夢だけは避けねば、と安倍・麻生ラインが警戒し、次善の選択として「菅後継」も思案せざるを得ない環境が醸成された。

それを象徴したのが6月19日。安倍、麻生が党税調会長の甘利明(元経済財政相)も誘い、菅を入れて4人で3年ぶりに会食した場面だった。12年12月に安倍が首相に再登板し、異次元の金融緩和を軸として発動したアベノミクスを内閣で推進してきたカルテットだ。政権の原点を再確認する形で、安倍、麻生と菅の微妙に開いた距離を縮める「復縁」の儀式ともいえた。』

『この頃、霞が関の官僚たちからは「菅氏はやる気を失ってなどいない」との驚きも漏れてきた。菅が今夏の各府省の幹部人事の随所に手を入れ、官僚機構の手綱を締め続ける意欲十分だったからだ。官房長官の実権を手放す気配など一切なかった。』

『6月18日を最後に官邸での記者会見に応じず、「引きこもり」とも言われた安倍と対照的に、菅は政権の司令塔としての重みを回復していく。コロナで不備が露呈したマイナンバーカードの活用拡大。総裁選でも力説した治水・利水ダムの縦割り行政打破による水害対策。「コロナ感染拡大阻止と社会経済活動の両立」を旗印に掲げ、「Go To トラベル」事業の推進に不退転の姿勢も打ち出した。

安倍が健康不安を隠せなくなり、退陣表明するまでのひと月で、菅は6回もテレビやインターネットの報道・討論番組に出演した。辞意会見の6日前の8月22日、自らのブログで安倍を議長とする未来投資会議を4年ぶりに話題に。「ウィズコロナ、ポストコロナの時代の新たな社会像への議論を始めた」と新たな経済社会ビジョンづくりへの意欲すらにじませた。事実上の権力移行が始まっていた。』

『菅が権力の正統性を「安倍継承」に頼り切らず、独自に調達するには早期の衆院解散・総選挙で有権者から信任を受けるしかない。「仕事がしたい」と意気込む菅だが、衆院選抜きに「安倍前総裁の残任期間1年の暫定政権」は脱せない。権力基盤を増強するため第3の勢力も育成しつつある。そのキーワードは負けても権力闘争に挑み続けたこの20年余の政治活動で常に旗印に掲げた「脱派閥と世代交代」だ。

「無派閥で総裁になるのは私が初めてだろう。派閥の組み合わせから総裁候補になったんじゃない。無派閥を貫いていく」

菅は11日、インターネット番組でこう「脱派閥」を訴えた。』

『総裁選で「防衛相の河野太郎さんが出れば、河野さんを応援します」と環境相の小泉進次郎が発言し、河野も「非常にありがたい」と応じるひと幕があった。麻生派の河野も無派閥の小泉も結局は同じ神奈川県選出の菅支持に落ち着いたが、これは麻生にとって笑い事ではなかった。「総裁候補・河野」への世代交代を派内が一致して受け入れる態勢になかったからだ。

といって、麻生が岸田支持なら、河野は出馬に走って派閥は割れたかもしれない。河野に影響力を持つ菅を担ぐことで降ろすしかなかったのだ。世代交代のマグマは安倍のお膝元の細田派でも胎動する。「改革意欲に富む人材を登用する」と宣言する菅は親しい河野や小泉らに仕事をさせ、世代交代の後見役を演じることで派閥領袖たちをけん制するはずだ。天下三分の計は現代に生きている。=敬称略 』