カブール空港周辺で自爆テロ、70人死亡か

カブール空港周辺で自爆テロ、70人死亡か ISが犯行声明
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『【ワシントン=中村亮、イスタンブール=木寺もも子】アフガニスタンの首都カブールの国際空港の周辺で26日、2回の爆発があった。過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出し、米軍は少なくとも1回は自爆テロと指摘した。複数の米メディアによると、米兵13人を含む70人超が死亡したとみられる。

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テロを起こしたとみられるのは、アフガンや隣国パキスタンにまたがる地域の領有を一方的に主張するIS系勢力のIS「ホラサン州」。

米軍で中東地域を管轄するマッケンジー中央軍司令官によると、空港の入り口の一つである「アビー・ゲート」付近でIS戦闘員が自爆テロを実施した。その後に別の複数の戦闘員が米兵やアフガン市民に対して銃撃した。米軍はアビー・ゲートで、国外退避を望む人々が空港に入る前に武器を所持していないかどうかを確認していた。

もう一つの爆発はアビー・ゲートから数百メートルの距離にある「バロン・ホテル」で起きた。マッケンジー氏は手口について調査中だとした。バロン・ホテルは外国人の利用が多いとされる。米軍は19日、ヘリコプターを使って同ホテルから169人の米国人を空港に移動させていた。

米中央軍は2回の爆発などで米兵13人が死亡、18人が負傷したと明らかにした。複数の米メディアによると、アフガン人は少なくとも60人が死亡。負傷者は200人を超えたとの報道がある。

ロイター通信によるとISは26日、公式メディアを通じて犯行声明を出し「(イスラム主義組織)タリバン戦闘員を含む約60人を殺害、100人超を負傷させた」と主張した。マッケンジー氏は「ISによる攻撃が続くと想定している」と指摘、追加攻撃に強い警戒感を示した。米国人やアフガン人らの国外退避の支援は継続すると強調した。

ISと対立するタリバンは同日の声明で「人々の安全に注意を払ってきた」と強調し、爆発事件を非難した。ジョンソン英首相は「(爆発は)我々の進捗を妨げることはない」と退避活動を続ける考えを強調。ドイツのメルケル首相も退避の支援を続けると表明した。メルケル氏は28~30日に予定していた外遊を取りやめた。フランスのマクロン大統領は「米国と協調する」などと述べた。

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アフガニスタン最新情報はこちら https://www.nikkei.com/theme/?dw=21081700&n_cid=DSREA_afghan

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員

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分析・考察 最近でアフガニスタンでの米軍の死者はいなかったため、今回のテロはアフガンから撤退の混乱の中で、米国が恐れていたことが起こったといえます。

最新の情報では米軍の犠牲者は13人となり、バイデン大統領は犠牲者を悼み、殉職した米兵を英雄とよぶ演説を行い、イスラム国に対しては、我々は容赦はしない、見つけ出して報復すると発言しました。

ただ、アフガニスタンにおける米軍のインテリジェンス能力は益々低下していくことは必至であり、今後も難しい状況が続くと思われます。

2021年8月27日 8:12いいね
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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授

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分析・考察 すでに水曜日中に、デンマーク、ベルギー、ポーランドはカブール空港での作戦を終了、ドイツとオランダも木曜中に終了することを発表していた中で起こったテロです。

アメリカからは繰り返しテロの危険に関する情報が同盟国に出されていました。

日本はこのような状況での自衛隊の派遣に関する法制を、見直す必要があります。カブール市内から空港への陸上輸送をやるとすれば、自衛隊法84条の3ですが、現状は条件が厳しすぎます。

空路の輸送は今回使った84条の4ですが、二つの条件が違うので同時に使えません。

また、意思決定の段取りも不明瞭。ドイツは議会の同意必要ですが、今回のような緊急時は事後承認が可能なので、それでやりました。

2021年8月27日 7:17いいね
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授

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ひとこと解説 犯行声明を出したIS-Kは「イスラム国のKhorasan州」と名乗る組織で、世界的なカリフ制を作ろうとする「イスラム国」の一部。

このKhorasanはイラン、パキスタンやアフガニスタンの地域を示す地名だが、どうも聞き覚えがあると思ったら、かつて米国が安保理に提出したシリア空爆の理由を書いた書簡にKhorasan GroupはISの一派であり、それを攻撃の対象にしているから空爆は正当化されると主張していたのを見たのを思い出した。

その時はなぜシリアにKhorasanという関係ない地名が出てくるのか不思議だった。2015年7月にはそのボスを殺害している。IS-Kから見れば米軍に対する報復なのだろう。

2021年8月27日 11:30いいね
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滝田洋一
日本経済新聞社 編集委員

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ひとこと解説 8月23日のワールドビジネスサテライト(WBS)でもISによるカブール空港でのテロの可能性を指摘しました。そもそもテロのリスクは米国が警告しています。そして現実に米兵13人を含む70人超の死者を出すテロが発生してしまいました。

何とも痛ましい限りですが、バイデン政権の屋台骨を揺るがしかねません。

米軍のアフガン撤退はトランプ政権の時から決まっていたとはいえ、問題はその手順であり、事態の制御だったからです。タリバンによるカブール占拠が「バイデン政権のサイゴン陥落」だったとすれば、アフガンからの脱出に支障をきたし、取り残される人たちが出てくるようだと「テヘラン・米大使館占拠事件」の悪夢が甦ってきます。

2021年8月27日 9:22 (2021年8月27日 10:10更新)
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菅野幹雄
日本経済新聞社 ワシントン支局長・本社コメンテーター

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ひとこと解説 なお1000人規模とみられる米国人が数日後の8月末までの退避を急ぐなか、多くの米兵が犠牲となった自爆テロはバイデン米政権にとって余りにも早い悪夢です。
地上から空港へ入るチェックポイントと、ヘリ輸送の出発点のホテルという、まさに兵士と人々の流れの結節点が同時に襲われました。

バイデン大統領は「代償を支払わせる」とイスラム国(IS)への報復を誓いますが、その前に追加のテロ攻撃で米兵のみならず市民の命が狙われる可能性はなお非常に高いはず。
世論調査でバイデン氏の不支持率は支持率を上回りました。超高難度の作戦を完遂して信頼失墜に歯止めをかけるのか、それとも一段と傷口を広げるのか。政権の重大な岐路です。

2021年8月27日 8:27いいね
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