セブンが全国で宅配参入

セブンが全国で宅配参入 2万店最短30分、Amazon対抗
【イブニングスクープ】
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『セブン&アイ・ホールディングスは国内コンビニエンスストアの全約2万店を活用した宅配事業に参入する。きめ細かい店舗網を生かし最短30分で商品を届ける。2025年度をメドに実現する。国内コンビニ市場は20年度に初めてマイナス成長に転じた。セブンがネットと店舗を融合した宅配サービスでアマゾン・ドット・コムなどに対抗することで、小売業の競争は新たな段階に入る。

コンビニ子会社のセブン―イレブン・ジャパンが、東京、北海道、広島の一部地域の約550店舗で提供している宅配サービスを全国に広げる。店舗オーナーの判断に任せるが、大半が宅配を導入する見通しだ。

消費者に身近なコンビニを配送拠点とし、家庭までの「ラストワンマイル」でスピード配達する。井阪隆一社長は「店舗は商品を買っていただく場所であると同時に在庫保管場所だ。設備投資せずに短時間で広げられる」と話す。

専用サイトやアプリで注文を受け付ける。店舗で扱う食品や日用品など約3千品目を対象にする。税抜き1千円以上の注文から対応し、330円の配送料を徴収する。午後11時までの宅配に応じる。

宅配範囲は店舗から半径500メートル程度を想定するが、需要次第で拡大する可能性もある。コンビニは日々の販売分析から選んだ売れ筋をそろえる。大規模倉庫を駆使するアマゾンの膨大な品数にはかなわないが、弁当や生鮮品、急に必要になった日用品などを即時配達できるのが強みだ。

配送は各地域で物流業者に委託する。すでに物流企業10社弱との連携にメドをつけた。宅配代行サービス「ウーバーイーツ」などの個人事業者に委託するより、配送の質や配送員確保で優れるとみている。

全国展開に備え、セブンは人工知能(AI)を活用した物流システムを開発。車両や運転手の手配や配送ルートを最適化する。セブン以外の荷物を運びながら最低限の車両や運転手で宅配をこなせるようにする。

現在1店舗当たりの宅配の受注件数は1日数件だが、全国展開後は同15件以上をめざす。小売業の宅配は米国でも広がっており、米国セブンでは宅配利用者の平均客単価は14.5ドルと店舗の1.7倍。日本でも宅配導入で頭打ちの国内の既存店売上高を引き上げる。

日本経済新聞社の20年度コンビニ調査では国内全店舗売上高(比較可能な8社対象)が前年度比6%減の11兆886億円と、結果を遡れる1981年度以降で初のマイナスに転じた。セブンも11年ぶりに減収となった。

一方で2020年のネット通販市場(物販)は新型コロナウイルス下の外出自粛などを追い風に22%増の12兆2333億円と急拡大。コンビニの市場規模を初めて上回った。成熟するコンビニ業界では宅配の取り込みが急務となっており、セブンは宅配の全国展開を再成長につなげる。

セブン以外ではローソンがウーバーイーツなどを使った宅配を1日時点で32都道府県の約2千店に導入しており、21年度中に3千店まで増やす。宅配サービスがコンビニにも広がることで、人々の消費活動のネット通販シフトが加速する可能性もある。

米国では中小の小売業者に電子商取引(EC)システムを提供するカナダのショッピファイが急成長している。セブンは5月に買収したガソリンスタンド併設型コンビニ「スピードウェイ」でも宅配対応を進め、25年までに全米6500店舗(現状約3900店)にサービスを広げる。

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風早隆弘
クレディ・スイス証券 株式調査部 株式調査共同統括部長

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ひとこと解説 世界的にも、スマホで注文し短時間で商品を受け取るサービスに対する消費者のニーズは高まっています。

例えば、トルコではGetirという企業が、注文から最短10分で商品を届けるサービスで事業拡大に成功し、英国などでも事業展開を進めています。

セブン-イレブン・ジャパンの店舗数は、日本の小売り企業の中では、2位以下を大きく引き離して最も多く、おにぎりやサンドイッチなど鮮度の要求される商品を全国の店舗で提供するためのIT・物流ネットワークも構築済です。このため、既存のインフラ活用で消費者の新たな需要創造に成功すれば、人件費の上昇などに頭を悩ませている加盟店の収益にとってもプラスになりそうです。

2021年8月24日 7:48いいね
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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授

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貴重な体験談 コロナ、高齢化、共働き、どれをとってもこのようなサービスへのニーズは高いです。

他方で特に生鮮食品は冷蔵状態で運ぶ必要があるものが多く、宅配ボックス等の使用に限界がありますし、大量に買い置きできるものではないので、小口の小回りの効く配達の数が必要です。

西友、ダイエー、楽天スーパー、Amazonと多数参入はしていますが、どこも配送の問題で壁にぶつかり、本当に消費者が望む規模と頻度でのサービス展開に達したところはありません。

生協やヨシケイは保冷用宅配ボックスで玄関前に置くタイプですが、どちらも一週間前注文です。セブンが本当にそこをクリアできるのであれば画期的です。楽しみに待ちたいと思います。

2021年8月23日 23:01いいね
21

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大岩佐和子
日本経済新聞社 編集委員

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ひとこと解説 コンビニも、もはや店を構えて待っているだけのビジネスでは厳しい状況で、宅配で攻めていく必要があります。

買い物の小商圏化、食のEC化、さらにはサービス実現の2026年は団塊の世代が後期高齢者の年齢に達し数百メートルの移動も難しいと感じる人が増えますからニーズは今以上に高まることでしょう。

ただ店舗出荷型では、商品のピックアップなど店舗の作業量は増えます。サービス導入には加盟店の店舗オペレーションの改善が欠かせません。

2021年8月23日 19:55いいね
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