アフガン情勢巡り協議 イランやサウジなど中東各国

アフガン情勢巡り協議 イランやサウジなど中東各国 
イラクで近隣国首脳会議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2850L0Y1A820C2000000/

『【ドバイ=岐部秀光】中東各国の首脳や外相らが28日、イラクの首都バグダッドで開かれた近隣国会議に参加した。イスラム主義組織タリバンによるアフガニスタン制圧を受け、過激派対策や難民問題などでの協力を探る動きが出始めている。ただ米国の中東からの撤退が加速するなか、盟主不在の秩序づくりには不透明な部分も多い。

断交が続くイランとサウジアラビアの外相が同会議に参加した。湾岸アラブ諸国と最近まで断交状態にあったカタールのタミム首長も出席した。湾岸諸国とともにカタールと断交したエジプトのシシ大統領も出席した。フランスのマクロン大統領がイラクとの会議共同主催者の役割を果たした。

イラクのメディアによると、マクロン氏は演説でアフガン首都カブールで起きたテロ事件を念頭に「地政学の展開から今回の会議は、テロと断固として戦ううえでの特別の意味を持った」と述べた。同氏は過激派組織「イスラム国」(IS)について「依然として脅威だ」とも指摘したという。

就任したばかりのイランのアブドラヒアン外相と、サウジのファイサル外相が直接、会談したかは明らかになっていないが、イラクのフセイン外相は両者の話し合いが今後も続くと述べた。

アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド副大統領(ドバイ首長)はツイッターで「兄弟であり友人」であるタミム首長と会談したと述べた。UAEは会議前、トルコにも訪問団を派遣するなど歩み寄りをみせている。

協力に向けたムードの背景のひとつはアフガン情勢の急速な悪化だ。タリバン支配の復活でアフガンからの難民が周辺国に押し寄せたり、タリバンに刺激を受けた各地のイスラム過激派が活動を再び活発にしたりする事態を各国指導者は懸念している。

しかし、イスラム主義運動に対する各国のアプローチには大きな隔たりがある。カタールやトルコはイスラム主義組織とも密接な関係を持つ。

UAEのシンクタンク、トレンズのクリスチャン・アレクサンダー氏は「カタールはイスラム主義組織を合法化し、政治プロセスに責任あるアクターとして組み入れるべきだと考えているが、UAEはイスラム主義者の力を強めることは社会や政治を不安定にするとみている」と指摘する。

かつてUAEとサウジは、パキスタンとともにアフガンのタリバン政権を認めた数少ない国の一つだったが、米同時テロを受け、関係を見直した。各国は「穏健化」を主張する今回のタリバンとの距離を慎重にはかろうとしている。

イランはイスラム法の解釈で相いれないタリバンの復活を懸念する一方、米国の中東での影響力低下を歓迎する立場だ。

アフガンからの部隊撤収で大混乱を招いた米国は、イラクでも戦闘任務を年内に終了する予定で、戦闘を担う部隊の撤収を計画している。バイデン政権は中東問題への関与を減らし、中国やロシアとの戦略的な覇権争いに資源を振り向けたい立場だ。

国防や治安維持を米軍に依存してきた中東の同盟国の一部では、安全保障体制の見直しの議論が浮上している。イランのアブドラヒアン外相は「米国ではなく地域の国々が自ら安定と安全に役割を果たすべきだ」と述べた。』