「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和三年(2021)8月14日(土曜日)

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)8月14日(土曜日)
通巻第7014号  
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 しびれを切らしたパキスタン。領事館から館員を減らし「カブールへ移れ」
  「ヘラートの獅子」イスマイリ・カーンをタリバンが拘束
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 パキスタンのイムラン・カーン首相は唸った。「バイデン米大統領からの電話を待っているのではない」。
 パキスタン外務省はマザリ・シャリフとヘラートに置いているパキスタン領事館の館員を減らし、カブールの大使館へ移動せよと命じた。

 パキスタンはタリバンと濃密な接触があり、ガニ政権との連立政権の提案も行ったらしいが、タリバンから拒絶されたことも明らかにしている。欧米はパキスタンが背後でタリバンを支援しているとみて、信頼していない。

 8月12日のヘラート攻防戦で、「ヘラートの獅子」とタリバンが一目置いたイスマイリ・カーンが拘束された。タリバンが正式に発表した。嘗て勇猛果敢な北部同盟の闘将として、無尽の武闘を繰り返した軍閥の首魁が、拘束されたことはカブール政権に甚大なパニックを運んだようだ。

 アフガニスタンとの国境クエッタの検問所は、7月17日に再開していたが、8月13日に再度閉鎖に踏み切った。パキスタンはアフガニスタン難民に対してIDカードと難民証明を発行しており、ヴィザ不要の措置を取っていたが、混乱を招きかねず、またスパイやテロリストの混入の可能性もあるとして国境門を閉めた。外国人ジャーナリストが逃げ込んだ場合は例外的措置をとるとした。

 あまりに迅速なタリバンの攻撃によりアフガニスタン政府軍はまともな反撃も出来ず、空爆の効果も挙げていない。米軍高官が懸念したように「飛行機をまともに飛ばせるか疑問だ」との予告は当たった。
 米国は過去二十年間に、のべ8300億ドルをアフガニスタン政府軍に供与し、訓練してきた。30万人もいるアフガニスタン政府軍は役に立たなかった。

 タリバンはアフガニスタン政府軍が残した米軍戦車、装甲車、M16、ドローンなどを次々と「ろかく」しており、さらにはヘラートとカンダヘルの刑務所を開放し、囚人を兵士として徴用しているという。

 また制圧した州の知事後者や公共施設を占拠し、陣地を構築している。政府および米軍に協力した者は銃殺されていると欧米メディアは伝えている。

 難民はすでにイラン国境に60万人と伝えられ、国際組織の救援の手は行き届いていない。

 
 ▼カブールへの戦略的要衝ガジニも陥落。カブールは目の前に

 8月12日にカブールの南西130キロにあるガジニが陥落し、タリバンの支配区となった。
これは首都カブールとカンダハルを結ぶ幹線道路の要衝にあり、米軍が一部空爆支援をしたというが、間に合わなかった。

 米国は、アフガニスタン在住の米国人は、政府救援機をたよらず、あらゆる手段で脱出せよと助言をだしている。
ドイツとオランダが同様な措置を取った。
 
英国も急きょ、600名の兵員を派遣し大使館徹底の支援を展開する。英軍は2014年以来、457名の犠牲を出したが、米に協力してきた。カナダも緊急に特殊部隊を派兵する。

 インドはアフガニスタンとの間にパキスタンが緩衝地帯のように横たわるため、多少のゆとりはあるが、懸念しているのはガニ政権下で合意し、インド企業が建設をすすめるサルマ・ダムの行方である。
インドは、このプロジェクトに3億ドルを投資している。

中国が開発していた鉱山は操業を停止し、中国人は殆どが帰国した。

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 この一年で9万人が香港を捨てて外国へ出た。人口は1・3%減った
  香港の図書館から自由、民主、法治、台湾の本が消えた
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 コロナ災禍で飛行機の欠航が多いにもかかわらず、香港から諸外国、とくに英国へ向かう便は満席状態が続いている。およそ9万人の香港人が、自由のなくなった香港を捨てた。

 空港には荷物を一杯にした若者、とくにカップル、子連れの姿が目立ち、積極的に香港市民を受け入れている英国に向かう。
 べつに英国で就職先が決まっているわけでもないが、ロンドンなどでは就労斡旋、住居支援などのボランティア団体が、到着する香港人も面倒を見ている。

 香港の図書館からは夥しい書籍が消えて、本箱はがらんどうになった。台湾関連本のみならず自由、法治、民主、人権を論じた書籍が消えたのだ。もちろんオーエルの『1984』は入手が難しくなっている。
 自主規制による処分なのか、展示禁止書籍リストが出回っているというが、言論弾圧もここまでくると陰湿である。
 
 まだ香港に留まっている外国企業も、近く撤退予定、いずれ退去などを含めて60%前後の企業は香港脱出を考えているとアンケートに答えている。 

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