タリバンが米兵器入手 軍事力増強、アルカイダに流出も

タリバンが米兵器入手 軍事力増強、アルカイダに流出も
強硬な新政権、樹立へ
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『【久門武史、ニューデリー=馬場燃】アフガニスタンを掌握したイスラム主義組織タリバンが、米国が政府軍に提供してきた兵器を手に入れて軍事力を増強するとの懸念が出ている。ドローン(小型無人機)や大量の弾薬を含み、タリバンとつながりの深い国際テロ組織アルカイダの手に渡る恐れもある。タリバンは軍事力増強を背景に強硬な新政権の樹立に動きだした。

「全体像は不明だが、明らかにかなりの量がタリバンの手に落ちた」。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は17日、タリバンがアフガン軍から大量の米国製武器を奪ったと認め「彼らが返還するとも思えない」と語った。

流出した兵器の中には無人偵察機「スキャンイーグル」や多目的ヘリコプター「ブラックホーク」が含まれると報じられた。米共和党の上院議員25人は18日、オースティン国防長官への書簡で「ハイテク装備がタリバンとその仲間の手に渡ったことは受け入れがたい」と非難した。タリバンからさらに中国やロシアに流出すれば、米国の安全保障にとっても痛手となりかねない。

カブールの空港周辺で警戒に当たるタリバン戦闘員(16日)=ロイター

地上戦能力の向上に直結する武器も大量に流出した。米メディアによると、米国はアフガン軍にライフル銃など軽火器60万丁、車両7万6千台、暗視ゴーグル1万6千個などを提供してきた。タリバンの機動力や夜戦能力が高まるのは確実だ。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米国が大量の弾薬や対戦車ミサイルなども供給してきたとし、過去20年で800億ドル(約8.8兆円)以上をアフガン政府軍のために費やしたと伝えた。米軍は現在、アフガン在留の米国市民らの退避に力を注いでおり、失われた兵器の回収に充てる余力はない。

タリバンがアフガンを掌握したことで、テロ活動で連携するアルカイダが勢いづくとの懸念は強い。同国が過激派の戦闘員獲得や訓練拠点になりかねない、とみる向きもある。クラッパー元米国家情報長官は米CNNに、アルカイダの多くの戦闘員がアフガンに戻るのは「時間の問題だ」と述べ、組織の再建を進めるとの見方を示す。

AFP通信は23日、カナダのトルドー首相が「タリバンはテロリストだ。だから制裁を議論するのだ」と報道陣に語ったとしている。タリバンの新政権が国際社会から承認されるかは不透明だが、軍事力増強を背景に強硬な新政権樹立に本腰を入れる。

元政府幹部らとの交渉に臨むタリバン幹部ら(19日、アブドラ元国家和解高等評議会議長のフェイスブックより)=ロイター

タリバンの広報担当者によると、旧政権でアフガニスタン中央銀行の総裁だったアフマディ氏を更迭し、タリバン指導者であるイドリス氏を総裁代行に起用した。ロイター通信によると、同氏はアフガン北部出身で、2代目の最高指導者だったマンスール師のもとで長く財務を担当したとしている。金融に関する高度な教育を受けた経験はないという。

ガニ旧政権でナンバー2だったアブドラ氏は21日、「カルザイ氏と一緒にタリバンと会談した。市民の安全や資産について議論した」とツイッターに投稿した。アフガンメディアは22日、「新政権の陣容を近く発表できるかもしれない」とのタリバン報道担当者のコメントを紹介している。

旧政権で大統領を12年務めたカルザイ氏やタリバンとの和平協議を担ったアブドラ氏は国民に広く知られている。両氏は今春以降、海外での和平協議でもタリバンと対話を重ねてきた。

旧政権関係者は「両氏はいまやタリバンの完全な操り人形だ。タリバンは知名度の高い一部の人物を登用して融和を訴えるだろうが、実態は恐怖政治を再び進めるだけだ」とみている。

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