小泉氏進言、首相不出馬に影響

小泉氏進言、首相不出馬に影響 解散・人事…万策尽きる
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『菅義偉首相が自民党総裁選への出馬を断念した。当初想定していた総裁選と衆院選を一体にして勝利するシナリオが横浜市長選の敗北で崩れると、その後は人事刷新、衆院解散などめまぐるしく打開策が検討された。だが支持率低迷に党内の反発が加わり、事実上退陣する道を選んだ。

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3日午後、首相は自民党役員会で不出馬の意向を表明後、信用する二階派の武田良太総務相を呼んだ。「もう戦う気がなくなった」。武田氏に感謝の念を示すとともに、不出馬の理由をこう説明した。

伏線はあった。2日午後、首相が二階俊博幹事長のもとを訪れようとすると「首相が不出馬を伝える」との情報が永田町に駆け巡った。「誰かが仕組んでいる」。首相の気力は尽きた。

最終局面で首相は小泉進次郎環境相と4日連続で会談した。同じ神奈川県選出、若手のホープである小泉氏を首相はひきたててきた。人事刷新の際には、要職に就くとみられていた。

その小泉氏は「ここで身をひけば総理がやってきた仕事は後々、評価されます」と党内情勢の厳しさを説き、勇退を進言した。衆院解散・総選挙の断行論にも苦言を呈した。

小泉氏が「なぜ私と会っていただけるのか」と聞くと、首相は総裁選出馬の正面突破か、断念かで揺れ動く心境をこう明かした。「それはどちらとも考えているからです」

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総裁選と衆院選をセットで勝ち抜く戦略は、自らが号令をかけて回数を大幅に増やしたワクチン接種で手応えを感じていた。接種が進めば、新規感染者は減っていくと首相と周辺はみていた。

ところが7月下旬に開会した東京五輪はインド型(デルタ型)が直撃し、8月には新規感染者が過去最多となった。8月下旬の横浜市長選で首相が支援した小此木八郎前国家公安委員長が立憲民主党の推薦候補に大敗した。

党内で「菅首相では選挙は戦えない」との交代論が一挙に広まり始めた。「本当は8月に収束すると思っていた」。失意に沈んだ首相は周辺にこう漏らした。打開策は人事だった。

8月下旬、東京・赤坂の衆院議員宿舎で協議した萩生田光一文部科学相や小此木氏らからは「首相の思うように人事をやって勝負すべきだ」との主戦論が相次いだ。

岸田文雄氏の出馬表明は「菅首相でなければ誰でもいい」との党内感情を高め、現職が絶対有利なはずの総裁選も予断を許さぬ展開になっていた。

選択肢として検討したのが総裁選前に衆院を解散し、中央突破する案だった。しかし観測が広がっただけで、解散反対論が一気に噴出した。小泉氏と安倍晋三前首相からも解散とりやめを促され、解散カードは消えた。

二階氏を交代させる人事刷新案も「トップが代わらなければ意味がない」と党内の期待はしぼんだ。幹事長の後任に萩生田、小泉両氏の名があがったが実現しなかった。

万策がつきた首相に残ったのは、不出馬・退陣だった。

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