中国、アントなど監視強化 新サービスは事前報告義務に

中国、アントなど監視強化 新サービスは事前報告義務に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB064VH0W1A800C2000000/

『【上海=土居倫之】中国が決済サービス会社の規制を強化する。9月から新しい規制を施行し、新商品・サービスの提供や新規株式公開(IPO)など幅広い分野で中国人民銀行(中央銀行)への事前の報告を義務付ける。支付宝(アリペイ)や微信支付(ウィーチャットペイ)など中国のスマートフォン決済は社会インフラとなっており、大規模な決済事故の発生などによる金融システムの不安定化を回避する。

人民銀が9月1日から「非銀行決済機構重大事項報告管理弁法」を施行する。同弁法は決済市場の安定性を維持することを目的としており、重大事項の事前・事後報告を求めている。

重大事項に該当する内容として、IPOや増資のほか新しい決済商品やサービス、海外企業などと協力した国際決済サービスの提供などを挙げている。IPOについては中国ハイテク企業が多く採用する「変動持ち分事業体(VIE)」の仕組みを用いた海外上場も含む。海外拠点の開設や一定規模以上の対外投資も対象だ。いずれも5営業日~30日前までに書面での報告を求めている。

情報漏洩や資金洗浄(マネーロンダリング)の発覚など突発事件については発生から2~24時間以内の事後報告を求める。報告を怠ったときは人民銀が罰則を科す。

決済サービス会社を巡っては、人民銀が2010年に「非金融機構決済サービス管理弁法」を施行した。ただその後のスマホ決済などテクノロジーの急激な発展に法規制が追いつかず、監督体制が不十分なまま規模やサービス範囲が急激に膨らんでいた。これがアリババ集団傘下の金融会社、アント・グループが、金融監督当局から、全面的な監督の受け入れや必要なライセンス取得を求められる要因のひとつとなっていた。

中国では一部で現金の受け取りを拒む店舗があらわれるなど、スマホ決済はすでに社会的に不可欠なインフラとなっている。決済サービス会社の規制強化を大規模な決済事故の防止や個人情報保護の徹底につなげ、金融システムの不安定化を防ぐ。

半面、新しい弁法が重大事項と定める内容は網羅的だ。報告にとどまるとはいえ、実質的に人民銀が決済サービス会社の経営に深く関与できる内容となっている。決済と資産運用、信用情報をもとにした個人融資を結びつけるなどこれまでのような革新的な決済サービスが生まれにくくなる可能性がある。

人民銀は顧客情報の確認の不備などを理由に7月、中堅決済サービス会社、中金支付に計1526万元(約2億6000万円)の罰金を科した。金融監督当局はここにきて金融システムの安定と消費者保護を理由に決済サービス会社への締め付けを急激に厳しくしている。アリペイを運営するアントやウィーチャットペイを運営する騰訊控股(テンセント)にとっては強い逆風となる。

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