タリバン、独記者家族を殺傷

タリバン、独記者家族を殺傷 抗議デモの市民も射殺
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『イスラム主義組織タリバンによる発砲がアフガニスタン各地で相次ぎ、20日までに多数の市民が死亡した。いずれもタリバンの支配に抗議するデモに参加していたもようだ。ドイツの公共放送、ドイチェ・ウェレは19日、同社のジャーナリストの家族1人がアフガニスタンでタリバンに殺害されたと報じた。タリバンは17日の記者会見で融和姿勢を見せたが、武力を乱用しており、国内外から批判が強まっている。

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ドイチェ・ウェレによると、ジャーナリストの別の家族も重傷。ジャーナリスト自身はドイツで働いており、無事だった。ドイチェ・ウェレは、タリバンがジャーナリストを組織的に捜索している証拠だと指摘した。タリバンはドイチェ・ウェレの少なくとも3人のジャーナリストの自宅に踏み込んだ。同社は独政府に対応を求めている。

ドイツ政府の報道官は20日、出国するためカブールの空港に向かっていた同国の男性1人が銃撃されたと明かした。命に別条はなく、治療を受けた。ドイツは航空機をカブールに派遣し、自国民らの退避を支援している。

ロイター通信などによると、アフガン市民らの抗議デモは19日までにカブールや東部の主要都市で起きた。19日はアフガンが英国の保護領から独立した記念日で、カブールの集会では一部の参加者が国旗を掲げ、厳格なイスラム法の適用を示唆するタリバンの統治を認めない姿勢を示した。同日、東部のアサダバードではタリバンの戦闘員の発砲で複数の市民が死亡した。

東部のジャララバードでは18日、タリバンの掲げていた旗を降ろしたデモ参加者が銃撃を受け、少なくとも3人が死亡した。

「家をノックして危害を与えることはない」。タリバンの報道担当は17日にカブールで開いた記者会見でこう話し、融和姿勢を演出した。だが、タリバンへの不信感が高まれば、タリバンが描く新政権の立ち上げを巡るシナリオは揺らぎかねない。

北東部のパンジシール州ではタリバンへの抵抗勢力が集まる動きがある。出国したガニ元大統領の政権で第1副大統領を務めたサレー氏や、旧タリバン政権に抵抗して2001年に暗殺されたマスード司令官の息子、アフマド・マスード氏がタリバンへの抵抗を呼びかける。

アフマド氏は米紙ワシントン・ポストへの寄稿で「再びタリバンに立ち向かう」と主張したが、武器が足りないとも明かし、支援を求めた。だが、アフマド氏やサレー氏のグループの拠点はタリバンに事実上、包囲されており、大きな勢力で反攻する機運は感じられない。

タリバンはカブールへの進撃の途上、各州の知事、軍閥指導者を「利益は保障する」と言って懐柔してきた。アフガン市民の大半はイスラム教徒で、多くが住む農村部はもともと、イスラムの価値観を重視する土地柄だ。タリバンに対する抗議や抵抗は、宗教色の薄い世俗派が目立つ都市の一部に限られているようだ。

都市部では01年に米軍の攻撃で崩壊した前のタリバン政権による厳しい統治が語り継がれている。女性は全身を布で覆って隠すよう強いられ、親族の男性と一緒でないと外出が認められなくなった。音楽や美術も大きく制限された。多くの市民は自宅にこもっているとの報道もある。(花田亮輔、小川知世、ベルリン=石川潤)

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