中国、「車人材」厚待遇で招く 日本人技術者が流出

中国、「車人材」厚待遇で招く 日本人技術者が流出
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM179620X10C21A8000000/

『世界最大である中国の自動車市場に活躍の舞台を求める日本人技術者が増えている。中国の新興自動車メーカーなどが厚待遇で人材獲得を進め、7月にはトヨタ自動車の元チーフエンジニアも中国の国有自動車大手に移ったことが分かった。ホンダなど日本の大手が大規模な人員削減に踏み切るなか、技術者の流出がさらに膨らむ可能性もある。

「GAC(広州汽車集団)で世界をあっと驚かせる車を造っていきたい」。7月末、中国国有自動車大手の広州汽車が広東省広州市で開いた投資家向けのイベント。同社の研究所で独自ブランド車の企画や開発、品質管理まで全般を統括する首席技術総監に就任したばかりの勝又正人氏は、中国語での自己紹介も織り交ぜ抱負を語った。

勝又氏は1987年にトヨタに入社し、30年以上にわたって主に技術部門でキャリアを積んだ。多くの海外プロジェクトに関わり、主力セダン「カムリ」のチーフエンジニアとしてフルモデルチェンジの指揮を執った経験を持つ。トヨタでエース級だった技術者の中国大手企業への転身は、業界内で驚きを持って受け止められた。

広州汽車のほかにも中国では新興の電気自動車(EV)メーカーを中心に日本の人材獲得に積極的だ。2015年設立の小鵬汽車は19年2月、トヨタで40年近く品質管理に携わった宮下善次氏を「生産品質高級総監」として迎え入れた。

17年設立の宝能汽車集団も20年2月、日産自動車に在籍していたことのある大谷俊明氏ら複数の日本人技術者を幹部に採用した。

移籍する技術者にとって、待遇面と裁量の大きさが魅力となっている。中国企業の募集条件は年収が1000万円を超えるケースも珍しくない。マネジャークラスでは3000万円前後になることもある。入社後は多くの場合で専属の通訳や運転手が付き、中国語が話せなくても仕事や生活で不自由に感じる場面は少ないという。

日本で部下が数人だった技術者が中国では数十人のチームを任せられることもある。勝又氏は「若く、スピード感と活力にあふれた皆さんと一緒にやりたい。それが(広州汽車への)入社の決め手だった」と明かす。

中国の自動車各社は専門人材が不足している。中国政府はEVを基幹産業の一つと位置づけ、多額の販売補助金でメーカーの成長を支えてきた。

多くの新興メーカーが事業を急拡大させているが、生産面のノウハウが乏しい。市場拡大を見越し、技術陣の層を厚くしたいとの思惑がある。

広州汽車の曽慶洪董事長は「現役で活躍している海外人材を今後も積極的に採用していく」と公言する。中国企業に移る日本の技術者は、勤務経験が40年前後で退職を控えたベテランが多かったが、今後はより若い層に広がる可能性もある。

「ホンダの技術者を採りたい」。中国に駐在する日本の人材サービス大手の担当者は最近、中国の自動車メーカーから相談を受けた。ホンダが4月から募集した早期退職に2000人超が応募したことを受けてのことだ。日産も19年以降、世界で1万人超の人員削減に踏み切っている。電動化への対応を迫られた日本メーカーの構造改革は、中国勢にとって人材獲得の好機と映る。

およそ30年前の半導体産業を巡る状況に重なる部分がある。日本の半導体産業は1980年代に隆盛を極めたものの、90年代後半以降は多くの電機メーカーの半導体部門が多額の赤字を計上。技術者が大量に離職し、受け皿となった韓国のサムスン電子は貪欲に技術を取り込み、飛躍した。

自動車産業が同じ轍(てつ)を踏まないという保証はない。

(広州=川上尚志)

この記事の英文をNikkei Asiaで読む 』

中国、タレント発掘番組を禁止 「男らしさ」奨励を放送局に命令

中国、タレント発掘番組を禁止 「男らしさ」奨励を放送局に命令
https://www.afpbb.com/articles/-/3364529?act=all

『【9月2日 AFP】中国当局は2日、タレント発掘型リアリティー番組の放送を禁じ、男性をもっと男性的に見せる番組を制作するよう放送局に命じた。中国政府は、「不道徳な」ポップカルチャーが若者を堕落させているとして取り締まりを強めている。

 芸能人を目指す若者を大勢集めて厳しい育成コースに参加させ、視聴者の人気投票にかけるスター発掘番組は、中国で大人気を博している一方、ファンの過熱ぶりや人々の模範となるタレントの不在をめぐって批判も招いている。

 国家ラジオテレビ総局(NRTA)は、数々の新たな規制と共に「放送局やテレビ会社は、アイドル育成番組やバラエティー番組、リアリティー番組を放送してはならない」と発表。さらに、「なよなよした」男性や「低俗なインフルエンサー」、スターへの高額なギャラ、「堕落したモラル」を持つタレントといった「異常な感性」に抵抗するよう放送局に命じた。

 出生率の低下に直面する中国当局は、体育の授業を増やしたり、Kポップアイドルの見た目をまねする男性芸能人を女々しいと批判したりすることで、中国の若者に伝統的な男性的価値観を定着させようとしている。

 こうした中で、テレビ局にも「優れた中国の伝統文化と(中略)先進的な社会主義文化を強く推進する」ことが求められている。(c)AFP 』

米東部、記録的豪雨で死者40人

米東部、記録的豪雨で死者40人 NYは交通マヒ続く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02E450S1A900C2000000/

『【ニューヨーク=大島有美子】米東部ニューヨーク州やニュージャージー州などを米東部時間1日夜(日本時間2日午前)から2日未明にかけて記録的豪雨が襲った。道路の冠水や家屋の破損といった被害が相次ぎ、米メディアによると少なくとも40人が死亡した。2日に雨はやんだが、住宅への浸水被害が広がっている。飛行機の運航キャンセルや地下鉄、列車の運行停止で交通網も深刻な打撃を受けている。

米南部を襲った大型ハリケーン「アイダ」は熱帯低気圧に変わり、東部で豪雨をもたらした。ニューヨーク、ニュージャージーの両州は1日深夜から2日未明に非常事態宣言を出した。降水量はニューヨーク市中心部のセントラルパークで1時間に3.15インチ(約8センチメートル)と同公園で過去最多になった。多くの場所で、9月の月間降水量を超える雨が一夜で降り、米国立気象局は鉄砲水の警報をニューヨーク市に初めて発令した。

道路も通行が困難な状態に(2日、ニューヨーク州)

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、水が流れ込んだ住居の地下から逃げ遅れるなどして少なくとも40人が死亡した。一部地域では竜巻も発生したほか、降雨が短時間に集中し非常事態宣言の発令も深夜だったため、迅速に避難できず被害の拡大につながったとみられる。ハリケーン「アイダ」が直撃した南部ルイジアナ州などでは少なくとも4人の死者が確認されているが、東部での犠牲者はこれを大きく上回った。

米国内の停電状況を追跡するパワーアウテージ・ドット・USによると、2日午後5時時点でニューヨークとニュージャージー、ペンシルベニアの3州で合計約11万世帯が停電している。通信障害も広域に及んでいる。

地下鉄は多くの路線で運行停止が続く(2日、ニューヨークのマンハッタン)=ロイター

交通網への打撃も深刻だ。中心部のマンハッタンでは地下鉄の駅に濁流が流れ込むなど被害が広がった。地下鉄はほぼ全線で、部分的もしくは全面運行停止となっている。ニュージャージー州のニューアーク国際空港は1階部分に浸水し、2日は約370便がキャンセルとなった。列車は首都ワシントン―ボストン間で2日の運行を休止した。同路線はフィラデルフィアやニューヨークを通り、ビジネス客の利用も多い。

ニューヨーク州などは非常事態宣言の発令に伴い、住民に不要不急の車の運転を控えるよう求めている。

ニューヨーク州では8月下旬に熱帯低気圧による豪雨に見舞われたばかりだった。バイデン米大統領は2日に記者会見し、米連邦緊急事態管理局(FEMA)を通じて必要な支援をすると強調した。「気候変動の危機が今ここにあるという通告だ」と述べ、再生エネルギーへの投資拡大といったインフラ投資の重要性を強調した。

救命ボートで救助される住民ら(2日、米ニューヨーク州)=ロイター

今回の豪雨被害は、年々規模を増す気象災害に対するニューヨークの都市インフラの限界も示す。ニューヨーク地下鉄を運営するニューヨーク州都市交通局(MTA)のジャンノ・リーバー会長は2日、米CNBCの取材で「気候変動による鉄砲水が起きても地下鉄に多くの水が流れ込まないよう、路面の排水能力をもう少し高めるべく市政府と連携する必要がある」と述べた。

高速道路も冠水した(ニューヨークのブロンクス地区)=AP

【関連記事】
・米大統領「あらゆる支援の用意」 ハリケーンや豪雨被害
・米南部、ハリケーンの被害広がる 100万世帯が停電 』

「Why Is China Ramping Up Construction of Missile Silos?」

Ron Huisken 2021-9-2記事「Why Is China Ramping Up Construction of Missile Silos?」
https://st2019.site/?p=17398

『ペンタゴンが、「中共はICBM戦力を大増強する気だ」と判断したのは、どうも2018年だったらしい。これは今年、在野の米国の軍事評論家たちが記事によって教えてくれている。

 ※これは示唆的だ。というのは2018年頃に中共の宇宙ロケット「長征」の年間発射数がいったんピークに達しているのだが、翌年からしばらく、発射数が減っているのだ。ひょっとして、「長征」の量産をセーブさせて、工場資源を「東風41」に転換させていたのかもしれない。今は「長征」の発射数は絶好調に戻ったので、それに先行して、地下工場では「東風41」もハイペース量産体制が整ったのかと考えられる。ちなみに長征の自重は「東風41」の10~20倍ある。液燃と固体燃料とでは比較にはなりにくいが、「東風41」を多数基製造させるために、長征の製造ラインから人や材料を転用するのは自然ではないか?

 中共には350発の核弾頭がある。
 そのうち、米国に届くミサイルは100発と考えられている。

 ※この根拠がかなり疑問だが、北米の南東部都市まで届かせるとしたら「東風5」が18基、TEL発射式「東風41」が18基しかないはず。火箭軍の発射旅団は「6基」の倍数単位だからだ。そのうち「東風5B」がMIRVだが研究的なもので、液燃サイロ式の「東風」じたい、政治的象徴でしかない。とっくに実戦力にはカウントされてないだろう。つまり実戦力は「東風41」だけだ。その「東風41」のMIRVポテンシャルが10個RVだというのだが、現実には3個がせいぜいだろう。18×3で54発。「東風5」も加えてその2倍弱。そんな計算をしているのかもしれない。

 毛沢東が中共も核武装すると決断したのは1955だった。

 米軍の統合核戦争プランであるSIOPは、1966年までは、ソ連と中共を一体のものとみなしていた。ソ連を核攻撃するときには、とうぜんのように中共も同時に核攻撃するつもりだった。
 1966以降、SIOPはソ連と中共を分けて考えるようになったが、中共は依然としてプライマリーターゲットだった。

 これを劇的に変化させたのがレーガン政権で、1982から中共を味方同然に扱うようになり、SIOPは中共をセカンダリーターゲットに格下げする。

 クリントン政権の第二期において、SIOPはふたたび、中共をプライマリーターゲットに戻した。

 さらに次のブッシュ父政権は、大西洋岸の軍港から5隻の『オハイオ』級SSBNを、太平洋ワシントン州バンゴール軍港に移籍させた。これによって、対ソ用のSLBMよりも、対支用のSLBMの方が多くなったのである。

 ※そして現在、遊弋中の『オハイオ』のトライデント2を全部発射しても、中共の新ICBM基地(でかいのが2箇所、中規模が1箇所、訓練テスト用の小規模が1箇所)のサイロに2個ずつRVを配当することができなくなりつつある。対露用の弾頭を中共に回すわけにもいかない。中共はぜったいに「New START」には加わらない。それは戦前の「ロンドン軍縮条約」で日本がどうなったか知っているからである。サイロ内も見せない。それどころかサイロへのミサイル搬入は全部地下鉄道でやる気だ。これは長門級戦艦をトンネル内で量産するようなものである。この話の続きは、次著でするとしよう。 』

「U.S. Marine F-35Bs to Operate off Largest Japanese Warship Later This Year」

Sam LaGrone 記者による2021-9-1記事「U.S. Marine F-35Bs to Operate off Largest Japanese Warship Later This Year」

『海兵隊司令官のデイヴィッド・バーガー大将は水曜日、海兵隊のF-35Bが今年11月に海自の『いずも』上から作戦すると語った。

 またその直後には海兵隊のF-35Bが英海軍の空母『QE』(R08)上にもお邪魔する予定だと。

 『いずも』と『かが』は艦首の最上甲板が不等片四角形であったのを長方形に改装する。工事は『いずも』で先行している。
 2023年度以降、自衛隊にF-35Bが42機納入され、艦上機となる。

 ※尖閣を守るためだけなら空母は要らない。「クワッド」を構成して四国連合艦隊で台湾、比島、ボルネオ島を防衛したいというのが、米軍上層の希望だろう。

米国最上層からの要望は財務省をオーバーライドするがゆえに自衛隊にとっても都合がいい。先島群島上に点々とF-35B用の臨時予備基地を平時から準備しておこうとしても、反日諸政党の妨害活動に遭って、話が進むわけがない。空母の方が千倍も話は早いのである。』

 ※ 韓国の「軽空母」も、この延長線上にあるんだろう…。

「Secret Gate Used By Special Operators To Sneak Evacuees Into Kabul’s Airport」

Joseph Trevithick 記者による2021-8-31記事「Secret Gate Used By Special Operators To Sneak Evacuees Into Kabul’s Airport」
https://st2019.site/?p=17394

『CNNによると、二重の結界を通過して米国人をカブール空港に連れてくる方法についてタリバンと相談ができていた。

 旧内務省ビルを「マスター・ポイント」に指定して周知させた。そこに米兵とタリバンが合同で待ち構えていた。脱出希望の米国人はまずそこへ集まり、タリバンの審査を受けて、問題なかったら、そこから米兵とタリバン兵によってにエスコートされて、米軍の結界の通過哨所に行く。この流れ。

 その他に、米軍特殊部隊が用意した、空港行きの秘密のゲート、秘密の経路が複数あった。下水道も利用されている。
 その集合点にどう集まればいいのかは、携帯電話等によって指図された。
 専門の「コールセンター」もつくられていた。

 難所はタリバン結界(外縁結界)だったわけで、そこだけ地下からすり抜ければ、あとは米軍による内縁結界は問題なく通過できる。』

邦人救出、アフガンの教訓

邦人救出、アフガンの教訓 台湾有事にも出遅れ懸念
政界Zoom
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA308IM0Q1A830C2000000/

『政府は8月31日、アフガニスタンから邦人や現地協力者を退避させるために派遣した自衛隊機に撤収命令を出した。各国が数百~十数万人を国外へ輸送したなかで自衛隊は15人どまり。法律や慣習の制約による出遅れは台湾海峡や朝鮮半島で起こり得る有事に備える教訓となる。

「わが国の組織で働く現地の従業員もファミリーだ」。岸信夫防衛相は23日、自衛隊に出動命令を出し、記者団にこう述べた。邦人だけでなく日本大使館などに勤務していたアフガン人協力者も救うのが任務だと強調した。

現地には数人の邦人と最大500人のアフガン人協力者が残る。イスラム主義組織タリバンがカブールを制圧し、外国人や協力者に危険が及ぶ恐れがある。希望者を国外へ避難させるのが国家としての使命だという判断があった。

実際に運べたのは邦人1人と米国のアフガン人協力者14人だけ。500人を25台ほどのバスに乗せて空港へ運ぶ予定だった26日、空港周辺で起きた自爆テロで計画が崩れた。米軍が撤収すると日本が輸送するすべはなくなった。

米国は12万人、英国は1万人以上を国外へ出すのに成功した。ドイツやフランスは数千人、韓国も390人で日本の少なさが際立つ。派遣を決めるのに時間がかかりテロの前に運べなかったのが響いた。日本以外の主要7カ国(G7)は15日前後に着手していた。

決定の遅れを招いた要因の一つは日本の法的な制約だった。自衛隊が邦人らを救うには2つの方法がある。一つは騒乱が起きた国の外へ連れ出す「輸送」。もう一つは場合によっては武器も使いながら救出にあたる「保護」だ。

今回は輸送だけの対応にとどめた。自衛隊法84条の4は「安全に実施できると認めるとき」に限ると規定する。絶対条件とされた空港の安全確認に時間がかかった。自衛隊の海外派遣はこれまで世論を二分してきた。外務省幹部は「首相官邸や与野党に大丈夫と言い切る根拠がなければ決断できなかった」と語る。

政府が現地と交渉して人々を空港に送る手段を探すのにも手間取った。空港外の活動は危険とみなされて任務から外れ、自衛隊は市街地に残る邦人や協力者を運ぶことができなかった。

救出を含む保護に関する自衛隊法84条の3を適用しなかったのはなぜか。保護のためなら任務遂行の妨害行為を排除するのに武器を使え、空港外で活動しやすくなる。

壁となったのは輸送よりも厳しい制約だ。84条の3が明記する①当該国の権限ある当局による秩序維持②当該国の同意③当該国当局との連携――の3要件を満たさなかった。

タリバンによる統治の見通しは不透明で、同意を取り付けるべき明確な相手が存在しない状態だったためだ。

治安が悪化した地域から日本の民間人を退避させることは自衛隊の重要な任務の一つとなる。日本周辺で想定される危機でも出遅れかねないとの見方がある。

朝鮮半島や台湾海峡での有事は、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」とみなせば自衛隊の防衛出動による武力を使った邦人救出が可能になる。この場合も派遣先の国の同意が前提となる。

半島有事で自衛隊が邦人を保護する場合に想定する相手は韓国だ。韓国は植民地支配の記憶があり、自衛隊の受け入れに慎重になりがちだ。防衛省には「邦人保護の目的でもスムーズに派遣できるかわからない」との懸念がある。

中国が台湾を攻撃した場合はより複雑になる。中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を日本は尊重する立場だ。防衛省幹部は「攻めてくる中国側の同意が必要という奇妙な状況に陥りかねない」と話す。

慶大の鶴岡路人准教授は「自衛隊機を出す決定が遅かったのは否定しようがない。どういうときにどういう対応を取るか政府内でリアルな準備をしておく必要がある」と指摘する。

<記者の目>「戦後の宿題」考えるとき

「多くの外国軍は『やってはいけないこと』を法律で定めている。自衛隊は『やっていいこと』だけを法律に書いている」。防衛省でよく聞く言葉だ。活動に制約が多く迅速に対応しにくいという問題意識がある。

自衛隊は戦争の反省や憲法9条を踏まえて活動に枠をはめてきた。1995年の阪神大震災では自主的に動きにくく救助活動が遅れた。この教訓を基に出動要件を簡略化したように時代に合わせた法律や運用の見直しはあってしかるべきだろう。

世界各地でテロや紛争が頻発し、邦人の犠牲者が出る事例も相次ぐ。危機に直面してからでは間に合わない。自衛隊にどこまでの活動を任せるべきか。政府や与野党だけでなく社会全体で「戦後の宿題」を考えるときが来ている。(安全保障エディター 甲原潤之介 』

同盟強化か自主国防か 米軍アフガン撤収の教訓探る韓国

同盟強化か自主国防か 米軍アフガン撤収の教訓探る韓国
ソウル支局長 鈴木壮太郎
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM01AEO0R00C21A9000000/

『米国はどこまで頼りになるのか――。米軍のアフガニスタン撤収が北朝鮮と対峙する分断国家の韓国に古くて新しい命題を投げかけている。

■「米国なきアフガン」に韓国の姿重ねる

首都カブールの空港に押し寄せる人波、輸送機に飛び乗ろうとする人々、せめて子どもだけはと、米兵に赤ちゃんを託す親――。韓国メディアは連日、各国のアフガン脱出作戦を手厚く報じた。韓国政府が現地の大使館で勤務したアフガン人とその家族ら390人を韓国に移送する「ミラクル(奇跡)」作戦を成功させると、日ごろは政権を鋭く批判する保守系メディアも賛辞を送った。

故郷を追われたアフガンの人々にひときわ強い関心と同情を寄せるのは、朝鮮戦争当時の1950年12月、北朝鮮の咸鏡南道興南港で米軍が実施した「興南撤退作戦」と重なるからだ。

北方から進軍した中国軍に包囲され撤退を決断した米軍は、戦乱から逃れようと港に押し寄せた北朝鮮の人々も貨物船「メレディス・ビクトリー号」に乗せ、韓国南東部の巨済島に移送した。その数は実に1万4000人。砲撃や空爆、機雷による沈没の危険をかいくぐった同船は「一隻で最も多くの人々を救出した」世界記録としてギネスブックに掲載されている。

■米韓同盟強化訴える保守派

こんな歴史の記憶もあってか、韓国では「米国なきアフガン」と朝鮮半島情勢を重ね合わせて考える議論が活発だ。

「韓米自由主義同盟は実に大切で尊い。アフガン事態を見守りながら、韓米同盟の象徴であるマッカーサー将軍の銅像前にやってきました」。保守系野党「国民の力」の大統領候補である洪準杓(ホン・ジュンピョ)議員は8月18日、自身のフェイスブックに投稿した。

洪氏に代表される保守派の考え方を簡単に整理するとこうなる。米国は支援に見合う国益がなければ撤退も辞さない。ベトナム、アフガンがそうだった。安全保障の要である米韓同盟を強化し、米国にとって不可欠な存在であり続けなければならない――。

保守系大手紙の中央日報は8月17日付社説で「政府と軍はアフガン事態を他山の石とし、韓米同盟の強化と強い軍の維持に全力を尽くさなければならない」と提言した。朝鮮日報は18日付社説で、米国はアフガン撤収で「中国への対抗を最優先の国益に置いた」と指摘した上で「日米豪印4カ国の枠組みであるQuad(クアッド)など米国の戦略には協力せず、北朝鮮の脅威は防いでほしいという韓国の曖昧な立場は持続可能ではない」と文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交姿勢を批判した。

「国民の力」の大統領候補は米軍の戦術核兵器の韓国再配備も主張する。洪氏は公約で「北朝鮮の核脅威は韓米間で核共有協定を結び能動的に対処する」とうたった。劉承?(ユ・スンミン)候補も出馬宣言文に「非核化のため北朝鮮とはいつでも対話するが、米韓の核共有で強力な抑止力を確保する」と明記した。在韓米軍の戦術核は盧泰愚(ノ・テウ)大統領(当時)の1991年の朝鮮半島非核化宣言後に撤去されたが、北朝鮮が核ミサイルを完成させたいま、在韓米軍の力を借りた抑止力が必要だとの主張だ。

■革新系は過度な米国依存を警戒

一方、与党「共に民主党」など革新系の考えは異なる。「韓米同盟の重要性に劣らず、自分の国は自ら守る自主国防の姿勢も必要だ。そのためには、戦時作戦統制権は一日でも早く返還されなければなりません」。民主党の宋永吉(ソン・ヨンギル)代表は自身のフェイスブックで訴えた。

韓国軍の統制権は平時は韓国側にあるが、ひとたび戦争が起きれば米軍が司令官である米韓連合軍司令部の統制下に入る。戦時の統制権も韓国軍に戻そうというのが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権以来の革新系の主張だ。文氏も2017年の大統領選で戦時作戦統制権の任期中の韓国返還を公約に掲げている。

革新系のハンギョレ新聞も社説で「米国の要求をむやみに受け入れ、中国との軍事的緊張と対決を深めてはならない」と指摘。「安保を米国だけに頼ってはならないというのがアフガン事態が示した真の『教訓』だ。自主国防を強化しなければならず、戦時作戦権の返還もこれ以上先送りしてはならない」と総括した。

韓国は現地の大使館で勤務したアフガン人とその家族ら390人を韓国に移送する「ミラクル(奇跡)」作戦を成功させた(8月25日、韓国空軍提供)

■2つの対米トラウマ

同盟強化か自主国防か――。保革の主張は正反対にみえるが、根っこではつながっている。米韓同盟を重視しながらも、腹の底からは米国を信じられないでいることだ。韓国の対米トラウマは1905年の「桂・タフト協定」と、50年の「アチソンライン発言」にさかのぼる。

桂・タフト協定は当時の日本の桂太郎首相とタフト米陸軍長官が交わした覚書で、米国のフィリピン支配を日本が認め、日本の朝鮮半島支配を米国が認める内容だ。韓国はこれが日韓併合につながったとみる。

アチソンライン発言は50年1月、当時のアチソン米国務長官が演説で、日本とフィリピン、アリューシャン列島が米国の防衛線と説明し、台湾、朝鮮半島、インドシナを線外に置いた発言だ。民主党の宋代表は「韓国に戦争を仕掛けても米国は介入しないとソ連と北朝鮮に誤解させた」と指摘。朝鮮戦争を誘発したとみる。

同盟をコストと考えたトランプ前大統領は在韓米軍の縮小・撤退をちらつかせたが、同盟強化で中国けん制を狙うバイデン政権下では韓国の戦略的価値はむしろ高まっている。米国がアフガンのように韓国を見限る可能性はなさそうだが、それでも最悪の事態を想定した議論が熱を帯びるのは、大国に翻弄された苦い歴史を二度と繰り返すまいとの切実な思いがあるからなのだろう。

鈴木壮太郎(すずき・そうたろう)
1993年日本経済新聞社入社。産業記者として機械、自動車、鉄鋼、情報技術(IT)などの分野を担当。2005年から4年間、ソウルに駐在し韓国経済と産業界を取材した。国際アジア部次長を経て、2018年からソウル支局長。』

アフガン退避、2度の計画断念

アフガン退避、2度の計画断念 幻に終わった救出劇
想定外の早期陥落、テロで移動困難
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA31BR20R30C21A8000000/

 ※ 相当に「裏話」にまで、踏み込んだ記事だ…。

 ※ これが、現状だ…。

 ※ 「カントリー・リスク」ある地域に進出する民間企業は、そういう現状を覚悟で現地に行く必要がある…。

 ※ 「イザと言う時には、どこからも”援助”は来ない…。」「日本の自衛隊は、手足を縛られていて、活動できない。」という覚悟で…。

『アフガニスタンから邦人や日本大使館の現地職員らを退避させる政府の作戦が8月31日に終わった。結果は邦人1人と米政府の協力者であるアフガン人14人の移送にとどまった。最大500人の救出を想定し、外務省が練った2度のプランは想定外の事態に断念を迫られた。

「早期退避を検討してください」。イスラム主義組織タリバンが支配地域を着々と広げていた8月上旬、アフガニスタンの日本大使館は在留邦人に警戒を呼びかけていた。多くの人は従ったが、仕事や家族など様々な事情から出国を留保する人もいた。

東京では外務省が4日から水面下で、邦人と大使館の現地職員を含むアフガン人協力者の退避を検討し始めた。10日前後には「90日以内にタリバンが首都カブールを制圧する」との米情報機関の分析をメディアが報じた。

民間チャーター機を手配し、18日にカブール空港から飛び立つ――。外務省は14日、1度目の救出計画を立てたが、翌15日、カブールは想定外の早さで陥落した。空港への民間機の離着陸は不可能になった。第1の計画は失敗に終わった。

外務省は大使館の邦人職員12人の退避に忙殺され、アフガン人職員ら協力者への対応は後回しになった。市街地では刑務所から囚人が逃げ、銃撃戦も始まった。

米国からは大使館の撤収を促す連絡が入った。米軍からは「退避が遅れたら安全を保証できない」と迫られた。大使館は米軍と覚書を結び、撤収への協力を要請した。

大使館員は空港を目指したが、移動もままならなかった。森健良外務次官はシャーマン米国務副長官に電話し、米軍ヘリによる車両の保護を求めた。出国には英国の軍用機の力も得て17日、ドバイに逃れた。

まだアフガンに残る500人ほどのアフガン人協力者をどう救出するか。「救出を引き受けてくれないか」。外務省は翌18日からアフガンにすでに軍を展開していた米欧各国に打診した。19日まで続けたものの、各国とも自国の協力者の救助が精いっぱいで確約は得られなかった。

万策尽きた外務省が防衛省に自衛隊派遣を打診したのは20日朝。防衛省は1日で作戦をまとめ、岸信夫防衛相が21日に部隊出動を決断した。菅義偉首相の了承を得て、23日、自衛隊に派遣命令を出した。

外務省には「自衛隊の派遣は最後の手段」という考え方が根強い。過去の派遣で野党などの追及を受けてきたからだ。争乱状態のアフガンに自衛隊を送ることへの懸念から判断が遅れた。

外務省は2度目の救出プランを練った。大使館職員らが第三国からアフガンに戻って25台ほどのバスを手配し、希望者を乗せて検問をくぐり抜ける計画だ。タリバン幹部へ退避対象者リストを渡して検問通過の合意に見込みをつけると、26日に希望者を集めてバスに乗り込んだ。

タイミング悪く26日午後に空港周辺での自爆テロが起きた。混乱から検問所は100台に及ぶバスの列ができ、検問でのタリバンの規制は急激に厳しくなった。テロの再発のリスクも考慮し出発を断念した。

自国民の保護すら危ぶまれる事態を受け、茂木敏充外相は23日に会談したばかりのカタールのムハンマド副首相兼外相に急きょ接触。カタールは求めにこたえ、渋滞でも動きやすい10人乗りの小型バスを用意した。

テロで態度を硬化したタリバンが「外国人」の出国のみを認める方針に転換し状況はさらに悪くなった。外務省は残る数人の邦人に出国の意向を最終確認し、希望した共同通信の通信員1人のみが空自輸送機「C130」でカブールを脱出した。

自爆テロの前日の25日、韓国は300人超の退避に成功した。成否を分けたのは「1日」だった。政府高官は「自衛隊出動があと1日、早ければ……」と悔やむ。

災害やテロ、戦争など有事のオペレーションは判断の遅れが成否を分ける。さらに協力者を救出できなかったことはこれからの日本の外交力にも影響を与えかねない。

「今回のオペレーションの最大の目標は邦人保護だった。そういう意味では良かった」。首相は1日、首相官邸で記者団の質問に笑顔なく答えた。 』

みずほ子会社、受託先システム文書を消失

みずほ子会社、受託先システム文書を消失 16年の障害で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB013WN0R00C21A9000000/

※『みずほフィナンシャルグループ(FG)の子会社でシステムの運用管理を担うみずほリサーチ&テクノロジーズ(MHRT)が、受託先の日本カストディ銀行から預かったシステム開発に伴う関連データを消失していたことが明らかになった。5年前にMHRTで起きた障害が原因で、バックアップも機能しなかった。』

※『複数の関係者によると、消失したのは「要件定義書」と呼ばれる委託元(日本カストディ銀行)からベンダーへの発注書にあたる文書の電子データだ。ネットワークの構成図のほか、システムの安定稼働率を示す「可用性」や機能追加や性能向上のしやすさを示す「拡張性」、外部からの攻撃を防ぐ「セキュリティー」など、最も重要な機能を定義している。』

※『要件定義書はシステム障害時に復旧作業の道しるべになったり、システムを更新・刷新したりする際に機能を継続させるのに必須の資料だ。紙や電子上に保存しておくのが決まりで、消失すれば、復旧に時間がかかったり、事故原因の解明が難しくなる。』

※『事務規定書に基づいて整えるべき60超のうち20弱の要件定義書が存在していなかったという。そもそも作成していない可能性や破棄していた可能性もあるといい、カストディ銀との共同調査に切り替えた。』…。

※ なんとも「イヤハヤ…。」な話しで、言うべき言葉も無い…。

※ 電子データは、これがあるからな…。

※ だから、「紙ベース」でも処理可能なように、「紙データ」でも残しておく方がいいんだ…。

※ 3.11の時に、海水に浸かった書類を乾かして、手作業で事務処理行った例が、思い起こされる…。

※ 日本の官公庁が「ファックス」にこだわるのも、意味の無いことじゃ無いんだ…。

※ 「クラウド」に上げておけばいい…、と言う向きもあるが、この「災害列島」で、どの地域の「サーバー」に上げておけば、万全なのか…。

※ また、どの国のサーバーに上げておけば、万全なのか…。

※ 海外サーバーは、被災を免れたとして、それにアクセスできる「国内の端末」は、確保できるのか…。

※ そういう「災害時のデータ」とか、揃っているのか…。

※ 結局、最後は、「想像力」の勝負となる…。

『みずほフィナンシャルグループ(FG)の子会社でシステムの運用管理を担うみずほリサーチ&テクノロジーズ(MHRT)が、受託先の日本カストディ銀行から預かったシステム開発に伴う関連データを消失していたことが明らかになった。5年前にMHRTで起きた障害が原因で、バックアップも機能しなかった。カストディ銀が金融庁に報告した。

MHRTは今年に入って6度の障害が起きたみずほ銀行の新システム「MINORI(みのり)」や、周辺システムの運用管理も担っている。MHRTはみのりを含め、システム関連文書の管理について日本経済新聞の取材に、「顧客納品物を管理する開発環境すべてについて、バックアップ取得および監視機能のシステム化を図り、開発文書の保管について強化を図っている」と書面で回答した。

複数の関係者によると、消失したのは「要件定義書」と呼ばれる委託元(日本カストディ銀行)からベンダーへの発注書にあたる文書の電子データだ。ネットワークの構成図のほか、システムの安定稼働率を示す「可用性」や機能追加や性能向上のしやすさを示す「拡張性」、外部からの攻撃を防ぐ「セキュリティー」など、最も重要な機能を定義している。

要件定義書はシステム障害時に復旧作業の道しるべになったり、システムを更新・刷新したりする際に機能を継続させるのに必須の資料だ。紙や電子上に保存しておくのが決まりで、消失すれば、復旧に時間がかかったり、事故原因の解明が難しくなる。

カストディ銀の指摘で発覚し、MHRTが調査していた。関係者によると、MHRTは消失したことを認め、復元作業を進めているものの「完全復元には至らない」と答えているという。
事務規定書に基づいて整えるべき60超のうち20弱の要件定義書が存在していなかったという。そもそも作成していない可能性や破棄していた可能性もあるといい、カストディ銀との共同調査に切り替えた。

カストディ銀はみずほFGの持ち分法適用会社で、投資家から預かった運用資産を管理する銀行。預かり資産の合計は約467兆円(21年3月末)に上る日本最大の資産管理銀行で、20年7月にみずほFG系と三井住友トラスト・ホールディングス系の資産管理銀行が合併し誕生した。

りそな銀行や第一生命保険、明治安田生命保険、かんぽ生命保険、富国生命保険などの資産も管理しており、みずほグループの会社間のトラブルという構図ではない。

MHRTの調査内容によると、消失は2016年8月に開発ファイルサーバーのディスクが故障したのが原因。使用不能になったうえ、頼りのバックアップ機能はそれ以前に壊れていた。復元作業を進め、カストディ銀に対し「ベンダーと協力し、主要な開発文書は復元できた。影響はない」と伝えていた。

これに対してカストディ銀は、第三者評価を入れた本格的な調査に入る必要があると判断した。少なくとも14~16年の間の開発文書が消失しており、具体的にどの程度復元できているのか、完全復元できていない場合、業務にどのような悪影響をもたらすかを精査する。カストディ銀は金融庁に被害報告を提出した。

MHRTは日本経済新聞の取材に対し、「個別のことについて、お答えできない」とした。カストディ銀は「MHRTと協力して実態を確認中」と答えた。

MHRTは今年4月、みずほ総合研究所とみずほ情報総研、みずほトラストシステムズの3社が合併してできた。カストディー銀の文書消失はみずほトラストシステムズで起きた。

(金融エディター 玉木淳)』

「ダークサイド」の正体

「ダークサイド」の正体 3つの意味と4重の脅迫
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC203IC0Q1A520C2000000/

 ※「4階層」に渡って、4回も脅迫されるのか…。

 ※ 全く、ヤレヤレかつウンザリだ…。

 ※ ただ、こう大規模になると、「国家をあげて」反撃されることになる…。

 ※ 「敵」、及び「反撃」も熾烈なものとなるだろう…。

『米石油パイプライン最大手のコロニアル・パイプラインは5月7日(米国時間)、サイバー攻撃により全ての業務が停止したと発表。米連邦捜査局(FBI)は10日(同)、「DarkSide(ダークサイド)」が原因だと発表した。

全米を震え上がらせたダークサイド。その正体は一体何なのか。

サイバー犯罪集団なのか
報道では「サイバー犯罪集団」や「ハッカー集団」の名称として伝えられているダークサイドだが、実際には3つの意味がある。その1つが、サイバー攻撃に使われる「ランサムウエア」の名称だ。

ランサムウエアはコンピューターに保存されたデータを暗号化して使用不能にするマルウエア(悪意のあるプログラム)。データを暗号化した後、元に戻したければ金銭(身代金)を支払うよう画面に表示する。

セキュリティー企業の米インテル471などによると、ダークサイドは2020年8月に初めて確認された。比較的新しいランサムウエアだ。オーストリアのエムシソフトなどによると、ダークサイドは身代金として20万ドルから200万ドルを暗号資産(仮想通貨)で要求する。

またダークサイドは、ダークサイドランサムウエアを使った攻撃を支援する「商用」のクラウドサービスを指す場合もある。ランサムウエア攻撃のクラウドサービスなので「RaaS(ランサムウエア・アズ・ア・サービス)」と呼ばれる。これが2番目の意味だ。

米ファイア・アイなどによれば、RaaSとしてのダークサイドは20年11月、ロシア語のアンダーグラウンドフォーラム「exploit.in」や「XSS」で初めて宣伝された。

RaaSを使用するのはもちろんサイバー攻撃者だ。ある企業ネットワークへの侵入方法を知った攻撃者が、ランサムウエア攻撃を仕掛けたいと考えたとする。しかし自分でランサムウエアを調達したり、脅迫したりするのはハードルが高い。そういった場合、RaaSを利用して該当企業にランサムウエア攻撃を仕掛ける。

RaaSを利用する攻撃者はアフィリエイトやアフィリエイターなどと呼ばれる。セキュリティー企業各社の情報によると、ダークサイドの取り分は身代金の10%から25%。ファイア・アイが確認した広告によると、身代金が50万ドル未満の場合は25%、500万ドルを超える身代金に対しては10%だ。

ファイア・アイによれば、アフィリエイトになるには「面接」に合格する必要がある。面接がどういったものなのかについては言及していない。合格すると、RaaSの管理パネルへのアクセス権が提供される。

ダークサイドRaaSの管理パネル(出所:ファイア・アイ)
3番目の意味が、ダークサイドRaaSを運営する攻撃者グループだ。多くの報道では、この意味で「ダークサイド」を使っているようだ。

これらを区別するために、ランサムウエアの「ダークサイドランサムウエア」、RaaSの「ダークサイドRaaS」、攻撃者グループの「ダークサイド攻撃者グループ」などと表記する場合がある。例えばFBIは声明の中で「ダークサイドランサムウエア」と表記している。

ちなみに20年11月に活動停止を表明したMAZE(メイズ)も、ランサムウエア、RaaS、攻撃者グループのそれぞれの意味で使われていた。

DDoS攻撃や脅迫電話の機能も
ほかのRaaSと同様に、ダークサイドRaaSも暴露型ランサムウエア攻撃(2重脅迫型ランサムウエア攻撃)に対応している。

まずはデータを盗み出してからランサムウエアで暗号化する。身代金を支払わないと復号ツールを渡さないばかりか、盗んだデータを公表すると脅す。公表の舞台となるのは、匿名性の高い闇サイト群「ダークウェブ」に用意したダークサイド攻撃者グループのウェブサイトだ。

だが、こうした通常のサービスだけではアフィリエイトを引き付けられない。ほかのクラウドサービスと同様に、RaaSも利用者を増やすのが最重要課題だ。そこでダークサイドRaaSは21年3月から4月にかけて機能を拡張した。

トレンドマイクロやインテル471などによれば、身代金の支払いに応じない企業に大量のデータを送りつけるDDoS攻撃の機能を追加した。

さらにコールセンターから脅迫電話をかける機能も実装した。ダークサイドRaaSの管理パネルから、身代金を支払うよう企業に圧力をかける電話を手配できるという。

つまり、4重の脅迫機能を備えるのだ。

「義賊」を気取る謎の寄付
今回の事件で広く知られたダークサイド攻撃者グループだが、20年10月にもメディアに取り上げられている。ランサムウエア攻撃で奪い取った金銭を2つの慈善団体に寄付したのだ。1万ドル相当のビットコインを寄付したとされる。

エムシソフトによるとこの寄付の後、ダークサイド攻撃者グループはウェブサイトに次のような投稿をした。「企業が支払った金銭の一部が慈善団体に寄付されるのは公平だと思う。私たちの仕事がどんなに悪いとしても、私たちが誰かの人生を変える手助けをしたことを知ってうれしく思う」

寄付された団体としてはいい迷惑だったようだ。当時の報道によれば、ある団体は寄付に対する謝辞をSNS(交流サイト)に投稿したが、ダークサイドの正体が分かるとすぐに削除した。

またダークサイド攻撃者グループが出した広告によると、攻撃対象は大企業だけで、医療機関、葬儀に関係する企業・組織、教育機関、公共部門、非営利団体などへは攻撃しないとしている。加えて攻撃対象を潰すことが目的ではないので、詳細に調査したうえで、攻撃対象が支払える額を請求するという。

義賊を気取るこの手口。前述のメイズを思い出した。メイズも新型コロナウイルス禍の医療機関は狙わないと宣言していた。

ダークサイドへの捜査はどうなるのか。今後の展開が注目される中、ダークサイド攻撃者グループは5月13日(米国時間)に活動を停止すると発表した。

それによると、ウェブサイトなどは全て押収されてアクセスできなくなり、資金は不明なアカウントに送信されてしまった。

突然の活動停止もメイズとそっくりだ。だがメイズもダークサイドも自分たちで言っているだけである。名前や体裁を変えて活動を再開する可能性は極めて高い。メイズの場合には既に再開しているとの情報もある。ランサムウエア攻撃に対しては引き続き警戒が必要だ。

(日経クロステック/日経NETWORK 勝村幸博)

[日経クロステック2021年5月19日付の記事を再構成]』

ランサムウエア、取り分不満の攻撃者が「虎の巻」流出

ランサムウエア、取り分不満の攻撃者が「虎の巻」流出
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC263860W1A820C2000000/

 ※ 『「RaaS(ランサムウエア・アズ・ア・サービス)」』とか、ヤレヤレかつウンザリな話しだ…。

 ※ しかも、「取り分」巡る「なかま割れ」で、仲間の「攻撃虎の巻」を流出させたんだと…。

 ※ 全く、「仁義」も「信頼」も、へったくれも無い話しだ…。

 ※ まあ、最初から、そういう「人間性」とは「無縁」の、「修羅の世界」での話しなんだろうが…。

『世界中でランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃の被害が相次いでいる。理由の1つが「RaaS(ランサムウエア・アズ・ア・サービス)」の存在である。RaaSはランサムウエア攻撃を支援するクラウドサービス。RaaSを利用すれば、手間をかけずにランサムウエア攻撃を仕掛けられる。

2021年8月、このRaaSを巡ってある事件が発生した。大手RaaSが利用者に提供している攻撃マニュアルが流出したのだ。「虎の巻」といえる資料だ。ロシア語のアンダーグラウンドフォーラム「XSS.is」においてダウンロードできる状態になっていた。

RaaSの「虎の巻」へのリンクが張られた投稿。現在ではダウンロードできない(画像は一部修整 出所:XSS.is)

一体誰が、どのような理由で流出させたのだろうか。

RaaS、脅迫のプラットフォーム提供

ランサムウエアはコンピューターに保存されたデータを暗号化して使用不能にするマルウエア(悪意のあるプログラム)の総称。データを暗号化した後、元に戻したければ金銭(身代金)を支払うよう画面に表示する。

ランサムウエアのイメージ(出所:日経NETWORK)

数年前までは、ランサムウエア攻撃は単純だった。メールやネットワーク経由で不特定多数のコンピューターにランサムウエアを感染させていた。身代金は数万円程度と、個人でも払える額が設定されていた。いわば、薄く広く稼ぐ戦略だった。

ところが20年前後から戦略が大きく変わった。多額の身代金を支払える企業や組織を狙う標的型になった。データを暗号化されると業務を継続できなくなる。このため多額であっても身代金を支払うだろうと攻撃者は考えた。

これに対抗するため、バックアップの重要性が以前にも増して高まった。バックアップを取っていれば、データを暗号化されても復旧できる。ランサムウエア対策としてデータバックアップの体制を整えた組織は多いだろう。

そこで攻撃者が打った次の手がデータの窃取である。暗号化する前にデータを盗み出すのだ。身代金を払わないとデータの復号に必要なツールや情報を渡さないばかりか、そのデータを公開すると脅す。いわゆる暴露型ランサムウエア攻撃である。2重脅迫型ランサムウエア攻撃などとも呼ばれる。

ランサムウエア攻撃者グループ「MAZE(メイズ)」が窃取データを公開していたウェブサイト(画像は一部修整 出所:MAZE)

まずは盗んだデータの一部を公開して、身代金を払わないと全データを公表すると脅す手口もある。

大がかりになる一方のランサムウエア攻撃。もはや個人では実施できなくなっている。例えば、ある企業・組織のネットワークへの侵入方法を知っている攻撃者であっても、セキュリティー製品に検知されないランサムウエアや、窃取したデータを暴露する場を用意するのは容易ではない。

そこで登場したのがRaaSだ。RaaSはランサムウエアを単に貸し出すだけではなく、脅迫のプラットフォームも用意する。例えば、米石油パイプライン最大手のコロニアル・パイプラインの攻撃に使われたRaaSは4重の脅迫機能を備えていた。

【関連記事】「ダークサイド」の正体 3つの意味と4重の脅迫
具体的には、盗んだデータを公表する場や、データを暗号化するランサムウエアを利用者となる攻撃者に提供。さらに大量のデータを送信するDDoS攻撃を仕掛けたり、脅迫電話をかけたりする機能も提供する。

利用者は、RaaSが用意する管理パネルから様々な機能を利用できる。身代金の支払先もRaaSが用意する。このため身代金の支払い状況も管理パネルで確認できる。至れり尽くせりといえるだろう。

ランサムウエア攻撃者グループ「Darkside(ダークサイド)」が運営していたRaaSの管理パネル(出所:米ファイアアイ)

RaaSの利用者はアフィリエイトやアフィリエイターなどと呼ばれる。アフィリエイトが実際の攻撃を担当。RaaSはそのためのプラットフォームを提供する。

多くの場合、RaaSの料金は成功報酬型だ。RaaSは支払われた身代金の10%から30%を受け取り、残りはアフィリエイトが受け取る。

アフィリエイトとRaaSを運営するランサムウエア攻撃者グループは、ランサムウエア攻撃という犯罪の共犯者であり、両者にはある種の信頼関係が構築されているものと思っていた。

だが所詮犯罪者。信頼関係などないようだ。前段が長くなってしまったが、冒頭の虎の巻を流出させたのはアフィリエイトの1人だった。理由は身代金の取り分に対する不満だった。

「1500ドルしか支払わなかった」
RaaSを運営するランサムウエア攻撃者グループによっては、ネットワークへの侵入やネットワーク内での展開(ラテラルムーブメント)に関するマニュアル(虎の巻)をアフィリエイトに提供している。ランサムウエア攻撃の成功率を高めるためだ。

今回流出したのは、「Conti(コンティ)」というランサムウエア攻撃者グループが運営するRaaSの虎の巻だ。

虎の巻を流出させたアフィリエイトの投稿によると、Contiはアフィリエイトに1500ドルしか支払わなかったという。約束の金額がいくらだったのかは明記されていないが、書き込みの内容からすると大きな差があったとみられる。

アフィリエイトによる投稿(画像は一部修整 出所:XSS.is)

アフィリエイトは「やつらはアフィリエイトを『カモ』にしている」などとContiを罵るとともに、攻撃サーバーのIPアドレスなどが写り込んだ画像を公開。その後、虎の巻をストレージサービスにアップロードして、そのURLを投稿した。記事の冒頭で書いた通りである。

報道などによれば、流出したファイルは113メガバイトの圧縮ファイル(メディアによっては「111メガバイト」としている)。圧縮ファイルには37のファイルが含まれていて、それらにはネットワークへの侵入やラテラルムーブメントの際に有用なツールの使い方などが書かれているという。

内容のほとんどは以前から使われている基本的な手口で画期的ではないものの、Conti対策には役立つだろうというのが専門家の見立てだ。Contiとしては、戦術の一部を変更せざるを得ないだろう。

「Contiが約束を守らなかった」というのはアフィリエイトの一方的な主張だが、信ぴょう性は高い。このようなウソを言っても何の得にもならないからだ。「Contiが裏切ったからこちらも裏切る」と考えたとみるのが妥当だ。もはや仁義なき戦いである。

なかなか衝撃的な今回の事件。これによってアフィリエイトに対するランサムウエア攻撃者グループの態度は変わるだろうか。筆者としては変わってほしくない。アフィリエイトの怒りを募らせるようなことが続けば、アフィリエイトからの「密告」が期待できるからだ。

その受け皿の1つになり得るのが、米国務省が21年7月に発表した報奨金制度だ。同国の重要インフラを標的としたサイバー攻撃に限定されるが、有用な情報には最大1000万ドル(約11億円)の報奨金を支払う。

「怒ったアフィリエイトによる重要情報のリークにより、ランサムウエア攻撃者グループが特定されて壊滅させられる」というのが期待されるシナリオだ。

(日経クロステック/日経NETWORK 勝村幸博)

[日経クロステック2021年8月25日付の記事を再構成] 』

自民総裁選の構図一変

自民総裁選の構図一変、河野行革相が出馬と報道-岸田氏と対決へ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-09-03/QYUE2AT0AFB401

 ※ まさに、「構図は、一変」だ…。

『自民党総裁選(17日告示、29日投開票)は、菅義偉首相が再選を断念したことで構図が一変する。立候補を表明している岸田文雄前政調会長に対し、世論調査で人気が高い河野太郎行政改革担当相、石破茂元幹事長らの対応が焦点となる。

  TBSは河野氏が出馬する意向を固め、推薦人集めに着手していることが分かったと報じた。党内では同じ神奈川県連所属の菅首相が再選を目指す場合は自身の出馬を見送るとみられていた。河野氏は首相の不出馬表明を受けた自身の対応について「先輩、あるいは仲間の議員とじっくり相談しながら決めたい」と記者団に語った。

Japan Vaccine Czar Says Inoculations Won’t Pick Up Until May

河野太郎行政改革担当相Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  総裁選は、国会議員票383票と全国の党員・党友票383票の計766票で争われる見通し。半数を占める党員票は世論の動向を反映しやすいとされている。

  岸田氏は日本テレビの番組に出演し、「どなたが相手であっても私が向き合うのは国民、党員の皆さんだ。私自身の基本的な方針、これからの戦い方は変わることがない」と述べた。石破氏も同番組で「全く局面が変わったわけで、さあどうするかというのは本当によく考える必要がある」と語った。

菅首相が総裁選不出馬、首相も辞任へ-コロナ対策と「両立できず」

  日本大学大学院の岩井奉信講師は、菅首相の不出馬で総裁選に手を挙げる人は増える可能性があり、党員人気が高い石破氏の動向も注目されるが、「岸田氏が有利であることは間違いない」と指摘した。

次の自民党総裁にふさわしい人
順位 氏名     全体 自民支持層

1 河野太郎 16% 18%
2 石破茂 16% 12%
3 岸田文雄 13% 14%
4 菅義偉 11% 20%
5 小泉進次郎 9% 8%

出所)日本経済新聞が27-29日に行った世論調査

  元自民党職員で政治評論家の田村重信氏は「無投票ということはあり得ない」と指摘。菅首相に近い河野氏や小泉進次郎環境相、細田派の動向によっては下村博文政調会長が出馬する可能性を挙げる。石破氏は出馬しても国会議員票を取ることができるか、高市早苗氏は推薦人を集められるかどうかが課題となるという。

  自民党総裁の交代で、10月17日投開票が有力視されてきた衆院選は先送りされる可能性が出てきた。新総裁選出後に臨時国会を召集して首相指名選挙を行う必要性が出てくるためだ。3日付の日本経済新聞朝刊によると、岸田氏は自身が総裁になった場合は任期が満了する10月21日までに衆院選の投開票を終えるのは難しいとの認識を示した。

(河野氏の発言などを追加します)』

【総裁選不出馬】菅 9・6「首相解任」

【総裁選不出馬】菅 9・6「首相解任」
《菅ハイテンション「パラ直後に解散」に周囲は唖然》《菅“官邸ひとりぼっち”医療ブレーンも切り捨て》《自民党幹部が小誌に「菅・二階では戦えない」》《安倍動き出した「菅さんじゃダメと若手が…」》《安倍 麻生極秘会談で岸田推し河野は出馬準備》
「週刊文春」編集部
2021/08/17
https://bunshun.jp/denshiban/articles/b1521

 ※ 8月17日の時点で、この記事が書けるのは、ちょっと凄い…。

 ※ 文春恐るべしだ…。ちょっと見直した…。

 ※ この記事によれば、「消去法」で、後継は岸田さんということのようだ…。

 ※ その「ご託宣」が、当たるのか、注目だ…。

『五輪開催でも下がり続ける支持率。離れていく秘書官や閣僚たち。それでも、パラ閉幕後の解散を狙う首相はひとり闘争心を燃やしている。官邸・事務所ぐるみで挑む横浜市長選だ。だが敗色は濃厚で、いよいよ首相は――。

 時の宰相のお膝元、神奈川県横浜市。その市長選が、いま政界に地殻変動を起こそうとしている。

 8月14日の夕刻。地下鉄戸塚駅の改札前では、水色のポロシャツやTシャツを着た20人ほどのスタッフが、せわしなくビラを配っていた。この日は生憎の大雨。コンコースには生ぬるい湿気がこもり、皆じっとりと汗を浮かべている。

 ポロシャツ姿でマイクを握るのは、小此木八郎氏。この市長選に出馬するまで国家公安委員長という要職を務めていた“大物”候補である。ところが、足を止める人はごく僅かだ。

戸塚駅で遊説中の小此木氏
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 近くでビラ配りに精を出すのは、横浜市戸塚区が地盤の坂井学官房副長官。スタッフと同じ服装のその人物が、菅義偉首相の最側近であり、政府高官であると、誰が気付くだろうか。

 小誌記者は坂井氏に声をかけたが、そっけない返事を繰り返し、最後には、

「ちょっと、いま活動してるから。こっちは真剣にやってるんだから」

 と、怒気を含んだ答えが返ってきた。

 最近まで大臣だった候補者と現職の政府高官を擁する陣営。にもかかわらず、余裕は全く見られない。投開票日は8月22日。この横浜の地で、小此木氏が敗れると――。

 菅政権への逆風が日に日に強くなっている。NHK世論調査(8月7日~9日実施)では、内閣支持率は29%まで下落。NHKの調査で30%を切るのは、12年に自民党が政権復帰してから初めてのことだ。

「首相は『日本人が金メダルを獲れば盛り上がる』と政権浮揚を狙っていましたが、今回の調査で、五輪の効果が無かったことが露呈しました。周囲には『全部コロナなんだよ』と愚痴っています」(首相周辺)

 失態も相次いだ。8月6日には広島市の平和記念式典で原稿を大幅に読み飛ばし、9日は長崎市での平和祈念式典に遅刻したのだ。

広島の平和記念式典では原稿を読み飛ばした

「広島の原稿読み飛ばしは『糊がついていたせい』と釈明しましたが、事前に下読みをしていれば、違和感に気付けたはず。長崎ではトイレに寄ったために遅れたそうで、同行した鹿沼均首相秘書官を『時間管理はちゃんとしてくれ』と叱っていました」(同前)

 首相は落ち込んだ様子で、こうボヤいたという。

「トイレの場所が遠かったのに、誰も言ってくれなかった……」

 たかがトイレではない。この騒動からは、菅首相の孤立が垣間見える。

「首相は以前に増して、周囲の進言に耳を傾けなくなりました。五輪開会式では天皇陛下の開会宣言の際に起立しなかったことが批判されましたが、この直前、首相は式での陛下の動線をレクしようとした秘書官を『要らない』と一蹴した。そのため陛下のご移動にあわせて即座に起立できなかったのです」(同前)

“神奈川組”の進言も無視した

 3月28日以降、丸一日の休みを取っておらず、最近は「疲れた」と漏らすことが多くなった菅首相。秘書官が「お盆は休んで下さい」と気遣っても、

「休めるわけないだろ」

 と、語気を強めるばかりだという。

 官邸関係者が嘆息する。

「気に入らないと声を荒げる。秘書官たちも必要最小限のコミュニケーションしか取ろうとしなくなりました」

 盟友であるはずの閣僚たちの声も届かない。

「感染者数が増え続ける中で五輪開催に固執していた菅首相に、小此木氏や小泉進次郎環境相、梶山弘志経産相らが『中止すべき』と進言していました。小此木氏は、首相が秘書として仕えた小此木彦三郎元通産相の息子です。首相にとって、小此木氏や進次郎氏ら“神奈川組”は、コロナで会食が封じられてからも議員宿舎で集まっていた数少ない相談相手でもある。また梶山氏にしても、首相が師と仰ぐ梶山静六元官房長官の息子。いずれも身内同然の閣僚たちでしたが、彼らの意見もマトモに取り合わなかったのです」(官邸担当記者)

 彼らだけではない。首相の医療ブレーンだった人物も、切り捨てられてしまったという。

「岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長です。官房長官時代に感染症対策の話を聞くようになり、政権発足直後の昨年10月、内閣官房参与に任命。首相が拘ったGoToキャンペーンにも理解を示すなど、コロナ対策の理論的支柱とも言える存在でした。しかし、五輪の直前から岡部氏が『医療状況によっては大会中止も検討すべき』と発信し始めた。すると、菅首相は岡部氏を遠ざけるようになったのです」(政治部デスク)

 7月30日、岡部氏は政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長とともに、菅首相と面会した。

「いまの状況に危機感を抱いています。我々が見ている中で、楽観的な材料はほとんどありません」

 懸命にそう説明する岡部氏に、菅首相は「よく分かりました」と、淡々と言うのみだったという。

 その岡部氏は、小誌の取材にこう語る。

和泉補佐官から鹿島会長に電話

「感染状況を考え、五輪の中止も当然、選択肢の一つとして考えておくべきです。これは、私が座長を務める組織委員会の専門家会議などでも、一貫して発言してきたことです」
 だが中止の検討どころか、有観客開催に拘り続けた首相。大会中も感染者数は増加の一途を辿った。8月12日の東京都のモニタリング会議では専門家から「感染拡大は制御不能」と声が上がり、翌13日には全国の感染者数が2万人を超えた。岡部氏が言う。

「間接的に、五輪の影響があったことは否定できません。マラソンなどでは人々が沿道に集まって声援を送る場面も見られました。そういう場所で感染が起こった可能性、『五輪をやっているんだから、俺たちも集まっていいじゃないか』という心理的影響もあったでしょう。パラリンピックも開催ありきで考えるべきではない。慎重に状況を分析し、検討すべきです」

 菅首相との関係について尋ねると、

「同じ神奈川だからということではなく、知人の紹介で菅官房長官(当時)のところへ説明に行くようになり、その流れと思いますが、参与の打診を受けました。(首相の岡部氏への不満については)僕の耳には入ってきていません」

 秘書官、閣僚、医療ブレーン……。側近たちの言葉にも耳を塞ぎ、自ら“官邸ひとりぼっち”の状況を作り出した菅首相。支持率も下がり続け、窮地に陥っているはずだが、実はひとり闘争心を燃やしている。

「ワクチン接種は結構なスピードで進んでいる。8月下旬に感染者数もピークアウトする。そうなると雰囲気も変わるからね」

 と、時にハイテンションで語り、周囲を唖然とさせていたというのだ。

「これまでも、首相は毎週のように『来週には感染者数は減るから』と口にしてきましたが、実際は減るどころか、増え続けてきた。現実的には緊急事態宣言の延長は不可避ですが、首相の楽観的な姿勢は変わりません」(前出・首相周辺)

 そして――。

 首相が今でも思い描いているのが、

「9月5日のパラリンピック閉幕直後の6日にも臨時国会を召集し、衆議院を解散。勝利を収め、総裁選での無投票再選を狙う」

 という“強行突破”シナリオなのだ。

 8月26日には総裁選の日程が決まる。現状では9月17日告示、29日投開票が濃厚だが、首相が解散に踏み切れば、この日程は凍結され、総選挙後に先送りされることになる。

「そこで首相は、昨夏にGoToの推進を掲げ、一気に総裁選勝利を掴んだのを彷彿とさせるような“ギャンブル”に出たのです」(事務所関係者)

 それが、冒頭に触れた横浜市長選だ。

「IR推進を掲げる現職の林文子市長に対し、小此木氏が突如、閣僚を辞任してIR反対の立場で出馬を表明した。保守分裂選挙となった横浜市連は7月11日、小此木氏には推薦も出さず、自主投票することを決めました」(同前)

 ところが、当の首相だけは違った。ブレーキを踏むどころか、アクセルを吹かせたのだ。8月3日の党役員会では「小此木八郎をお願いします」と異例の呼び掛けまで行っている。

「ここで勝てば、『選挙の顔』にもなり得ることが証明される。一発逆転、求心力の回復を狙ったのでしょう」(同前)

 この前後から火の玉のように、首相は選挙戦へと力を注いでいく。

「小此木さんを推している。よろしく頼む」

 鹿島建設の押味至一会長のもとに一本の電話が入った。声の主は、和泉洋人首相補佐官。横浜市出身の元国交官僚で、ゼネコンや不動産、鉄道各社に絶大な影響力を持つ人物だ。大手デベロッパー首脳が明かす。

「ゼネコン各社はもともと現職の林市長を担ぎ、IR誘致を進めてきました。和泉氏も当初はその線で動いていた。ところが突然、小此木氏の出馬が決まり、首相も支援に舵を切ったことで業界は大慌て。和泉氏から各社に電話が入ったようですが、これまでの経緯からも、そう簡単に指示通り動けないのが実情です。小此木氏が敗れる可能性も出てきたとあって、和泉氏も必死だったのでしょう」

“不倫補佐官”こと和泉氏

「菅ちゃんは全部1人でやる」

 鹿島建設に、押味氏への電話について尋ねると、

「横浜市長選挙の期間中のため、回答は控えます」

 と否定しなかった。

 和泉氏だけではない。前出の事務所関係者が続ける。

「8月11日には政務秘書官に戻したばかりの新田章文氏が、横浜駅西口でビラを配っていました。政務秘書官が選挙戦の前線に立つのは極めて珍しい。いわば官邸・事務所総出の闘いになっているのです」

 8月14日、小誌記者は坂井氏に続き、演説を終えて聴衆へ近付いてきた小此木氏に声をかけた。

――週刊文春です。

「エッ! 文春!」

 と、驚きながら記者とグータッチを交わす小此木氏。

――五輪中止を首相に進言したそうですね。

「色んなことを進言しました」

 スタッフに促され、小此木氏はにこやかに去って行った。しかし――。

 自民党関係者が言う。

「首相がギャンブルに出たにもかかわらず、五輪閉幕後に行われた自民党の情勢調査や期日前投票の出口調査では、立憲民主党が擁立した山中竹春氏が小此木氏を逆転。自民党は組織票を固めきれておらず、政権批判が加速して浮動票も取り込めていません。勢いは明らかに山中氏のほうが上で、戦況は絶望的です」

 衆院選を目前に控え、お膝元の横浜で、首相自らが肩入れした候補者が敗れ去るという非常事態。まして、国政選挙の帰趨を決める都市部での敗北だ。ここから政局は、雪崩を打つように動いていく。

 小誌の取材に自民党幹部はこう断言する。

「菅、二階ではもう総選挙は戦えない。『五輪で政権浮揚』はできなかった。人気がないから、首相との2連ポスターも誰も使おうとしない。このままだと議席を大きく落としてしまう」

首相を支えてきた二階幹事長

 ここに来て、現有の276議席から70議席前後減らす可能性も取り沙汰されてきた。自公での過半数割れが現実味を帯びている。中でも厳しい状況なのが、当落線上にいる中堅・若手だ。細田派の4回生議員、土井亨・党情報調査局長が語る。

「コロナでは、国民の皆さんに寄り添い、語りかける必要がある。菅さんにはその辺りが足らない。しっかりやって頂けると思ったのに、空回りしています」

 同じく細田派の4回生議員、髙鳥修一・前党総裁特別補佐も口を揃える。

「地元を回った肌感覚として、菅政権への評価は非常に厳しい。このままでは非常に厳しい結果が出ます」

 そうした彼らの嘆きの声は“あの人物”にも届いていた。細田派出身の安倍晋三前首相である。横浜市長選が告示された8月8日の数日後、親しい知人にこう漏らしていたのだ。

「派内の若手が『菅さんじゃダメだ』って言うんだよね。これは、また麻生さんと会わないと……」

「また麻生さんと」――実はその2週間ほど前、安倍氏と麻生太郎副総理、盟友関係にある前政権の2トップは極秘会談を持っていた。

安倍氏と麻生氏が総裁選の鍵を握る

 7月下旬の平日、渋谷区にある安倍氏の私邸。2時間に及ぶ会談で2人の口から出てきたのは、“次”を託す人物の名前だった。

 それまで安倍氏は、自身の体調悪化に伴う形で急遽、菅首相に政権を引き継いだこともあり、「菅さんを支える」と公言してきた。一方の麻生氏も、かねてから首相との折り合いが良いとは言えないが、閣内で支える立場として「菅しかいねぇから」と口にしている。

「ただ、二階俊博幹事長を重用する首相の姿勢に、2人は不満を抱いてきました。特に安倍氏は最近、『菅ちゃんは全部1人でやろうとする』とも漏らしています」(安倍氏周辺)

 では、大派閥に大きな影響力を持つ2人が描く“次の顔”とは一体、誰なのか。

 安倍氏、麻生氏の身近には、それぞれ総裁選への強い意欲を見せる人物がいる。8月10日発売の「文藝春秋」9月号で総裁選出馬を表明したのは、かつて清和会にも所属していた高市早苗前総務相だ。

「安倍氏が高市氏を将来の総裁候補の一人と考えていたのは確かです。自身の退陣後は『稲田(朋美)はダメだけど高市さんがいる』と語るようになっていた。ただ、時期尚早だったのでしょう。事前に出馬宣言のことを聞いた安倍氏は首相に電話を入れ、『自分は関係ない』と伝えたそうです」(同前)

「文藝春秋」に寄稿した高市氏
 その高市氏は小誌の取材にこう答えた。

「安倍氏には何度も(再びの)出馬をお願いしてきましたが、断られました。(安倍氏には)私自身への支持はお願いしていません。お立場を理解していますので。正式に総裁選が行われる事が決まりましたら、立候補したいと存じます」

 一方、麻生派の有力候補と言えば、河野太郎ワクチン相だろう。総裁選の日程が決まる8月26日の翌27日には政策集「日本を前に進める」を出版予定と、ヤル気満々。しかし、肝心の派閥領袖の後押しが得られないのだという。

自著を出版する河野氏

9月6日へのカウントダウン

「麻生氏は、パフォーマンスに走りがちな河野氏を評価していません。ワクチンについても、例えば、7月中旬には『9月末までに12歳以上の希望者全員分をカバーできる量を確保する』と大見得を切りながら、少し後の説明では『10月上旬までに12歳以上の8割が接種できる量を自治体に配布する』と変わった。残りの2割はどうなったのか、明確な説明はありません。さらに河野氏は、麻生氏以上に、同じ神奈川県の菅首相と近い関係。そうしたことからも、河野氏を担ぐのは早いと判断しているようです」(麻生派担当記者)

 安倍氏も、自身の内閣で外相などを歴任した河野氏について、最近こう辛口評価を下しているという。

「河野さんほど、口だけのパフォーマンスのやつはいない。ミスの責任はとらないし、彼はダメだ」

 高市氏でもなく、河野氏でもない。安倍氏と麻生氏の2人が視野に入れているのは、この男だった。

「岸田しかないな」――。

 昨年の総裁選では、菅首相に惨敗した岸田文雄前政調会長だ。

「麻生氏は岸田氏をたびたび財務大臣室に呼び、叱咤激励しています。安倍氏との会談を行った数日後にも、岸田氏に『総裁選に備えて、全国を回っておけよ』と言い含めていた。一方の安倍氏にとっても、岸田氏は政権を禅譲しようとした相手です。細田派には他にめぼしい総裁候補は見当たりません。岸田氏の頼りなさは克服されていないとはいえ、麻生氏と連携できる意味でも、安倍氏はゴーサインを出すはずです」(麻生氏周辺)

出馬に意欲を示す野田氏、岸田氏

 2人の極秘会談が行われた直後の7月末、岸田氏も小誌の取材に対し、

「総裁選があったのに誰も立たない。それを国民がどう見るか。チャンスがあれば挑戦したいと従来から申し上げています」

 と意気込みを見せた。

 衆院選を目前に控え、風雲急を告げる政局。大きな節目となるのが、菅首相が解散を狙うパラリンピック閉幕翌日の「9月6日」だ。

「首相は、自身の地元、かつ都市部の横浜で敗れることで、『選挙の顔』にならないことが証明され、一気に菅降ろしが始まる。無派閥の首相を、これ以上守ろうとする派閥はない。当落線上の議員を多く抱える二階派とて例外ではありません。それは、安倍氏も同じです。ここで菅首相を守り続ければ、派閥に戻り、院政を敷きたい自らが苦しい立場に陥ってしまう。最後は、安倍氏が首に鈴をつけにいくことになるでしょう。首相は9月6日に解散できなければ、総裁選にも出られなくなる。事実上、“解任”に追い込まれてしまうのです」(前出・デスク)

 外堀を埋められ、菅首相は“解任”されるのか。それを振り切って解散に踏み切るのか。「9月6日」へのカウントダウンが始まった――。

昨年の総裁選からまもなく1年
source : 週刊文春 2021年8月26日号 』

菅首相退陣へ

菅首相退陣へ 総裁選出馬見送りの意向
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE027IZ0S1A900C2000000/

 ※ 大変なことになって来た…。

 ※ 後継は、誰なのか…。岸田さんか…。

 ※ 幹事長は、誰なのか…。全く、読めん…。

 ※ いずれ、混沌として来たな…。

 ※ 衆議院選挙とか、どうなるんだろう…。

『菅義偉首相は退陣する意向を固めた。自民党総裁選への出馬を見送る。自民党幹部が明らかにした。6日に予定していた自民党の執行部人事の人選が行き詰まり、政権運営の継続が難しくなったとみられる。首相は月内にも退陣し、総裁選は首相以外の候補が争う。
首相は二階俊博幹事長など党執行部を刷新し、新たな顔ぶれで総裁選や衆院選に臨む考えだった。内閣支持率の低迷により党内からは「首相自体が交代しなければ次期衆院選は敗北する」との懸念が広がっていた。

自民党は3日、総務会で執行部の交代を首相に一任する段取りを描いていた。異論が噴出し一任が取り付けられない懸念があった。執行部人事が難航すれば、首相は政権運営を続けることは難しくなる。

首相は衆院解散の道も封印された。9月中旬に解散に踏み切るとの観測が浮上し、観測を否定する形で1日、「解散できる状況ではない」と明言した。総裁選でも二階氏や石原派以外からの支持を取り付けられず、苦戦が予想されていた。

首相の総裁選不出馬により、首相は月内にも退陣する運びとなった。自民党は17日告示、29日投開票の日程で総裁選を実施する予定だ。新たな総裁を選び、衆院選に臨む。

現時点では岸田文雄前政調会長が出馬を表明し、高市早苗前総務相が立候補に意欲を示している。首相の不出馬により他の候補が手を上げれば総裁選の構図は一変する。

世論調査で次の総裁として人気の高い河野太郎規制改革相や石破茂元幹事長らの動向が注目されている。

次期衆院選は10~11月となる公算が大きい。10月21日の衆院議員の任期満了の前に任期満了選挙とする案がある。最も遅い日程は同月17日投開票だ。満了選挙は1976年の三木武夫内閣以来、現行憲法下で2例目となる。

新たな首相が10月に臨時国会を開いて解散する場合は、衆院議員の任期満了よりも遅くなることが想定される。公職選挙法上で最も遅いケースは11月28日の投開票となる。

菅政権は安倍晋三前首相の突然の辞任を受け、官房長官だった首相が党内5派閥の支持をうけて2020年9月に誕生した。日本経済新聞社の世論調査による8月の内閣支持率は発足以来最低の34%まで下落した。』