少子化克服は「百年の計」 出生率1.5の落とし穴

少子化克服は「百年の計」 出生率1.5の落とし穴
人口と世界 成長神話の先に(3)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE2575A0V20C21A5000000/

 ※「価値」とか、「目的(目標)」とかは、対立する…。

 ※ ジェンダー・フリーを叫んで、「女子の選択肢を増やそう!」ということと、「少子化の抑制」は、両立が困難だ…。

 ※ 世の中、全てが「こちら立てれば、あちら立たず」の関係にある…。

 ※ 結局のところ、「妥協の産物」「まあまあ、そんなに酷くは無いところ」に落ち着かせる他は無い…。

 ※ 人によって、「価値観」って、異なるからな…。

『「子どもがいなければもっと自由に生きられる」。韓国の大手エンターテインメント企業の女性管理職(41)は結婚時、夫と話し合い子どもを持たないと決めた。

【前回記事】労働輸出国で細る若年層 移民政策、国の盛衰占う
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子どもは好きだが、教育費は増すばかり。あるソウルの有名学習塾の費用は月500万ウォン(約50万円)。不動産の高騰や厳しい雇用環境も子育ての足かせとなる。周りには結婚すらしない人も多く、小学校教諭の姉も「非婚宣言」した。

韓国は2020年の出生数が過去最少の27万2400人。女性1人が生涯に産む子どもの推定数(合計特殊出生率)は0.84で世界最低水準だ。

超少子化に陥る分水嶺とされる出生率1.5を長く下回った後に回復した国はほぼない。子どもが少ないのが当たり前の社会になり、脱少子化が困難な「低出生率のわな」に陥る。1.34の日本も直面する現実だ。

なぜ少子化が進むのか。人口学者が指摘するのは、女性の教育と社会進出だ。男女格差が縮小するのは社会にとって大きな前進だが、女性にばかり育児の負担がかかる環境が変わらないと、働きながら望むように子どもを産み育てられない。

「フルタイムで働きながら子育てなんて考えただけで疲れる」。バンコクの女性大学院生(35)は嘆く。タイの20年の出生率は1.5で低出生率のわなの瀬戸際に立つ。

タイ女性の大学進学率は58%で男性の41%を上回る。英HSBCによると、大部分の国民が高等教育を受ける国で高出生率の国は一つもない。だが女性の教育を後戻りさせるわけにはいかない。

福祉国家フィンランドも出生率が10年の1.87から急減し、20年は1.37。少子化対策が手厚いはずの同国の急降下は大きな謎とされる。非政府組織(NGO)の人口問題連盟の調査ディレクター、ベンラ・ベリ氏は「女性は男性にもっと平等に家庭に参加してほしいと考えている」と指摘する。

ヒントはどこにあるのか。少子化対策の優等生といわれてきたフランス。ここ数年は出生率が下がりつつあるが、それでも1.8台を維持する。子育て支援などの家族関係社会支出は国内総生産(GDP)比で2.9%と日本の約2倍だ。

フランスは少子化対策を重視する(病院を視察するマクロン仏大統領)=ロイター


きっかけは1870年の普仏戦争だ。直前まで欧州で人口最大だった仏がドイツに逆転され、敗戦も喫した。仏が少子化対策を「国家百年の計」とした背景には、この苦い記憶がある。仏は家族のあり方も大きく変え、1999年に事実婚制度PACSを導入した。2019年に仏で生まれた子の6割が婚外子だ。

制度を変えても社会に根付くには時間がかかる。儒教思想が根強い韓国でも着手した。韓国政府は4月、家族の定義を見直す方針を打ち出した。婚姻や血縁などによる家族の定義を民法から削除し、事実婚カップルらも家族と認める。

「産めよ殖やせよ」と声高に叫ぶ時代ではない。それでも安心して子育てができる社会をつくるには一定の出生率の維持が欠かせない。社会全体の生産性を上げなければ経済や社会保障は縮小し、少子化が一段と加速する悪循環に陥りかねない。百年の計をいまこそスタートさせる時だ。』