通貨変革期、問われる協調 進む「ドル離れ」

通貨変革期、問われる協調 進む「ドル離れ」―「ニクソン・ショック」50年
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081300787&g=int

『【ワシントン時事】主要国の外国為替市場が固定相場制から変動相場制へ移る転換点となった1971年の「ニクソン・ショック」。今でも米国は金融大国の座にあるが、ドルに対する信認が揺らぐ場面が増えている。中国は「デジタル人民元」の普及でドルの覇権に挑む構え。通貨の変革期を迎え、国際協調が改めて問われている。

 ドルを中心とする基軸通貨体制を確立した「ブレトンウッズ会議」から75年余り。ドルはなお、外国為替取引で使われる通貨の約9割、国際決済の約4割を占める。
 だが、ドルの圧倒的な支配力に陰りが出ている。国際通貨基金(IMF)によると、政府や中央銀行の外貨準備に占めるドルの比率は2020年末に約59%と過去25年間で最低だった。ユーロ(約21%)や円(約6%)に分散する動きが見られ、人民元(約2%)も上昇傾向にある。

 米中対立も「ドル離れ」を加速させている。ドルを武器に金融制裁を連発する米国に対抗し、中国は外貨準備のドル比率を8割から6割に引き下げた。中国が統制を強める香港では、香港ドルを米ドルに連動させるペッグ制の廃止観測がくすぶる。
 中国は巨大経済圏構想「一帯一路」を通じてデジタル人民元の利用拡大を図る方針。その実証実験は最終段階に入り、22年2月の北京冬季五輪を前に導入を急ぐ。中国人民銀行(中銀)は「先駆者」を目指すと強調し、早期の実用化で競争の主導権を握る姿勢を鮮明にしている。

 デジタル通貨で出遅れた日米欧には危機感が漂う。麻生太郎財務相は、デジタル通貨は「透明性、法の支配、健全な経済ガバナンス」の3条件を満たすべきだと強調し、中国をけん制。米国も基本的には慎重姿勢だが、研究には着手している。

 基軸通貨にこだわる米国、デジタル通貨で覇権をうかがう中国。ニクソン政権の経済政策に関わった米エール大経営大学院名誉学部長のジェフリー・ガーテン氏は「米国の経済力が相対的に衰えた今、多国間の協調なくしてドル基軸体制の存続は難しい」と警鐘を鳴らす。』