アフガン首都緊迫 タリバン、隣接州も制圧

アフガン首都緊迫 タリバン、隣接州も制圧
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【ワシントン=中村亮】アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが13日までに、第2の都市の南部カンダハルなどを制圧した。米メディアによると8月末の米軍撤収を控え、早ければ1カ月以内に首都カブールが陥落する可能性があると米当局はみている。米英、カナダは大使館員らの退避のため軍の部隊を派遣する。

タリバンは全34州都のうち過半数の18州都を支配した。首都のあるカブール州に隣接する東部ロガール州などを含み、首都から約50キロメートルまで迫っている。

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カンダハルはタリバン発祥の地で、2001年12月に最後の拠点だった同地が陥落し当時のタリバン政権は崩壊した。カンダハル奪還でタリバン兵の士気が一段と高まる公算が大きい。

『アフガン政府軍は孤立しつつある。12日にタリバンは第3の都市である西部ヘラートと、カブールから約130キロメートル南西の東部ガズニを制圧した。カンダハルや北部クンドゥズと合わせて幹線道路が通る要衝を押さえ、物流網の掌握を狙う。

「(米軍撤収決断を)後悔していない」と10日語ったバイデン大統領だが、12日にはホワイトハウスで記者団のアフガン情勢の問いに答えず足早に去った。わずか2日で情勢は大きく悪化した。

バイデン政権は12日、在カブール米大使館の人員を削減する方針を決めた。米国務省のプライス報道官は同日の記者会見で「慎重を期した措置だ」としたが、カブール陥落のリスクが高まったと判断したのは明白だ。

米軍は約3000人をカブールの国際空港に派遣し、外交官らの国外退避を支援する。米CNNは米政府が米大使館をカブールの空港に移転することを検討していると報じた。英国は約600人の部隊を送って自国民の退避を支援する。AP通信によるとカナダも軍特殊部隊を派遣する。

オースティン米国防長官は12日、アフガンのガニ大統領と電話し「厳しい戦いに直面するなかで団結力のあるアフガン国防・治安部隊こそが平和と安全の要だ」と指摘、治安回復をアフガン政府に委ねる考えを示した。だがアフガン政府軍は敗走を続けており、事態打開の兆しはみえない。

米軍撤収への米国民の支持は高い。米議会専門紙ザ・ヒルなどが7月上旬に実施した世論調査では、アフガン撤収支持が73%に達した。米大の調査によると、米国はアフガン戦争に2兆ドル(約220兆円)以上を投じ、01年の開戦以来2300人以上の米兵が死亡した。米軍は中国を念頭にアジア太平洋へと安全保障の軸足を移している。

中東の衛星テレビ、アルジャズィーラによるとアフガン政府は攻撃停止を条件として権力の一部を譲ると提案した。ただタリバンがカブールを制圧し、軍事力で権力を掌握する可能性も排除できない。

米欧や中国、パキスタン、インドなどは12日、カタールでのアフガン情勢を巡る協議後に議長声明を発表し、武力を通じて樹立した政府を承認しないことで合意した。だがタリバンと近い関係にあるとされるロシアやイランは協議に参加していない。アフガンの混乱収拾の道筋は見えない。

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